もともと書いていたのは、大阪府警がまた不祥事をやったという話。ズレた防犯カメラ設定時刻を元に誤認逮捕して、長期間拘束されて会社も休職するといったひどいことになりました。ただ、防犯カメラによる冤罪はこの件が特別ではなく、多くの誤認逮捕を生んでいるようで問題が指摘されています。
2023/05/22追記:
●裏付け捜査を怠って拙速に逮捕?ベトナム籍男性を誤認逮捕 【NEW】
●大阪府警がまた不祥事!月1件以上のペースで捏造などが判明
2013/7/22:大阪府警がまた不祥事…という話なのですけど、今度は冤罪事件という非常に深刻な問題でした。とりあえず、過去の大阪府警の問題について。誤認逮捕が判明したのは今回だけですが、証拠などの捏造を日常的にやっています。未だに冤罪が後を絶たないというのは、こういう杜撰さのためじゃないでしょうか?
<最近発覚した大阪府警の不祥事> (階級、肩書は不祥事当時)
◇阿倍野署の巡査部長がひき逃げ事件の被害者の供述調書を改ざん。容疑者を見ていないのに「見た」とする内容に(4月に発覚)
◇堺署内で起きた公務執行妨害事件の対応が適切だったと装うため、複数の署員が虚偽調書を作成。事件で起訴された被告の公判で偽証も(6月に発覚)
◇堺署の警部補が証拠品の注射器を紛失したと思い込み、別の注射器を証拠品にでっちあげ(同)
◇堺署の巡査長が刑法犯の認知件数を5年間で6585件過少に報告(同)
◇南堺署の巡査長が速度超過事件の現場写真が足りないと考え、後日に撮影した再現写真を取り締まり日に撮影したと偽って添付(7月19日に発覚)
(
朝日新聞デジタル:大阪府警が誤認逮捕 証拠の映像、設定時刻にずれ 2013年7月20日13時12分より)
なお、大阪に関して言えば、大阪地検もやばかったです。やはり捏造がある他、弁護士に圧力をかけるといったことが判明しています。
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取り調べ可視化で検察の虚偽自白作成判明の放送、地検激怒で延期に ■
虚偽自白作成の大阪地検、証拠映像提供の弁護士に懲戒請求で圧力●大阪府警、防犯カメラを元に誤認逮捕の冤罪事件を起こす
さて、今回判明した冤罪事件について。堺市内で起きた窃盗事件で、大阪府警北堺署が逮捕した男性会社員(42)を、大阪地検堺支部が事件に無関係だったとして釈放したことがわかりました。犯行を裏付ける有力な物証とした防犯カメラの時刻が正しく設定されていなかったといい、男性のアリバイが確認されたという理由です。これは詳細な説明を見た方がスッキリします。
事件自体は、2013年1月に、堺市北区のコインパーキングの乗用車から給油用カードが盗まれ、堺市西区のガソリンスタンドでの給油(25リットル、約3500円分)で使われたというもの。
まず北堺署は、店に残っていた販売記録から犯行時刻を13日午前5時39分と断定。この時刻の防犯カメラに給油する姿が映っていた男性を4月24日、給油カードの窃盗容疑で逮捕し、5月15日、カードを使ってガソリンを盗んだとして再逮捕しました。堺支部は6月、ガソリンを盗んだ罪で起訴しています。
一方、男性は、「身に覚えがない」などと容疑を一貫して否認。弁護人が調べたところ、犯行時間とされた1分後に、男性がガソリンスタンドから約6・4キロ離れた高速道路の入り口を通過したETC(自動料金収受システム)の記録が見つかえいました。
1分後に6.4km離れたところに行くというのは不可能。時速でしたらこの60倍ですから、時速380kmくらいで移動しなくちゃいけません。この男性が犯行が行うというのは、どう考えても無理でした。
●長期間拘束されて会社も休職 物理的・精神的に大打撃
弁護人はよく見つけた!という話ですが、指摘を受けた府警が改めて調べたところ、府警が有力な証拠とみた付近の防犯カメラの時刻設定が間違っていたことが判明。弁護側によると、カメラは正しい時刻より約8~9分進んでおり、男性は、犯行時刻の5分ほど前の午前5時34分ごろ給油していたことがわかりました。
また、日本が問題なのは、気軽に逮捕して、気軽に拘束してしまうこと。弁護人の赤堀順一郎弁護士によると、男性は85日間の拘束で会社も休職を余儀なくされ、物理的、精神的に回復しがたい不利益を被ったといいます。深刻な被害を受けています。
赤堀順一郎弁護士は「ずさんな捜査を行った検察官と警察官の責任は極めて重く、名誉回復のため、検察は公訴取り消しではなく、きっちりと裁判を開いて無罪を言い渡すべきだ」などと捜査を厳しく批判していました。
日本は逮捕された時点で犯罪者という偏見が強いです。これは国民の側にも問題があるとはいえ、誤認逮捕で被る不利益を考えると捜査が丁寧に行われるべきであることは言うまでもありません。
●防犯カメラの不鮮明な映像をもとに安易に逮捕して自白を強要!
2019/12/20:
監視防犯カメラの犯罪抑止力データなし?ダミーカメラは逆効果との指摘もでやっているように、実は、防犯カメラはその名前に反して、犯罪抑止力が高いという証拠はありません。この時点でデメリットだと言えるでしょう。
犯罪を抑止できない一方で、起きてしまった犯罪を解決することでは防犯カメラが大活躍。これはメリットになりますので、警察は正直に犯罪抑止力がないことを認めた上で、設置の理解を求めれば良いのではないかと思っていました。
ところが、このほぼ唯一ではないかというメリットでも問題が多発しているようです。パチンコ店で置き忘れた財布を盗んだとして問答無用で逮捕された女性は、男性の後にその席に座った客でした。手元がわからない防犯カメラ映像だったものの、それを元に自白を迫られたそうです。
この自白の強要も日本の警察の問題ですね。女性は罪を認めれば帰れるのでは?と思ってしまったとのこと。また、同じように誤認逮捕された方の中には、取り調べを受けるうちに罪を認めそうになったという人もいたといいます。
パチンコ店のケースは、「女性が盗んだ」と決めつけていた財布が、ゴミ箱裏から発見。さらにそこにある防犯カメラに別の人物が財布を捨てる姿が映っていました。最初の例と似たパターンで、防犯カメラには真犯人も映っていたようです。
(
防犯カメラの落とし穴 ~相次ぐ誤認逮捕~ - NHK クローズアップ現代+ 2014年10月14日(火)放送より)
●実は映像は偽物!防犯カメラのデメリット、誤認逮捕で冤罪多発
現役警察官は、「防犯カメラを押収したから安心、ちょっと慢心しすぎる」と反省しつつも、全部見るのは不可能だと擁護していました。ただ、上記のケースは、そもそも手元が確認できなかったのですから、証拠不十分で本来は逮捕できないもの。擁護できるものではありません。
他に、強盗事件の容疑者として逮捕され、300日間勾留され、その後、無罪となったケースもあるそうです。このケースではアリバイがあったにも関わらず無視されました。
このケースでは防犯カメラに映っていた人が犯人で間違いなかったものの、ドアに指紋があった別人を似ているとして逮捕。絶体絶命に思えるのですけど、家族がその5日前に誤認逮捕された人がはっきりドアを触っている映像を見つけて冤罪とわかりました。マジでこれ証明するのきついですね。
また、最初のケースであった時刻のズレは非常に多いパターンであるとのこと。さらにアメリカでは、防犯カメラの性能の問題で激しい動きをしたとされて、誤認逮捕されたケースもあるといいます。防犯カメラはかなり問題が多いようです。それから、画面の縦横の比率で体格がまるで違って見えるということもあるとされていました。これらのことを踏まえて、記事では「防犯カメラの映像は真実を映していない」といった言い方もされています。また、加工ができてしまうという指摘までありました。
記事では、このように判断が難しい映像を、絶対的なものとして、素人の警察官が見ているのが問題だとも指摘。警察官は専門家だろ?と思うかもしれませんが、指紋や血液型鑑定と同様に、防犯カメラの解析には専門的な知識を持った人が必要だ、という意味でした。
●裏付け捜査を怠って拙速に逮捕?ベトナム籍男性を誤認逮捕
2023/05/22追記:誤認逮捕の事例を追加。
ベトナム籍男性を誤認逮捕 防犯カメラの映像を勘違い:朝日新聞デジタルという記事が出ていました。前回の話は2019年で、今回の記事は2020年10月25日。防犯カメラの扱いはまだまだ改善していないようですね。
<警視庁は25日、新宿署が東京都新宿区に住むベトナム籍でホテル従業員の20代男性を窃盗容疑で誤認逮捕したと発表した。約33時間半後に釈放し、男性に謝罪したという。
刑事総務課によると、8月22日夕に新宿区内のドラッグストアで医薬品5点(約3万円相当)が盗まれ、同署が捜査したところ、約400メートル離れたホテルに入る男の姿が防犯カメラに映っていた。映像を見せたホテル関係者1人の証言から男性と判断し、10月20日に逮捕したという>
しかし、逮捕後の複数のホテル関係者の証言から、防犯カメラに映っていた男は別のベトナム人従業員だと判明しています。この件は「ホテル関係者1人の証言」だけで逮捕してしまったことが特に問題だったのかもしれません。そもそもホテル関係者が嘘をつくという可能性だってあるのですから、複数の証言を得て確かめるべきだったでしょうね。
【本文中でリンクした投稿】
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監視防犯カメラの犯罪抑止力データなし?ダミーカメラは逆効果との指摘も ■
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