インドでインスタントラーメン市場がガンガン伸びているという話。当時こんなに伸びている国はありませんでした。また、現状インド人は全然インスタントラーメンを食べていないので、これからもかなり伸びると考えられていました。ただ、このインドのインスタントラーメン市場で、日本の会社は出遅れ。また、インドのラーメンというのは、日本とはかなり違ったものらしく、ほとんど別物のようでした。
2018/01/18追記:
●暑いインドで熱いラーメンなんか食えるか!言われてみれば納得
●インド人が日本のラーメンを食べられないもう一つの理由
●今世界で一番熱いインスタントラーメン市場はインド
2013/7/25:ラーメンの話は以下のように、過去にも結構やっています。ただ、なぜか全部海外の話ですね。うちのラーメン話は外国とよく絡むようで、実は今回の話も海外。インドとインスタントラーメンという話で、
インド版カップヌードルの謎? 日本食文化の挑戦(編集委員 小林明 2013/7/5 6:30 日経新聞)という記事の話でした。
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ベトナムのインスタント麺シェア6割はエースコック 日本に負けない大市場 ■
日本ラーメン、イギリスはロンドンでブーム 健康的(?)と人気 ■
海外の反応 日本のラーメン香港人を魅了、ローカライズの重要性 今回記事によると、インドでは即席麺市場が急成長しているとのこと。インドは何と2008年から2012年の4年間で"ほぼ3倍の43億6000万食に増加(伸び率194.6%)"という驚異的な伸びを示し、世界5位まで浮上しました。インド以外の国ではブラジルが4年間で37.3%が最高なのですから、これがどれだけすごい伸び方なのかよくわかります。
●インド人がインスタントラーメンを食べだすのはむしろこれから
しかも、インドがすごいのはこの普及がまだまだ序の口の伸び方であり、まだまだ大きくなるのはこれからだということ。インド国民1人あたりが1年で即席麺を食べる量は約3.5食。1ヶ月じゃないですよ、1年です。まだほとんど食べていないと言って良いレベル。そして、逆に言えば、潜在成長性が期待できる魅力的な市場だということなのです。
ちなみに2012年の全世界での即席麺総消費量は1014億2000万食で世界の人口、約70億5200万人で割ると14.4食。つまり、1カ月に1食強を食べているのが世界の平均値。この世界平均くらいまでいければ、あと4倍になります。ただ、記事では指摘がなかったものの、実際には世界平均は麺をもともとよく食べる中国が引っ張った値。正直、ここまでは伸びない可能性があります。
しかし、現在のインドの消費量は人口がずっと少ないアメリカと同程度であること、最新の2011年から2012年にかけても依然として20%以上の伸びを示していること(他国なら4年で2割増でも高い)を考えると、世界で一番熱い市場であることは間違いありません。普及がまだまだこれからというのは、日清食品のカップヌードルが"顧客として想定しているのはやや高所得の若者層だ"という後半の記述からもわかります。
●これは本当にラーメン?インドのカップヌードルは日本とは全くの別物
ところで、インドのラーメンは日本のものとは全然別物であるようです。インドのムンバイ市内の食料品店にあった日清食品のヒット商品「カップヌードル」は、日本でよくみかけるパッケージとは異なっています。容器は光沢のあるプラスチック、デザインや色合いも日本の商品とはかなり異なっていました。これはパッケージの話でしたが、中身も本当に違うのです。
日清食品によると、もともとインドには麺食文化はなく、「一説には北東部のコルカタ(カルカッタ)の中華料理店で出されていた焼きそばがインド全土に広がった」(経営戦略本部)とされています。そのせいか、汁気が少ない焼きそばのようなスタイルで食べるのがインドでは一般的な感じでした。
もちろん味付けも違っています。インドで売れられているのは、「マスト・マサラ」「スパイシー・ベジタブル」「タンギー・チキン」の3種類。コテコテというか、イメージ通りの味ですね。風味は、いずれも植物の実、種、葉、根などから作られた香辛料のマサラ(カレー)が基本。日本で例えると、マサラは、みそやしょうゆに相当するような伝統的な味付けだそうです。
●日本そのままじゃ売れないことも…現地に合わせるのが大事
記者が食べた「マスト・マサラ」の場合、麺の表面に、細かいアオノリのようなものが少しふりかけてあるのが見えました。香辛料だろうか?と記者は想像。この時点でかなり違いますね。スープもドロドロ感はなく、サラサラ。麺全体が水気を吸うので、ちょうど日本の焼きそばに近い食感。そして、風味は基本的にはカレー味。後味がピリッと利いています。
ちなみにインドではマクドナルドのハンバーガーもピリッとマサラ、ポテトチップスもマサラ、パスタやピザを食べてもやっぱりマサラだそうです。やはりローカライズ・現地化というものは、大事だな…と思う話。いきなり海外の料理を持って行っても、現地で受け入れられるとは限らないのです。
↓マサラ
●恩恵受けられず…日本はインドのインスタントラーメン市場で出遅れ
このようにインド市場の有望さを強調してきたのですが、残念な話もあります。日本はこの有望な市場の恩恵を受けられない可能性があるのです。ベトナムの
ベトナムのインスタント麺シェア6割はエースコックの話とは違い、インドでは日本メーカーが他国のメーカーの後塵を拝しているという話がありました。
インド即席麺市場では食品の世界最大手、ネスレが「マギー」ブランドでトップシェアを握っています。それをインドのたばこ会社、ITCの「イッピー」ブランド、日清食品の「トップラーメン」ブランドや「カップヌードル」ブランド、ユニリーバの「クノール」ブランドなどが追い上げている構図だそうです。
日清食品は「地方の一般庶民にはパパママストアを通じた小口の即席袋麺『トップラーメン・ミニ』(35グラム、5ルピー)を売り込み、やや価格帯の高い『カップヌードル』は都市部の簡便性や流行を求める中間層以上の若い所得層に売り込む」という戦略を描いています。インドはこれから先も人口が増える国としても重要であり、是非とも日本メーカーが食い込みたいところです。
●暑いインドで熱いラーメンなんか食えるか!言われてみれば納得
2018/01/18追記:インド人はやっぱりラーメン食べないみたいですね。当初の投稿から2年後の2015年の記事である
日産辞めてインドでラーメン店を開いた日本人:日経ビジネスオンライン(佐藤 浩実 2015年9月25日)でもそういった話がありました。この記事は、インド南部の都市、チェンナイの中心市街地から車で50分ほど、ベラッカリーと呼ばれる地区の、ショッピングモールの脇道沿いに、元日産社員の日本人によるラーメン専門店「秋平 AKI BAY」が開業したというものでした。
チェンナイではラーメン専門店という業態自体が珍しく、日本食レストランでラーメンを用意している店はあっても、AKI BAYのようなラーメン専門店は他に1店舗あるだけでした。またその1店の顧客というのも、チェンナイに約800人いる日本人駐在員とその家族が中心。インド人はほとんど食べていないという状況でした。
記事では、このチェンナイに関する説明がなかったのですけど、インド有数の世界都市であり、人口は468万人、2011年の都市圏人口は867万人。「南インドの玄関口」「南アジアのデトロイト」「インドの健康首都」「インド銀行業の首都」といった異名を持つ大都市です。
(
チェンナイ - Wikipediaより)
チェンナイは下手な日本の都市より大きいというレベルではなく、普通に大都市だと言えるでしょう。何しろ日本では2番目に大きい都市の横浜市ですら370万人しかいません。なので、横浜市よりずっと大きい都市に、インド人が食べるラーメン店が1店もないというイメージです。こう言うと、ラーメン店の少なさがわかりますよね。
記事では、気温30度を超える日が珍しくなく、冬でも最低気温が19度と温暖な地域のため、「熱い汁に麺を入れて食べる」という習慣がないと説明されていました。ラーメンがカップ焼きそば状態ってのもそういう事情なんでしょうね。私も夏はカップ麺だと暑苦しいので、カップ焼きそばを食べることが多いです。
●インド人が日本のラーメンを食べられないもう一つの理由
ラーメン専門店「秋平 AKI BAY」は、このラーメンに馴染みのないインドでインド人向けメニューを引っさげて登場。そして、なんと開業した月からいきなり黒字になりました。理由の一つは敢えて「インドの人がターゲット」と明言したこと。それで注目が集まり、現地でかなり取り上げられたようです。要するに宣伝がうまくいきました。
また、他のアジアの人がそうであるように、インドは友人を大事にする国。店主の秋元聡さん(42歳)は、仕事以外でも現地の友達が多かったというのでこれも効きました。結局コネかよ…と思うかもしれませんけど、「人脈」という言い方をするともう少しイメージが良いですかね。いずれにせよ大切な話です。
最初の投稿でカップヌードルが高級という話もあったのですけど、ここは敢えて高くしているというのがポイント。AKI BAYのメニューはベジタリアン向けの「Vege Soba(ベジそば)」が1杯480ルピー(約870円)。非ベジタリアン向けの「Tori Pai-Tan(鶏白湯)」が1杯580ルピー(約1060円)。1000円のラーメンなら日本でも高い部類でしょう。
記者がこの日の昼にショッピングモールで食べた中華風あんかけ焼きそばは、紅茶付きで200ルピーだったというので、2倍から3倍の価格です。この価格設定は店主がインドにいた関係で、中間所得者層が勃興しつつある今のインドならこれで行けると踏んだというのがあります。見事に当たりましたし、これも黒字化に貢献したでしょう。
なお、ベジタリアン向けメニューという話が出てきて、あっ!と思ったのが、インドの場合はヒンズー教徒向けメニューにしなくちゃならないということ。なので、そういう意味でも日本と同じものは作れません。最初の記事では確かそういう話はなかったと思います。
ヒンズー教の食べ物のタブーは、日本人が厳しいイメージのあるイスラム教以上だと言う人もいます。
インド人観光客が日本に来ない理由 危険な食べ物と取りづらいビザでは、食べ物が理由でインド人はあまり日本に来ないのでは?という話もありました。食のタブーについてきちんと配慮することも、海外で成功するには大事ですね。
【本文中でリンクした投稿】
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