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ゼロ戦設計者・「風立ちぬ」の堀越二郎 性格のわかるエピソード


(良いエピソードならゼロ戦設計者堀越二郎の良い逸話など 几帳面な「こだわりの人」をどうぞ。
 映画『風立ちぬ』のモデル堀越二郎・堀辰雄の関係や『菜穂子』の影響は?堀越二郎の妻は死んでないし菜穂子でもない モデルは堀辰雄の婚約者矢野綾子も追加)


 某所で宮崎駿監督のジブリ映画「風立ちぬ」についての批評に文句が出ていました。

 批評では実在の人物である主人公堀越二郎さんが「人間社会の膿とは無縁の、一切の汚れがない優等生」として描かれていることを、子どもアニメ向けで非現実的だとしていました。

 一方、それに対する反論がこれは堀越二郎をモデルにしたもの(追記にある通り実際のモデルは2人)であり、"調べたなら、堀越二郎が実際に「人間社会の膿とは無縁の、一切の汚れがない優等生」タイプだったということが分かる"といったものでした。

 で、気になっちゃったもので、ついつい調べてしまいました。そしたら、やっぱり普通に悪い評価もあるみたいなんですね。
ゼロ戦設計者の嘘 - 毎日のできごとの反省 2007-09-02 13:31:42

 有名な零戦はご存知だろう。その設計者、堀越二郎技師の名は世界に有名である。しかし彼の考え方を点検して見ると、設計テクニックには素晴らしいものがある反面、新技術や軍用機に対する設計思想については疑問を抱かざるを得ない。

 戦闘機設計のプロでありながら、戦闘機のあり方に対する見識がなく、与えられた条件に甘んじている設計技能者に過ぎない。
http://blog.goo.ne.jp/goozmakoto/e/07fd9873ac35ee8c024d1097bbc78a04

 これだけ読むと単なる能力的な問題に見えます。能力がないのは仕方ないことであり、性格的なところとは無関係です。

 しかし、続きを読むと、堀越二郎さんの闇の部分が見えてきます。
 当時の戦闘機設計は、馬力向上の競争でもあった。零戦は性能向上の切り札として、昭和十九年末に千馬力級の栄エンジンから千五百馬力の金星エンジンに換装することになった。堀越氏が認めているように、金星への換装は二年も前に可能だったのであり、もし金星に変えていたら「・・・その後もさらに改良されて、零戦は依然としてその高性能を誇っていたのかも知れない。」(*)というのである。

*零戦、堀越二郎・奥宮正武共著・朝日ソノラマ


 上記はゼロ戦のエンジンは堀越二郎さんの責任ではなく、エンジン換装を決断しなかった別の誰かの責任であり、なおかつ自分は換えたいと思っていたのだという風に読めます。

 ところが……。
大学同期の川崎航空機の土井武夫技師は「昭和17年4月、海軍の空技廠が堀越君(零戦設計者)に、非公式ではあるが発動機を金星とした零戦の性能向上機の打診があったとき、堀越君は設計陣容不足のため断ったと聞いている。私は、あの時期にこそ、金星をつけた零戦の性能向上機を考えるべきではなかったかと思う。」(**)と批判している。

**世界の傑作機NO.23、文林堂


 実際にはエンジンが一番重要だという意見を跳ね除けていたのです。しかも、"担当者としては人手のいることには消極的とならざるを得なかった"という理由です。

 そして、"日本の産業構造やそれに対する適切な指導を行わない海軍の技術行政に対する批判"を書き連ねるといったことをしており、「一切の汚れがない優等生」という評価からは程遠いものがあります。


 このブログの作者さんはもっと手厳しい言い方をしています。
 二年前、すなわち昭和十八年に誕生していたはずの金星付零戦の誕生を阻止したのは、土井氏の指摘するように堀越技師自身であった。換装作業は早ければ容易だったのである。自身の非を一言も認めず海軍に、日本の工業基盤を責める堀越技師の態度は卑劣でさえある。同じ条件の日本の設計者がもっと難しいエンジン交換を行っている。そして堀越自身も後述のように、烈風という戦闘機のエンジン交換を自発的に行っているから、この弁明はインチキである。

 海軍の命令には逆らえないだろう……という擁護もありそうですが、実はこの「烈風という戦闘機のエンジン交換」は海軍に逆らったものです。

 このエンジン交換はむしろ堀越二郎さんファンの挙げる魅力の一つになっているのですけど、おかげでこの矛盾が起きてしまいました。
 堀越技師は海軍の命に唯々諾々と従う従順な人ではない。

 中止を命ぜられた誉装備の烈風への自社発動機への換装を海軍と会社を説得して実行した。にもかかわらず、零戦と烈風の仕様決定の際には、翼面加重の決定や仕様の優先事項決定を迫っている。


 あまりたくさん同じところから持ってきても仕方ないので、次は別のブログさん。
欠陥戦闘機「ゼロ戦」を設計した「堀越二郎」の罪: 反米嫌日戦線「狼」(反共有理) 2006年03月05日

ゼロ戦(零戦)といえば、60年代の子供にとっての「ガンダム」であった。少年漫画誌のグラビア頁を飾り、誰もが「名機」と絶賛して憚らない戦闘機。

俺も、何度プラモを作ったことか。

その「ゼロ戦」が設計の根本に欠陥のある駄作機だったとは……
設計主務者である「堀越二郎」が、戦記雑誌の老舗「丸」に1963年から64年に執筆連載した「零戦」をまとめた「零戦の遺産」(光人社NF文庫)。

その内容は、最後まで欠陥機「ゼロ戦」をベタ褒め。自画自賛に満ちた噴飯物であった。(中略)

堀越はゼロ戦のプロペラについて自分らが「進歩的」だったと自慢している。

「低速でも高速でも発動機の許容馬力一杯をつねに使えることは空戦性能を非常に高める。これを可能ならしめたものが、速度に応じてつねに許容回転数一杯で運転するように、プロペラのピッチを自動的に変える定回転プロペラである。(中略)日本では12試艦戦(ゼロ戦)が定回転プロペラのナンバーワンであったが、イギリスではバトル・オブ・ブリテンのときにスピットファイアに装備したのが最初らしい。空戦性能ということを重く見た日本では、設計者も用兵側の人もこういうことには敏感で進歩的であった」

堀越が自慢したゼロ戦のプロペラは、またもやアメリカのライセンス生産品! 断じて国産ではなかったのだ。しかも、採用当時、既に骨董品のしろもの。
http://anarchist.seesaa.net/article/14198204.html

 一応、Wikipediaを確かめましたが、確かにそうあります。
定速回転プロペラ
恒速回転プロペラとも呼ばれる。エンジン回転数に応じてプロペラピッチ変更を自動的に行う。日本の艦上機としては九七式艦上攻撃機、九九式艦上爆撃機についで3番目に装備。なお、零戦に使用されたのは米国ハミルトン社製油圧方式を住友金属工業社がライセンス生産したもの。
Wikipedia


 もう一つ、以下は好意的なものばかり集めたまとめからの引用ですが、自分第一を優先したエピソードとも捉えられるでしょう。
宮崎駿監督作品「風立ちぬ」主人公のモデル堀越二郎とは【戦闘機 ゼロ戦 雷電 烈風など設計】 - NAVER まとめ

"機体を軽くするため、防弾性能がなかった零戦に戦後、「人命軽視」と批判が出た時も、「(防弾用の鋼板を)外さなきや性能は出せっこねえ」と声を荒らげるなど、手掛けた飛行機への愛着は人一倍だった。"

出典中日新聞 2013.2.7
http://matome.naver.jp/odai/2136386056602765601?&page=1

 以上のように、非を認めず自分の設計思想へ頑固にこだわるところは実に技術者らしく、私は魅力として捉えて良いと思います(最後は意見が分かれそうですが)。天才やカリスマにはわがままなエピソードが珍しくなく、それらを含めて愛されるものだからです。

 しかし、堀越二郎さんを聖人のように崇め奉り「人間社会の膿とは無縁の、一切の汚れがない優等生」であると主張してしまうのは、やっぱりおかしいんじゃないかなぁ……と感じます。


(追加:ゼロ戦設計者堀越二郎の良い逸話など 几帳面な「こだわりの人」

7/29追記:宮崎駿監督によれば、堀越二郎さんの内面のモデルには、別の人だそうです。そこらへんで神聖化が起きたのかもしれません。
 なお、別の人がモデルに入っているという時点で、最初の「優等生」批判に対する反論の「堀越二郎がそういう人だったから」はおかしくなります。また、Wikipediaにいたっては「主人公の人物像は完全なオリジナル」と言い切っています。この反論も調査不足ですし、恥ずかしい人だなと思います。
 より詳しくは映画『風立ちぬ』のモデル堀越二郎・堀辰雄の関係や『菜穂子』の影響は?で。

 堀越二郎さんへの批判に対する反論メールをいただきました。泥沼になりそうなのであまりツッコミませんが、堀越二郎さんの主張も否定している点があることにご注意ください。

>金星発動機への方向転換への舵切り間違いはその通りですが、その頃堀越氏は零戦の改造の他にも雷電の設計も行っており、オーバーワーク気味で体調を崩しています(実際32型の翼端設計は確か本庄氏が行った気が…)。
>また、発動機に関しては重量の問題があり、その重量に一番気にかけていたのも堀越氏であったことも忘れてはいけません。確かですが、金星発動機と栄発動機の重量と馬力を比較・及び現場(海軍さんパイロット・整備士の声)を鑑みると栄発動機がベストだったのでしょう(恐らく金星発動機だったら全体的に再設計の必要が生じ、32型も栄発動機使用時以上に燃費が悪くなった可能性が高い)。
>また、プロペラは雷電の時に電動を使ってますよ?

2通目:
>すみません。
>やはり、金星をつんで最初から設計となると、やはり同時期の97艦攻・99艦爆並みのサイズになるようです。当時のパイロットの大多数が小さい機体で小回りが利くものを求めていた、なおかつ燃費のいいものという事でしたので、どうしても金星搭載はボツだったということです。
烈風の場合は発動機を交換してもそれに見合うだけの副産物の性能が見込まれ、OKだったから海軍からOKが出たのです。このころはもう長距離進出なんて夢の又夢ですから、結局は局地戦として使用することになると海軍も踏んでいたのでしょう。
>声を荒げた事も、そりゃあ人間ですもの、荒げることぐらいありますわなwww
>ああしろ、こうしろと散々言われて作ったものを、当時乗りもしない、後付知識しか持たない人間からああだこうだ言われても何も知らんくせにとイラッと来るんじゃないでしょうか。

 ちなみに堀越二郎さん自身もゼロ戦には一度も乗らなかったようです。

7/30追記:経験からして収まりつかないのでもう載せませんけど、「設計者は乗らないものだ」といった反応が来ました。ただ、私が堀越二郎さんがゼロ戦に乗らなかったことを批判しているわけじゃないんです。むしろ乗ったか乗らないかはどうでもいいと思っています。しかし、乗りもしない人間がうんぬんという主張があったので、補足で情報を入れたのです。私が持ち出した問題点ではありません)


 追加
  ■ゼロ戦設計者堀越二郎の良い逸話など 几帳面な「こだわりの人」
  ■映画『風立ちぬ』のモデル堀越二郎・堀辰雄の関係や『菜穂子』の影響は?
  ■堀越二郎の妻は死んでないし菜穂子でもない モデルは堀辰雄の婚約者矢野綾子

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