医療IT化の権威・天才肌の秋山昌範東大教授 研究費の詐欺容疑で逮捕の件で、今わかっている時点でもう1個だけ。続報みたいなのはないんですけど、いくつか読んでみます。
見てもつまんないのですが、経歴はこんな感じです。
メンバー紹介 秋山 昌範 東京大学 政策ビジョン研究センター
略歴
1983年 3月 徳島大学医学部医学科卒業
1983年12月 医師免許取得
1984年 1月 徳島大学医学部附属病院泌尿器科(研修医)
1984年 4月 徳島市民病院泌尿器科(医員)
1986年 4月 公立大川総合病院(現:さぬき市民病院)泌尿器科(医員)
1987年 3月 高松赤十字病院泌尿器科(医師)
1988年 4月 国立療養所多磨全生園泌尿器科(慶應義塾&nb大学医学部病理学講座研究生)
(厚生技官 医師)
1990年 4月 国立病院四国がんセンター泌尿器科(厚生技官 医師)
1997年 4月 国立国際医療センター病院総合外来部(厚生技官 第二総合外科医長)
1997年10月 国立国際医療センター病院第一専門外来部(厚生技官 第五内科医長)
1998年 4月 国立国際医療センター病院情報システム部(厚生技官 情報システム部長(併任))
2005年10月 マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院(客員教授)
2009年 8月 東京大学政策ビジョン研究センター(教授)
http://pari.u-tokyo.ac.jp/info/member/akiyama.html マサチューセッツ工科大学の話は前回でも出てきました。その前は国立なんたらというのが多いですね。公務員に当たるのかな?
ITシステムはユニークなんだけど現場の医師の使い勝手に合わないと言われていたので、私はてっきり畑違いの人なのかと思っていたら、医師としての勤務経験もあります。
前回もそうでしたが、秋山昌範教授を知る人からは「天才」などといった才能を評価する声が多いです。
FNNニュース: 東大教授研究費詐取 共同研究者「業者との関係知らなかった」 07/27 12:58
東京大学の教授が、大学からおよそ2,200万円をだまし取った疑いで逮捕された事件で、共同で研究をしていた大学教授が、FNNの取材に答えた。
秋山容疑者と共同研究をしていた岡山大学の教授は「尊敬もしているし、すごい、本当に天才児」と述べた。
(中略)秋山容疑者と共同研究をしていた岡山大学の教授は、「秋山容疑者と業者の関係は知らなかった」と述べたうえで、岡山大学が支払ったとされる研究費について、「(初年度で290万円)そうそう。2年間でみたら、払った以上のすごいものができて。払ったお金がどういうふうに、なんで秋山先生のところに流れたのかは、わたしはわからない」と話した。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00250677.html
この会社は「親族の会社」といった報道がありましたけど、具体的には妻が役員の会社のようです。
時事ドットコム:親族会社申告せず=事業申請時に東大教授-研究費詐欺事件・東京地検
東京大の研究費詐欺事件で、逮捕された同大教授の秋山昌範容疑者(55)が東大に事業申請した際、
発注先の下請けに妻が役員を務める医療システム開発会社が入っているのを伏せていたことが26日、分かった。
国の指針では、利害関係を持つ会社が事業に関わる場合は大学への届け出が必要だが、利益相反行為として申請が認められない可能性がある。東京地検特捜部は、秋山容疑者がこの親族会社の存在を隠すために、
発注先の業者6社を仲介させた疑いがあるとみている。
関係者によると、大学から業務を受注した6社は親族会社に業務を委託。6社は管理・監督する契約を結んだが、実際には何もしていなかったとみられる。(2013/07/26-21:20)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013072601005 前回、逮捕の時点では罪は確定しないということを強調しました。これは原則です。
ただ、妻のことを隠す、間に6社もかませているなど、客観的に見て怪しすぎですね。
あと、先月公開の秋山昌範さんメイン記事は公開停止にしていたITProですが、古い複数の人が出てくる話が残っていました。
こちらでもやはり秋山昌範さんの評価は極めて高いです。
技術の広場 - 目的指向の徹底がもたらすもの:ITpro
2005/05/09 出典:日経バイト2005年2月号 94ページより 松田次博:情報化研究会主宰。
12月18日、気持ちよく晴れた土曜の朝、私の主宰する情報化研究会20周年記念大会を開催するため、お台場の日本科学未来館に出かけた。(中略)
有賀さん、国立国際医療センター・医療情報システム開発研究部 部長の秋山昌範さん、私の順で1時間ずつ講演をした。秋山さんは1997年から研究会に参加して頂いている。(中略)
秋山さんは優秀な医師であると同時に医療情報システムの権威で、システムとネットワークの両方に精通している。オブジェクト指向のプログラムを自分で書けるという天才肌の人だが、技術に偏った人ではなく常にニーズ、目的指向で発想できる人だ。http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/NBY/techsquare/20050120/155019/ 頭の良い人が犯罪を犯さないわけじゃありませんので、それはそれ、これはこれです。以下、秋山さんのやっていた仕事について(長いです)。
秋山さんは国立国際医療センターで2002年に医療行為の実施時点管理を実現するPOAS(Point Of ACT System)を完成させた。目的は医療過誤対策、病院の業務改善・経営改善、医療行為のデータ・マイニングによるEBM(Evidence Based Medicine)だ。その特徴は徹底したリアルタイム処理とデータの一元管理といえる。リアルタイム処理といっても銀行のオンライン・リアルタイム処理などとは意味が違う。伝票をオンラインで即時処理するということではなく、実施時点入力を2秒以内にデータベースに反映することにより、いつ、誰が、どの患者に対して、どんな医療行為を行ったかが文字通りリアルタイムでトレースできるようにしている。
医療過誤でもっとも多いのは、注射や点滴といった与薬業務だという。例えば抗がん剤は、投薬直前の患者の血液を検査した結果で、内容を急きょ変更しなければならない場合がある。既に投薬オーダーが処理され、後は予定された時刻に投薬するだけだったとする。それが血液検査の結果、調合を変えたり、場合によっては投薬を中止せねばならないことがある。誤って古いオーダーのまま投薬されると、生命にかかわることになる。
従来の病院システムはリアルタイム性やデータの一元管理に不完全なところがあり、このような医療過誤を防ぐには不十分だったという。例えば医師が参照しているデータベースが原本で、そのレプリケーション(コピー)を看護師が参照して使っている場合、両者にはタイムラグがあるため、医師のオーダー変更はリアルタイムには看護師に伝わらない。秋山さんのシステムはクライアント・サーバー型の2層構造でなく、画面(アプリケーション)-データ構造変換-データベースの3層構造とすることで、一つのデータベースを複数のアプリケーションで利用することを可能にした。医師と看護師が見ているオーダーの内容は常に同じだし、オーダーの変更は2秒以内に反映される。
実施時点入力とは、医療行為のプロセスごとに、医師や看護師の行為そのものを、薬剤や注射器などのモノの動きとともに記録することだ。例えば、看護師が注射するときにはバーコード・リーダー付きのPDAで、(1)自分のIDカードを読ませ、(2)患者のID番号を読ませ、(3)投与する薬剤に張られたコードを読ませる。これにより、誰が、いつ、何を、誰に投与したかが分かるだけでなく、万一間違った投与をしようとしていても、2秒以内でエラーが返されるため投与ミスの心配がない。
このシステムは薬剤や器具の物流管理システムでもあり、リアルタイム管理することで「安心在庫」という無駄な在庫を省くことができる。秋山さんの病院では在庫を大幅に削減すると同時に、保有する薬剤の種類を通常の病院の数倍持つという多品種・少量在庫を実現している。キメ細かな薬剤投与は、医療の質そのものを高めることにつながる。
秋山さんは、WebブラウザとCORBAによる分散オブジェクト技術でPOASを開発した。秋山さんが相談を持ちかけたベンダーは皆、そんなシステムはできないと主張したという。それに対して秋山さんは、モデルを自分で作って見せ、できることを証明したのだ。メーカーは脱帽して、付いていくしかない。すさまじい情熱と才能だ。
もとより、秋山さんと同じことを誰でもできるわけではない。しかし、才能だけではできないことなのも確かだ。
秋山昌範教授のことを褒める人は熱がこもっていることが多いですね。たぶん表面的な世辞ではないからでしょう。本気ですごいと思わせる才能と情熱とを兼ね備えた方だったようです。
最後は最近のものから。
【東大教授逮捕】医学とIT融合目指した第一人者 「なぜ」「驚いている」 - MSN産経ニュース
詐欺容疑で逮捕された秋山昌範容疑者は、医学と情報技術を融合する研究の第一人者として知られた。近年は、膨大な情報の中から有効な情報を抽出して活用する「ビッグデータ」の医療分野への応用も模索。知人の研究者は「
熱心な研究者で、アイデアマンとしても有名だった。なぜ研究費の詐欺に手を染めたのか理解できない」と戸惑いの表情をみせた。
「病院にセブン-イレブンのシステムを導入しなければいけない」
知人研究者は、病院の合理化を力説する秋山容疑者の言葉が今も忘れられないという。秋山容疑者は「
医師でありながらITに関する知識も豊富」(知人)という強みを生かした研究者として名をはせた。
(中略)関係者によると、近年の秋山容疑者は臨床現場を離れ、地域医療のネットワーク作りや、医薬品を物流から使用までデータ管理できるシステムの構築などで成果を上げた。東大政策ビジョン研究センターでは、ビッグデータを使った研究に従事。睡眠や食事、運動量といった個人の生活習慣をデータ化し、病気予防につなげる試みを研究していたという。
別の知人研究者は「
とにかく頭の回転が速かった。周りの研究者と思考のスピードが合わず、ストレスを抱えていた面もあったように見えた。ただ研究には厳格で、人格も立派だった。不正は信じられない」と話した。
(中略)同センターの城山英明センター長は「極めて積極的、精力的に仕事にあたっていた。正直言って、驚いている」と絶句した。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130725/trl13072521300005-n1.htm 人格も立派だったとまで言っている人は初めて。あとはこれまでと同じで、天才肌と精力的な活動という評価です。
無罪の推定の原則からまだ確定じゃないともう一度書いておきますが、最終的には「人はわからないものだね」といった結末になるんでしょうか?
追加
■
秋山昌範東大教授、研究費2180万円詐欺・妻らの給与に1000万円以上の疑惑 ■
研究費不正取得で懲戒解雇、東大の秋山昌範教授の経歴 詐欺罪で逮捕 関連
■
秋山昌範東大教授、研究費2180万円詐欺・妻らの給与に1000万円以上の疑惑 ■
研究費不正取得で懲戒解雇、東大の秋山昌範教授の経歴 詐欺罪で逮捕 関連
■
医療IT化の権威・天才肌の秋山昌範東大教授 研究費の詐欺容疑で逮捕 ■
加藤茂明元東大教授グループの論文43本、捏造・改竄で撤回が妥当と調査委 ■
大阪の病院で治験薬データ改竄疑惑 依頼の小林製薬は法的手段検討も ■
その他の社会・時事問題について書いた記事
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|