本当はディオバン問題では先に一つ書いたのがあった(
ディオバン問題、ノバルティス別社員も試験に参加 元社員は論文執筆も)のですけど、十中八九黒だと思っていた慈恵会医大の論文においても、「データ操作」という調査結果が出たので、こちらを大急ぎで書いて投稿します。
時事ドットコム:慈恵医大でもデータ操作=製薬社員関与の高血圧薬研究
大手製薬会社ノバルティスファーマの高血圧治療薬「ディオバン」(一般名バルサルタン)の効果を調べる臨床研究のデータ不正問題で、東京慈恵会医大は30日、同大が行った臨床研究の一部について「何者かによってデータが人為的に操作されたと考えられる」との調査結果を発表した。
この問題では京都府立医大でもデータが操作された可能性が判明している。臨床研究は両大を含む5大学で実施され、いずれも同社社員(5月に退職)が関わっていた。同社は「データ操作を示す証拠は見つからなかった」と29日に発表、元社員も操作を否定しているという。(2013/07/30-18:58)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013073000915 これで京都府立大学の松原弘明教授一人に責任を負わせようとしていたノバルティス擁護者の方も、方向転換せねばならなくなりました。
方向転換ってのはもともと結論ありきなので、どれだけ不利になっても一生言い訳を続けるだろうということです。
記事はもうひとつ。
慈恵医大でも血圧データ操作 論文撤回へ、降圧剤臨床問題
ノバルティスファーマ(東京)の降圧剤ディオバン(一般名バルサルタン)を使った臨床研究の信頼性を検証していた東京慈恵医大の調査委員会は30日、血圧値のデータが操作されていたとする中間報告をまとめた。
研究責任者の望月正武客員教授は「重大な疑念を生じさせた」として英医学誌ランセットに掲載された論文の撤回を申し出るとのコメントを発表した。
京都府立医大の研究に続くデータ操作と論文撤回という重大事態で、日本の臨床研究に対する信頼失墜は深刻さを増した。
2013/07/30 18:58 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201307/CN2013073001002286.html 責任者って言い方がよくわからず、執筆者と多少違うのかもしれませんが、責任者は望月正武客員教授という方だそうです。
経歴は以下。
武蔵野大学メディカルセンター 院長挨拶
経歴:
昭和43年 東京慈恵会医科大学卒業
昭和49年 ペンシルバニア州立大学、Hershey Medical Center 留学
昭和62年 東京慈恵会医科大学青戸病院内科学教室助教授
平成2年 英国 Royal Brompton ,National Heart and Lung Institute,Department of Cardiology留学
平成12年 東京慈恵会医科大学内科学講座循環器内科教授
平成19年 東京慈恵会医科大学客員教授
IRCCS San Raffaele循環器内科客員教授
武蔵野大学メディカルセンター長
関わり方がよくわからないってことで少し慎重な書き方をしたものの、検索してみるとこの方、
ノバルティスのプレスリリースにしっかりと登場しています。 削除されるかもしれませんので、以下に全文コピペしておきます。(長いので場所取らないように、字は一回り小さくしています)
ディオバンによるJikei Heart Study、「ランセット」誌に掲載:ノバルティス ファーマ株式会社
ホーム > プレスルーム > プレスリリース > 2007年 > 2007年4月27日
プレスリリース
2007年4月27日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
日本人を対象とした最大規模の臨床試験 Jikei Heart Study
「ランセット」誌に掲載される
ディオバン®により心血管イベント、脳卒中が約40%と有意に減少1
— ディオバンのすぐれた効果により、試験は早期に終了 —
高血圧治療薬ディオバン® (一般名:バルサルタン) に関する日本で初めての大規模臨床試験であるJikei Heart Study*の結果が、本日、世界的に権威のある医学論文雑誌The Lancet(ランセット誌)に掲載されました。
今回の試験結果では、従来の降圧治療に選択的AT1受容体ブロッカー(ARB)のディオバンを追加投与した群(ディオバン群)で、主要評価項目である複合心血管イベントが39%と有意に減少したことが明らかになりました。その内訳をみると、脳卒中が40%、入院を要する狭心症が65%、入院を要する心不全が46%、そして大動脈瘤が81%と、それぞれディオバン群で有意に減少しました1。
また、この試験では、試験終了時の血圧が、ディオバン群で131/77 mmHg、従来の非ARB降圧治療強化群で132/78 mmHgと、両群ともに厳格に血圧がコントロールされ、これまでの高血圧に関する大規模臨床試験の中で最も低い値での血圧コントロールが達成されました。
「Jikei Heart Studyは、主に3つの理由で重要です。」と、本試験の統括責任者であるの望月正武氏(前東京慈恵会医科大学循環器内科 教授)は述べています。「まず重要なことは、これまで実証されていなかった、日本人に対する降圧薬の予後に対する確かなエビデンスが得られたことです。さらに、この試験が実際の臨床に近い状況で実施されているため、結果を容易に日常診療に反映できるということです。最後に最も重要なことは、同じ程度厳格に血圧を下げた場合でも、使用する薬剤によって予後の改善に差があることが明らかになったことです。つまり、心血管イベントを抑制するためには、厳格な血圧コントロールだけではなく、ARBでAT1受容体をブロックすることが非常に重要であるということです。」
Jikei Heart Studyは、東京慈恵会医科大学の施設を中心として実施された試験で、降圧薬治療を受けている高血圧、冠動脈疾患、心不全を有する日本人患者3,000例以上を対象としたものです。この試験では、従来治療強化群と従来治療にディオバンを追加投与するディオバン群で、血圧値をどちらの群も130/80 mmHgを目標として下げた場合の、脳卒中を含む複合心血管イベントに及ぼす影響が比較検討されました。
本試験の結果に対して、ノバルティス ファーマ株式会社 社長の馬場宣行は次のように述べています。「今回の試験結果により、これまで海外で実施されたディオバンに関する大規模臨床試験の結果が、日本人に対しても妥当であるということが裏付けられました。日本の死因の第二位、第三位である心疾患、脳血管疾患に対する長期にわたる保護作用のエビデンスがJikei Heart Studyによって得られたことは、日本の高血圧患者さんならびに臨床医にとって、非常に大きな意義があるものと思われます。」
Jikei Heart Studyについて
Jikei Heart Studyは、独立的な運営委員会によって企画・設計・実施された医師主導の臨床試験です。この運営委員会は、東京慈恵会医科大学および臨床試験に参加した病院の代表メンバーから成っています。このStudyの統括責任者は東京慈恵会医科大学循環器内科の望月正武 教授で、スウェーデンのサールグレンスカ大学病院のビヨン・ダーロフ教授が共同統括責任者を務めました。本試験は、ディオバン群で明確なメリットが示されたことにより、データ安全性モニタリング委員会の勧告によって早期に終了となりました。
ディオバンについて
ディオバンは、血圧の上昇に関与しているアンジオテンシンIIのタイプ1受容体(AT1)を選択的にブロックする薬剤(ARB:AngiotensinII Type1 Receptor Blocker)で、高血圧治療の第一選択薬として世界約100カ国で承認されています。日本では、2000年に発売されて以来、優れた降圧作用と心血管保護作用を示す大規模臨床試験による豊富なエビデンスにより、日本の高血圧治療に貢献しています。
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、将来の結果が現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm 20-Fをご参照下さい。
ノバルティス ファーマ株式会社について
ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置くヘルスケアにおける世界的リーダー、ノバルティスの医薬品部門の日本法人です。ノバルティス グループ全体の2010年の売上高は506億米ドル、研究開発費は91億米ドル(減損・償却費用を除くと81億米ドル)でした。スイス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは、約121,000人の社員を擁しており、世界140カ国以上で製品が販売されています。詳細はインターネットをご覧下さい。http://www.novartis.co.jp/
参考文献
1. Mochizuki S, Dahlf B, Shimizu M, et al. Jikei Heart Study A prospective, randomized, open-label, blinded endpoint morbidity-mortality study with valsartan in a Japanese population with hypertension and other cardiovascular disease manifestations. The Lancet 2007;369:1431-1439http://www.novartis.co.jp/news/2007/pr20070427.html "本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、(中略)将来の結果が現在の予想と異なる場合があることをご了解ください"って書いてありました。
これはたぶん必ずそう書くものなんだろうとは思いますが、「論文にデータ操作あり」という調査結果を聞いた後だと、いわゆる「確信犯」的な犯罪臭を嗅ぎとってしまいます。
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