外国人力士の話をまとめ。<今は減ったが…規制しても幕内の割合や優勝が多い外国人力士>、<大相撲に大きく貢献…外国人力士が必要な意外な理由は?>などをまとめています。
2022/11/15追記:
●外国人力士は高見山が最初…じゃなかった なんと明治時代から! 【NEW】
●外国人力士は日本人力士より貪欲だがそれがトラブルの原因に?
2018/11/26:
相撲からSUMOへ 国技支えた外国人 平成の30年 :日本経済新聞(2018/10/6 6:30 金子英介)は、ところどころに問題を感じる記事。例えば、外国人力士が増えた理由として、「ゆとり教育の日本の若者に代わってジャパニーズドリームは世界の若者をひき付けた」と書いているのがアホですね。
というのも、ゆとり教育に原因を求めるのは典型的な若者叩きの根拠がない俗論であるため。ゆとり教育うんぬんという話はほとんどがデマであり、うちでは
ゆとり世代の学力低下説、実は怪しい 学力テストはむしろ向上など、過去に多数関連投稿を書いています。
とりあえず、外国人力士が日本人力士より貪欲に稽古に励む、と前向きに評価する人は実際いるようですね。日本人力士である元大関魁皇の浅香山親方は「外国人力士は普通の日本人力士の3、4倍くらい稽古していたのではないか。国のため、家族のためという思いがすごく強く、すごく尊敬できた」としていました。
一方で、スピード出世が付け人としての下積みや角界のしきたり、秩序を学ぶ時間を素通りしてしまう一面もあり、外国人力士のトラブルが多くなった…という説明は、またmた変なもの。というのも、大相撲では、日本人力士のトラブルも多いため。また、「角界のしきたり、秩序」はそもそもトラブルの原因にもなっています。
例えば、
貴乃花・貴ノ岩・貴公俊も暴行か?貴斗志裁判の証言・エアガン乱射事件などで出てきた貴公俊の年上の付け人への暴行は、日本人力士かつ相撲の異常な上下関係の厳しさが出たものでしょう。外国人力士と日本人力士でどれくらい多いかは統計をとってみる必要がありますが、とりあえず、日本人力士でもよくあることです。
●今は減ったが…規制しても幕内の割合や優勝が多い外国人力士
この外国人力士の割合についての話。おそらく日本国籍を取った外国出身力士も含めているのではないかと思われますが、2018年秋場所で42人いる幕内力士のうち外国出身は約2割の9人だったとのこと。ただし、これは最高値ではなく、むしろ以前と比べると減ったという数字。
勢力図でみる!大相撲「外国人力士の変遷」20年 | ZUNNY インフォグラフィック・ニュースによると、ピークにはなんと4割以上が外国人出身力士でした。
2004年 42人中5人 11.9%
2006年 42人中12人 28.6%
2008年 42人中13人 31.0%
2011年 42人中19人 45.2%
2016年 42人中15人 35.7%
優勝回数で言うともっとすごいです。最初の記事では、「外国人の入門制限があるなか、平成の178回の本場所(11年5月の技量審査場所を含む)で、外国出身力士の優勝は111回と6割を超す」としていました。
そして、ここで出てきたように「外国人の入門制限がある」というのがポイント。確か貴乃花親方も推進したんじゃなかったかと思うのですけど、外国人力士を減らそうとこれまで規制をかけてきました。にもかかわらず、優勝が多く、今でも最高クラスにあたる幕内に2割いるということなんです。
1988年:当時の二子山理事長(初代横綱若乃花)が外国人力士のスカウト自粛を親方衆に申し入れた。
1992年:「総数40人以内、1部屋2人まで」「師匠が3カ月間、相撲部屋の生活に必要な研修を当人に行う」などと申し合わせ。
2002年:外国人力士の40人枠を撤廃した上で「原則1部屋1人」に。
●大相撲に大きく貢献…外国人力士が必要な意外な理由は?
ということで、偏見や根拠がない話など、良くないところが多い記事だったのですけど、おもしろかったのが、外国人客による大相撲への貢献です。こちらも結局、正確なデータはないものの、力士そのものではなく、観客としての貢献がすごい!という実感が角界(相撲関係者の世界)にあるようでした。
<館内をにぎわすのは女性客、そして外国人客だ。場内で販売されるパンフレットは昨年から日本語と英語が併記されている。日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「英語の取組表の配布状況からすると、全体の1割くらいは外国人のお客さんでは」と見る>
外国人客を呼び込んでいるのは、大相撲が国際化したこととも関係があると考えられるでしょう。モンゴル1期生、元関脇旭天鵬の友綱親方の話からは、自国出身力士を応援するとともに、日本人力士への関心も高まっている様子がわかります。
「90年代後半にはモンゴルでもテレビ中継が始まり、すぐに人気に火がついた」
「日本でいうならオリンピックで選手を応援する感じで、それから2期生、3期生と後輩力士が誕生した」
「2008年のモンゴル巡業では母国の自分らよりも魁皇さんの方が拍手が多く、日本力士を応援する熱烈なファンもいた」
この他、「05年に日本国籍を取得した当初は風当たりも強かったけど、今は親方になるためだと理解してくれている」といった話があったのは気になりました。帰化の際に出身地の国籍の離脱を求める日本の国籍制度のデメリットが出ており、この部分はあまりいい話ではありませんね。
●外国人力士は高見山が最初…じゃなかった なんと明治時代から!
2022/11/15追記:外国人出身力士というと、高見山が先駆けというイメージですが、これは、十両昇進…関取として初めてってことみたいですね。
力士 - Wikipediaによると、1891年(明治24年)には、「佛國力士關王繁仙」あるいは「米国の力士關王、繁仙」が相撲興行に参加したとされているそうです。ただ、この書き方だと一時的な参加ですかね。
本格的なところとしては、日系アメリカ人2世の豊錦喜一郎が外国籍の力士として初めて入門して十両になり、日本国籍取得後には幕内に昇進したと書いている部分があるので、関取は高見山が最初でもないかもしれません。ただ、外国籍のまま幕内…というのは、やはり最初なのでしょう。また、高見山から流れが変わった様子もわかります。
<高見山(12代東関)が外国出身外国人力士として初めて十両に昇進、関脇にまで到達したのを皮切りに、小錦が大関まで昇進して人気を集め、曙(第64代横綱)が外国人初の横綱昇進を果たした。これに武蔵丸(第67代横綱、15代武蔵川)が続き、その以後、外国出身力士の横綱昇進が続いていた。2008年初場所の時点ではともにモンゴル出身の朝青龍(第68代横綱)と白鵬が東西横綱をつとめた[17]。また、2014年には、大相撲史上初めて、3人(白鵬・日馬富士・鶴竜)の外国(いずれもモンゴル)出身力士が横綱に在位することになった。一方、日本人横綱は2003年1月場所で貴乃花が引退したのち、2017年3月場所で稀勢の里が昇進するまで14年間いなかった。
1990年代まではハワイ出身のアメリカ人力士が多かったが、2000年代に入ると、白鵬をはじめとするモンゴル出身力士が多勢を占めるようになった。また、2000年半ば以降になると、琴欧州(ブルガリア)や把瑠都(エストニア)などのヨーロッパ出身の力士が、幕内上位で活躍するようになった>
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