アルコール依存症を治療する断酒薬(抗酒薬)というのは、以前からあるそうです。ただ、悪酔いさせるという辛いやり方の薬で、治療を望む人も少ないそうです。
一方で、このような従来の薬とは異なる新薬も出てきているとのこと。お酒そのものへの欲求がなくなるということで、より前の段階からコントロールしようというものでした。(2013/8/11)
2017/12/11追記:断酒薬(抗酒薬)とは違うアルコール依存症治療薬ナルメフェンは減酒治療が目的
●アルコール依存症を治療する断酒薬(抗酒薬)
2013/8/11:断酒薬なんて言葉をそもそも知りませんでしたが、これはお酒を飲むと不愉快になる薬だそうです。調べてみると、抗酒薬、断酒補助剤といった言い方もされていました。
e-ヘルスネットの場合は、「抗酒薬」の名前を採用。飲酒後に激しい不快反応を引き起こし、その為に飲酒を断念させる薬物の総称だと説明されていました。アルコール依存症の治療に用いられています。
日本で使われるのは、ジスルフィラムとシアナミドの2種類。両薬物ともに、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)、特に2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きを阻害することにより、その薬効を発揮。心理的効果で飲酒を思い止まらせるように働く薬物なので、対象者によく薬効等について説明し理解を求めることや、服薬アドヒヤランスを高めることが重要だとされていました。
●断酒薬(抗酒薬)は要するに悪酔いさせるもの
この断酒薬の話が出てきたのが、
お酒を「飲みたくなくなる」効果がある薬が国内初登場|消費インサイド|ダイヤモンド・オンライン(2013年7月4日 工藤 渉)という記事でした。
日本におけるアルコール依存症者の数は、ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)によれば80万人だが、予備軍はもっと多いことは想像に難くない。アルコールによる問題行動の被害を受けた人の数は3040万人(2005年・厚生労働省調べ)というから当人だけの問題ではない。
治療法は確立されているが、一生にわたる断酒が条件なので、治療を受けない人、途中で投げ出す人も多い。そのため専門の医療機関で治療を受けつつ、自助グループに参加し、断酒の意思を持続させる必要があるのだ。
薬も使用され効果を上げてはきたが、それらは「断酒薬」というより「嫌酒薬」である。少量のアルコールでも悪酔いしてしまうため、酒への欲求が自然と抑えられるという発想だ。よって、悪酔いしてでも飲みたいという向きにはあまり効果が期待できない。
●断酒薬(抗酒薬)とは違うお酒を飲みたくなくなる薬登場
お酒好きはお酒が飲みたいわけで、酔った後のことを考えて飲むわけではありません。そこで、この記事で出てくるようなお薬の出番が回ってくるわけです。
この5月に日本新薬が発売した断酒補助剤である商品名「レグテクトR錠」(一般名:アカンプロサートカルシウム)は、その点で新しい作用が認められている。
レグテクトR錠は中枢神経系に作用し、アルコール依存により脳内に過剰に存在する「グルタミン酸」という物質を抑える作用がある。それにより、飲酒欲求そのものを抑えることができるのだ。すでに欧米を中心に20数ヵ国で使用されているが、ようやく日本上陸の運びとなった。
もちろん、レグテクトRは万能薬というわけではなく、医師の指導や自助グループでの支え合いもこれまで同様必要なのだが、「欲求そのものを抑える」という効果にはよくも悪くも「魔法の薬」を想起させられる。
●喫煙や食欲を抑える薬も既にある
そもそも飲みたくなくなるそうですね。すごいです。でも、欲求をコントロールしてしまうというのは、ちょっと怖いかもしれません。ただ、他にもそういった薬が既にあるとのこと。
例えば、喫煙については例えばチャンピックスという断煙時の禁断症状を抑える薬があり、禁煙外来で処方されることもあるそうです。また食欲に関しても、日本でも承認済のサノレックスという薬による食欲を抑える効果が知られているとのこと。
ただし、薬というものはみなそうですが、副作用がいずれもあり、"あくまで医師の管理下での服用が前提"です。また、これまた薬というものはみなそういうものですが、"100%の人間に効き目があるわけでは"なく、個人差があります。決して、魔法の薬というわけではありません。
作者はさっき書いた"ちょっと怖いかもしれません"に関して、"アルコール、タバコ、食欲以外にも、欲望を抑える薬は出てくるのだろうか。物欲、色欲、睡眠欲…、考えるだに恐ろしくなる"と書いていました。やはり恐ろしがる人はいるでしょうね。
自分の知らないうちに普段食べているものにこっそり…みたいに、誰かに欲望をコントロールされているという妄想はしがちだと思います。
●断酒薬(抗酒薬)とは違うアルコール依存症治療薬ナルメフェンは減酒治療が目的
2017/12/11追記:別の新しい薬の話がありました。今回は日本のもので、大塚製薬が年内にアルコール依存症治療薬の製造販売承認を申請する予定だといいます。この新薬は「ナルメフェン」という名前。脳内の分泌物に作用して飲酒したい欲求を抑えます。これによって完全にお酒を飲まなくなるというものではなく、まずは多量の飲酒を減らす減酒治療を想定しています。
減酒治療はすでに欧米では普及しており、この目的では日本初の新薬となるとのこと。最初の投稿でもあったように、従来の治療薬は飲酒時に不快感を与えて断酒させるなど患者の負担が重かったわけで、より負担の軽いこうした手法は望まれていたものなのでしょう。
ナルメフェンは、国内で660人の患者を対象に最終段階の第3相臨床試験(治験)を終了。多量飲酒(ビール中瓶3本相当以上)した日数は、服用前の月間23日から服用後約半年で同11日まで減ったということで、かなりの効果が期待できそうでした。
(
アルコール依存症治療、大塚製薬が「減酒」新薬 :日本経済新聞 2017/10/16 12:04より)
ただ、全員に効果が出るとは考えづらく、そこらへんの話がなかった今回の記事は、ちょっと怪しさは感じました。とりあえず一歩前進といったところでしょうね。
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