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ラマダンの断食は水も禁止 でも、つらいよりもお祭り的な楽しみが多い


 「ラマダンは辛い宗教的な行事だと思われているけど、実際にはお祭り的な要素が大きい」と以前読んだことがあります。

 その話が頭にあったので、以下の話が気になりました。

やっぱりつらい? イラン人は「ラマダン」をどう思っているか:日経ビジネスオンライン
エッテハディー・サイードレザ 2013年7月11日(木)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130709/250876/?mlt&rt=nocnt

 で、冒頭を読むとこう書いてあったので、どちらか一方的なものではなく、いいこと・悪いこと両方の要素がありそうな感じです。
 「またラマダンか、どうしよう……」

などとつぶやくイラン人は少なくないです(多いです)。しかし、この1カ月間を楽しみにしている人も、結構たくさんいるはずです。これこそ、ラマダンをめぐる「イラン人のリアル」といえるでしょう。

 "ラマダンはイスラムの暦の9月で、30日間にわたってモスリムは断食しなくてはなりません"が、もちろん文字通りそんなことをすれば死んでしまいます。断食は日の出ている間だけの話です。
 イスラムのカレンダーは朔望月に合せているので、1年ごとに太陽暦とは11日ほどずれが生じます。なので、今年のラマダンは真夏の時期になってしまいました。摂氏40度を超える日も少なくないテヘランで、1日中食事はおろか、水さえ飲むことができませんから、その過酷さが想像できるでしょう。しかも、食べたり飲んだりしているのが見つかると、警察に逮捕される恐れもあります。ラマダン中のイランは、本当に地獄だと思われるかもしれませんね。

 しかし、それは現実と異なります。(中略)

 断食の規則は次の通りです。夜が明ける前までに食事と水をたっぷりとり、1日中耐える準備をします。再び食事ができるのは、日没後です。もし、日没の前に食事をしたり、異性との性行為をすると断食はやり直しです。その場合、また別の月に断食をするか、10人の貧乏な人たちにおごるか、奴隷を釈放しなければなりません。

 断食を体に良いとか、貧乏な人たちの気持ちを理解する機会だという人もいれば、単純にコーランに書いてあるので守るべきものと信じる人もいます。理由は何であれ、ラマダン期間中のモスリム各国はとても独特な雰囲気に包まれ、ラマダンが終われば大きな祭りが行われます。

 イランにも伝統的なカレンダーを基にしたお正月や祝日がありますが、ラマダンが終わるとまさに祝日ムードです。ラマダン中に30日間の断食をした人だけでなく、1カ月の間自由に飲んだり食べたりできなかった人もこの祝日を祝います。ちなみにその日を、「イド・アル=フィトル」と呼びます。

 ラマダンの時期以外は、各村や町の住民が一体となることはめったにありません。1年中ほとんどお祈りをしない人でさえ、ラマダンになるとモスクに集まり、他の住民と一緒にお祈りをすることがよくあります。さらに大金持ちは住民を集め、日没後の食事を振る舞います。

 夜明けの食事も日没後の食事も時間が決まっているので、ラマダンは家族全員がそろって食事をするいい機会でもあります。昼間に食事を我慢している家族は、日没が訪れることだけを楽しみに1日を過ごします。

 私が書いた「お祭り」という言葉ですけど、イランではラマダンの終わった後に文字通りの「お祭り」があるようです。

 私が聞いていたのは、ラマダン中の夜の食事がいつもより豪華……みたいな話だったんですけど、イランではないんでしょうか?


 と思っていたら、ラマダン期間中もやはり特別な感じがありました。
 ラマダン中の大都市では、夜の生活が盛り上がります。太陽が沈むとレストランの営業が始まり、夜遅くまで街中はにぎやかです。最近では映画の深夜上映が認められ、夜の生活を楽しむ人たちであふれています。大変な昼間を我慢した人にとって、夜は絶対に逃せないチャンスです。もちろん昼間に楽しむ方が望ましいのですが、真夏なら夜は涼しいですし、強い日差しも避けられます。そう考えると、夜間、存分に活動するのも悪いことばかりではありません。

(中略)断食をしている人をいじめたりだましたりすれば、神様ににらまれると言われています。ですから、ラマダンの期間は人々は互いに親切になる傾向があります。ただ、空腹のせいで忍耐力がなくなるのか、怒りやすい人も多いです。

 イランだけではなくほかのモスリム国の警察によると、ラマダンの間の犯罪率は普段の5割も減少するそうです。警察の統計がどの程度あてになるか分かりませんが、犯罪率が減少するのは事実だと思われます。

 その理由の1つは、家族や町の住民と一緒に過ごす時間が増えるからです。普段みんな一緒に食事をしない家族でさえ、ラマダンになると同じ時間にそろって食事をする機会が増えます。さらに親戚が集まり、パーティーのような雰囲気で食事をすることもよくあります。

 犯罪率が減少するもう1つの理由は、「監視されている」ことを普段以上に感じるからです。なぜなら公に断食をしていないことがバレると、警察に捕まえられます。それに断食をしていないとイメージが悪いですし、周囲の人から嫌われるかもしれません。そうしたこともあり、この1カ月に限っては、厳しく監視されているように感じられるのです。となれば、結果的に犯罪は減ります。

 ほかにも、特に大都市の歩道はよりきれいに見えます。それはタバコの喫煙や外食ができないことが理由でしょう。イランでは路上は禁煙ではありません。法律は制定されているのですが、いまだに歩きタバコをする人は多いです。ところがラマダンの日中は、路上喫煙がなくなります。さらに日中の外食は不可能なので、捨てるゴミの量が減少するのは当然のことです。

 ラマダンにしか見られない光景の1つは、屋外コンサートです。政府によって行われる様々な屋外コンサートは少し淡泊に感じられますが、それでも住民にとっては非日常的なことです。コンサートは日没後に始まり、家族みんなで参加します。普段、有名な歌手や音楽家は屋内コンサートを開催するのですが、そのための手続きがすごく面倒で、コンサートの開催自体を諦める歌手も結構います。ですから、ラマダンのつまらないコンサートであっても、住民には生の音楽に触れられるとても貴重な機会なのです。

 あと、結構いい加減な話も。
 学生時代の記憶ですが、ラマダン中の授業というのは実に退屈です。先生も生徒も互いに断食を言い訳にし、授業を早く終わらせようと努力していました。さらに、普段はラマダン中は試験をしないように学校側も定めていました。もちろん、仕方がないときは試験を受けさせられたこともありますが……。

 学校の授業時間の短縮は多少理解できると思いますが、政府機関の受付時間まで短縮されるのは、さっぱり理解できません。イランでは政府機関の受付時間は午前8時から午後2時半までとなっています。しかし、ラマダンになるとそれがさらに1時間繰り上がり、午後1時半終了になります。

 断食しているからといって、ランチの1時間休憩がないなどと勘違いしてはいけません。公務員は食事の代わりにコーランを読んだり、お祈りをしたり、昼休みをしっかり使っています。そうすると1カ月の間、1日の労働時間は4時間半だけで、効率は著しく低下してしまいます。

 とりあえず、ラマダンは上記のようにやっている人たちにとっては、それほど過酷なものではありません。

 ところが、ムスリム(文中ではモスリム。イスラム教徒のこと)以外の方にとっては、不便が多いようです。
 ラマダン期間中に断食をしていないことを自慢げに表したりすると、イスラム教に反抗する行為だと政府に見なされます。(中略)

 一切断食をしない人に対しても、ラマダン期間中の外食は認められません。そもそも外食できる場所がありません。1カ月の間、レストランやファストフードの店は、昼間の営業ができないからです。はっきり言って、イランに住む以上、ラマダンの間はモスリムに合せ、空腹に耐えることになります。

 ムスリムになりきって楽しめないと辛そうです。

 ただ、作者は"ラマダン期間中のイランや他のモスリム国への旅行はどうかと聞かれると、何とお答えすればいいか難しいところです"と答えており、「おすすめしない」とも答えていません。

 前述の通りたいへんなことが多いわけですが、イスラム教行事の最もわかりやすい体験ができると考えるとメリットです。

 さらにこういう話も。
 イランなら、年1回だけ食べることのできるお菓子や料理が味わえますし、夏の涼しい夜をたっぷり体験できます。旅行者なので断食をせず、隠れて食事をしたとしても、夜になれば各モスクや各町で無料で配られる料理だって楽しめます。どんな国でも、家庭料理が最高の味です。ラマダン中は、午後4時ぐらいになって突然玄関のサイレンが鳴り出すと、誰かがご飯を配っている可能性は高いです。それも、美味しい家庭料理ですよ。

 こんな風に作者はラマダンに批判的ではありません。

 "決して国の強制ではなく、町を歩きながら飲んだり食べたりしようが、断食をしようが、イランでも自由に選べるようになったらいいのにと思います"とも書いているのですが、それよりは圧倒的に好意的な記述が多いです。

 在日イラン人もラマダンを自主的にやっている人が多いそうですから、彼らもまたそうなのでしょう。

 "ラマダンの断食がどんなに大変であっても、家族や親戚と過ごせる楽しさは、決して忘れることはないでしょう"と最後に締めているのもまた、作者のラマダンへの好感を感じさせるものでした。


 関連
  ■日本におけるイスラム教 ~一夫多妻制~
  ■日本におけるイスラム教 ~女性に差別的なのか?~
  ■日本におけるイスラム教 ~お祈り、礼拝とスカーフ~
  ■日本におけるイスラム教 ~葬儀などタブーの考え方~
  ■常岡浩介のイスラム教ステマとキリスト教・仏教のデマ
  ■その他の文化・芸術・宗教・海外との比較などについて書いた記事

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