生活保護問題 職業訓練は母子家庭に有効、若者・高齢者には無効

　エグい話の多い橘玲さんの話。実際に生活保護を受けられている方は頭に来ると思うので、今回は読まない方がいい内容になっています。

母子家庭を生活保護から切り離すべき”不都合”な真実［橘玲の日々刻々］｜橘玲の日々刻々 | 橘玲×ZAi ONLINE海外投資の歩き方 | ザイオンライン　2013年7月9日

 生活保護法の改正では、支給費削減と同時に、生活困窮者の自立支援も大きな柱になっています。これは欧米諸国で、「現金給付から職業訓練へ」という福祉政策の流れが定着したことが影響を与えているのでしょう。
http://diamond.jp/articles/-/38580

　自立支援自体は良いことだと思います。生活困窮者いじめをする自民党やネットの人たちはおかしいと思いますが、私は生活保護を受けることを第一とする左派も本末転倒で嫌いです。

　本来は生活保護なしで暮らせることが目標であり、生活保護から抜け出せる手助けをするというのが一番せねばならないことのはずです。

　どちらの派閥の人も、それを忘れてしまっています。


　しかし、この「自立支援」。残念ながら有効な人とそうでない人がはっきり分かれてしまっているようです。ここらへんが今日の目を背けたくなる話です。

　ひと口に生活保護といっても、受給者にはさまざまな事情があります。

 もっとも多いのはじゅうぶんな年金を受給できない高齢者で、60歳以上の受給者が全体の半分を占めます。19歳以下の子どもも約15%おり、20代から50代までの受給者は約3分の1です。また世帯別で見ると、全体のおよそ1割が母子家庭となっています。(中略)

 福祉による就労支援はアメリカやイギリスが先行しており、経済学者などによる政策評価も積極的に行なわれています。こうした研究によれば、職業訓練は母子家庭の失業者には有効ですが、それ以外はほとんど役に立たず、とりわけ低学歴の若者と高齢者への教育投資はまったく効果がないという結果が出ています。

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　本当嫌な話ですが、真実なので仕方ありません。

　理由は以下。

 母子家庭の貧困というのは、子どもを生んだ後に離婚するか、未婚のまま出産した女性の失業問題です。ある男性と出会って、幸福な家庭を築けるのか、それとも関係が破綻するのかは事前にはわかりませんから、子どもを産んだすべての女性が母子家庭になるリスクを抱えています。失業して貧困に陥った女性の母集団は、ふつうの女性なのです。

 母子家庭の抱える問題は、仕事と家庭を両立させることが難しく、求職活動も仕事に役立つスキルの習得もじゅうぶんにできないことです。だからこそ子育ての負担を軽減し、適切な職業訓練を行なえば、貧困に陥っている母子家庭の母親は、母集団である働く女性たちと同じレベルの仕事をこなせるようになるのです。

　逆に言えば、高齢者や若者の困窮者は母集団の中の平均的な人たちではなく、下層に位置する人たちであるために、職業訓練をしても平均的なレベルの仕事をこなせるようにはならないということになります。本当エグい話です。

　記事ではさらにどぎつい話。「だったら、母子家庭を重点的にやろうよ」という案を検討しています。

 母子家庭への税の投入がそれを上回る経済効果があるのなら、もっとも効率的な政策は生活保護から母子家庭を切り離し、従来の基準を上回るじゅうぶんな援助をすることです。これで貧困に苦しむ母親や子どもたちだけでなく、私たちの社会も大きな利益を得られるでしょう。

 それではなぜ、こんなかんたんなことができないのでしょうか。その理由は、母子家庭以外の受給者が母集団（ふつうのひとたち）とは異なることを政府が認めることになってしまうからでしょう。

 政治家にとっては、“不愉快な事実”をひとびとに告げるより、母子家庭が苦しむ方がずっといいのです。

　こういう身も蓋もない話は別として、母子家庭など家族構成によって支援策を変えるというのは可能だと思いますけどね。実際、支給額なんかは違いません？

　アメリカやイギリスでは、母子家庭の方が支給を受けるのが楽で、支給額も高かったはずです。そのために逆にわざと未婚のまま子どもを産んで支援を受けるというめちゃくちゃな子の産み方をしているという話を聞きました。

　そういう話を私は聞いていましたので、上の母子家庭の職業訓練が有効という欧米の研究結果が出ているというのは非常に意外でした。

　制度を悪用してお金を得る手段として子供を生む母親たちは、割合としてはそう大きくないということかもしれません。


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