あまり読まれないイケアの話に追記して模様替え。イメージが良いせいでビジネス的に成功しているイメージのイケアですが、実は日本では苦戦。日本にもちゃんと熱心なファンがいるとは思うのですが、業績が伸び悩んでいるとのこと。ここらへんは印象の良さでうまく隠れていますね。得しています。(2017/09/01)
2017/09/01:
●日本のイケアの売上・利益が悪すぎてびっくり
●ニトリにフルボッコ…イケアの業績が悲惨な理由
2018/10/29:
●ニトリの包囲網でイケア「今まで来ていた客が来なくなった…」
●グローバル企業であることが逆に災いとなったイケア
2020/09/10:
●成功体験にしがみついたことがイケアが低迷し、赤字転落した理由?
2013/8/18:
●世界の女性を支援すると主張しているIKEA
●サウジのカタログ写真では女性削除
●日本のイケアの売上・利益が悪すぎてびっくり
2017/09/01:親会社を含めて非上場のため開示されている情報は少ないものの、イケア・ジャパンの業績は冴えないと考えられます。決算公告によると売上成長は2014年度を境に鈍化していました。
(
実は不調? ニトリ・無印を追うイケア・ジャパンの巻き返し策 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 2017年8月28日(月)17時31分 中山一貴(東洋経済記者)より)
記事では具体的な数字を書いていなかったものの、グラフを見ると、2014年度の売上高は770億円程度で、2015年度は780億円程度。ほとんど伸びていないんですね。
ただ、これでも実はまだマシで、明記されていた2016年度の売上高は767億円。減っているんですよ。グラフを見ると、2014年度よりも低いこともわかります。
さらに営業利益・純利益はもっと悲惨。例えば、2012・2013年度の純利益はそれぞれ30億円、55億円程度。こちらの場合は売上高よりひと足早く悪化して、既に2014年度の時点で20億円程度まで減少。これも2012年度より悪いのですが、2015年度はぎりぎりプラスな感じの数億円、持ち直した2016年度でも10億円程度でした。ボロボロです。
●ニトリにフルボッコ…イケアの業績が悲惨な理由
2016年8月に社長に就任したヘレン・フォン・ライスさんによると、この理由は「他社との競争が激化している。特にニトリの拡大が著しい」ためとしていました。
そして、対応策もモロにニトリのパク…後追い。もともとイケアも安値路線なわけですが、数百もの商品を一斉値下げで対抗。さらに都心部での小型店出店を検討しているというのも、ニトリの二番煎じです。
ただ、業界のリーダーを真似するというやり方は、ビジネスでは間違いではありません。特にイケアはもともとニトリと似たスタイルなのですから、大塚家具がニトリを真似るような無茶さもありません。大塚久美子社長には悪いですが、大塚家具は無謀すぎでした。
(関連:
大塚家具は父さんじゃなくて娘で倒産? 大塚久美子路線で大赤字、
大塚家具とニトリ・イケアの比較 価格よりトータルコーディネートがポイント)
●ニトリの包囲網でイケア「今まで来ていた客が来なくなった…」
2018/10/29:新しい記事じゃないのですけど、2017年9月27日の
イケアの成長阻む包囲網:日経ビジネスDigitalというのを読んだので追記。神奈川県横浜市にあるイケア港北店関係者は「これまで港北店に買いに来ていた客をニトリがブロックしている」としていました。ここでもやはりニトリです!
「イケアの成長阻む包囲網」というのは、まずこのニトリのこと。イケア港北店で買い物をしていた20代男性に話を聞くと、イケア好きではなくむしろニトリ好き。「イケアには初めて来た。普段はもっぱらニトリで買う。ニトリは至る所にあってアクセスもよい」としていました。
「包囲網」は文字通りの意味であり、イケア港北店を取り囲むように何店も出店しています。そもそもイケアは日本に9店舗しかありません。国内に500店舗近くあるニトリに、アクセスの良さで敵うはずがないでしょう。
また、ちらっと出てていた、ホームセンターで家具やインテリア雑貨を購入する人が増えてきているという話も、「イケア包囲網」として意識されているのかなと思いました。
●グローバル企業であることが逆に災いとなったイケア
ただ、タイトルになっていた「イケア包囲網」の話より私が気になったのは、「グローバル企業ならではのジレンマ」という話。日本市場に合わせた戦略も進めてはいるのですが、グローバルで確固とした成功モデルを持つだけに「現地化」には高いハードルがあるとのこと。
具体的に言うと、"商品は原則として世界共通にすることで、スケールメリット(規模の利益)を出しており、日本向けの商品開発は限定的にならざるを得ない"といったもの。
こうした問題はケンタッキーでもあると聞いたので、興味深く読みました。ケンタッキーは、世界規模で展開するチェーンのため、統一したブランドイメージを世界全体で確立する必要があることから、日本だけ突飛なものは提供できないとされていました。
(
ケンタッキーフライドチキンがヤバイ 売れないわけではなく理由は別より)
ただ、同じ縛りがあるはずのニトリは台湾で現地化(ローカライズ)に力を入れています。開店当時には、日本から持ち込んだ商品が全体の60~70%を占めていたのが、今はわずかに20%。台湾の好みに合わせたんだそうな。こうした柔軟性は日本人の本当の武器でしょう。日本すごい!と日本式にこだわるのは二流です。
(
台湾重視で海外展開のニトリ でも、意外に日本人と似ていない?より)
●成功体験にしがみついたことがイケアが低迷し、赤字転落した理由?
2020/09/10:古い記事なのですけど、2018/04/26の
イケアが低迷の果てに赤字転落した根本理由 | 商業界オンライン 東洋経済オンラインという記事を今頃読みました。作者は、小島 健輔 : 小島ファッションマーケティング 代表取締役という方。タイトルの通り、イケアが低迷して、赤字にまでなってしまった頃の記事で、以下のような状況でした。
<イケア・ジャパンの売上げは14年8月期の771.6億円までは5.9%増と堅調だったが、15年は前期に立川店と仙台店の2店を開業したにもかかわらず1.2%増の780.8億円に留まり、16年8月期は767.6億円と減少に転じ、17年8月期は740.6億円とさらに落ち込んだ。
収益性も13年8月期の営業利益率12.0%がピークで、14年8月期以降はつるべ落としに低下して15年8月期は1.2%まで落ち込み、17年8月期には14.46億円の営業赤字に転落した。06年4月に再々上陸してから10年も経つのに800億円を前に足踏み、この間に3830億円も売上げを伸ばしたニトリとは大差がついてしまった>
これについて、ECへの出遅れとされることがあるものの、作者は否定。ニトリの方もEC比率は5.33%で、当時はまだ大きくなかったんですね。当時差があったのは、明らかに別の部分です。ただし、イケアがECを否定して来店持ち帰りにこだわったことで、EC戦略が壊滅的に出遅れてしまったことについては、指摘されてはいました。
また、イケアのEC嫌いは、店舗での不振に繋がっていると作者は見ています。イケアは『顧客が店内物流も持ち帰り物流も製品組み立て労働も負担するから安く提供できる』というロジックで成長しており、この成長神話をなかなか捨てられなかったとのこと。成功が失敗の元というのは、結構ありますね。
そして、このイケアの『顧客が労働を分担する分、割安に売れる』という“セルフサービス神話”が、現在では逆にマイナスになっているのではないかとのこと。労働負担をむしろ嫌い、敬遠しているということですね。店舗はECに比べての「品揃えの狭さ」「情報の限定」「労働の負担」「時間の負担」が疎まれて顧客の離反が加速しており、その解消こそが必要とされていました。ただ、一方でニトリが大成功していることに関しては、説明しきれない感じもしますけどね…。
●世界の女性を支援すると主張しているIKEA
2017/09/01:以降がもともと書いていた話です。
2013/8/18:IKEAは世界の女性支援をしていると広報していました。
女性たちの声
2009年にIKEA Foundationは国連開発計画(UNDP)とパートナーシップを組み、インドのウッタルプラデシュ州の500の村に住む、5万人の女性を対象にリーダーやロールモデル、起業家など変革の指導者となるようエンパワーしました。このプログラムはその前に同じ村で行われたIKEA FoundationとUNICEFの子どもの権利プロジェクトを引き継いでいます。
http://www.ikea.com/ms/ja_JP/the_ikea_story/people_and_the_environment/voices_of_women.html
女性たちが世界を変える
子どもたちがもっと健康に、幸せになり、社会に永続的な変化をもたらすカギとなるのは女性たちです。だからこそIKEA Foundationが支援するプロジェクトには女性のエンパワーメントを通じて、女性たちが自分自身や地域コミュニティ、子どもたちによりよい未来を開けるようサポートするコミュニティベースの活動があります。
http://www.ikea.com/ms/ja_JP/the_ikea_story/people_and_the_environment/women_change_the_world.html
●サウジのカタログ写真では女性削除
ところが、一方でこんな事件も…。
2012年10月02日 18時30分26秒 GIGAZINE
女性をカタログ写真から削除したとしてIKEAが謝罪
IKEAのカタログは実際に製品を使って生活しているような写真が用いられています。しかしこのたび、サウジアラビア版のカタログでのみ女性が削除されていたことが明らかになりました。IKEAはこれをミスであると認め、謝罪しています。
http://gigazine.net/news/20121002-ikea-erase-women-catalog/
カタログの洗面用具のページ、朝、子どもと母親が一緒に洗面台に向かっている場面のはずが、サウジアラビア版では母親だけなぜか消えています。同様に布団カバーやパジャマを紹介するページでも、女性が消されてしまい殺風景なものに。イスや机を紹介するページの場合では、男性は残されて女性だけ消されています。
このニュースは2012年の話ですが、女性支援プロジェクトは2009年からですので支援の一方で…という形になっています。
IKEAは「サウジアラビア版のカタログから女性が消されていることはIKEAグループの価値観とは対立するものだ」と声明を出しました。IKEAサウジアラビアはIKEA直営ではなくフランチャイズ契約を結んだ企業によって運営されていますが、カタログは全IKEAグループ向けなのでまとめて製作されているもの。Ulrika Englesson Sandman氏によると、このミスはIKEAサウジアラビア向けの草案を提示する前に起きたもので、製作物に対する責任は取ると表明しています。
何でしょう?女性がカタログにいちゃいけないってことですかね?服装が問題だったのかな? とりあえず、サウジアラビアの企業が勝手にやったという言い分。すごく手間なのによくやりますわ。サウジアラビアは女性への偏見がかなり強いんでしょうね。
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