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そこまでするか!イーグルバス谷島賢社長 GPS・見える化・ハブ&スポークなど


 "イーグルバス谷島賢社長が日本の路線バスでイノベーションを起こす"(2013/8/16)と"そこまでするか?イーグルバス GPS、見える化、ハブ&スポークなど"(2013/8/19)をまとめました。(2017/06/04)

2013/8/16:
●日本の路線バス業界はもう終わり?次々と路線バスが廃止されている理由
●そもそも路線バス業界の企業は企業として三流だった?
●利用されなくて当然!需要に関係なく配置されているバス停とダイヤ
2013/8/19:
●GPSを導入して管理されてこなかったバスを管理
●そこまでするか!イーグルバス谷島賢社長 見える化・全戸アンケートなど
●アンケートに従ったはずなのに大不評だった理由
●バスでハブ&スポーク化という発想はなかった
●業界では考えられなかった運転手によるおもてなし
2020/08/25:
●もともとは旅行業の企業だったイーグルバス、地元の観光のために転身


●日本の路線バス業界はもう終わり?次々と路線バスが廃止されている理由

2013/8/16:田舎のバスで高い収益を上げている…というちょっと信じられない話がありました。路線バスでイノベーションを起こす イーグルバス(埼玉県川越市)が“衰退産業”で見せた革新性(内藤 耕 2013年5月10日(金) 日経ビジネスオンライン)という記事です。

 バス業界が苦しんでいる理由の一つは、「人口の減少でバス路線を維持することが難しくなっている」というもの。これは予想がつくものですが、もう一つ「規制緩和」という予想外のものを挙げていました。

 2000年に観光バス、2002年には路線バスの参入規制が緩和されています。この規制緩和では撤退の自由化も行われました。逆に言うと、以前はなかなか撤退しづらかったのかもしれません。とにかくこの「撤退の自由化」により、"大手バス事業者が事業性の厳しい地域から相次いで撤退"。"結果として廃止路線数は毎年各地で続発"したといいます。

 さらに、"最近では燃料費の高騰や排気ガス等の規制などの問題にも直面"。"多くのバス事業者は人件費や整備コストの削減を迫られるようになった"わけですが、それがさらなる問題を起こしています。"過重労働や低賃金が常態化"し、"し、整備不良や現場で働く運転手のモラル低下を招き、重大事故が多発するようになった"という問題です。


●そもそも路線バス業界の企業は企業として三流だった?

 うちの田舎の場合は、私の記憶があるとき既に赤字路線で、自治体の税金で賄っているようなバス会社です。当然複数のバス会社が進出なんて時期はありません。

 そこまでひどいところじゃないのかもしれませんけど、大手バス事業者が撤退した路線を次々と引き継いでいるイーグルバスは、どのようにして収益を上げているのでしょう?

 イーグルバスの谷島賢社長はもともと「バスがいったん車庫を出ると誰も管理できないのはおかしい」と常々考えていました。以下のように路線バスというのは、もともとかなりおかしい業界だったというのがまずあるようです。
 そもそも路線バスが定時運行できているのかを把握することもできない。仮に定時運行できていないことが分かっても、その原因がダイヤの設計ミスなのか、事故や工事といった一過性の問題に原因があるのか、正確に把握することができなかった。さらに混雑状況については、バスの運転手は感覚的に把握できるとしても、どの路線のどの区間がどれだけ混雑しているのかを具体的なデータで知ることができなかった。運行時刻や停留所の位置、路線の設計が乗客のニーズに合致しているのかの検証も行われていない。

 つまり従来のバス事業は、運行を効率化して収益力の強化を図るという企業として当たり前と言えることもできていなかったのだ。

●利用されなくて当然!需要に関係なく配置されているバス停とダイヤ

 ということで、他のバス会社があまりにもひどすぎるために改革すべきところには困らなかったようです。例えば、バス停の位置。普段何気なく使っているが、なぜその場所にあるのかというのは、実はあまり考えられていませんでした。「昔からこの場所だったから」程度のものです。

 "バス路線が設置されてから長い時間が経過し、周辺の生活環境も住民も変化しているにもかかわらず、バス停だけが変わらず設置され続けている"。本来、この状態はおかしいはずです。一方で、"周辺の道路などが整備され、人が多く集まる場所ができたにもかかわらず、バス停がないといったこと"も起きます。

 そこで、"谷島社長は、バス停を利用者のニーズに合わせる形で置けば、バスを利用する人はもっと増えると考え"ました。このことは、"バス停だけでなく、ダイヤなどについても同様"に言えます。

 バス停の変更は電車の駅の変更に比べると、コストが圧倒的に少なくて済む気がします。しかし、こういった位置の妥当性を検討することすら、従来のバス会社は考えてこなかったようです。


●GPSを導入して管理されてこなかったバスを管理

2013/8/19:先ほど出た「バスがいったん車庫を出ると誰も管理できないのはおかしい」に関しては、"時間に正確に運行する"ように改善を加えることで改善をはかりました。"利用者を増やすために、鉄道との接続を特に重視した"のです。

 "バスのニーズとしては当たり前"のように見えるのですけど、前述の通り、従来のバス会社はそれすら管理できていませんでした。
「測る」「見る」「考える」で路線バスを再生する バス革命で海外目指すイーグルバス 2013年5月16日(木)  日経ビジネスオンライン 内藤 耕

 イーグルバスは1995年に小江戸巡回バスで実質的に路線バス事業へ参入して以来、こうした問題意識を持ち続けてきた。そこで2002年に埼玉大学工学部と共同で「CO-EDOバス位置情報システム」を開発、実用化した。2006年に埼玉県日高市の路線バスを引き継いだ際には、バスに赤外線センサーとGPSを搭載して、停留所ごとの乗降者数や運行時間の遅れなどを把握できるようにした。

●そこまでするか!イーグルバス谷島賢社長 見える化・全戸アンケートなど

 ただ、この後の内容は「そこまでするか!」というほど徹底的で、少し上を目指すという感じではなくて驚きました。特に全戸アンケートってのは、すごいと思います。
 客観的なデータに加えて、顧客ニーズをつかむためのアンケートシステムも作り、顧客ニーズと運行の最適なバランスを実現する「ダイヤ最適化システム」を構築した。このシステムの特徴はITによる運行データだけでなく、日々バスを利用している乗客の声を重視している点だ。バス車内には葉書形式のアンケート用紙を置いており、乗客が自由に回答できる。今では毎月約100通のアンケートが届き、谷島社長も必ず目を通すという。

 日々のアンケート調査とは別に、年1回改定するダイヤについて聞く「ダイヤ改定評価アンケート」も実施している。アンケート用紙を乗客に配布し、車内に設置した回答箱で回収する。さらに、路線バスが運行する地域の住民の暮らしは年々変わるので、3年に1回、地域住民を対象に全戸アンケートを実施する。 (中略)

 多面的に収集したデータを活用するため、イーグルバスでは時間別や区間別の利用状況をビジュアルで見せるソフトウェアを独自開発し、「運行の見える化」を実現している。この仕組みを利用して、慢性的に運行時間が遅れているところを見つけて改善したり、利用者が少ない路線の運行本数を削減したり、あるいは利用者の多い路線の運行を強化したりする。

 使い古された言葉であり、こういったことを馬鹿にする人も多いんですけど、私は「見える化」って大事だと思います。見えてこないものだと、そもそもどうしようもないことが多いです。
 ここまで見てきたように、ダイヤ最適化の基本的な考え方は「測る」「見る」「考える」である。IT技術の発達によって運行データの取得そのものは容易になっている。大手バス事業者でも独自に運行データを取っている企業もあるという。しかし、取得したデータを改善に活かすノウハウがないために、取得するだけでとどまっているところも多いという。

 データ取得はあくまで改善の一段階である。取得したデータを誰もが理解できるようにビジュアル化し、問題点を共有できないと意味がない。これが「見る」の段階だ。そして共有した課題をどのように改善するかという具体策作りが必要で、これが「考える」のレベルである。「考える」の段階では様々なアイデアが検討される。

●アンケートに従ったはずなのに大不評だった理由

 おもしろかったのが、アンケートで失敗したという話。
 2007年に日高市の路線バスのダイヤ改正を検討した際、住民アンケートの回答結果に基づき、鉄道との接続時間を3分から10分に変更した。しかし、ダイヤ改定評価アンケートの結果は散々で、乗客数は大きく減ってしまった。ただでさえ厳しい路線バスの運営で、この失敗は大きな痛手だった。

 乗客数減少の原因は、その後の詳細な検証で明らかになった。アンケートは乗り換え時間が10分程度必要な高齢者や女性の声を反映した結果で、通勤者や通学者は接続時間が延びたことで不便を感じていたのだ。

 しかし、転んでもただでは起きません。
 次のダイヤ改正ではこの教訓を生かし、通勤・通学時間帯の接続時間は3分、高齢者や女性の利用が多い昼間の時間帯については10分とした。ダイヤ改正により、2008年には乗客数を回復させることができた。この時の失敗以来、顧客アンケートについては改善に改善を重ねるようになったという。

●バスでハブ&スポーク化という発想はなかった

 次は普通に素晴らしい成功例。他の業界がやっていることができていなかった業界とは書いたものの、「おお、すげぇ」と思いました。
 イーグルバスは2010年に、高齢化が進んでいる山間部のときがわ町の路線を統合した。(中略)同社はまず全戸アンケートを実施し、地域住民の不満を聞いた。すると、現状の運行本数が非常に少ないことが一番の不満だった。ほとんどの場所で運行本数は2~3時間に1本。コストをかけることができるのであれば、単純にバスの数を増やせばいい。しかし、人口1万3000人の山間部の町でコストをかけることはできない。

 「ないものねだりするな」で普通の会社なら終わりでしょう。ところが、イーグルバスは違います。
 コストをかけずに地元住民の利便性を実現するために考えたのが、「ハブ&スポーク」だった。航空業界ではおなじみとなっている運行の仕組みを路線バスにも取り入れたのだ。町の真ん中にハブとなる停留所を設置し、乗客はハブ停留所で乗り換えることで、様々な場所にアクセスできる。乗り換え時間は15分以内になるようにして、ハブ停留所での待ち時間をできる限り少なくするようにした。

 今まで長距離路線で結んでいた路線をハブバスセンター折り返しの短距離路線に変更したことで車両数を増加させずに、1.5倍から3倍の運行本数を実現した。

 これは思いつきませんわ。私がパッと考えたのはバスのコストを下げるために、車両を小さくするというものでした。以下はそれに近いですが、当然もっと先を行っています。
 さらに「ときがわ式デマンドバス」を導入した。これは、バスにアクセスできない山間地の利用客を対象に、ワゴン車を使ったデマンドバスを用意するものだ。従来のデマンド交通システムが利用者の自宅と目的地を結ぶ「ドアtoドア」の運行であったのに対し、ときがわ式デマンドバスは5軒につき1か所の割合で「サブバス停留所」を設置し、このサブバス停留所からハブの停留所までデマンドバスを運行して、ハブバス停で通常の路線バスに乗り変えてもらうシステムになっている。

 従来のデマンド交通システムはバスの代替として運行するため、バスを否定するシステムであったが、ときがわ式デマンドバスは路線バスを維持するための支線の役割を持つ。デマンド交通システムのメリットは利用客がいない時は運行しないでいいことである。一方で利用するためには事前の予約が必要となり、毎日通勤通学で利用する住民にとってはわずらわしい。

 そこでイーグルバスは通勤・通学時間帯を定時定路線で運行し、通勤・通学時間帯が終了するとデマンド運行とした。この仕組みにより、それまで日中は大きなバスが空気を運んでいる状態だったものが改善され、運行コストを大幅に削減することができた。

●業界では考えられなかった運転手によるおもてなし

 これらによって、"ときがわ町のバス事業はイーグルバスへの統合前と比較して、利用者数が20%増加した"そうです。ただし、"観光客を取り込んだ成果も大きい"ともありました。
 ときがわ町には多くの観光施設がある。しかし駅からの接続が悪く、バス料金も距離とともに増加していく分かりにくいものだった。そこでイーグルバスはまず料金体系をゾーン制運賃とした。町内を東、西、南、北、中央の5ゾーンに区分し、同一ゾーン内は200円、ゾーンをまたぐと1ゾーン当たり100円の加算とする簡略な仕組みにした。観光施設の前には停留所を設置。観光客が路線バスを利用しやすくした。

 また、サービスへの意識を持たせたというところもあります。これは、オリンピック客お断りで信頼上昇 長野市の中央タクシーは他社の倍の売上のケースも思い出す話です。
 地域住民の利便性を追求することで利用者の潜在需要の掘り起こしを行ってきたイーグルバスは、運転士のおもてなしサービスにも力を入れている。そもそもバスなどの運輸事業者は、運行の正確性や安全性が優先され、一般的にサービス業としての意識はそれほど高くない。しかし、今後は運転士の接客を含むサービス品質が、バス事業の将来を左右すると考えられるため、イーグルバスではバス運転士に経験者を雇用するのではなく、おもてなしの心を持つスタッフを意識的に採用している。

 ときどきそういう話が出てきますが、経験者よりも素人が勝つというケースですね。ときには非常識な方が力を発揮することがあるのです。

 そもそもイーグルバスの試みは他がやっていなかったことですので、イーグルバス自体がバス業界では常識破りな存在と言って良さそうです。


●もともとは旅行業の企業だったイーグルバス、地元の観光のために転身

2020/08/25:その後、イーグルバスはどうなかったか?と検索。2019/9/24のイーグルバス 最適ルート・ダイヤで集客力向上  :日本経済新聞という記事が出てきました。それ以降はわかりませんけど、この時点では好調だった模様。前回の記事の後の16年には、東秩父村でも路線を再編しています。

 この記事では以前と重なる話が多いので、大部分は割愛。読んだ覚えがなかったのは、もともとは旅行業を営んでいたものの、地元川越の観光を盛り上げようと1995年ごろに巡回バスを始めたという経緯。以前の話であったポイントの一つは「観光」を活かすということだったのですが、旅行業の出身業だったという理由がありそうです。

 記事時点では好調であった一方で、国内の乗り合いバスの市場は縮小傾向にあることを踏まえて、国際協力機構(JICA)の中小企業海外展開支援事業に採択されたのを機に、16年から本格的にラオスのバス運行のコンサルティングに乗り出したというのは新しい話。ラオス以外の他の国での展開も目指すそうです。


【本文中でリンクした投稿】
  ■オリンピック客お断りで信頼上昇 長野市の中央タクシーは他社の倍の売上

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