エコとされている風力発電は、実は環境に悪いんじゃないかという話。飛行機で有名な鳥の衝突であるバードストライクが風力発電でも起きており、大量に野鳥やコウモリが死にまくっているため。風力発電が増えた場合、絶滅する野鳥やコウモリが増えることは間違いないといいます。
そして、その場合には生態系が乱れてしまうため、人間の生活にも影響を及ぼすと可能性も指摘されています。その他、<絶滅の危機に瀕したオジロワシの大量死写真に衝撃を受ける>、<風が吹けばトカゲが増える?風力発電所でトカゲ3倍増の理由>などの話も追記しました。
2023/10/22:
一部見直し
●風力発電は環境に悪い?アメリカのバードストライクだけでも大量死
2012/3/20:チューリップでバードストライク防止という話を書きたかったためのおまけのような扱いですが、風力発電のバードストライクについては以前、
バードストライクは飛行機だけじゃなくて風力発電でも…原因と対策は?で書きました。
今回見つけたフォーブスの記事はこの風力発電のバードストライクがメインのようです。<数億羽の鳥とコウモリの死を招く米風力発電拡大策>(2013/8/8 7:00(2013年7月29日 Forbes.com)by James Taylor)というタイトルであり、結構洒落にってないのかもしれません。
<さきごろ発表された環境問題に関する査読付き研究論文(原題は「Comparing bird and bat fatality-rate estimates among North American wind-energy projects」)によれば、米国の風力発電は全米の総発電量のわずか3パーセントしか賄っていないのに、毎年140万羽もの野鳥やコウモリを死なせているという。これによりオバマ大統領の地球温暖化対策は、温暖化を抑制する以前に、数億羽もの野鳥やコウモリの死を招くだろうことが明らかになった。
新しい風力発電所を建造しないとしても、今後10年間に1400万羽の野鳥やコウモリが、飛行中に発電機のブレード(羽の部分)にぶつかって死ぬことになる。いっぽう地球温暖化を警戒する人びとは、二酸化炭素の排出量を50パーセントから80パーセントも削減すべきだと訴えている>
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0502I_V00C13A8000000/ 記事では、地球温暖化を警戒する人びとの大半は他の発電方式に反対していると主張。仮に風力発電機の数を約25倍も増やして、二酸化炭素の排出量を50パーセントから80パーセント削減した場合で計算。米国では、今後、10年ごとに3億5000万羽の野鳥とコウモリが死んでいく計算になるとしていました。
●バードストライクで野鳥絶滅という問題点
ただ、そもそも記事であった<地球温暖化を警戒する人びとの大半は水力発電や天然ガス発電、原子力発電に強硬に反対している>は、そもそも事実なんですかね? 実際にはどの発電方式を許容するかは、結構異なる気がします。そして、風力発電だけで地球温暖化対策をするというのは、現実的ではないでしょう。
なので、その現実的ではない計算によるものなのですが、多くの"風力発電機を新設すれば、想像もつかないほどおびただしい数の野鳥やコウモリが死ぬ"ことになります。"3億5000万羽という数自体がすでに膨大"ではあるものの、これは1回かぎりの数字ではありません。飽くまで「今後10年間」という話。
つまり、今後、10年ごとにこれだけの数の野鳥やコウモリが風力発電機の犠牲になって死んでいくというもの。絶滅する可能性はありそうですし、実際、野鳥やコウモリの大半は種の存続が無理になると見られています。具体的に名前が挙げられいたのは「ハクトウワシやカリフォルニアコンドル、アメリカシロヅル」。それ以外にも今絶滅の危機に瀕していない種類の鳥やコウモリが影響を受けるとしています。
●生態系の破壊は人間にも影響を与える
しかも、これはいわゆる生態系の破壊ですから、その影響は野鳥やコウモリの中で留まるわけでないことも指摘されています。我々人間にも被害が返ってくると予想されていました。
というのも、野鳥やコウモリは昆虫の数を抑制するうえで重要な役割を果たしています。多くの野鳥やコウモリが死亡すれば、蚊(カ)が媒介する疫病が米国で猛威をふるうことになるとされていました。さらに、農作物も虫害によって深刻な被害を受けると見られています。
あと、予想外なことに
バードストライクは飛行機だけじゃなくて風力発電でも…原因と対策は?でも出てくるネズミと絡む話もありました。風力発電機に衝突して多くの野鳥が犠牲になれば、ネズミなどの害獣による被害も多発して深刻になるだろうとのこと。やはり人がその報いを受けるという話です。
記事ではラストに地球温暖化の危機が過剰に算定されていること、アメリカが二酸化炭素量を削減しても中国の排出量で帳消しになるという話もしていました。ただ、アメリカは中国とともに、排出量が多くてなおかつ二酸化炭素削減に非協力的な国の代表格であり、一方的に批判できるような立場じゃないんですけどね…。
●絶滅の危機に瀕したオジロワシの大量死写真に衝撃を受ける
2017/11/17:この話を今回全体に修正したのは、以下のようなツイートがあったため。
インパクトある写真なのですが、主に2種類の否定的な反応が目立っていました。「なんで動物保護なんか必要なの?絶滅していいじゃん」ってのと、「だから原発推進しろ!と言っているだろ」というもの。両方セットでおっしゃっている方もいます。なぜか知りませんが、喧嘩腰な感じの人が多いです。
前者についてはもともとの投稿で出てきた「生態系破壊による人間への被害」が回答の一つになるでしょう。人間に影響がなければ死なせて良いって考え方は、心の問題を感じてしまうのですけど…。
あと、もう一つの原発推進に利用しちゃう意見なんですが、発電方式はいろいろあるために環境負荷など様々な観点から見て総合的に決めるべきというのが、一般的な回答でしょうか。ただ一つの正解の発電方式が存在するというわけでもなく、複数の方式を組み合わせて選択していくというののが現実的です。
私は絶対原発許すまじ!ではなく、安全が十二分に確認できたものは再稼働して良いという考えなのですが、そういう私から見てもこういう人たちは残念です。
●風が吹けばトカゲが増える?風力発電所でトカゲ3倍増の理由
2019/01/25:また生態系の影響についての話。インドにある風力発電所の周辺は、トカゲの生息密度がほかの場所より約3倍高いことが、同国の研究チームの調査でわかったとのこと。やはり猛禽類などが少なくなっているのが理由です。ただし、トカゲにとっての楽園とは言えず、増えすぎて競争が激しくやせていたとのこと。
(
インドの風力発電所周辺、トカゲ密度3倍 生態系影響も:朝日新聞デジタルより)
この記事について、「鳥がぶつかるから自然破壊って言われてたのに、鳥の方が学習して近寄らなくなった結果が別の破壊をもたらしてる」「天敵が近寄らない」などと感想を書いている人がいました。ただ、元記事では「鳥がぶつからなくなった」とも、「鳥が近寄らなくなった」とも書かれていないので注意。鳥が少ないのは、単にぶつかって死にすぎただけ…という可能性を忘れています。理由については調べる必要がありますが、少なくとも書いていないことを勝手に確定的に決めつるのはいけませんね。
あと、
はてなブックマークでは、大喜利的なコメントも人気になっていました。最初のものは、研究者のコメント「風力発電所は食物連鎖の頂点に君臨しているかのように、生態系に影響を及ぼしている」と指摘しているを受けたものです。
gabill 風力発電所を捕食する生き物を放とう。
ranobe 風車をたてれば窮屈だ。トカゲこの世は住みにくい
hz75hz 風が吹けば蜥蜴が増える
解説するのは無粋でしょうが、2つ目は、夏目漱石の草枕「意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」より。また、最後のはほとんどの人がわかるであろう、ことわざ「風が吹けば桶屋が儲かる」からでした。
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