記事中では「長寿遺伝子」という言葉が出ている他、「SIR2」とも書かれています。呼び名がいろいろあって安定せず、Wikipediaだとサーチュイン遺伝子の名前を採用していました。
サーチュイン遺伝子は、長寿遺伝子または長生き遺伝子、抗老化遺伝子とも呼ばれ、その活性化により生物の寿命が延びるとされる。サーチュイン遺伝子の活性化により合成されるタンパク質、サーチュイン(英語:Sirtuin)はヒストン脱アセチル化酵素であるため、ヒストンとDNAの結合に作用し、遺伝的な調節を行うことで寿命を延ばすと考えられている。
Wikipedia 記事では今回の実験を「初めて」のものとしています。
しかし、Wikipediaでは"サーチュイン遺伝子による寿命延長効果は酵母、線虫、ショウジョウバエで報告されている"とあります。
ここだけ読むとあれ?と思いますが、続けて"が、これらの実験結果を否定する報告もあり、まだ確定した効果とは言えない"と書かれていました。
ひょっとしたら今回の実験にも異論が出るかもしれませんけど、確定した効果としては「初めて」ってことなのかもしれません。
とりあえず、テレ朝では以下のように説明していました。
ヒトの寿命には、体内の「リボソームRNA(リボ核酸)遺伝子」が関わっているとされていましたが、これまで科学的に証明されていませんでした。国立遺伝学研究所の研究チームは今回、ヒトと似た老化メカニズムを持つ酵母菌で遺伝子を操作する実験を行ったところ、9割以上の菌で寿命が1.5倍になりました。これにより、リボソームRNA遺伝子が長寿につながることが証明されたほか、同じ遺伝子を持つヒトにも応用できる見通しです。研究チームは、「長寿に効く可能性のある薬やサプリメントの開発の糸口」としていて、来年にも開発を成功させたいとしています。
テレ朝では「リボソームRNA(リボ核酸)遺伝子」という「長寿遺伝子」とは別のものだけで説明しており、「長寿遺伝子」の方は出てきていません。
しかし、時事ドットコムだと「長寿遺伝子」が出てきます。
テレ朝だと「遺伝子を操作する」と大雑把でしたが、こちらはもう少し詳しいです。「リボソームRNA(リボ核酸)遺伝子」もここで登場。
細胞の寿命は、全遺伝情報(ゲノム)の安定化とも関連があり、SIR2はゲノムの安定化を通じて老化を抑制していることまでは分かっていたが、具体的な仕組みは未解明だった。
小林教授らはゲノムのうち、不安定化しやすい増幅遺伝子の一つ、リボソームRNA遺伝子(rDNA)に着目。SIR2が、E-proという遺伝子の働きを抑えることで、rDNAを安定化させていることを見いだした。
さらに、遺伝子操作で、酵母菌のE-proの働きを人為的にオン・オフできるものに置き換えたところ、E-proの働きを活発にさせた酵母菌ではrDNAが不安定になり短寿命化。逆にE-proを抑制すると長寿になった。
NHKの報道の中では、小林教授の「老化のメカニズムの一つが解明された。将来的には人の寿命を延ばすことにもつながる可能性があると思う」という話を伝えています。
遺伝子操作で寿命延びる可能性 8月30日 4時42分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130830/k10014147761000.html
ただし、なかなかそう良いことばかりではないようで、時事ドットコムだと「ただ、老化はゲノムの健全性を守る仕組みでもあるので、細胞の機能を損なわずに維持するメカニズムの研究も必要だ」としています。
「いつまでも若くありたい」というのは始皇帝の頃からの変わらぬ願望です。現代人も「不死」はともかく「不老」への執着はなかなかすごいものがあると感じます。
検索してみると、「老化防止(アンチエイジング)にはこれこれこういう『自然食品』がおすすめですよ」なんてのものがたくさん載っています。
しかし、考えてみれば「老いない」より「老いる」の方が、ずっと動物としては「自然」なことです。
その「自然」な老化を止めてしまうということは、副作用のようなものが生じやすいということなのかもしれません。
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