2019/02/21:
●鈴置高史氏「今年中に北朝鮮は軍事攻撃か体制崩壊で核問題は解決」
●トランプ大統領は北朝鮮の核武装について絶対妥協しない
●軍事行動か暗殺やクーデターしかアメリカの選択肢はない
●コメント欄も「攻撃で北朝鮮はすぐ消滅」「経済的デメリットなんか関係ない」など
●ヘイトスピーチあふれる妄想まとめブログ並みのフェイクニュース
2021/01/18:
●今度は「在韓米軍撤収が始まり米国の北朝鮮攻撃体制整った」と主張
●鈴置高史氏「今年中に北朝鮮は軍事攻撃か体制崩壊で核問題は解決」
2019/02/21:今回の記事は、タイトル見た時点でデマだろうなと思ったのでブックマークして2018年が終わるまで待っていたもの。正確には2017年末の記事ですから、ギリギリ「今年中」ではなく「来年中」なのですが、とにかく2018年のうちに決着するとする、
2018年「北の核」は軍事攻撃か体制崩壊で決着:日経ビジネス電子版(2017年12月26日)という記事でした。冒頭でいきなり以下のように断言しています。
"北朝鮮の核問題の行方はほぼ2つに絞られた。米国が軍事攻撃して核を除去するか、金正恩(キム・ジョンウン)体制が崩壊するか――である。いずれにせよ2018年中に決着する可能性が高い"
作者は、鈴置高史さん。大学の先生かと思ていったら、全然違いましたわ。ただのジャーナリストですね。元日本経済新聞社編集委員でソウル特派員経験があります。北朝鮮というよりは、主に韓国について徹底的に批判的なことを言う方という印象で見ていました。
というか、日本経済新聞社を退職したのは2018年であり、執筆時にはまだ日本経済新聞社の現役編集委員だったようです。長く『日経ビジネスオンライン』で連載してきた国際コラム「早読み 深読み 朝鮮半島」も、2019年になって終了しています。いい加減なこと書きすぎたせいでしょうか?
●トランプ大統領は北朝鮮の核武装について絶対妥協しない
さて、肝心の記事の中身。私はブックマークしただけで、ほとんど読んでいませんでした。まず、トランプ大統領の方針について、以下のような説明をしています。(以下の日付はすべて2017年のこと)
・トランプ大統領の国連演説(9月19日)を通じ、米国は「北朝鮮の核武装はいかなる形であっても認めない」姿勢を明確に打ち出した。
・もし北朝鮮がテロリストに核を売らないと約束すれば、あるいは、米国まで届くICBM(大陸間弾道弾)を開発しなければ、核武装を黙認する、との構想がワシントンで語られたこともあった。しかしトランプ大統領はそうした妥協策をはっきりと否定したのだ。
・妥協案の背景には「核保有国のソ連や中国とも米国は共存した。核を持つ北朝鮮ともできないはずがない」との理屈がある。だがトランプ政権は北朝鮮を、金正恩という異常な指導者に率いられる共存できない存在と見なした。
・韓国での国会演説(11月8日)でトランプ大統領は、数々の例をあげて北朝鮮の人権蹂躙を非難し「狂信的カルト集団」と規定した)。
・12月12日、ティラーソン国務長官が「大統領も私も核武装した北朝鮮を認めない」と述べた。米国がここまではっきりと「北の核は認めない」と宣言した以上、ICBMを持たなければ暗黙裡に核保有を認める、といった妥協はできない。
●軍事行動か暗殺やクーデターしかアメリカの選択肢はない
上記の最後のところから、冒頭にあった話に繋がって、「
結局、北朝鮮が核を捨てない限り、米国にとって選択肢は2つしかない」という鈴置高史さんの結論になります。「軍事行動で核を取り上げるか、あるいは北朝鮮の指導層に、暗殺やクーデターで金正恩体制を倒させるか、である」とのこと。ここの部分では「可能性」とすら言わず、断定していました。
また、「軍事行動」の場合も体制が崩壊する可能性が高いとの説明でした。全面的な軍事攻撃を実施する際、米国は当然、空爆による金正恩暗殺を狙うと指摘。暗殺に失敗しても、核武装以外に実績のない若い「敗軍の将」が政権を維持するのは容易ではない、との解説です。
以前書いたように、北朝鮮を攻撃するという選択肢は、現実を知らないお花畑な発想。北朝鮮を正当化しているわけではないのですけど、実務を知っている人なら取れる選択肢は限られています。だからこそ歴代政権が北朝鮮対応に苦労してきたのです。トランプ大統領ならおかしなことをやりかねないって言うならともかく、アメリカの当然の選択として書くなんてアホですよ。
これはこれで的外れな解説だったのですけど、鈴置高史さんはミサイル発射台を破壊する作戦構想を練るに至るほど、米国は外交による解決に希望を持たなくなっている、としていました。
●コメント欄も「攻撃で北朝鮮はすぐ消滅」「経済的デメリットなんか関係ない」など
コメント欄を見てみると、鈴置高史さんの主張に疑問を呈している人がある一方、賛同している人たちもかなりいる感じでした。
<鈴置高史さんの主張はもっともだ>
・攻撃が終われば北朝鮮って国は消滅しているんだから。負けようも無い。
・経済的メリット、デメリットなんかハナからから問題じゃねーんだよ。米本土が北朝鮮の脅威に直接さらされるという事が問題。(中略)今回も米国は一歩も引く気はない。北朝鮮も引く気がないのであれば、もはや戦争しかない。
・相当な事情通である鈴置さんですら慎重な物言いなのに、「戦争は起こらない」なんて平気で予言している人は何様なんだろう。「地震はこない」と言っているようにしか聞こえない。
●ヘイトスピーチあふれる妄想まとめブログ並みのフェイクニュース
批判的だったところも少し紹介。
<鈴置高史さんの主張は疑問だ>
・戦略核攻撃をするなら相当な数を叩き込む上に100%民間人を巻き込みますから、アメリカという国家の信用と引き換えになります。戦略核攻撃は都市破壊が主目的であり、北の核には意味を持ちません。それすらも理解せず、妄想とまとめブログ並みの記事しか書かない鈴置委員にはインテリジェンスがない、と理解すべきです
・鈴置委員は朝鮮半島情勢を読むために必要な政治と軍事の両輪のうち、軍事の知識が欠如しており、深読みに必要なインテリジェンスが足りない上に民族憎悪を引き起こしかねない日経式アドバルーン記事をばらまいています。このような人間が世界のニュースをフェイクニュースと呼ぶなどお笑い物です。
妄想・まとめブログ・民族憎悪(ヘイトスピーチ)・フェイクニュースといった反応があったように、ネトウヨさん的な感じがある人ですね。中には「さすが太平洋戦争を起こした国の人たちの外交理解だ」みたいな皮肉コメントもありました。もうちょっとよく考えましょう。
●今度は「在韓米軍撤収が始まり米国の北朝鮮攻撃体制整った」と主張
2021/01/18:日経ビジネスでの連載が終わった鈴置高史さんはどうしたのかな?と検索すると、無事拾ってくれたところがあったようで、デイリー新調で連載を持っていました。肩書は「韓国観察者」というもの。過去の外し続けてきた解説を反省することもなく、今日も元気に叩いています。「韓国観察者」という肩書ですし、主に叩いているのは韓国ですが、うちで取り上げた北朝鮮関連記事も少数ながらありました。
例えば、2019年6月7日には、懲りずに
ついに「在韓米軍」撤収の号砲が鳴る 米国が北朝鮮を先行攻撃できる体制は整った デイリー新潮というタイトルの記事を出しています。そんなことより、「2018年のうちに北朝鮮は軍事攻撃か体制崩壊で核問題は解決」というデマを飛ばしていたことを反省してほしいんですけど…。
<米国のシャナハン国防長官代行は6月3日、韓国で鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部長官と、米韓連合司令部をソウルから南方の京畿道・平沢(ピョンテク)の米軍基地キャンプ・ハンフリーに移転することで合意した。
これにより、米軍の司令部や第1線部隊はソウル市内を流れる漢江の北からほぼ姿を消す。移転先のキャンプ・ハンフリーには国連軍司令部や在韓米軍司令部、歩兵2個旅団などが集結済みだ。
ソウルの北の京畿道・東豆川(キョンギド・トンドゥチョン)には米砲兵旅団が駐屯するものの、いずれ兵器を韓国軍に引き渡して兵員は米本土に撤収する計画と報じられている。
(中略)防衛線となる漢江以北から米軍人とその家族が姿を消せば、北朝鮮の「奇襲攻撃でソウルの北半分を占領したうえ、韓国と停戦する」との作戦が現実味を帯びる>
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