2020/04/21:
●江戸時代流行した徳川家康の明朝体の花押、薩摩や長州出身者は嫌う
●長州出身者は非明朝体、山口県出身の安倍首相は当然…と思いきや?
●江戸時代流行した徳川家康の明朝体の花押、薩摩や長州出身者は嫌う
2020/04/21:徳川家康の花押は、短い横線を上に、長い横線を下にした台形に収まるような型。中国で明王朝を創設した朱元璋(洪武帝)のサインに似ているため「明朝体」と呼ぶそうです。家康の後を継いだ江戸幕府の将軍が踏襲し、当時の武士や町人も、こぞってまねたといいます。
しかし、江戸幕府を嫌う人たちはこれをよしとしません。江戸幕府を倒した薩摩や長州の志士は、将軍が使った明朝体の花押を避けたといいます。例えば、長州藩出身で初代内閣総理大臣の伊藤博文や薩摩藩出身で第2代内閣総理大臣の黒田清隆の花押は明らかに明朝体ではないものだったそうです。
明治維新とともに、花押はいったん家康スタイルから抜け出した…と思いきや、このトレンドはそこまで長く続きませんでした。薩長以外が有力政治家を輩出し始めると、明朝体が復活。歴代首相で初めて明朝体を使ったとされるのは、大正末期、尾張藩出身の加藤高明だそうです。尾張藩はそもそも徳川御三家でしたよね。
第24代 内閣総理大臣の加藤高明が明朝体を使うと、田中義一や米内光政ら明朝体の使い手が相次ぐようになります。徳川家康スタイルがさらに進んだの戦後のこと。戦後には首相の花押の主流は完全に明朝体になったといいます。
●長州出身者は非明朝体、山口県出身の安倍首相は当然…と思いきや?
上記を読んでわかるように、戦後になっても首相は花押を使っていました。それどころか現在でも使われています。
花押は重要文書で現役! 印鑑は日本の伝統文化ではない新しい慣習でやったように、花押は政府の閣議決定という超重要な場面でまだ現役なんですね。つまり、今の閣僚らも使っているのです。
そして、上記までの話は、
閣僚のサイン「花押」 安倍首相は家康?薩長?: 日本経済新聞(2018年8月3日 6:00)という記事からでした。安倍首相は長州藩だった山口県出身であることを誇りに思っているようで、ことあるごとに言及し、ときには自画自賛的に紹介しています。
じゃあ、当然、徳川家康スタイルではなく、薩長スタイルであろう…と思ったら、そうじゃないというオチ。本花押協会の瀬川和哉代表理事によると、安倍晋三首相も菅義偉官房長官も徳川家康が確立した「型」に従っているとのことでした。おそらくこうした歴史的経緯はご存じないのでしょう。
これは安倍首相の祖父の岸信介首相や、同じ山口県が地盤の佐藤栄作首相も同様。徳川家康が確立した「型」に従っていたそうです。むしろ「明朝体は徳川、自民党」「非明朝体は薩長、非自民党」という、ねじれの傾向があるみたいですね。比較的最近の首相経験者では、日本社会党の村山富市、民主党の菅直人と野田佳彦の3人の花押は、明朝体ではないそうです。
また、瀬川さんによると、花押は江戸時代から複雑になり、型にとらわれるようになったとのこと。織豊時代までは、大名が思い思いに野望を託し、自由で個性的なデザインが多かったそうで、型にとらわれる必要はなさそうでした。
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