楽天の携帯電話事業参入の話が中心になっています。日本ではあまり注目されていませんが、アメリカで注目されるなど、かなり特殊な携帯電話会社であるようです。この他に、楽天が買収したビデオストリーミングの米ヴィキの話も載せています。
2022/05/27追記:
●インドで最後発企業をトップにしたタレック・アミン氏がCEOに
2022/06/18追記:
●面白そうだと思って難解プロジェクトに移ったタレック・アミン氏 【NEW】
2017/12/20:
●全くの新規参入はあり得ない…楽天の携帯電話事業新規参入は無謀
●参入障壁が高い業界、新規参入が厳しい最大の理由は「設備」
●タイミングも悪く、携帯電話のせいで楽天倒産の予測まで
2019/06/29:
●楽天モバイルアミンCTO「楽天は世界で例のない通信会社になる」
●楽天の強みはアップルにできてソニーにできなかった理由と同じ
2019/09/25:
●目標を半分しても無理…やっぱり楽天の携帯電話参入は苦戦!
●サービス開始遅延の楽天モバイル、無料ベータ版でテスト参加者を募集
2020/01/05:
●アメリカ注目の楽天モバイルアミンCTO、2019年を代表する人に選ばれる
2020/07/31:
●楽天モバイル、トラブルの多さで世界で例のない通信会社に?
2017/12/20:
●楽天がViki(ヴィキ、ビキ)を買収
●Vikiの特徴は様々な言語の補助字幕がつくこと
●ユーザーが多いのは北米と東南アジア
●Vikiに200億円の価値はあるのか?
●楽天のViki買収の狙い コボ・楽天市場との関係は?
●インドで最後発企業をトップにしたタレック・アミン氏がCEOに
2022/05/27追記:楽天モバイルのタレック・アミンCTOは、その後CEO(最高経営責任者)となっていたようです。
楽天モバイルCEOに就く タレック・アミン氏: 日本経済新聞(2022年3月6日 2:00)などの記事が出ていました。もともとCTO(最高技術責任者)であったように、米スプリント(現TモバイルUS)から一貫して技術畑だといいます。
後発組での成功経験もあり、世界第2位の携帯電話市場のインドでは、最後発だった大手財閥リライアンス・インダストリーズ系をトップシェアに引き上げたことがあるそう。楽天モバイルもこれを期待しているのでしょうが、どうでしょうね。とりあえず、インドで成功した理由は以下のような説明でした。
<上級副社長の座に就き、低価格攻勢を仕掛けた。この5年でインドの通信料金は20分の1以下の水準まで下がった。業界の勢力図を塗り替える原動力になった。
値下げを可能にしたのが「仮想化」と呼ばれる技術だ。情報処理に必要な専用機器をクラウド上のソフトウエアで代替し、通信網構築のコストを減らす>
●面白そうだと思って難解プロジェクトに移ったタレック・アミン氏
2022/06/18追記:
「月2980円バトル」赤字必至のドコモと黒字前提の楽天、その決定的な違い なぜ「使い放題」でも成り立つのか | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)は、2020/12/18の記事。タイトルになっている部分の内容自体は楽観的すぎて大外れ…という感じです。ただ、タレック・アミンCTOの情報に関する部分は、非常に良い内容でした。
<アンマンでヨルダン人の父、ロシア人の母の元に生まれたアミンはコンピューター工学で秀でた才能を持ち、米ポートランド州立大学で電子工学と物理をダブル・ディグリーで専攻した。在学中にインテルから誘いを受け、1年半ほどビデオ会議システムで使うソフトウエアの開発に携わった。
その後、ソフトバンクに買収される前の米通信大手スプリント、AT&T、Tモバイルとエンジニアとして通信大手を渡り歩き、中国通信大手、ファーウェイの米国法人に落ち着いた>
「ファーウェイの米国法人に落ち着いた」と書いてあったものの、実際にはここも安住の地とはなりませんでした。前述の通り、通信事業に参入するため優秀な技術者を探していたインドのコングロマリットであるリライアンス・インタストリーズから誘いを受け、リライアンスの通信子会社、リライアンス・ジオに移籍しています。
このときのモカシュ・アンバーニ・リライアンス会長の誘い文句は、「アミン、我々と一緒にやれば、君はいつか自分の子供に『パパはインド13億人の人々の生活を変えたんだよ』と誇れるようになる」といったもの。記事ではこれに「面白そうだと思った」から移籍したと書かれていました。
前回書いたようにここで考えられないような大成功をするのですが、困難なことをチャレンジすることに生きがいを感じるタイプなのかもしれません。楽天モバイルなんかも到底うまく行きそうにない困難なプロジェクトです。また、エンジニアらしく知的好奇心も強い方なんじゃないかという印象を受けました。
●全くの新規参入はあり得ない…楽天の携帯電話事業新規参入は無謀
2017/12/20:楽天が携帯電話事業への新規参入を決めたと、ITproが報じていました。具体的なスケジュールも出ています。
(
ニュース解説 - 楽天の携帯事業参入、常識では考えられない:ITpro 榊原 康=ITpro 2017/12/15より)
(1)2018年1月にも新会社を設立。
(2)周波数の新規割り当てを総務省に申請。
(3)新規参入を無事に認められた場合は2019年中にサービスを始める。
(4)将来的に1500万人の顧客獲得を目指す。
ただし、好意的なわけではなく、携帯電話事業への新規参入はハードルが桁違いに高いと指摘。携帯電話業界では「既存事業者の買収による参入ならともかく、全くの新規参入はあり得ない」というのが常識だといいます。これは「あり得ない」=「勝ち目がない」ということを意味しています。
●参入障壁が高い業界、新規参入が厳しい最大の理由は「設備」
新規参入が厳しい最大の理由は、設備の問題だそうです。当たり前の話ですが、新規参入企業は既存の企業のような設備を持っていません。
大手3社は既に99%以上のエリアをカバーし、設備投資に毎年数千億円を投じています。この差を短期間で埋めるのは不可能に近いとしていました。いわゆる参入障壁が高い業界なんですね。
高速化競争にも取り残されるとしていましたが、新規参入企業にとってはそれどころではないでしょう。まず、使えるところをゼロから増やしていかなくてはいけないという段階です。
よって、楽天の携帯電話は、エリアが狭く、通信速度も遅いといった状態になります。これでは勝負になるはずがありません。
●タイミングも悪く、携帯電話のせいで楽天倒産の予測まで
エリアの問題については大手3社のいずれか(NTTドコモが有力とみられる)とローミング(他社網への乗り入れ)契約を結ぶことで解消できます。一から設備を作らずに設備を借りるような形ですね。ただ、これは当然ながらお金の問題になってきます。ローミングは通常、従量課金なので費用負担が重いとのことでした。
楽天は今回、設備投資のために借り入れなどを行い、資金調達残高は2019年のサービス開始時点で約2000億円、2025年時点で最大6000億円規模になるとしたそうです。かなりの規模です。格安スマホも大きな存在感を示しており、実にタイミングが悪い時期の新規参入にも見えると、記事では指摘されていました。
特に賛同を得ていたわけではないものの、
はてなブックマークでは、「設備投資で楽天が倒れるかもしれんな」(cheva)という倒産を予想するようなコメントまで出ていました。楽天の終わりの始まり…になってしまうのでしょうか?
●楽天モバイルアミンCTO「楽天は世界で例のない通信会社になる」
2019/06/29:その後あまり話がなかった楽天の携帯電話市場への新規参入で、
常識外だらけ、“ゲームチェンジ”仕掛ける楽天の勝算:日経ビジネス電子版(高槻 芳 日経ビジネス記者 2019年4月18)という記事を見つけました。勝算があるってのは信じられませんけどね。
技術的な話で真偽がわからないのですけど、楽天モバイルのタレック・アミンCTO(最高技術責任者)は楽天は世界で例のない通信会社になるとしていました。アミンCTOが通信インフラを構成する基地局に、通信機器の持つ機能をソフトウエアによって一般的なサーバー上で実現する「仮想化」を導入したそうです。
これは、楽天のクラウドコンピューティング基盤の上で運営するというもの。この技術が世界初なんだそうです。これにより、総所有コストを最低でも35%程度は削減。さらに運用コストの削減効果を70%は減らせるとみているとしていました。本当なんですかね?
●楽天の強みはアップルにできてソニーにできなかった理由と同じ
記者はこれに対し、それほど優れた技術であれば、他の通信会社が先に取り入れていてるはずなのに、なぜ導入が広がっていないのか?と聞いていました。もっともなツッコミです。(2022/05/27追記:その後読んだ記事では、アミンCTOがインドで仮想化で成功との記述。これだと世界初が謎になります)
ただ、これは逆に新規参入だからでき、これまでの通信会社はもともと持っている通信インフラや既存の組織構造が妨げになったとの説明でした。それ以上具体的に書いていないんですけど、こういうのはよくあります。今あるものを活かそう、今ある組織や商品を壊さないようにしようとして、新しくて画期的な挑戦ができなくなるということがあるのです。
例えば、ソニーはのレコード会社も抱えているために、アップルのような既存のレコード会社やミュージシャンに損害を与える挑戦はできなかっただろう…といった感じ。これは飽くまで「一般的にはあり得る」という話であり、楽天の今回の話が本当かどうかはまた別の話なんですけど…。
●目標を半分しても無理…やっぱり楽天の携帯電話参入は苦戦!
2019/09/25:やっぱり楽天の携帯電話参入は苦戦しているのか、
楽天の携帯参入、通信インフラ整備の難航で正念場に:日経ビジネス電子版(高槻 芳 日経ビジネス記者 2019年7月31日)という記事が出ていました。というか、予定では10月だったみたいですね。もう目前です。なので、最近の記事もこれを読んだ後探してみましょう。
既存大手と違い通信インフラをゼロから立ち上げる必要のある楽天は、地方では当面、KDDIの基地局を借りる「ローミング」と呼ばれる方式で全国をカバー。一方で、東京23区と大阪市、名古屋市については自力で基地局を設置することにしていました。ただ、その都市部での準備も遅延。
楽天と取引のある複数の通信機器メーカー関係者によると、サービス開始直前の9月末までに5000~6000基程度の基地局を設置の予定でした。しかし、工事の遅れに伴い、この目標を下方修正。2500~3500基ほどが記事時点での目標。ほぼ半分ですね。そして、この目標すらきつそう。なんと7月30日時点で正式稼働している楽天の基地局の数は東京23区内で「100」しかありませんでした。
●サービス開始遅延の楽天モバイル、無料ベータ版でテスト参加者を募集
で、最近のニュースを…と思って検索すると、延期になったみたいですね。ただ、検索で出てきた記事が
楽天、携帯の本格サービス延期 がっかりだが利点あり|MONO TRENDY|NIKKEI STYLE(2019/9/24)であるように、日程を優先して混乱するよりずっと良かったのではないか?と思いました。先の記事によれば、サービス開始を強行した場合、通信品質が大きく低下し、悪いイメージが定着することが考えられました。
また、予想外でおもしろかったのが、10月からは5000名限定の「無料サポータープログラム」に向けてのみサービスを提供するというもの。東京23区などの在住、楽天モバイルに新規、あるいは番号ポータビリティーで加入することなどの条件で応募できます。
その名の通り、期間中音声通話やSMS、データ通信など全てのサービスを無料で利用可能に。回線品質のテストやアンケートへの回答も求められる他、本格サービスを開始した場合、自動的に終了するという条件もありました。記事では、試験サービスレベルだと指摘しており、音声品質が低い可能性もあるでしょう。
ウェブサービスではよくあった「ベータ版」的な感じ。ネット企業ならではの発想じゃないでしょうか。別な意味で「世界で例のない通信会社」かもしれません。本当おもしろいですね。
●アメリカ注目の楽天モバイルアミンCTO、2019年を代表する人に選ばれる
2020/01/05:相変わらず日本では全然注目されていないのですけど、密かに楽天モバイルのCTO(最高技術責任者)を務めるタレック・アミンさんが米通信業界向けの専門メディア「Fierce Wireless」で、2019年の無線技術における「最も強力(パワフル)な人物」に選ばれていたそうです。
過去のメンバーは豪華で、今年エントリーされていたメンバーーも世界的な大企業幹部たち。それらを押しのけての選出です。ここは選考過程もおもしろく、読者投票でなおかつ「1対1」で勝ち抜いていくという、日本で言うところのトーナメント形式。アミンCTOのシードなしだったので、伏兵であったようです。それが、決勝では10万4148票を獲得し、相手に1万票以上の差をつけて勝ってしまいました。
なぜか米国が大注目する楽天モバイル、あの国産ベンダーの苦労は報われるか | 日経 xTECH(クロステック)によると、アミンCTOが評価されたのは、やはり楽天モバイルの技術的なところ。携帯インフラに「ネットワーク仮想化技術」を全面導入したことが理由です。「ネットワーク仮想化技術」は、部分的な活用ならこれまでも進んでいました。しかし、基地局の制御装置からコアネットワークまで全面的に採用したケースは珍しいようです。
アメリカでは、衛星放送大手ディッシュ・ネットワークが携帯電話事業に新規参入を計画していて、楽天のやり方を注目しているということもあって、関心が高いみたいですね。このディッシュは、
ソフトバンクとスプリント似てる?最も嫌われる企業ランキングに登場でやったように、ソフトバンクとスプリント買収合戦をやっていたところで、癖の強い企業でもあります。
●楽天モバイル、トラブルの多さで世界で例のない通信会社に?
2020/07/31:「世界で例のない通信会社になる」と言っていた楽天モバイルですが、トラブル続きでえらいことに。このトラブルの多さにおいて、世界で例のないレベルまで達しているかどうかまではわかりません。ただ、あまり見ないレベルにはなってしまいましたね。
お粗末ぶりが目立つ楽天モバイル、1年後の大量解約が怖い本当の理由 | 日経クロステック(xTECH)では、まず、1円販売キャンペーンで話題を呼んだスマホ「Rakuten Mini」の対応周波数帯を勝手に変更していたとして、総務省から2020年7月10日に行政指導を受けたことを指摘。
さらに、日中にシステムメンテナンスを行い、音声通話やデータ通信が利用できなくなる旨をサイトに発表して騒動に…。楽天モバイルはこの案内について、間違いだとして訂正。批判が相次いで慌てて中止したとみる向きもあったものの、日中にやることはなく「通常は午前0時以降」との説明。どちらにせよ謎のミスです。
また、「夏のスマホ大特価キャンペーン」の特典内容も突然変更する…というゴタゴタも。これは、2万円(税別)を超える利益の提供を禁じた電気通信事業法に抵触したためでした。ここらへんのところは楽天モバイルだけの問題ではなく、大手のドコモでもやらかしてキャンペーンが一部中止になっていますけどね。
これらのトラブル話はほんの一部で、毎月のように何らかの問題を起こしている状態。通信障害は計4回、総務省による行政指導は計5回というひどさ。楽天モバイルはおもしろいチャレンジをしているのですけど、トラブルの多さは擁護できるものではなく、記事では、無料期間中でも許されないレベルとしていました。
●楽天がViki(ヴィキ、ビキ)を買収
2017/12/20:買収の方針は企業によっていろいろですが、楽天はすごく積極的にたくさん買う会社というイメージです。ただ、そのわりには存在感バリバリの大成功買収という話は聞きませんね。もともと書いていたVikiもその後の話をとんと聞かないといったサービスです。
2013/9/4:楽天がVikiという動画サービスの会社を買収すると発表しました。
楽天、動画コンテンツ配信のVikiを買収 デジタルコンテンツ事業を第3の軸に - ITmedia ニュース
楽天は9月2日、ストリーミング動画コンテンツ配信を展開する米Vikiを買収し、完全子会社化すると発表した。ECと金融サービスに加え、デジタルコンテンツを3つめの主軸としてグローバルに展開するという。(中略)
楽天は2012年に電子書籍サービスを手がけるカナダKoboを買収し、日本を含む各国で電子書籍端末の販売や電子書籍配信を手がけている。(中略)
楽天は12年にスペインの動画配信サービス事業者Wuaki.tvも買収しており、コンテンツとサービスの拡充でデジタルコンテンツ事業を強化、「楽天経済圏」の拡大を目指す。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1309/02/news129.html
このVikiの日本語の綴りが不明で、報道では「ヴィキ」と「ビキ」で分かれています。楽天が何と表記するかで決まると思うのですけど、プレスリリースを確認したところ英語表記のみでした。
(
2013年9月2日 楽天株式会社 楽天、ビデオストリーミングサービスを世界で展開する米国Viki社を買収)
●Vikiの特徴は様々な言語の補助字幕がつくこと
Wikipediaによると本店所在地はシンガポールだそうですが、"Razmig Hovaghimian、Jiwon Moon、そしてChangseong Hoがハーバード大学とスタンフォード大学の学生時に会社を設立"したということで、アメリカの会社です。(ITmediaによれば、2010年12月設立)
Viki は補助字幕の作成にクラウドソーシングを使用するグローバルなビデオ ・音楽ストリーミング ウェブサイトである。これまでよりもより広範囲の市場での放映を可能にするもの。 同社は様々な言語においてfan baseを補助字幕付きメディアにすることで知られている。人気のあるテレビ番組、映画、そして 芸術ジャンルに関してボランティアがコニュニティーを作り、ビデオ放映の24時間以内に組織化して翻訳を書く。全ての補助字幕はCreative Commons licenseによって保護されている。
Wikipedia
太字にしましたが、Vikiは字幕が特徴のようですね。しかも、INTERNET Watchによると"視聴者コミュニティがクラウド上で字幕を付ける"というユニークなものです。
(
楽天、動画のクラウドソーシング翻訳/ストリーミングサイトの米Vikiを買収 -INTERNET Watchより)
"Vikiが1日で終える翻訳にネット海賊は通常72時間を要するため、Vikiユーザーが翻訳するスピードは、ファイル共有ソフトによる著作権侵害の妨害に役立っている"(Wikipedia)という効果もあるようです。
●ユーザーが多いのは北米と東南アジア
また、ユーザーの範囲が広範で"Vikiユーザーの大半は北アメリカ (40%)、 東南アジア (30%)の居住者である。約15%のユーザーはヨーロッパに居住しており、中でもフランスでの成功が大きなものとなっている"という魅力があります。
ユーザーに関しては、ITmediaだと"米国外ではソウル、シンガポール、東京に拠点を持ち、アジア系コンテンツに強く、月間視聴者数は2200万人以上"という説明でした。
このアジア系コンテンツですが、ネット層の反発を招きそうです。日本のコンテンツも結構配信しているようですけどね。
Vikiはthe Korean Creative Content Agencyと共に、韓国のエンターテイメントと文化を振興すべく協働している。この活動はKorean WaveもしくはHallyuと呼ばれ、韓国ドラマの人気に乗じて始まったもの。 Hallyuは現在第二段階にあり、韓国ポップ音楽の全世界的な人気と歩みを共にしている。 VikiはPsyやSuper Junior、また2NE1といった韓国ポップスのアーティストを支援してきた経緯がある。
●Vikiに200億円の価値はあるのか?
ITmediaでは"買収額や条件は公開していない"とだけ書かれていましたが、 WirelessWire Newsなどでは"推定2億ドル"としています。
(
楽天、ストリーミング動画サービス「Viki」を推定2億ドルで買収へ(AllThingsD報道) - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)より)
それから、収益源について書いていた記事もあります。
ニュース - 楽天、ビデオストリーミングの米ヴィキを推定2億ドルで買収:ITpro
ヴィキの主な収益源は、ビデオ再生中に挿入される動画広告の広告料。ネットフリックス(Netflix)など他の動画サイトにも一部のコンテンツを有料で供給している。今後は、サブスクリプションベースの有料サービスも検討するなど、新しい収益モデルを構築するとしている。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130902/501775/
先ほど買収額の話がありましたが、2億ドルは日本円にしておよそ200億円です。これに関して、日経ビジネスオンラインでは"楽天が200億円もの資金を投じてまで欲しかった"と書いています。現時点ではそれまでの価値はないものを、潜在能力を買って高めの値をつけたといった書き方です。
(
200億円をかけてまで楽天が欲しかった会社:日経ビジネスオンライン 原 隆 2013年9月3日(火)より)
Vikiの魅力は既に見てきた通りですが、日経ビジネスオンラインではまず字幕の話が出ていました。
大きな特徴は多言語対応の字幕がつく点だ。視聴者は動画のメニューから母国語の字幕を選べる。字幕はユーザーコミュニティがボランティアで制作する。動画の「Video」と共同文書作成システム「Wiki」を足し合わせて「Viki」というサービス名がついているのも、ここに由来する。
この名前の由来を書いていたのは日経ビジネスオンラインだけでしたね。
続いて、既に書いたユーザーの幅の広さの話。これは伸び代を感じさせるものですが、他社が手を出しづらかったニッチ市場で大きなシェアを得られるのでは?という気もします。
●楽天のViki買収の狙い コボ・楽天市場との関係は?
日経ビジネスオンラインでは"楽天が日本で一から作り上げた「楽天市場」は売り手、買い手の両方を集めるマーケットプレイス型"としていて、これを中心とした説明が一番おもしろかったです。
マーケットプレイス型は"軌道に乗れば、流通総額も加速度的に高まっていく"という魅力があるようです。しかし、弱点もあり、"初期段階はどうしても時間がかかる"というものです。つまり、楽天が海外の本業で収益化するのは、まだまだ先の話ということになるわけです。
この収益源の時間差を埋めてくれるのが、今回のVikiという動画サービスや既に買収済みのコボという電子書籍サービスだと思われます。これは本業のマーケットプレイス型事業との相乗効果もあると思われ、"コボ事業を強化することで、各国の市場を早めに押さえておきたいという思惑も見え隠れする"としています。積極的に攻めの姿勢ですね。
最近、成長市場の企業では日本の弱さが顕著ですが、そんな中で楽天は気を吐いています。楽天嫌いの方がネット上では多いですけど、私は日本企業代表として成功してくれればいいと素直に思っています。
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