ワタミの話をまとめ。<ワタミ店長、ブラック企業批判に「週に1日休日があるから違う」と反論>、<渡邉美樹会長「月の残業30時間以内」→擁護した店長がブーメラン>、<渡邉美樹ワタミ元会長「労働時間を短くしたら良いという問題ではない」>などの話をまとめています。
2022/07/10まとめ:
●渡邉美樹ワタミ元会長「労働時間を短くしたら良いという問題ではない」
●ワタミ店長、ブラック企業批判に「週に1日休日があるから違う」と反論
2013/9/5:ワタミ関連の話を2つまとめて。自民党から立候補し、晴れて国会議員になった渡邉美樹ワタミ元会長。なんと「(厚生労働省には)企業が新卒の離職率、実際の残業時間をオープンにし、安心して若者が就職できる環境を作ってほしい」とおっしゃっていたそうです。(
朝日新聞デジタル:「新卒離職率、残業時間オープンに」自民・渡辺美樹氏 - 政治 2013年8月31日11時4分より)
ただ、残業時間をオープンにしちゃ一番困るのはワタミでしょう。
35歳店長が反論「ワタミはブラックじゃない」 | 日刊SPA!なんかは、ワタミを擁護しているはずなのに、この残業時間に関する渡邉美樹議員の過去の主張を否定しちゃっていたものでした。ブラック企業大賞を受賞したことに猛然と異を唱える、関東近郊のワタミ店舗で店長として働く元木氏(35歳・仮名)の話です。
渡邉美樹会長、自民党のブラック企業公表に賛成「ワタミは違う」(※自民党は参議院選挙前に、ブラック企業公表の公約を取り下げています)で書いたように、労働基準法の「月の残業30時間以内」をワタミは守っているためにブラック企業ではないと、渡邉美樹元会長はかつて言っていました。ところが、ブラック企業批判を擁護したいはずの現役店長が、以下のようなやり取りをしてしまっています。
<ワタミの業務が長時間労働であるのは公然の事実。元木氏も
平日で14時間、土日祝日となれば16時間は店に出る。キツくはないのだろうか?
「キツいと感じる人は、辞めちゃえばいい。新人がばっくれるのはよくあることなので、軽いかんじで辞めれますよ。それと、皆さんは長時間ずっと酷使されてるイメージをお持ちでしょう? そんなことは全然なくて、ピーク時以外は結構ユルい。
休日だって週に1日ありますしね。まあ、僕は休みの日でも自分の店が気になって見に行ってしまうけど(笑)」>
●渡邉美樹会長「月の残業30時間以内」→擁護した店長がブーメラン
"休みの日でも自分の店が気になって見に行ってしまう"という仕事中毒。病気です。それはともかく、ワタミ社員にとっての休日に14時間もしくは16時間出るとなると2日出るだけで残業時間はほぼ30時間、3日で完璧にオーバーとなります。週に6日出ているようですので、これだけで「月の残業30時間以内」をオーバーしそうです。
しかし、「休日だって週に1日」という言い方なので土日でも出勤日があり、残業時間にカウントされないんでしょうかね? 残業時間が少なくても週に6日出勤で出勤日数が多ければ、もうその時点でダメな気がしますけど…。これだと見かけの残業時間を少なくしているというだけで、普通に悪質なブラック企業です。
「報道があまりに一方的過ぎ。外食なんて基本どこもクソ忙しいし、きつい仕事でしょ。その枠で考えれば、ワタミはものすごく優しい会社ですよ」とも言っていますので、ワタミは業界他社と比較して素晴らしいという認識なんでしょうが、普通はダメだと捉えられます。
ここらへんを甘く見て、週に休み1日・出勤6日がワタミの基本だったとした上で、その他もモロモロ好意的に残業時間を計算してみたのですが、これだけワタミに有利にした条件でもひどいことになってしまいました…。
平日14時間出勤5日 休憩時間長めの3時間 標準労働時間8時間 残業時間…3時間×5日=15時間
休日16時間出勤1日 休憩時間長めの3時間 標準労働時間8時間 残業時間…5時間×1日=5時間
おいおい、たった1週間で20時間の残業になっちゃったよ。計算間違えたかな? あまりにもブラックすぎて笑えてきました。これでは渡邉美樹元会長の1ヶ月30時間という反論は全く通用しません。実態は全く30時間どころではないと思われます。甘く計算しても80時間ですから、100時間は余裕で越すんじゃないですかね。
ただ、実を言うと、この労働基準法を使った渡邉美樹さんの反論は、既に破れているんですけどね。
渡邉美樹会長、ワタミ=ブラック企業を自ら証明 残業限度を超過や
ワタミ現役店長、サービス残業を告白 出勤日数も嘘で休みは月2日で書いています。2つ目の方なんて週に1日の休みすらないです。ただ、今回のように擁護者サイドの主張で墓穴を掘るというのは、ちょっと珍しいと思います。
●社員らはブラック企業ワタミや渡邉美樹会長をむしろ崇拝している?
ワタミの社員やバイトらは、世間から見たおかしいエピソードをむしろ「ワタミは素晴らしい」証拠として出すことがあります。このように社員らがワタミを絶対視する姿は、宗教に例えられることがしばしばありました。いやいや働いているのかと思いきや、心酔しきっているという人も結構いらっしゃるのです。
実際、この現役店長は「美樹さんを崇拝している社員はたくさんいて、ワタミでは彼らが主流派です」と言っています。ただ一方で「でも僕は彼のすべてが正しいとは思わないので、信奉者ではないですね。参院選でも入れませんでしたし」とも言っていました。その上で前述のようなことを言っているのですから不思議に思いますが、彼の場合信仰の対象が渡邉美樹さんでなくワタミというだけみたいですね。以下のような発言もしています。
「(引用者注:元会長を崇拝しない)そんな僕でも、飲食事業におけるワタミの教えは、本当に素晴らしいと思う。“ワタミらしさ”と社員が呼ぶ、ある種の哲学ですね。これを学ぶために働いている面もあります」
「立地が良くないのに売り上げが異常にいい店がたまにありますが、例外なくワタミらしい。ワタミらしくあることが、飲食で繁盛する必勝法なんです。将来自分の店を持つとき、必ず役に立つ。給料をもらいながら、教育を受けさせてもらってると考えてます」
こういうこと書くと宗教の方からお叱りのメールをいただくことがあるのですが、やはり宗教的なものを感じてしまう…というのが正直な感想です。
●渡邉美樹ワタミ元会長「労働時間を短くしたら良いという問題ではない」
2013/9/11:上記で問題視した渡邉美樹ワタミ元会長(現在は自民党の参議院議員)の発言の中に「(厚生労働省には)企業が新卒の離職率、実際の残業時間をオープンにし、安心して若者が就職できる環境を作ってほしい。(中略)(党雇用問題調査会後、記者団に) 」というものがありました。
(朝日新聞デジタル:「新卒離職率、残業時間オープンに」自民・渡辺美樹氏 - 政治 2013年8月31日11時4分より)
http://www.asahi.com/politics/update/0831/TKY201308310040.html 前回も書いたように、本当に”実際の残業時間をオープンに"されたら一番困るのはワタミなわけです。ここらへんはどうするんだろうと思ったら、実を言うと、上記の発言の後に渡邉美樹自民党参議院議員は以下のように言っており、逃げ道を作っていました。
「
単純に(労働)時間を短くしたらそれで良いという問題ではない。根拠もなく一部の企業を中傷したりすることがないように(私も)力を尽くしたい」
「残業時間をオープンに」とは言っているものの、「時間を短くしたらそれで良いという問題ではない」と当時に言っているんですね。これは長時間労働企業を守るための発言で、むしろそれに力を尽くす…という話。後半の発言で前半の残業時間公表は実質的に無効化されました。いくらでも逃げられます。
実はまだ当選する前の8月の初めのときから、こういった逃げ道を渡邉美樹議員は大量に作っていました。<(参院の注目新人)「ブラックじゃない」 渡辺美樹氏>(朝日新聞デジタル:2013年8月2日0時4分)では、以下のようなやり取りがあったのです。
――社内の冊子には「365日24時間死ぬまで働け」と書かれています。
「前後を読んでほしい。
仕事で時間とお金のやりとりをしちゃダメ。仕事は生き様であって仕事を通して生きがいとか成長がある。だから、365日24時間という気構えでやろうということだ。みんなで助け合いながら一人一人の成長に寄り添っていこう、という話だ。この1行だけで『ブラック』というのはおかしい」
http://www.asahi.com/politics/update/0801/TKY201308010413.html "この1行だけで『ブラック』というのはおかしい"だけ読むと一見正論にも見えます。ただ、「発言の抜き出しだ!」という反論は右派の常套手段であり、大抵の場合、全文読んでもアウトです。さらに、渡邉美樹議員の場合は、"仕事で時間とお金のやりとりをしちゃダメ"という余計なことを言ってしまっています。
「仕事で時間とお金のやりとりをしちゃダ」との主張は、労働時間に応じた賃金の支払いを否定し、サービス残業を肯定するものとなります。管理監督者のような特殊な職の場合は確かにそれでも良いのですけど、ワタミのような飲食業でこれに当てはまる人はほとんどいません。
過労死(過労自殺)に関しても相変わらずふざけたことを言っていて、腹立たしいです。以下はこれだけ読むと真摯な態度のようにも見える…というのが、厄介なところではあります。ただ、後述するように、これも実際にはひどい話なんですよ。
――労災での過労自殺は何が原因なのでしょうか。
「なぜ採用したのか。なぜ入社1カ月の研修中に適性、不適性を見極められなかったのか。なぜ寄り添えなかったのか。本当に命がけの反省をしている。ワタミグループの役職をすべて離れたが、創業者として心配だ。だから実は昨日、中堅幹部500人を集めて、二度とこの不幸を起こしちゃいかんと話し合った」
上記の部分だけ読むと、真摯な態度のようにも見えたのですが、実はこの直後に続く部分がひどいのです。
「
しかし、我々の幸せ感とか労働観は、我々の文化だから守らなきゃいけない」としていました。この幸せ感・労働観重視によって、すべての批判を否定可能。要するに「ワタミは変わるつもりがない」という宣言です。
「安倍政権が財界に求めたように、ワタミグループも賃上げをしますか」という質問には、「議員としては求める」というこれまた逃げ道を作る回答。これは経営者としては仕方ないものですし、政府が企業に圧力をかけるのも問題があり、他の発言と違って、一応理解できなくはないですけどね。
とはいえ、逃げ腰感の強い発言でした。しかも、この発言はまだマシな方。賃金に関しても逃げ道づくりに余念がなく、上記の月源の後からもう全力で逃走姿勢をとっており、「
してほしいな」と続きます・そこからさらにダメ押しで「しかし、経営者側から言うと社員の幸せのためにも、まず利益を出さなければならない。順番を間違えると経営が崩れる」としています。
この後に「7、8月の消費が強くなれば、十分に賃金を上げられる余地が出てくると思う」 などと申し訳程度に付け加えていますけど、曖昧な条件付きですのでいくらでも言い訳が効くものでした。
以上ですけど、余談を一つ。渡邉美樹さんの安倍晋三さんとのコネクションは直接ではなく、菅官房長官が一枚噛んでいたようです。
――参院選に立候補した経緯を教えてください。
「地元が同じ横浜市の菅義偉官房長官とはわりと連絡をとっていて、3月くらいに出馬要請があった。4月には安倍晋三首相、菅氏と3人で食事をして、首相から話をもらった」
実は最近の発言にも違和感を覚えるケースが増えてきているのですが、個人的に菅義偉さんは現内閣メンバーで一番共感できる方だと思っていただけにたいへん残念です。(2022/07/10追記:その後、菅義偉さんはボロボロとひどい話が出てきて、官房長官としても首相としても悪い人と判明。見る目がなかったですね)
最後にはちょっと違う話を書いちゃいましたが、全体にワタミがブラック企業であり続けるための逃げ道作りばかりだなぁ…というインタビューでした。
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