●日の丸なんとかが失敗する理由 半導体・ジェット・液晶など
2023/05/21:日の丸半導体や日の丸ジェットなど、日本は日の丸なんとかというのが好きなようです。ただ、これは失敗しやすいやり方。最近立ち上げられた新・日の丸半導体はどうか知りませんけど、過去の日の丸半導体や日の丸ジェット、日の丸液晶などは失敗してきた…という事実は動かせません。
なぜ失敗しやすいか?というと、一つはこうした日の丸なんとかは、国の意向や国の資金が入ることが多いためでしょう。政府が絡むと失敗するというのは、政府を悪く言いたいがためのこじつけだと思う人もいるかもしれませんけど、これはあなたが銀行やファンドなど、企業を支援する民間の担当者の立場になって考えてみるとわかると思います。
あなたがお金を出す場合、成功率が高いプロジェクトと成功率が低いプロジェクト、どちらが望ましいか?と言えば当然前者でしょう。成功率が高いプロジェクトなら民間もたくさんお金を出します。一方、成功率が低いプロジェクトやリスクが高すぎるプロジェクトなど、投資を抑えたいプロジェクトばかり売れ残ると考えられます。
結果、政府が支援するのは、民間がお金を出し渋った失敗しやすいプロジェクトばかり…ということに。これではうまくいかなくて当然です。しかも、政府の場合は失敗しても誰も責任を取らなくて良いので、考えなくドカーンとお金を出しちゃうんですよね。このため、資金が豊富なのにむしろ失敗しやすいという妙なことにもなりがちです。
じゃあ、有望プロジェクトを政府が支援すべきか?と言うと、それも実は変な話。民間を押しのけて政府がおいしいところを持っていくと、民間企業が今度は疲弊する…という国にとって困ったことになります。実際はこういう支援ケースも日本ではあるんですけどね。中国と似て政府関与を好むお国柄で、欧米からは社会主義的で変な国と思われています。
もう一つ、日の丸なんとかは複数企業の連合体になることが多く、これが国が絡まなくても失敗しやすい理由になるかもしれません。こちらも結局、「有望プロジェクトなら自社だけでやりがたるよね」ということで、有望じゃないからではないかと思われます。特に単独ではうまくいかない複数の企業を合わせて…といったケースでは、弱者連合になりがちです。
規模の原理が働きやすいところでの規模の拡大は有効な戦略なので、経済の原則としてはアリ。なので、本来でしたらこうした企業連合は成功しても良いはずです。国が絡みすぎず、弱者連合ではない、強者連合的な日の丸なんとかでしたら成功しておかしくなく、新・日の丸半導体は可能性を感じなくはないんですけど…。
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