2013/9/15:
●回転寿司が安いのは代用魚のせい?回転寿司店長が「常識」と開き直り
●そもそも安定供給される?…怪しい「代用魚だから回転寿司は安い」説
●回転寿司の代用魚詐欺は、違法・偽装表示じゃないの?
●こんなにあるの!?…銀ダラ・ティラピアなど主な代用魚の一覧
●回転寿司が安いのは代用魚のせい?回転寿司店長が「常識」と開き直り
2013/9/15:本当はおもしろがっちゃいけない内容じゃないのかもしれませんけど、代用魚ってのはなかなかおもしろいと思ってしまいました。この代用魚の話を知ったのは、
回転寿司の代用魚 アナゴの代わりにウミヘビ科の魚使用例も/(NEWSポストセブン [2013/08/28] ※SAPIO2013年9月号)です。
ジャーナリスト・吾妻博勝さんによると、軍艦の「イクラ」には「マス子(マスの卵)」が代用されています。一時はサラダ油と海藻エキスを使った「人造イクラ」が出回ったとされていますが、安価なマス子の流通で消えたといいます。
人気の「カンパチ」や「ブリ」にも代用ネタが多く、カンパチの偽装に多用される「スギ」は「コバンザメ」に類似した魚。大型魚の「シイラ」もカンパチに偽装されることがあるそうです。ブリの方の代用魚としては、大型魚の「シルバーワレフ」が定番だとされていました。
「アナゴ」の代用にはペルー産の「マルアナゴ」。その名前からアナゴの仲間を連想するものの、別物のウミヘビ科の魚。深海魚の「ヒモダラ」を「ヒラメ」や「アイナメ」として提供していた回転寿司店もあるそうです。そこの店長は、取材に悪びれる様子もなく以下のように言っていたそいいます。
「どこから入手するのか、業者が得体の知れない魚を持ち込むことがあるが、試食してみて商品にできると判断すればネタとして使う。まったく別の魚でネタ偽装することなど回転寿司では常識だ。だから安く食べられるのだし、いちいち例を挙げればきりがない」
●そもそも安定供給される?…怪しい「代用魚だから回転寿司は安い」説
記事で例示されていた代用魚をまとめると、こんな感じです。
表記名 → 代用魚
イクラ → マス子(マスの卵、人造イクラは下火)
カンパチ → スギ(コバンザメ似た魚)
ブリ → シルバーワレフ
アナゴ → マルアナゴ(ペルー産。アナゴの仲間ではなく、ウミヘビ科)
ヒラメ、アイナメ → ヒモダラ(深海魚)
"もちろん、これはすべての回転寿司店に当てはまる話ではない"とあり、代用魚を使用するような悪徳回転寿司店であっても常に使っているわけじゃないかもしれません。
感想を見ていると、深海魚なんか安定的に取れないといったものがあり、言われてみれば確かにその通り。たまたま網にかかってどうせ捨てるのならと安く買い取って使う…という説明の方が、納得の行くものがあります。これに関連して、
回転寿司で代用魚という話はデマ? 流通量や淡水魚の問題で無理という話も後に投稿しました。
ということで、これらを考えると「だから回転寿司は安いんだ」という説明としては不十分そうですね。
●回転寿司の代用魚詐欺は、違法・偽装表示じゃないの?
しかし、これらの話は無論「だから、代用魚を使っていい」という意味ではありません。消費者を騙している詐欺であり、そういった一部の回転寿司店は許されるものではありません。
違法じゃないんですかね、こういうの?と思って、
Wikipediaを見ると、以下のような話がありました。
<代用魚が正しい表示のもとで売られる事は違法ではないが、表示が分かりにくかったり偽装表示の問題がある。消費者受けを狙って従来魚に似た呼称が用いられ、消費者を欺く行為と非難された例もある。例えば、分類や和名がムツとは異なる魚が「銀ムツ」と称されて問題となった>
上記の問題となったケースは紛らわしい名前というケース。一方、最初の記事の例は紛らわしいじゃなくて完全に違いますからダメでしょうね。どう考えても問題だと思います。 Wikipediaによると、食品表示を偽って代用魚を用いた場合は「偽装魚」とも呼ばれるそうで、最初の回転寿司の場合はこっちでしょうね。
なお、別の問題として、資源管理、環境破壊という点で代用魚が問題となる場合があるとのこと。マジェランアイナメのような他国で古くから利用されている魚種を日本が利用するようになると漁獲量が増えて資源を圧迫。東南アジアにおけるエビの養殖は森林破壊をもたらしています。
また、ナイルパーチはビクトリア湖で外来魚として生態系破壊が問題となっているという例もありました。うちでは過去に、
白身魚のフライのナイルパーチ ヴィクトリア湖の悲劇とダーウィンの悪夢というので紹介したことがあります。
●こんなにあるの!?…銀ダラ・ティラピアなど主な代用魚の一覧
あと、Wikipediaにも代用魚のリストがございました。ズラリとあって嫌になりますが、どうぞ。
<代表的な代用魚>
和名(別名) - 用途
アカニシ - サザエの代用。
アカマンボウ - マグロの代用。
アブラボウズ - クエの代用。
イタヤガイ - アオヤギの代用。
ウシエビ(ブラックタイガー) - クルマエビの代用。
オヒョウ - エンガワ(ヒラメ)の代用。
カラスガレイ - エンガワの代用。
カラフトシシャモ(カペリン) - シシャモの代用。
ギンダラ - ムツ、タラの代用。カサゴ目であるが、ギンダラが標準和名である。
サルボウガイ - アカガイの代用。
ティラピア - マダイの代用。
ナイルパーチ - スズキの代用。
ホキ - スケトウダラの代用。白身フライなど。
マルアナゴ(アンギーラ) - マアナゴの代用。ウナギ目アナゴ亜目ウミヘビ科に属するアナゴの近縁種である。
マジェランアイナメ(メロ、銀ムツ) - ムツの代用。
メルルーサ - スケトウダラの代用。白身フライなど。
ロコガイ - アワビの代用。
ヨーロッパウナギ - ウナギの代用。
"代用魚が正しい表示のもとで売られる事は違法ではない"と先のWikipediaにありました。私は個人的には、おいしいのであれば別に有名な魚じゃなくても構まわないと思います。ただ、回転寿司店としてはそうなると価格や売れ行きに影響が出るので「構う」のでしょうけど…。
【本文中でリンクした投稿】
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回転寿司で代用魚という話はデマ? 流通量や淡水魚の問題で無理 ■
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