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アマゾンの次なる標的は農協 アイリスオーヤマ、コメリもポスト農協を狙う


 記事の書き出しは"長らく、日本の農業や地方経済を支えてきた全国農業協同組合中央会"とありましたが、最近だと日本の農業や地方経済の「足を引っ張てきた」感じのある農協のお話です。
農協に襲いかかるアマゾンの勝算:日経ビジネスオンライン
白壁 達久 2013年8月1日(木)

 農協グループ(JA)は種子や肥料、農薬やトラクターなどの農業資材を農家に売り、農家から集荷した作物の販売も請け負う。さらに、大手資本や金融機関が進出しない地域で、農家を相手に資金を貸し出す――。農協が果たしてきた役割は非常に幅広い。だからこそ、農家は農協に任せておけば安心という持ちつ持たれつの関係が構築された。

 農協に代わってサービスを始めようにも、金融から販売、流通などすべての機能を代行することは難しい。参入してもビジネスとして成功せずに撤退する企業も少なくなかった。

 だが、農協の独占による弊害も出ている。「すべてやってくれるのはありがたいが、いかんせん手数料が高すぎる」。こう漏らすのは岩手県で大規模な生産法人を経営する男性だ。

 この男性いわく、今年の大豆の販売価格は1俵当たり7000円だった。ところが、農協を通すと4500円になったという。「資材等の費用も含まれるとはいえ、3~4割も持っていく。農協への出荷を減らして直取引を増やすのは当然。でもまあ、近隣との付き合いがあるから無視はできないけれど…」と男性はこぼす。

 トータルで面倒を見る代わりに、手数料を多めに取る。独占が続く中では、このビジネスモデルも通用した。だが、ここ数年、農協に代わる存在が台頭し始め、農協の存在感が薄れつつある。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130730/251709/?n_cid=nbpnbo_mlp&rt=nocnt

 やっぱり独占市場ってのはロクなことにならんのです。


 記事中には"農協への出荷を減らして直取引を増やすのは当然"とありましたけど、その結果が以前書いたJA越前たけふの全農離脱です。

  ■農家のための農協に戻る JA越前たけふの全農離脱
  ■JA越前たけふの改革 お米を消費者へ直接販売、コスト意識上昇など

 しかし、この流れの中であってもアマゾンの登場となると、なかなか意外性があります。
 なかでも「黒船」として恐れられているのが、電子商取引では世界最大の米アマゾン・ドット・コムの上陸だ。アマゾンジャパンは今年3月、「農業ストア」なる農業専用ページを開設し、日本の農家をターゲットに農業資材の販売を始めたのだ。

 アマゾンは耕運機や肥料など1万点以上の品ぞろえを誇る。全国で増やしている物流拠点をベースに、宅配業者を活用して玄関先まで届けることができる。まだまだ存在としては小さいが、全国規模で地方の零細農家にまで資材を届けることができるという農協の強みを揺るがしかねない。

 アマゾンは海外なので日本企業に頑張って欲しいなぁと思ったら、日本でもポスト農協候補がいました。
 ホームセンターのコメリも、農家に購入の選択肢を増やす存在として注目を集めている。農家が支持する理由は2つ。価格の安さと、支払い条件が農家に適したカードの存在だ。販売する農業資材は「農協より安い」とも言われる。特に、ハウスの補修資材や肥料、農薬などの価格競争力は高い。

 農家向けに発行する「アグリカード」は、収穫月にまとめて支払える機能を持つ。従来、多くの農家は農協から資金を借り、収穫後に返済するのが一般的だった。だが、アグリカードを使えば、収穫が終わるまで支払いが猶予される。

 借りずに資材を購入できるようになるため、利息の支払い負担が減るうえ、「農協でカネを借りたら、暗黙の了解で農協に出荷しなければならなかった」という不文律に従う必要はなくなる。アグリカードの発行枚数は4万枚を超える人気ぶりだ。

 あと、やたらと手広くいろいろ手広くやっている感じのするアイリスオーヤマも登場。

 何の企業なんだろう?と思っていたら、記事の説明では「プラスチック成型品を主業とするアイリスオーヤマ」とありました。

 しかし、すぐ後に家電やペットフードの話が出てくるなど、プラスチックとは何の縁もなさそうなことをやっています。私がアイリスオーヤマを最初に知ったのはこのペット関連用品の方でしたので、ホームセンターの棚がどこもかしこもアイリスオーヤマだらけなのを見て何じゃこの企業は?と思いました。

 今回の話は農協のことなので、もちろんプラスチック成型も家電もペットも直接は関係ありません。"今年5月、コメの卸事業に参入すると発表した"という話です。
 LED(発光ダイオード)電球事業や家電事業への参入などで次々と事業の柱を築いて勢いに乗るアイリスの新規事業である。50億円を投じて精米工場を新設。来年の2月に稼働予定だ。「温度管理を徹底し、コメの酸化を防いで新米の香りをご家庭に届ける」(大山健太郎社長)。同社はペットフード事業で培った、酸化防止用の小包装と脱酸化剤の技術をコメの流通にも活用する考えだ。

 コメの生産は、タッグを組む宮城県の農業生産法人「舞台ファーム」が担う。同法人はこれまで、野菜を中心に契約農家を増やして拡大してきた。今回、アイリスとともにコメビジネスに参入し、大規模化を狙うコメ農家を統率する。

 アイリスオーヤマは農協機能をまるまる"代替できるとの判断がある"そうで、幅の広さとしてはポスト農協最有力かもしれません。
 アイリスがコメの卸事業への参入を決断した背景には、農協の機能を自社で代替できるとの判断がある。同社の主要な取引先であるホームセンターは地方に拠点が多く、農薬や肥料など農家向けの資材を多く扱っている。これまで築き上げたネットワークをフル活用する。

 スーパーマーケットなどの量販店との関係はそれほど強くないが、コメを通じて取引拡大を狙う。いかにして量販店に入り込むか。アイリスは小口包装で勝負を挑む。

 「量販店からすると、10kgのコメはあまり売りたい商品ではない。重すぎてほかの商品を買わなくなるからだ。小口にすればほかの商品も買えるうえ、開封後1週間程度で食べきれるサイズなのでコメの酸化を防ぎ、美味しく食べられて消費者にもメリットはある。全国展開する小売りからの反応も良い」(大山社長)。

 アイリスオーヤマはおもしろいですね。興味出てきました。
 タッグを組む舞台ファームの針生信夫社長はアイリスと組む意義を次のように語る。「アイリスはメーカーでありながら卸の機能も自社で有してきたため、作り手至上主義ではない視点を持つ。消費者に近く、何が求められているかを常に探究する。『良いモノさえ作ればいい』という従来の農家とは視点が異なる。ここに改革の芽がある」。

 農家への資金貸し出し機能も代替可能と大山社長の鼻息は荒い。

 カネを借りたい農家に対し、資金を貸したくても担保がないため貸せなかった地方銀行や信用金庫。大山社長は両者を結びつける秘策として、農家に対して全量買い取り保証を約束する。期初にあらかじめ買い取り価格を提示して契約し、収穫した全量の買い取りを保証するのだ。


 その他に損害保険に関しては、三井住友海上火災保険が出てきています。
 農家向けとしては全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)が君臨する損害保険業界でも農業にビジネスチャンスの芽を見出す企業が出てきた。三井住友海上火災保険は今年5月、農業向けの損害保険商品「フード&アグリビジネス総合補償プラン」の発売を始めた。

 通常の火災保険のほか、天候不順による原材料の高騰や風評被害、食中毒発生による損害など幅広くカバーする。

 農協は良いイメージがないのでどんどんやってしまえと思いますが、これで農協側が危機感を持ち一念発起してくれるのなら、それはそれで日本の農業にとっては良いことです。


 関連
  ■農家のための農協に戻る JA越前たけふの全農離脱
  ■JA越前たけふの改革 お米を消費者へ直接販売、コスト意識上昇など
  ■農業参入企業のTPPに備えた取り組み ~セブンファーム、ローソンファームなど~
  ■セブン&アイのセブンファームやローソンファーム、農業重視で拡大の意向
  ■高くても買ってくれる農産物直売所
  ■その他の企業などについて書いた記事

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