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水道水の塩素は偉大、コレラを撲滅 ペルーのコレラ流行とも関係?


 あるものやあることを恐れすぎるせいで、それ以上に恐ろしいものやことの危険性を見過ごしてしまうということはよくあります。

 たとえば、飛行機と自動車の事故の確率 同時多発テロで死亡事故が急増した米がそういう話であり、物事の危険性というのはよく確かめなくちゃならないなという教訓になっています。

 ただ、同時多発テロ事件は衝撃的すぎました。テレビがビル倒壊映像の多用を避けるといった配慮はできたはずとは思うものの、死亡事故増加を完全に防ぐことができたか?と言うと、難しかったと思います。


 同時多発テロ事件でそうであるように、問題となるのはこの危険性を誤認識させるような大げさな情報を流すメディアや専門家や個人です。

 実際にどれほどの報酬があるかは違いますが、そういった情報を流すことで利益を得ているというのがまたたちが悪いです。
(個人は金銭的には無報酬なことが多いですけど、こういった情報を流すことである種の欲求を満たしているために報酬があります。私がこうやって書いているのも、言ってしまえば自己満足です)

 今回取り上げる水道水の塩素にまつわる情報もそういった危険性をはらんでいると言えます。


 何度か書いていますけど、水道水の塩素はコレラ撲滅の立役者です。
塩素 - Wikipedia

消毒

塩素は水道水の消毒に使用されており、水道法の規定で、各家庭の蛇口で1リットル当たり0.1 mg以上の濃度を保つように規定されている。一方、有機物と塩素が反応することにより、塩素臭(カルキ臭)が発生するほか発癌性が疑われるトリハロメタンを生成するといわれ、同様に塩素で汚水処理を行うと水路に塩素化有機物が流れ出てしまうのではないかという懸念の声もある。ただし、コレラなどの病気がほとんどの国で駆逐されたのは塩素を含んだ水道水のおかげでもある。近年は水道水の高度処理が進み、塩素臭は以前に比べて弱まっている。
Wikipedia

 上記でトリハロメタンの話が出ていますが、この場合はコレラによる死亡などとトリハロメタン由来の発がんによる死亡などで比較しなくてはいけません。

 トリハロメタンでどれくらいの人が亡くなっているかはよくわからないのですけど、コレラによって多くの人が亡くなってきたというのははっきりとわかっています。
コレラ - Wikipedia

コレラの感染力は非常に強く、これまでに7回の世界的流行 (コレラ・パンデミック) が発生し、2006年現在も第7期流行が継続している。2009年1月29日現在、ジンバブエで流行中のコレラの死者が3000人に達し、なお増え続けている。(中略)

アジア型は古い時代から存在していたにもかかわらず、不思議なことに、世界的な流行 (パンデミック) を示したのは19世紀に入ってからである。(中略)1826年から1837年までの大流行は、アジア・アフリカのみならずヨーロッパと南北アメリカにも広がり、全世界的規模となった。以降、1840年から1860年、1863年から1879年、1881年から1896年、1899年から1923年と、計6回にわたるアジア型の大流行があった。しかし1884年にはドイツの細菌学者ロベルト・コッホによってコレラ菌が発見され、医学の発展、防疫体制の強化などと共に、アジア型コレラの世界的流行は起こらなくなった。

だがアジア南部ではコレラが常在し、なお流行が繰り返され、中国では1909年、1919年、1932年と大流行があり、またインドでは1950年代まで持ち越し、いずれも万人単位の死者を出すほどであった。

一方、エルトール型コレラは1906年にシナイ半島のエルトールで発見された。この流行は1961年から始まり、インドネシアを発端に、発展途上国を中心に世界的な広がりを見せており、1991年にはペルーで大流行が発生したほか、先進諸国でも散発的な発生が見られる。1992年に発見されたO139菌はインドとバングラデシュで流行しているが、世界規模の拡大は阻止されている。
Wikipedia

 上記はコレラ全般の話であり、コレラの危険性は示しているものの、水道水と直接的に関係しているわけではありません。

 ただ、終わり頃に記載のあったペルーの大流行に関しては、水道水の塩素との関係しているという説が広まっています。
ペルーの大流行は、水道水の塩素消毒中止が関係していると考えられている(「環境リスクをどう読むか」甲斐倫明 大分県立看護科学大学 人間科学講座 「大分看護化学研究」1(2), 47-48 (2000) http://www.oita-nhs.ac.jp/journal/PDF/1_2/1_2_9.pdf)

 しかし、実際にはだいぶ違うようです。
レイチェル・ニュース #823

 2005年6月に『ペルーでコレラを引き起こした予防』という新たな研究が『リスク・アナリシス(Risk Analysis)』誌に発表された[8]。その中で、著者ジョーエル・ティックナーとゴウベイア・ビジェアントは、ペルー当局が予防目的で又はその他の理由で実際に塩素添加を止めたかどうかを明らかにするために大変な努力を行った。彼らはそのようなことが行われたという証拠を見つけることはできなかった。

[8] Joel Tickner and Tami Gouveia-Vigeant, "The 1991 Cholera Epidemic in Peru: Not a case of Precaution Gone Awry," Risk Analysis Vol. 25, No. 3 (June, 2005), pgs. 495-502. Available at http://www.rachel.org/library/getfile.cfm?ID=545
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/rachel/rachel_05/rehw_823.html

 最近の例などを見ても井戸水などが多いですが、ペルーの事例では以下のような複数の問題点があったようです。
スワードローの調査はペルーのコレラ流行の原因はミラーやホーレットが我々を信じさせよとしたことよりもはるかに複雑なものであった。スワードロー調査が特定した原因のいくつかを下記に挙げる。

a.塩素添加システム(又はその他の殺菌システム)がペルーのほとんどの水供給にない
b.人々は自分の家に水を引き込むために給水本管にパイプをこっそり差し込み、裂け目を紙とプラスチックでふさぐので、細菌が給水本管に入り込むことがある
c.地域の農民は野菜畑(キャベツ、レタス、にんじん)の灌漑のために不法に下水管にパイプをつなぎ未処理下水で灌漑する
d.(ポンプ停止時あるいは停電時に)水圧が下がる又はなくなり、給水本管に汚染物が逆流する
e.多くの共同体には下水処理システムがない
f.貧困者層の地域では給水が断続的又はないので多くの所帯では樽に水をためておくが、多くの人々が水を汲むために手や腕を樽の中に入れるので細菌が家族に広がる

 塩素投入をやめたのではなく、そもそも塩素による殺菌などの様々な対策がされていなかったことで生じた流行だったようです。


 ということで、ペルーの件は事実ではない可能性が高いのですけど、複数の危険性があるときにその危険性を比較して考えることが重要ですよという話としてはたいへんわかりやすいものではあります。

 先のWikipediaの元になったPDFは、モロにそういう話でした(改行は変更しています)。
「環境リスクをどう読むか」甲斐倫明 大分県立看護科学大学 人間科学講座 「大分看護化学研究」

3. リスクの敵はリスク

 リスクを減らすことがリスク管理の目標になるが、近視眼的にあるリスクを減らすことに注目するあまり、別なリスクが増加することがあることも注意しなければならない。

 例えば、水道水の塩素消毒によって生じるトリハロメタンの発がん性と塩素消毒をしないことによる感染症のリスクとはリスクのトレードオフの関係にある。
 1991年のペルーでのコレラの流行は、水道水の塩素消毒が発がん性があると見なした米国のリスク評価に影響され、塩素消毒を廃止したペルー政府の決定が関係していると考えられている。

 このように、ひとつのリスク減らしは全体のリスクを減らすことにならない場合がある。
 多くの場合、リスクは私たちの生活スタイルと深く関係している。生活スタイルとのバランスしながら、リスクを適切にコントロールするための情報と知恵がこれからますます求められるようになるであろう。
http://www.oita-nhs.ac.jp/journal/PDF/1_2/1_2_9.pdf

 私自身も気をつけなくちゃいけないのですけど、「健康のため」「人命のため」といったお題目を掲げながら、実際には人々の命を削っているという鬼畜の所業をやっている人が大勢います。

 そういうのを生真面目に怖がっていると、不安感だけで寿命が縮みそうなくらいです。

 重要なのは実際にどれくらいのリスクがあるかということですから、とりあえずそういったことを書いていないものは参考程度と受け流しておいた方が無難です。


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  ■飛行機と自動車の事故の確率 同時多発テロで死亡事故が急増した米
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