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移民のデメリット?アメリカの不法移民を含む移民の犯罪率を調べた結果…


 移民問題の話をいくつか。犯罪やテロは、移民反対理由として最も大きなものの一つであると思われます。実際にテロは起きているのですけど、凶悪犯罪を起こす確率で見ると、移民の方が犯罪率がはるかに低いという意外な結果も出ています。

 また、移民大国として知られるアメリカですが、移民の歴史は同時に「移民排除」の歴史でもあるようです。日本絡みでは過去に日本人強制収容という問題も起こしているのですけど、現在でもこれを好意的に見る人が、現在の移民排除政策を正当化する流れの中で出てきており、過去の問題とも言えないようです。

2013/9/21:
●むしろアメリカによく馴染んていたテロを起こした移民の兄弟
●母国の文化に染まりきっていた方がむしろ良かった?
●アメリカの移民「排除」の歴史 新参者が次の新参者を排除することが多かった
●不法移民は凶悪犯罪者ばかり…と右派団体がデマを拡散していた
●移民のデメリット?アメリカの不法移民を含む移民の犯罪率を調べた結果…
2015/11/21:
●日本人強制収容と同様に難民は受け入れるな アメリカの市長が主張
●日系人強制収容が「人種的偏見」だったことは既に決着済み
●拒絶されるシリア難民と自分たちを重ねる日系人元収容者
2020/02/24:
●カリフォルニア議会が日系人の強制収容で公式謝罪、なぜ今頃?
2021/03/04:
●第二次世界大戦では、日系人だけでなくドイツ系アメリカ人も逮捕 【NEW】


●むしろアメリカによく馴染んていたテロを起こした移民の兄弟

2013/9/21:2013年4月15日に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件。事件の容疑者がチェチェン人兄弟だと判明して間もなく、オバマ政権が進める移民改革制度に反対する保守派は移民の増加は凶悪犯罪やテロを助長するという主張を開始したそうです。

 ただ、意外なことに、この兄弟は意外なことにアメリカに比較的馴染んでいたようです。カナダのクイーンズ大学で講師として旧ソ連史を教えるレオニード・トロフィモフさんは、兄弟について以下のように指摘していました。

「コーカサス地方出身者の特色として、家族の繋がりが非常に強い点があげられる。(中略)兄は永住権をもち、弟は市民権を得て、一見すると順風満帆な生活で、テロを起こす強烈な動機がこれらの事実から垣間見ることはできない。しかし、親族の繋がりやしがらみを考えると、彼らの心境の変化が少し理解できるような気もする」

 「私の周りでもよく聞く話だが、一定の年齢で別の国に移住した人は、新しい国に同化するために、たとえばアメリカならアメリカ人らしく振る舞おうとする」とのことで、ボストン事件の兄弟もむしろアメリカ人らしく振舞っていたようです。
(ボストン爆弾事件の思わぬ余波で露呈したアメリカ社会の移民に対するホンネと偏見|脅えるアメリカ社会 ボストンマラソン爆弾事件の衝撃|ダイヤモンド・オンライン 2013年8月9日 仲野博文より)


●母国の文化に染まりきっていた方がむしろ良かった?

 アメリカ人らしく振舞っていたことは良いことのように思えますが、これが逆に仇となった可能性があるというのです。

「ロシアなどよりも家族単位の繋がりが強いコーカサスでは、ツァルナエフ兄弟が他の親族連中からアメリカナイズされた考えや容姿を色眼鏡で見られていた可能性は大いにあるだろう。兄がコーカサス地方に住む親族を訪ねていたという報道があったが、何らかの葛藤があったのではないだろうか?」

 この問題を知るためにには、「ジェネレーション1.5」という言葉を理解する必要があります。外国で生まれ、思春期かその少し前に別の国に移住した者がこの世代に該当します。移住前に母国で文化的なアイデンティティを確立し、移住した国でも新しい文化を受け入れることのできる世代で、移民の第一世代と第二世代の中間に位置するグループとして考えられています。

 複数の言語を使いこなし、異なる文化への対応にも問題がないと一般的には考えられています。ただ、問題なのは、逆に居場所を見つけられずに苦しむケースもあるということです。「ジェネレーション1.5」という世代は適応力があるがゆえに、かえってアイデンティティの確立に苦慮する人がいるという説明でした。


●アメリカの移民「排除」の歴史 新参者が次の新参者を排除することが多かった

 ボストンマラソン爆弾事件は、移民に反対する勢力に新たな反対理由を与えました。アメリカは「移民でできた国」なのに、今は移民を拒否しているのです。私には妙な感じに見えました。ところが、記事では"アメリカは移民によって国家が形成されてきた半面、アメリカの移民史は「排除」の歴史でもある"と指摘されていました。

・合衆国憲法が施行された翌年の1790年、最初の帰化法が施行される。この法律ではアメリカでの居住期間が2年を超える白人に限り、市民権取得の申請が認められた。しかし、1798年になると第2代大統領ジョン・アダムスが移民に厳しい政策を打ち出し、同年に施行された新帰化法では「アメリカ社会にとって危険と考えられる外国人の国外追放」が加えられ、市民権取得申請までの居住期間が2年から14年に変更された。
・アイルランドからの移民が増え始めた1850年代には、カトリック教徒が急増することで、バチカンがアメリカの国家運営に影響を与えることを危惧したプロテスタント系の議員が、アイルランド人の移住制限に動いたことがあった。
・ゴールドラッシュと鉄道建設で多くの中国人が19世紀中頃にアメリカに渡ったが、増え続ける中国人に対して規制が法律化されたり、排斥運動がコミュニティ単位で発生することも珍しくなかった。

 異なるバックグラウンドを持つエスニックグループが大挙して移住する際に、先に「アメリカ人」となったエスニックグループから横槍が入ることが多い、としていました。新参者がさらに新しく入ってくるものを叩く形ですね。ただ、その「歴史」からすると、最近はちょっと特殊。現在の移民制度改革に反対する勢力といえば、ティーパーティーのような右派団体が主体です。変わってきている感じでした。


●不法移民は凶悪犯罪者ばかり…と右派団体がデマを拡散していた

 この右派団体は右派団体らしく、今回も露骨な移民制度改革反対運動をしています。ティーパーティー運動の関係者らは「追悼プロジェクト」というNPOを立ち上げました。全米を飛び回り、不法移民による凶悪事件の増加に警鐘を鳴らし、さらに厳しい移民制度を設けるべきと主張しているんだそうです。

 なぜ不法移民か?と言うと、オバマ政権の移民制度改革には。アメリカ国内に1000万人以上いるとされる不法滞在者に市民権取得のチャンスを与える…というものがあるためです。不法滞在者に市民権をあげてしまおうという発想もよくわかず正直賛同し難いのですけど、ティーパーティーは彼らの凶悪さを強調しすぎていて不快感を覚えます。

 ティーパーティーは、殺人や誘拐とともに、飲酒運転による死亡事故も、不法移民が引き起こした凶悪犯罪として扱われており、不法移民による犯罪が一般の犯罪よりも誇張されている感は否めない、と記事ではされていました。この時点で「デマ」と言って良さそうなレベルですが、この後の話を読むと明らかにデマだとわかります。


●移民のデメリット?アメリカの不法移民を含む移民の犯罪率を調べた結果…

 日本でも「日本には凶悪犯罪を犯す外国人だらけ」というデマを信じている人がいるのですけど、きちんとデータを見るともちろんそんなことはないんですよ。ABCニュースは、統計学的に見た場合に不法滞在者を含む移民と凶悪犯罪の関連性はほとんどないと伝えています。これはデータ的な根拠がきちんとありました。1990年から2010年の間に不法移民の数は350万人から1100万人に増加した一方、同時期にアメリカ国内での暴力犯罪は40%も減少しているのです。

 加えて、ハーバード大学のロバート・サンプソン教授(社会学)が1995年から2003年にかけてシカゴで行った調査では、不法滞在者を含む移民の方が一般のアメリカ人よりも暴力犯罪に関与しない傾向にあることが判明しています。移民の第一世代を祖父母が外国からやってきた第三世代のアメリカ人と比較した場合、第一世代の移民が暴力犯罪を引き起こす確率は45%も少なかったというのです。

 犯罪率は一般的に経済状況と比例することが知られています。ですから、私は貧しい人が多いであろう不法滞在者を含めても犯罪率がむしろ低いというのは正直予想外でした。逆だと思っていましたわ。これについて、パレスチナ出身のタクシー運転手は以下のように語ったそうです。

「移民の多くは母国よりもいい生活を送りたいという理由でアメリカに来るのです。事実、私もそうでしたから。必死に働いて、ここで生活の基盤を築いていく。大変ですが、みんなそうやってスタートするんです。移民はテロリストや犯罪者ではなく、アメリカで成功したいと考える普通の人間なのです」


●日本人強制収容と同様に難民は受け入れるな アメリカの市長が主張

2015/11/21:"難民拒否、日系人収容になぞらえ正当化…米市長"(読売新聞 2015年11月20日 10時11分)によると、アメリカ南部バージニア州のある市長が、シリア難民受け入れへの反対を第2次大戦中の日系人強制収容になぞらえて正当化する声明を発表し、批判を浴びていました。
http://www.yomiuri.co.jp/world/20151120-OYT1T50035.html

 声明を出したのは、バージニア州ロアノーク市のバワーズ市長(民主党)。「ルーズベルト大統領(当時)は真珠湾攻撃の後、日本人を隔離せざるを得ないと感じた」と説明したうえで、「『イスラム国』の脅威は、当時の私たちの敵(日本)からと同じように現実のものであり、重大だ」と主張しています。

 米メディアによると、同じ民主党でも州幹部らは声明を強く批判。ところが、市長は「ルーズベルト大統領の決断は、当時の状況を考慮すれば正しかった」と正当化。ただ、別記事によると、その後結局、謝罪に転じたようです。日本の政治家でもこういうパターン多いですよね。

 メディアによっては多少和訳が異なります。参考のために別記事も紹介しておきましょう。

<敵対行為や残虐行為が終わるまではシリア難民の受け入れ支援を中止すると発表。
 その際、第二次世界大戦中の政府による日系人強制収容を引き合いに出し、「真珠湾攻撃の後、当時のルーズベルト大統領が日本人を隔離せざるを得ないと感じたことを思い出す」「いま、私たちが『イスラム国』から受ける脅威は、当時、私たちが当時の敵(日本)から受けていた脅威と同じくらい現実的で深刻だ」などと説明しました>
(「シリア難民めぐるバージニア州の市長の発言が波紋」 News i - TBSの動画ニュースサイト(21日01:47)より)


●日系人強制収容が「人種的偏見」だったことは既に決着済み

 この発言については当然日本人も反発しています。ただ、不思議なのが、現在のアメリカがシリア難民を受け入れないことについては支持している人も、上記の発言を批判しているんですよね。日系人強制収容は問題だが、シリア難民を排除するのは正しいという考えのようです。

 とりあえず、日系人収容に正当性がなかったということは、既に決着しています。平時になって冷静に考えてみると、到底正当化できるような判断ではありませんでした。そうした話を持ち出して正当化している人が出ている現状についても、よく考える必要があるでしょう。

<アメリカ政府は当時、安全保障上の理由からおよそ12万人の日系人(3分の2はアメリカ市民権を持つ2世)を僻地の収容所に隔離。しかし、のちになって「人種的偏見」や「戦時ヒステリー」などが原因だったと認め謝罪するなど、アメリカ史の“汚点”の一つとも言われています>


●拒絶されるシリア難民と自分たちを重ねる日系人元収容者

 問題はシリア難民に対する拒絶は、正当性があるの?というところ。日本人の反応は前述の通りシリア難民拒絶はOKって感じなのですが、実際に収容された日系人は、シリア難民を拒否することについても心を傷つけられています。

<その“汚点”を正当化するかのような発言をしたことに加え、自分たちが体験したような人種差別、外国人への嫌悪とも取れるシリア難民への拒否反応を示したことに、日系人元収容者の多くが怒りを感じているのです。
 「市長は『イスラム国』がアメリカでもテロ行為を行うことを恐れているのでしょう。ただ脅威は『イスラム国』であって、一般のシリア人ではないのです」(ボ・サカグチさん)>

 上記のように、日本人強制収容だけを問題視しているのではなく、人種差別や憎悪といったところがポイントになっているのです。したがって、おそらくアメリカの市長の発言だけでなく、アメリカの一般人や日本人などによるシリア難民への発言もまた、日系人元収容者の古傷をえぐることになると思われます。


●カリフォルニア議会が日系人の強制収容で公式謝罪、なぜ今頃?

2020/02/24:カリフォルニア州下院議会は2020年2月20日、第二次大戦中の日系米国人の強制収容を議会として支持したことを謝罪する決議を全会一致で採択。決議案は民主党で日系人のアル・ムラツチ議員らが超党派で提出したものでした。

 日系人の強制収容を巡っては、88年にレーガン政権が公式に謝罪。生存者に1人当たり2万ドル(現在のレートで約220万円)が補償されています。ただ、カリフォルニア州議会の公式謝罪は初めてだそうです。なぜこのタイミング?というのは、不思議でした。

 この理由ですけど、もともと書いていた最近の問題との絡みみたいですね。トランプ政権が排外的な移民政策を進める中、負の歴史を繰り返さない決意を示したとの説明です。ムラツチ議員は、「過去の過ちから学び、こうした自由への攻撃が米国のどんなコミュニティーに対しても二度と起きないようにしなければならない」と訴えていました。
(米加州議会が日系人強制収容を謝罪「二度と起きないように」 毎日新聞2020年2月21日 10時45分(最終更新 2月21日 10時45分)より)


●第二次世界大戦では、日系人だけでなくドイツ系アメリカ人も逮捕

2021/03/04:他のところで追記した話なのですけど、ドイツ系アメリカ人の名字…という意外な話で、移民差別的な話が出てきてびっくり。第二次世界大戦のときなどには、日系人だけでなくドイツ系の人も差別にあった模様です。戦争だけでなく、国同士の対立などがあった際に差別も同時発生するというパターンなのだと思われます。日本も注意しないといけません。

<第一次世界大戦においてアメリカが参戦するとドイツ系アメリカ人は苦境に立たされた。アメリカ赤十字社はドイツ系の姓の者の入社を禁止。スパイではないかと疑われたり、リンチに遭うこともあった。アメリカへの忠誠を誓うために国債を大量に購入することを強いられる者もいた。ドイツ系アメリカ人が多く住む町ではドイツ語の通り名などが廃止されたり、公共の場でのドイツ語使用が禁じられた。この流れは戦後も続いた。この時期多くのドイツ系アメリカ人が名前を英語風に変更した(例えばSchmidtをSmith、MüllerをMillerなど)。これらのことによって多くのドイツ系アメリカ人の「アメリカ化」が進んだが、一方で自らのルーツを否定、母国との繋がりを断ち切らざるを得なくなった>
<1941年よりアメリカも参戦した第二次世界大戦では、ドイツとアメリカが再び敵同士となり、数多くのドイツ系アメリカ人が「敵国人である」「ドイツ風の容姿・名前である」ことから逮捕・拘束された>(Wikipediaより)


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