解雇については以前も書いたように私は複雑な心境です。
日本では解雇がしづらすぎて歪みを生んでいる部分がありますが、そこだけを変えてしまうと企業側に有利すぎる使われ方ばかりになるのでは?というのが心配です。たぶん今の政府にはそういう気遣いはできないだろうなぁというのがあります。
そういや派遣社員がそうだよなぁと思ったのですが、日本はどうも海外のやり方から企業側に良いところだけを抜き取る感じがあります。
ということで、非常に消極的な賛成で、以下の記事もやむを得ないかなぁくらいで見出ししか見ていませんでした。
朝日新聞デジタル:「解雇しやすい特区」検討 秋の臨時国会に法案提出へ 2013年9月20日22時49分【山本知弘、清井聡】
http://www.asahi.com/politics/update/0920/TKY201309200403.html しかし、この記事が2ちゃんねるで取り上げられていてちらっと覗いてみたら、中身が想像以上でビビりました。
こりゃ、過剰反応じゃなく、マジでヤバいかも……。
とりあえず、最初の一文はタイトル通りです。
政府は企業が従業員を解雇しやすい「特区」をつくる検討に入った。
これはタイトルでわかっているので別に何とも思わなかったのですが、次を見てびっくり。
労働時間を規制せず、残業代をゼロにすることも認める。秋の臨時国会に出す国家戦略特区関連法案に盛り込む。
えっ、えっ? ホワイトカラーエグゼンプションもいっしょにやるの?
ホワイトカラーエグゼンプション(または、ホワイトカラーイグゼンプション、英: white collar exemption、ホワイトカラー労働時間規制適用免除制度)は、いわゆるホワイトカラー労働者(主に事務に従事する人々を指す職種・労働層)に対する労働法上の規制を緩和・適用免除すること、またはその制度。
各国の労働法制において、労働時間の規制がなされていることを前提としてその規制の適用を免除し、または例外を認めることで、労働時間の規制を緩和することをいう。狭義には労働時間そのものに関する規制についての緩和を指すものであるが、労働時間規制に付随する規制として、労働時間に応じた賃金の支払いの強制や、一定の時間を超えた超過時間についての割増賃金の適用義務化などが設定されていることから、広義にはこれらの適用の免除についても本制度の範疇として理解される。(中略)
「一律に時間で成果を評価することが適当でない労働者の勤務時間を自由にし、有能な人材の能力や時間を有効活用する」ことを趣旨とする、日本では未導入の制度。
Wikipedia 私はホワイトカラーエグゼンプションにも似たような態度であり、必ずしも反対ではないものの当初の狙いに沿った運用が日本で本当にできるのか?というのが不安です。
というのも、この適用には通常厳しい制限がつき、高度人材を想定しているものだからです。
実際、Wikipediaを読んでみると、第一次安倍内閣で日本が作った試案は、ヨーロッパのものよりかなり緩かったといった書き方。なし崩し的なサービス残業の肯定化に繋がりかねません。
と言うか、安倍首相こういうの好きなんですね。ホワイトカラーエグゼンプションの再来です。さすが「再チャレンジ」がキーワードの首相だと思います。
で、今回のものはどうなのか?と見ると、この「高度人材に限る」という点が記事に書かれていません。こりゃダメです。
書かれていたそれっぽいものは、以下だけでした。
特区で導入する解雇ルールや労働時間規制の緩和は、特区内にある開業5年以内の事業所や、外国人労働者が3割以上いる事業所が対象だ。
ひどすぎだろう……と思ったのですが、私が2ちゃんねるまとめサイトで見たのは前半の無料部分だけでした。
後ろにそういう話があるのかも!……と思ってよーく読むと、ありました。"労働時間の規制がなくなり、残業代が出なくなる"は、"一定の年収がある場合など"という部分です。
これはまるっきりホワイトカラーエグゼンプションだと思って良さそうです。
一方、解雇規制は先の"特区内にある開業5年以内の事業所や、外国人労働者が3割以上いる事業所"のみ。収入は関係ありません。
さらに驚いたのが、"外国人労働者が3割以上いる事業所"には以下も適用。
今年4月の法改正で、短期の契約を繰り返す契約社員やパートが5年を超えて同じ職場で働いた場合、正社員のように無期契約で働けるようになった。特区ではこのルールが適用されないことを認める。
外国人差別か?と思いましたが、この書き方だと外国人だけではなく、日本人も適用でしょうね。
狙い……というか、どんな大義名分があるのか想像つきません……と初めは思いましたが、これは最初と同じで解雇しやすいようにってことですかね?
この他、先のサービス残業合法制度にしても"一定の年収"がいくらになるかによっては、やはりヤバいことになりかねません。不安ですわぁ……。
以上のようにわけわからん特区なわけですが、どうもこれ、厚生労働省は反対しているみたいですね。
解雇特区?政府が検討をすすめる「雇用の流動化を促す特区」とは【争点:アベノミクス】
The Huffington Post | 執筆者: Chitose Wada 投稿日: 2013年09月21日 10時40分 JST | 更新: 2013年09月22日 16時52分 JST
厚生労働省は「そもそも、雇用は特区になじまない。労働者の公平、企業の公正競争に関わるので、全国一律でなければならない」「労働者に対し、無期転換権(期限を決めずに雇用される権利)を放棄するよう、使用者が強要する可能性があるため、不可」などの見解を出していた。
http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/20/abenomics_n_3965063.html あんまり官僚の肩を持ちたくないのですが、こればっかりは厚生労働省の方を応援したくなるような……。
関連
■
解雇ルールの法制化・混合診療・法人税引き下げなど構造改革頓挫 ■
NHK・フジテレビなどのマスコミは安倍晋三首相と癒着し偏向報道している!? ■
的外れすぎてズッコケる政府のベンチャー企業支援政策はゴミ同然 ■
核被爆国日本が核兵器の非人道性を訴える共同声明に非署名の理由 ■
第二次安倍晋三政権が長期政権にならず、短命に終わり得る理由 ■
その他の政治(時事)について書いた記事
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|