2013/9/29:
●犬の飼育頭数世界一は中国だが狂犬病ならインドがダントツ
●チベタン・マスティフによる人間殺傷事件が相次ぐ中国
●中国の犬事情 動物愛護精神の高まりと犬肉文化
●犬肉を食べることはそもそも悪いことなのか?
2021/04/22:
●狂犬病大国のインド、野良犬にめちゃくちゃ優しい国だった! 【NEW】
●憲法でも動物愛護を規定 インドが動物に優しい国なのはなぜ? 【NEW】
●犬の飼育頭数世界一は中国だが狂犬病ならインドがダントツ
2013/9/29:メインは中国の話ですが、ちょっとだけ出ていたインドのデータも興味深かった
犬による殺傷事件相次ぐ中国、飼育規制は有名無実:日経ビジネスオンライン(北村 豊 2013年7月5日)という話。
2012年4月に「中国疾病予防管理センター」が発表した統計によれば、犬の国別総数では、中国が1億3000万匹で世界一。米国動物愛護協会の最新統計によれば、米国は7800万匹で世界第2位であり、インド人学者の推計で5000万匹のインドは世界第3位となっています。ただ、人口比で考えると、アメリカの犬好き度がこの中では一番な感じですね。
人口比でこの3カ国の中で少ないインドは、あまり犬好きではないのかな?というのは、別のデータからもわかります。インドでは5000万匹のうちのなんと3500万匹が野良犬。飼い犬はほとんどいないのです。さらに野良犬が主流であることは、深刻な問題を起こしています。犬病による死者は毎年2万人を超えて世界一。犬の頭数が世界一の中国は狂犬病でも多く世界第2位なのですが、年間約2000人で一桁異なります。全然違いますね。
他のところでも書いたかな? 昔、インドを舞台にした短編小説を読んだのですけど、野良犬に噛まれて狂犬病で次々死ぬ…という憂鬱な話で、全然楽しくありませんでした。地域や時代によっては犬は恐ろしいんだなと思いましたけど、今でもインドは野良犬による狂犬病の脅威があるんですね。インドはこの間中レイプ事件で話題になっていましたが、いろいろとたいへんな国です。
●チベタン・マスティフによる人間殺傷事件が相次ぐ中国
たいへんなのは中国も負けていません。先に書いたように、この話は中国が主役でした。世界最大級の犬種であるチベタン・マスティフ(チベット犬)による殺傷事件が相次いでいるというのです。人が犬を襲うのではなく、犬が人を襲う事件が続発しているんだとか…。
そんな危険なチベット犬が全国各地で厳しい規制を受けずに飼われているのは、中国では“養犬管理条例(犬飼育管理条例)”が有名無実化して徹底されていないことにあるそうです。正確にはこの条例でチベット犬などの大型犬の飼育を禁止している地域もあるのですが、守られていないとのこと。
さらに、こうした大型犬の中でもチベット犬はそれを飼育することが富裕層であることの象徴と考えられるようになり、問題が大きく。中国では、富裕層相手だとその取り締まりがおろそかになる…ということが起きるためです。
なお、余談ですが、チベット犬が富裕層の犬となったことで、近年価格が飛上昇。2011年には赤毛のチベット犬1頭の価格が1000万元(約1億5000万円)という最高記録を樹立したとのこと。えらいことになっていますね。
●中国の犬事情 動物愛護精神の高まりと犬肉文化
こういったペットとしての犬が急速に増えていることは欧米化と言えますが、上記のように犬の管理は欧米に追いついていません。格好を真似しただけですので、中身は悲惨なことになってしまいました。一部の人がこのように欧米的な価値観へ近づこうとしている一方、欧米人の毛嫌いする犬肉文化も健在です。
欧米的な価値観へ近づこうとしている動きとしては、広西チワン族自治区の“玉林市”で開催された「犬肉祭り」に言及た反対運動が中国国内でもその勢力を拡大しつつあると報じされています。これにより、前年まで各店舗が店先の客の目の前で、犬を殺して食用加工の処理を行っていたのをとりやめ。の残酷な場面がネットに投稿されて全国から非難が殺到したため、事前に撲殺された犬の死骸が垌口市場へ運び込まれたといいます。
一方で、玉林市民にとっては、犬肉は牛肉、豚肉、鶏肉を食べるのと同じことで、何らの抵抗感もなければ、罪悪感もなし。広西伝統文化研究会副会長の“謝平祥”は、「犬肉を食べることは民間の飲食習慣であり、違法でないばかりか、道徳とも何ら関係がない」と述べています。玉林市民にとっては今なお、犬は食用の家畜に過ぎないのです。
●犬肉を食べることはそもそも悪いことなのか?
この主張は実際その通りでしょう。彼らの文化であり、習慣であり、いきなり他国の感覚を持ち込んでダメだと言われても戸惑って当然。もちろん文化とは言っても、
今もアフリカで続く女子割礼(女性器切除、FGM)は、文化・伝統か虐待か?国連が禁止法制化へのように残虐性が高いものは簡単に認めてしまうのは疑問が残ります。
しかし、犬肉文化はそういうものではありません。ちょうど馬肉で
馬肉文化への海外(アメリカ、ヨーロッパ)の反応 倫理的に問題?というものもやっていますし、日本の鯨肉もそうであるように、ある動物を食べること自体が罪だとは言えません。
ただ、犬肉を食べる人というのは地域性・民族性(朝鮮族がよく食べます)があると思われますので、国全体で言えば犬肉文化に対する忌避感というのは高まっていると言えるのでしょう。この傾向を最初のペット犬のずさんな管理と併せて、作者は以下のようにまとめています。
<上記はすべて2013年6月に中国で発生した犬に関連した事項である。中国は世界第二の経済大国となりながらも、依然として「発展途上国」であると主張している。これは犬に関しても同様らしく、中国は1億3000万匹と世界一の「犬口」を誇りながらも、関連分野は依然として「発展の途上にある」のである。中国が真の「犬大国」となるのはいつの日か、それは誰にも予測がつかないことに違いない。>
なるほど。欧米のように犬を飼いつつも管理はできず、欧米のように犬肉文化を非難しつつも食べる人は一向に減らない…確かにカオスな状態かもしれません。
2019/02/13:…と書いていたものの、アメリカなどは多様性がある文化であり、主張が大きく異なる人が両サイドで目立つということがよく起きます。むしろ日本のように比較的均質な考え方をする国の方が珍しいとされていますし、中国は面積も人口も日本とは比べ物にならないので、大きく異なる主張が共存すること自体は、そう不思議ではないとも考えられそうです。
●狂犬病大国のインド、野良犬にめちゃくちゃ優しい国だった!
2021/04/22:インド最大の都市ムンバイ(訳注=旧ボンベイ)ほど野良犬にとってすみやすいところはなさそうだという記事がありました。
インドの野良犬天国はけた違い!:朝日新聞デジタル(ニューヨーク・タイムズ 2017年11月3日 17時37分)というタイトルです。ほのぼのしているんですが、前述の狂犬病の話を知っていると、大丈夫なの?と心配にもなります。
食べ物が満足にあることなんてめったにない 路上暮らしをする最も貧しい人も野良犬にエサをあげるそうです。貧しい人ですらそうですから、お金持ちだとやりすぎだと感じるくらい。毎朝、ホカホカのとり肉とご飯が入ったおわんを数十匹に出す人もいるとのこと。さらに、百匹ほどに免疫力を高めるというウコンが入れたエサを与えて回る人すらいます。
世界的に見ても、インドは犬の保護に最も手厚い法律を持つ国の一つだという話があったのは意外。法律により、健康な野良犬を殺すことは、禁じられているとのことでした。ただ、逆にこれが原因で野良犬が増えたみたいですね。この記事の時点では、全国では3千万匹もいると言われている…としていました。また、このせいで野良犬たちには警戒心もありません。
●憲法でも動物愛護を規定 インドが動物に優しい国なのはなぜ?
狂犬病のことが頭にあり、最初違和感あったのですが、読んでいるうちに、もとの話もインドは飼い犬ではなく野良犬が多いとはされており、だからこそ狂犬病リスクが高いと考えられますから、矛盾はしていないかも…と思ってきました。また、記事でも結局狂犬病の話が登場。やはり「世界のトップをいく」とのことです。
そこで南部のケーララ州では野犬狩りを始めたものの、インドがすごいのは、なんと最高裁判所が違法との判断で中止させたこと。さらにそもそも野犬はあまり問題だと思っていない地域が多いそうで、通常はよく受け入れられているといいます。「野良犬」ではなく日本の「地域猫」みたいに「地域犬」と言う人もいるとされていました。
問題が起きれば、動物愛護団体などが活躍。また、インド政府も、殺処分はせずに、避妊手術で野良犬を減らそうとしているそうです。そもそも動物を尊重することは、インドの憲法にうたわれているほどの動物愛護の国。なぜインド人は、ここまで動物に優しいのか…。前述の百匹もの野良犬にエサを与えている人は以下のように説明していました。
「寛容ということに行き着くのだと思う。インドはムガル人の支配(訳注=1526年から3世紀以上も続いたイスラム王朝)を受け、続いて英国人に支配された。人口密度が高く、民族や宗教は多様で、寛容さなしには生きていけないし、寛容であるほどに思いやりも深まる」
で、ここのまま終わるといい話で追われるのですが、水を差すような話を最後に。民族や宗教は多様で、寛容さなしには生きていけないとされているインドですが、実際には、イスラム教徒への差別が強くなっています。そもそもインドで大人気のモディ首相がヒンズー至上主義者で反イスラム主義者な保守派なのですから、寛容な人はごく一部だけかもしれません。
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馬肉文化への海外(アメリカ、ヨーロッパ)の反応 倫理的に問題? ■
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