検索していると、「歯磨きは食後30分後」というのは大間違いだというページを見つけました。
そもそも「歯磨きは食後30分後」というのは、以前の定説「歯磨きは食事の直後」を覆したものですから、巷に広まっている説が間違っているという可能性は確かにあります。
私は
正しい歯磨きの方法 食後すぐの歯磨きは危険、食後に3回磨くよりも寝る前の1回でそういう話を紹介していましたので、気になって見てみました。
ただ、検索上位で出たページは何か見づらくって、デザインにちょっと狂気を感じるページでした。
フォントが最初から太い感じで見づらいなぁと思っていたのですが、途中からそれがさらに大きくなります。で、そこが一番強調したいのかな?と思ったらその後さらにバカでかく……見づらい、激しく見づらいです。
文字が大きすぎるので1行に表示される文字数が少ない上に、文の間隔や長さも調整されていません。非常に読みにくいです。
その読みにくさのせいで何となく日本語にも違和感。作っているのは歯医者さんみたいなので学歴は高いと思われますが、フォントいじりのセンスなど怖い感じすらしてこのサイトは敬遠し、別のページを探してみました。
実はこの時点でもう「歯磨きは食後30分後は間違い」説に疑いを持ってしまいました。第一印象が悪かったんですね。
お次もお医者さんのページみたいなのですけど、おかげでかなり疑いの目で見てしまいました。
「食後30分たってから磨く」の間違い
下右図は再石灰化時間の長さで歯のすり減る量が違う、というこの研究者ドイツのT.Attinらの研究数値を、わかりやすいように私がグラフにしたものです。
下右のグラフをみると、確かに30分以上のものと、それ以下のものではすり減り方に違いがあります。
http://www.bvpedo.com/30min.html 下右図というのはこちらですが、テキスト化もしてみます。
http://www.bvpedo.com/dms.png■歯ブラシによる歯の磨り減り程度 [象牙質磨損 単位:μm]
(字が小さいので数字の読み取りミスがあるかしれません)
直後 23.6
10分後 37.9
20分後 32.8
30分後 18.5
60分後 15.3
磨かない 12.6
この結果をこのページでは以下のように書いていました。
しかし、このグラフを正しく読むと、30分以後に歯を磨くのがいいのではなく、歯磨きをしない場合が一番歯が擦り減らないことを示しています。
そうです、この研究結果からは、歯磨きをしないのがいいという結論に達しなければいけないのです。
うーん、そうかなぁ? 私には理解できず、暴論のように見えました。
歯の磨り減らさないことが第一の目的であればそうなりますが、実際には歯磨きが一番の目的であり、その副作用である歯の磨り減りを抑えながらやるにはどうすればいいか?という話です。
"歯磨きをしないのがいいという結論に達しなければいけないのです"は、屁理屈じみた言い方にも聞こえます。
たとえば、塩分を取り過ぎは健康に悪いという話をしている人がいたとして、その人に向かって「何も食べないことが一番安全だという結論だ。あなたの言っていることはおかしい」と言い出すようなものです。
「歯ブラシによる歯の磨り減り程度」をもう一度見てみます。パッと見て30分後に歯の磨り減り程度が激減していることがわかります。
10分後 37.9
20分後 32.8
30分後 18.5
そして、上記の減り方と比較すると、それ以降は30分以内とほとんど変わらないように見えます。
30分後 18.5
60分後 15.3
磨かない 12.6
これはむしろ30分以降の歯磨きなら安全という説に説得力を与えるグラフだと、私は感じてしまいました。
ただ、もう一つ30分以降の歯磨き説を間違いだとする理由が、こちらでは書かれています。歯の再石灰化に関する話です。
上の実験は、口の外で酸で溶かした歯を、何も食べていない正常な口の中に入れて、だ液による再石灰化の効果を調べたものです。
しかし、実際の口の中は何かを食べた後、約30分近く、歯は溶け続けるのです。(下図参照)
何も食べていない口の中と、食後の口の中の違いを、全く考慮に入れていないというミスを犯した話なのです。
実際の口の中の歯には、プラークという汚れがついているからです。
食後30分歯を磨かないと、充分歯が解けるのを待っているのと同じです。
30分後に歯磨きをするということは、歯が十分溶けてから歯ブラシでこすり、歯をすり減らすという矛盾したことになってしまいます。
こちらの方が先ほどの暴論よりはまだ意味が通じる説明だと思います。
ただ、別サイトだと歯の再石灰化(象牙質の外側にあるエナメル質の修復)は15分後からとなっていて、諸説あるようです。
歯の再石灰化について【歯の知識】 — 注目の歯科ニュース【歯科情報と歯科関連の新聞記事】
http://dental-style.com/news/?p=370 また、
正しい歯磨きの方法 食後すぐの歯磨きは危険、食後に3回磨くよりも寝る前の1回を見直すと、"唾液の力で中和されて溶けたエナメル質も復活する"を根拠としていますので、再石灰化を考慮した上での結論のようです。
ところで、否定サイトでは30分以降でなければ、いつが良いと考えているのでしょう?
上記の主張を見ると「食事の直後」が適当だと考えていると思われます。これは同時に「何か口にするたびに毎度歯を磨かなくてはならない」という主張にもなりそうです。
実際、サイト内を探すと、以下のようなものが見つかりました。
また、私が見ていて嫌になった最初のサイトだと"食後ケアのタイミングができるだけ早く行うということに、間違いはないのです"とはっきり書いています。
あまり強調されていませんが、これらのサイトは食後30分後説以上に、
歯磨きは1日1回で良いという説を否定しています。こちらの方がより重要です。
正しい歯磨きの方法 食後すぐの歯磨きは危険、食後に3回磨くよりも寝る前の1回では、"口の中の食べカスが歯垢になるまで48~72時間かかる"としており、これが「歯磨きは1日1回で良い」の根拠です。(歯垢というのは先ほど出てきたプラークと同じです)
今回調べ直してみるとこのニュアンスは記載サイトによって若干異なっており、食べかすが除去できないほどになるまでといった書き方であったり、時間については諸説あると書かれていたりします。
しかし、いずれにせよ食事した直後から歯垢が深刻な状態にはなるわけではないという捉え方をしています。
ですから、否定ページによる
実際の口の中の歯には、プラークという汚れがついているからです。
食後30分歯を磨かないと、充分歯が解けるのを待っているのと同じです。
という説明と深刻度の捉え方に違いがあります。
食後30分後説否定派の方は、知っていればこのプラークに関する説も批判するでしょうから、そもそもご存じないのではないか?と思いました。
とりあえず、食後30分後説の否定の理由と食事直後に磨くのが良いの根拠がわかりました。
ただ、結局その結論を導き出した知見が正しいか?によりますね。特にプラーク(歯垢)が著しい悪影響を及ぼす時間がどの程度なのかが重要そうです。
私ではそれらの点を断言できないのですけど、今回調べた限りでは「1日何度でも食事直後に歯を磨く」説に説得力を感じなかったというのが正直な感想です。
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