2013/10/6:
●中村修二氏は実際に受賞、ノーベル賞予想のトムソン・ロイター引用栄誉賞
●青色発光ダイオードで人類に貢献…業者がわかりやすい中村修二氏
●ノーベル賞級の発見は予想不可能?非主流や終わった分野から成果が出る
●ネットができるのは中沢正隆氏のおかげ?光ファイバー関連で貢献
●引用栄誉賞を受賞!ノーベル物理学賞候補の日本人、十倉好紀氏
●従来の半導体・金属物理では理解不能な物理的性質を研究していた!
●中村修二氏は実際に受賞、ノーベル賞予想のトムソン・ロイター引用栄誉賞
2013/10/6:
審良静男がノーベル賞を取らない理由 小川誠二・竹市雅俊は有力の続きで、ノーベル賞予想を兼ねているトムソン・ロイター引用栄誉賞の日本人受賞者についての話。今回は物理学賞ですけど、数が多いです。
ノーベル生理学・医学賞がそうであるように、物理学や化学といった自然科学系は日本の得意分野。トムソン・ロイター引用栄誉賞の受賞者も過去のノーベル賞の受賞者も両方たくさんいます。
とりあえず、今回は一番有名そうな中村修二さんから。
Wikipediaでは、トムソン・ロイター引用栄誉賞の受賞理由について以下のように説明していました。(2019/10/05追記:その後、中村修二さんはノーベル賞の方も受賞しました)
<窒化ガリウムを基盤とした半導体を用いた、青色レーザーおよび青、緑、白色発光ダイオード(LED)の発明--データ保存技術、すなわち発光デバイスにおける偉大な躍進に対して>
●青色発光ダイオードで人類に貢献…業者がわかりやすい中村修二氏
肝心の研究内容の話。中村修二さんの業績は身近でわかりやすいですね。
Wikipediaでは、以下のように説明されていました。
<発光ダイオードは低電力で駆動することができる光源のため、ディスプレイへの応用が期待されていた。RGBによるフルカラー表示のためには光の三原色(赤・緑・青)の発光素子が必要であるが、このうち1980年代中頃までに純赤色は実用化されていたものの、
青色は実用的な高い輝度を出す製品が無かった。また黄緑色は早くから実用化されていたが、純緑色は青色と同じくGaN系半導体材料が用いられるため、純緑色LEDの実用化は青色LEDの登場以降である。これらのことから、
発光ダイオードによるフルカラーディスプレイの実現は困難であった。 純青色発光の実現のためセレン化亜鉛 (ZnSe) 系化合物や炭化ケイ素 (SiC) を用いての研究が古くから行われ、ZnSe系による青緑 - 緑色発光ダイオードの開発に至った他、SiCの青色発光ダイオードは弱い発光強度ながら市販もされた。しかしその後、GaN系化合物による青色発光ダイオードが急速に普及したため、現在ではこれらの材料系の技術は白色発光素子や基板などの用途に転用されている。
窒化ガリウムを用いた高輝度の青色LED開発に関しては日亜化学工業の中村修二が有名であるが、基礎技術の大部分(単結晶窒化ガリウム (GaN) やp型結晶、n型結晶の作製技術やpn接合のGaN LED)は赤崎勇(名古屋大学→現・名城大学教授)、天野浩(名古屋大学教授)等により実現されている。また発光層に用いられているInGaNはNTTの松岡隆志(現・東北大学教授)などによって実現されており、それらの技術を使って製品化したのが日亜化学工業になる>
●ノーベル賞級の発見は予想不可能?非主流や終わった分野から成果が出る
中村修二さんがおもしろいのは、当時の非主流の研究に取り組んだことです。
Wikipediaの文章がちょっと変なので改変して書いていきますが、中村修二さんが挑んだガリウム系の青色LEDは、当時既に"研究が終わったとされて"おり、研究者も少なくなっていました。要するに実用性は見込み薄だと思われていたのです。
当時の主流は?と言うとそれはセレン系であり、応用物理学会などでも大いに盛り上がっていたとのこと。しかし、中村修二さんは"あれだけ優秀な人が取り組んでもうまくいかないならば、むしろ終わったとされる分野に挑んだ方が良い"ということで、敢えてニッチなガリウム系を選び成功しました。
こういう学会の主流と違う動きで成功したというのは、
水島昇氏のノーベル賞はありえない 注目は細野秀雄氏や高橋博樹氏で出た細野秀雄さんもいっしょです。偉大な発見をした話って、結構こういうことがあると思います。
●ネットができるのは中沢正隆氏のおかげ?光ファイバー関連で貢献
中村修二さんが長くなりましたが、次の方。中沢正隆さんがトムソン・ロイター引用栄誉賞を受賞したのは、<世界中で高速光ファイバー通信ネットワークに革命をもたらしたエルビウム添加ファイバー増幅器(EDFA)の開発に対して>だとのこと。
相変わらずWikipediaが薄い内容なので、検索。すると、
日本学士院賞授賞の決定について | 日本学士院が非常にわかりやすかったです。こちらは、「エルビウム光ファイバ増幅器の実現とそれを用いた光通信の高度化に関する貢献」が研究題目。
中沢正隆さんは、小型高効率広帯域の光増幅器を世界で最初に実現しました。レーザ通信に用いられる高純度のシリカファイバは、波長が約1.5マイクロメートルでの伝送損失が極めて小さいものの、それでも100キロメートル以上の長距離通信には、数十キロメートルおきに中継器を入れて信号を増幅する必要があるものです。
以前の中継器は光信号を電気信号に変換して電気的に増幅し、それを再び光信号に変換して送り出すものでした。ただし、これには欠点があります。大型で大電力を要するため、通信容量が電気増幅器の性能で限定されていたのです。
一方、中沢さんの発明した光増幅器は、エルビウムという元素を添加したファイバを半導体レーザで活性化して光信号をそのまま広帯域増幅するも。まず、電気的増幅器のおよそ千倍の通信容量があるという利点があります。
さらに小型小電力で長寿命というメリットがあったのが大きいです。これにより、海底光ケーブルの光中継器として世界各国で広く用いられるようになりました。
ページでは、中澤さんの発明により、「今では世界中の人々がいつでもだれとでも即時に情報交換ができるような高度情報化社会が実現されました」と書いていました。こうして快適にネットができるのも、中沢正隆さんのお陰なのでしょう。ありがたいです。
●引用栄誉賞を受賞!ノーベル物理学賞候補の日本人、十倉好紀氏
最後は十倉好紀さん。本当は別の方をやるつもりでしたが、ちょうど中沢正隆さんといっしょに日本学士院賞を授賞されていました。ついでなのでやっちゃいます。
トムソン・ロイター引用栄誉賞では、「超伝導化合物の発見を含む、強相関電子酸化物に関する傑出した研究、および巨大磁気抵抗現象に関する研究」というタイトル。一方、日本学士院賞では、「強相関電子材料の物性研究」というシンプルなタイトルになっています。
日本学士院賞のページによると、十倉好紀さんは、通常の物質では見られない性質を示す「強相関電子材料」を見出し、量子物性科学という新しい学問分野の創成に貢献したことが功績です。
一般に、金属や半導体などの固体中の電子は自由に波として振る舞います。ただ、固体中に多数の電子が詰め込まれると、互いに強く及ぼし合い、電子は金属のように動けるか、または固まって動けなくなる、いわゆる、絶縁体になるかの臨界的な状態になるそうです。この状態を強相関電子状態と呼びます。
この強相関電子状態にある物質は、外部から一寸した刺激によって、その物質の性質が著しく変わるとのこと。この変化のことを相転移といいます。例えば、通常は絶縁体であるものが、外部磁場の刺激により相転移を起こして、金属になるといったことが「相転移」というそうです。
さて、十倉さんの功績ですが、強相関電子材料としての高温超伝導体の物質法則を確立したというのが一つ。また、超巨大磁気抵抗・巨大電気磁気効果の物質開発と機構を解明しました。さらに、強相関電子物質を用いた新しい電子デバイスの開拓に関しても、独創的な成果を次々と挙げ、基礎科学と産業応用の両面で多大な貢献をしているとされていました。
●従来の半導体・金属物理では理解不能な物理的性質を研究していた!
十倉さんの研究の説明は、言葉が難しいですね。読んでいて「それって半導体とはちゃうの?」と思ったので検索すると、
強相関量子科学研究グループ | 十倉 好紀 | 基幹研究所の研究概要に以下のような説明がありました。
<固体中で強く相互作用する多数の電子は、高温超伝導、超巨大磁気抵抗、マルチフェロイックス、量子スピンホール効果など、
従来の半導体・金属物理学の延長では理解不能な多くの驚くべき物性・機能応答の創発(emergence)を示すことが、ここ10-20年の間に明らかになってきた。当グループでは、これら強相関電子のもつ多自由度の絡み合いと、「波動」の持つ非局所性・剛性・敏感性を、よくデザインされた「電子の感じる時空構造」の中で巧みに生かすことによって、エネルギーの高効率変換やエネルギー消費を伴わない量子状態(情報)の制御など、未踏かつ革新的な電子物性機能を創発せしめることを目的として研究を行っている>
まあ、半導体はその名の通り半分ですもの、違いますわね。
Wikipediaで半導体は、以下のように説明されています。
<半導体(はんどうたい)とは、電気をよく通す電気伝導体や通さない絶縁体に対して、それらの中間的な性質を示す物質である。特徴として、
電気をどの程度通すかという電気伝導性を周囲の電場や温度によって敏感に変化させる性質を持つ。>
「強相関電子材料」は産業面で実用化に貢献したのは具体的には何だろう?とちょっと検索してみたのですが、よくわかりませんでした。十倉好紀さんの研究が全体に一番イメージしづらく、難しくなっていました。
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