検索してみるとちょうど最近池上彰さんが宗教の本を出されていたようですが、池上彰さんの東工大講義をもとに書かれてた日経新聞の記事から、アメリカの宗教に関する話が出ていた部分について紹介します。
●紙幣も大統領も「神」を連呼!憲法には「神を信じない者は死刑」
2013/10/13:池上彰さんは、「旅行などに行ってドル紙幣やコインを手にしたら一度見てください」と言っています。必ず「In God We Trust」と書いてあることに気づけるためです。これはWe Trust In God(われわれは神を信じる)という意味。日本人の感覚ではちょっと信じられない、アメリカ人の宗教の感覚がこれでわかります。
米大統領が演説をする際にも、最後に必ず「God bless you. God bless America.」とGodというキーワードを唱えます。ただ、これでも一応遠慮したもの。米国にはユダヤ人もいるので、「Jesus Christ」(イエス・キリスト)という名前は出しません。イスラム教徒も神を信じていますから、GodならOK。仲悪いですけど、信じている神様はみないっしょなのです。ただ、本来はキリスト教が中心だったという話はありました。
<米国ができたとき、13州ではキリスト教の様々な派が中心になっていたのです。例えば、コネティカット州の憲法では「神を信じていない者は死刑に処する」とあったぐらいです。
そうすると、人々は「自分たちが信じる宗派の教えを大事にしたいのに、連邦政府がキリスト教の●×派を国教にすると決めたら嫌だ」と心配しました。そこで政治と宗教は別という政教分離の理念が生まれたのです。ですから、米国の政教分離はもともとキリスト教徒であることが前提だったのです。「キリスト教の特定の派と国家が結びついてはいけない」という考え方が根本にあったのです>
(
日本人が知らない米国 :日本経済新聞 池上彰の教養講座 戦後史の歩き方(11) 東工大講義録から 2013/8/5 3:30より)
●進化論を教えた先生に有罪判決になるという狂ったアメリカ
この前
インテリジェント・デザイン キリスト教の対“進化論”決戦兵器で書いた進化論に絡む話も出てきましたね。米国では、進化論を信じない人が大勢いて、特に南部の各州ではかつて進化論禁止法という法律があって、学校で進化論を教えることすら禁止していたほどだとしていました。
テネシー州の高校で生物担当の先生が休み、代理で入った非常勤講師の先生が進化論を教えたところ、すぐに逮捕され、裁判になり、有罪判決が出ました。100ドルの罰金が科せられたそうです。さすがに最近ではなく、1925年(大正14年)ではあります。また、後から無罪にはなりました。ただ、最初有罪だったのが怖いですね。
<これが大々的に報道されると、米国北部には進化論禁止法などはないこともあって、「進化論を信じていない連中がいる」と、全米メディアに取り上げられました。
テネシー州の地方裁判所は有罪判決を出しましたが、控訴裁判所(日本の高等裁判所に該当)では地裁の手続きに間違いがあったという理由で一審判決が破棄され、無罪になりました>
●アメリカと進化論 「魚は箱舟に乗ってないよね」と聞いてみると?
その後、連邦最高裁判所で「進化論を教えてはいけないという法律は憲法違反である」という判断が出ました。じゃあ、進化論を信じない人は昔の人だけか?というとそうではありません。それでも「人間は神様がおつくりになった」と思っている人たちは大勢いるというのが、現在のアメリカです。
<米国では地域ごとに教育委員を選挙で選びます。南部では進化論を教えるのはとんでもないといっている人たちが教育委員で選ばれることがあります。学校で使う教科書を選ぶ際、
進化論についてたくさん書いてある生物の教科書は採択されないことが多いのです>
ケンタッキー州にある創造博物館には、旧約聖書から始まって、宇宙を含めても、この世界が生まれてまだ6,000年しかたっていないという説明があるといいます。「
恐竜と人間が仲良く暮らしているというジオラマがある」というのですごいですね。そして、この後の話もすごいです。
<じゃあ、発掘される恐竜の化石は何かということです。すると「あれはノアの箱舟に入らなかった動物が水死したものだ」と説明します。そこで私は「ノアの箱舟に乗らなかった生き物が死に絶えたというのなら、魚はどうしたのですか」と学芸員に聞いてみました。すると、学芸員が「いい質問ですね」と言ってくれました。「
頑張ってちゃんと生き延びたのです」と。話を聞くほど支離滅裂になっていくわけですが、それをひたすら信じている人たちがいるのです>
●進化論理由に学校に通わせない親や進化論信じない科学教師も…
思わず笑ってしまったのですが、これが「博物館」の学芸員だというのですから、本当はもっと深刻に考えなくてはいけないのかもしれません。さらに、この後も笑えない話になっています。
<公立学校に行くと進化論を教えられてしまう。それは嫌だといって家で子どもたちに教育をしている家庭がおよそ100万世帯あるとみられています。ホームスクーリングといって、役所に届けを出せば認められている制度です。これもまた米国の現実なのです>
以前書いたアメリカ人とキリスト教の話としては、
アメリカ人の宗教観 ~ビッグバンより天地創造~があります。私は科学は科学、宗教は宗教なのでこうやって比較するような聞き方をするのもちょっとどうかと思いますが、このときは科学的な学説は信じないけど宗教的な教えなら信じられるといったものでした。
・1番の問題は科学の教師の多くが、科学を信じていないこと(ソース:自分が生徒だったときの記憶や、自分の同僚が先生になった)。大勢の教師が進化論を教えるときに、「信じてはいないが教えることが必須なので」と前置きをする。子供らに科学を誤解させ疑問を抱かせている。科学を理解しないやつらが教えているんだ。
・コメントの中に「なんで巨大な爆発が山や水を作るんだ」「爆発で神が創ったものが作れるわけがない」なんてのがあった。彼らの科学理解の乏しさにものすごい不安を覚える。もちろんそれらは、ほぼアメリカからのコメントだ。
・学校で進化論なんて教えてもらったことがないぞ。理科の教師全員がそのトピックを避けていたし、ひとりは「それは間違いなので教えるべきじゃない」と言った。生徒も全員が賛成していた。みんなそろって「サルだったわけじゃない」とか言うわけだ。なので自分は独学で学んだ。それと、とても頭脳明晰でも進化論を否定する友人がいる。地元の連中は自分とは異なる思想に対して驚くほど拒否感を持つんだ。
・高校の生物教師は進化論を支持していた。そして教える前にはこう言った。
「これは君たちの幾人かにとっては、かなり反感を買うテーマであることは理解しています。だけど私は気にしません。これは科学の授業であり、今からこれを教えます。ここは神学の授業ではないので宗教上の討論はしません。私は普遍的な真実について述べるだけであって、あなたがたの気分を害しないために嘘を言うつもりはありません。これを学びたくないと言うのであれば、出て行ってもらってかまいません。このクラスに出席しないという許可も与えます。ただし出席しない場合は成績は今学期はゼロです。無知でいることがそんなに重要だというなら、ドアはあちらです。来年会いましょう」
その先生が好きだった。
(
天地創造かビッグバンか?アメリカの結果に他の先進国「…おい!」(らばQ 2012年01月21日 16:54)より)
アメリカは学力差が激しく、大学の進学率は驚くほど低いです。
女性が出世しないのは女性自身のせい シェリル・サンドバーグが大炎上で使った記事によれば、僅かに3割程度でした。100万世帯ですから割合にすると誤差範囲ではあるものの、強すぎるキリスト教の影響はこういった格差を縮める方向には働いていない気がします。
【本文中でリンクした投稿】
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アメリカ人の宗教観 ~ビッグバンより天地創造~ ■
インテリジェント・デザイン キリスト教の対“進化論”決戦兵器 ■
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