ネット通販などの会社が倒産した場合でも、クレジットカードなら保護されるの?という疑問から書いた話。検索していろいろと読んでみると、それほど都合の良い話ではなく、代金が戻ってこないリスクが高いようです。(2013/10/14)
2017/03/25:"格安海外旅行の「てるみくらぶ」でトラブル"を追加。
●クレジットカードで決済後に通販会社が倒産した場合、支払った代金は無事戻ってくる?
ネット通販などで商品を購入した場合、どのような支払い方法を指定してくるかは会社によって異なります。支払い方法というのは、たとえば、クレジットカード払い・銀行振込・代金引換などといったもののことです。
私が気になったのは、通販会社によっては銀行振込のみで、しかも入金後商品発送という場合があることです。これだとちょっと不安がありますし、実際入金後に電器屋さんが倒産、商品は未納という例があった気がします。
一方、例示したうちの代金引換は、中身はともかく箱が送られてくることは確認できます。一番安心ですね。
クレジットカードの場合はまたこれらとは違っていて、実際の支払いまでに時間差があるというパターン。ですので、クレジットカードも安心…と最初は思ったのですけど、本当にそうだろうか?と不安になったので、今回調べてみました。
●過去に実際に倒産した事例では戻ってこなかった!
で、T.J GrosNetという過去に倒産した会社のWikipediaページを見ると、どうやら全く安心できないということがわかりました。
T.J GrosNet(ティージェイグロスネット)は、和歌山県に存在した、プラモデル・フィギュアなどの通信販売業者。(中略)
自社サイトでの販売に始まり、Yahoo!ショッピング、Yahoo!オークションおよび楽天市場へ出店。 競合店をしのぐ安値や「ポイント20倍」などのセールで業績を拡大する。 Yahoo!ショッピングでは「ベストストア賞」をたびたび受賞 。 また、メーカーと協業して「T.J GrosNet限定版」の商品を発売するなど、業界では有力店として知られていた。
Wikipedia T.J GrosNetは上記のように有力店だったんですが、経営破綻します。
2008年3月になると、商品の発送遅延が目立ち、一部商品の仕入れや予約受付の自粛が告知され、人気商品の入荷告知がなされず、電話もつながりにくくなり、経営が危ぶまれる状況となった。
4月に入り、電話・メールとも完全に音信不通となる。 1日には楽天の店舗ページが「改装中」として事実上閉鎖され、2日にはYahoo!が「店舗と連絡がとれない」という理由により店舗ページを閉鎖し、利用者に対してメールで告知する。 また、帝国データバンクで3月末の支払いの不渡りが確認される、社屋が無人となり銀行による担保物件の貼り紙と封印がされていることが確認されるなど、経営破綻・業務停止が確実となり、夜逃げ疑惑がささやかれる。 これを受けてYahoo!や楽天に苦情・問い合わせが殺到し、7日以降、読売新聞・毎日新聞・各ニュースサイト が「ガンプラ通販有名店で商品未着トラブル」として報道。
4月15日には民事再生法による再生手続きの申請をするも、23日に大阪地方裁判所により棄却、保全管理命令が出される。5月21日には破産手続開始決定が出される。
"この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です"とある部分ですが、安心できないと思った問題の箇所はこの次です。
代金を前払いした利用者は、倒産により商品が届かない・代金が返金されないという被害に遭うこととなった。 とくに、以下のような理由により、被害額が大きくなった。
・支払いは代引きを除き、予約品を含め全額前払いのうえ、人気商品の発売延期が多発していた
・人気商品には1体数千円~2万円程度の模型やフィギュアなど比較的高額な商品が多い
・他店と比べて値引率は大きいが送料が高い(Yahoo!の別館を除き、一律1000円)ため、まとめ買いをする利用者が多い
●ヤフーや楽天では補償で救済
ただし、代引き以外にヤフーや楽天で買った人も助かったみたいです。
Yahoo!はクレジットカード利用者に対して決済代行業者ネットラストを通じて注文キャンセル・返金処理を行っていたが、5月12日に銀行振込等の利用者を含めた包括的な補償を発表。 楽天も同日、「楽天あんしんショッピングサービス」に基づく補償を発表した。 しかし、これらのインターネットモールを介さず本店に直接注文した利用者の救済のめどは立っていない。
念のために「楽天あんしんショッピングサービス」を見てみると、以下の通りでした。
50万円という上限がありますが、会員なら自動的にサービス対象のようです。
このような例はあるものの飽くまで例外であり、やはり大半はクレジットカード払いであっても倒産未納の危険性があるということです。
●メーカー・販売店都合がまかり通るホビー業界は特に危険?
特にT.J GrosNetのようなホビー業界は危ないのかなぁと思いました。T.J GrosNetの例でも「人気商品の発売延期が多発していた」とあるように、どうもこの業界は発売延期が当たり前にあるようなのです。
【楽天市場】figma COBRA THE SPACE PIRATE クリスタル・ボーイ[マックスファクトリー]《04月予約》:あみあみ
キャラクター・ホビー系の商品は、
場合によりましては、発売時期が大幅に延期されたり、価格・仕様の変更、発売中止となることもございます。キャラクター・ホビー業界の旧弊として一部メーカーの商品は、販売店に事前の予告無く発売間際に出荷数量が削減されることがあります。
http://item.rakuten.co.jp/amiami/figure-002601/ あと、クレジットカード払いとは話が逸れるのですが、このお店はこんなことを個別商品ページに書いている一方で、以下のような規定をしています。
同一の注文として扱える条件
●既に発売済みの商品同士
●既に発売済みの商品と、当月発売予定の商品、および取り寄せ商品
●同じ月に発売する商品同士
ご注文内容が上記から外れる状況となった場合、ご注文の分割や整理を行わせて頂くこともございます。予めご了承ください。(中略)
予約商品の発売延期について
ご注文時に同月発売予定の商品でも、一部の発売が延期されますと、同様に全入荷後まで発送延期となったり、あらためて
注文分割をさせていただくこともございます。あらかじめ、ご了承ください。
あみあみ 楽天市場店 [格安通販] -フィギュア,プラモデル,ゲーム,ホビー商品,ガンダム- ご注文について
http://www.rakuten.ne.jp/gold/amiami/faq.html 「同梱」のつもりで買ったら勝手に「分割」することです。そして、その場合、おそらく送料はお客様負担でしょう。「送料は変わりません」とアピールしていませんし。
この措置自体は店舗側の事情がわかります。余分な商品在庫を抱えてしまうと、余計なコストの発生になるためでしょう。しかし、理解できないのはこれがFAQのページに書かれてはいるものの、
予約商品の個別ページには書かれていないということです。
顧客に不利益を与えることもやむを得ないほどお店にとって大事なことでしたら、なおさら個別ページに書かないと辻褄が合いません。この状態では実質的に「こっそり表示している」と言わざるを得ません。卑怯ですわ。
(関連:
利用規約に同意すれば、一切文句は言えないのか?)
最後は話が逸れましたけど、ホビー業界で発売延期が当たり前だということは、その間に倒産する可能性も高いのでは?という話でした。また、前述の通り高額商品が多いというのもありますし、注意が必要な業界のようです。
このホビーの例に限らず、高額商品の場合はクレジットカード払いや銀行振込だとちょっと怖い…と感じた方もいるかもしれません。楽天など救済措置があるところは別ですが、ご不安に感じる方は代引きが選択できるところでは代引きってのが一番良さそうです。
●格安海外旅行の「てるみくらぶ」でトラブル
2017/03/25:似たような事例として、 格安パッケージツアーを販売していた「てるみくらぶ」というところが、ツアーを購入した顧客に対して、発券済みの航空券や滞在先のホテルについて、利用できるかどうかわからないと告知している件について。
てるみくらぶは国際航空運送協会(IATA)のBSP精算が滞って、デフォルト(債務不履行)となっているそうで、資金繰りに行き詰まったのかもしれません。
(
てるみくらぶ、BSPの債務不履行か、顧客に混乱広がる | 旅行業界 最新情報 トラベルビジョン 2017年3月24日(金)より)
私は聞いたことが無い会社だったので当初勘違いしていましたが、"取材中には、真偽は定かでないものの影響の規模が人数ベースで数万人に及ぶ可能性も聞かれた"ということで、かなり影響力もでかいかもしれません。
記事によると、「てるみくらぶ」の説明は一部おかしいそうです。本来であればeチケットが発券された時点で航空運送契約は成立することとなっており、過去に国土交通省交通局が通達も出しています。逆に未発券で旅行者の手元にeチケットがない場合は、旅行代金の支払いが済んでいるかに関係なく搭乗不可能となる、とされていました。
2017/03/27追記:ただし、滞在先のホテルについて利用できるかどうかわからないと書いたように、てるみくらぶの場合はツアーであり、飛行機だけ飛んでもどうしようもありません。国土交通省は、発券済みの航空券を使って渡航しないよう呼びかけていました。
(
「てるみくらぶ」が破産 3万件の旅行申込者に影響か:朝日新聞デジタル 2017年3月27日12時20分より)
2017/03/30:クレジットカード絡みの話もありました。三井住友カードが、ードに付帯している「お買い物安心保険(動産総合保険)」は、動産のみが対象となっており、今回の旅行商品の販売は保証の対象外と説明しています。これ、かなり誤解があるようで、ネットではみな「知らなかった」という反応でした。
(
三井住友カード、てるみくらぶ倒産は「お買い物安心保険」の対象外 顧客からの相談には個別に応じる - トラベルメディア「Traicy(トライシー)」 2017年3月29日 7:30 am Traicy編集部 より)
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