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日本人の魚離れは深刻 あと数年でスーパーの魚売り場はなくなる?


 「あと数年でスーパーの魚売り場はなくなる」と主張している人がいました。どうせ嘘なんでしょうが、どうもスーパーにとって魚売り場が厄介なくせに儲からないというのは事実のようです。手間はかかるのに、日本人の魚離れが進んで売れないがために、負担になっているとのことでした。

 ただし、こうした日本人の魚離れを起こしているのは、他ならぬスーパー自身の方針のせいだという指摘もあります。さらに、このスーパーの方針は、漁師の苦境にもつながっており、消費者を含めて三者とも不幸なことになっていました。

2013/10/17:
●あと数年でスーパーの魚売り場はなくなる?元バイヤーが主張
●世界一魚を食べる国は嘘で魚が売れない!日本人の魚離れは深刻
●魚売り場はとにかく手間がかかって仕方ない
●日本人の魚離れ・魚売り場苦戦・漁師の生活危機が起きる理由
2017/11/20:
●魚売り場全滅は嘘…ただ魚売り場のないお店や小さいお店が増加
●地位低下の魚売り場…青果、鮮魚、精肉という定番の並びに変化!
●若者の魚離れは大嘘!?原因は若者ではなく高齢者の可能性


●あと数年でスーパーの魚売り場はなくなる?元バイヤーが主張

2013/10/17:最近なぜだか魚の話をたくさん書いています。今回のテーマは魚売り場。大げさに書いているだけだろうと思うのですけど、スーパーの鮮魚売場は絶滅寸前!? 元バイヤーが語る「お魚大国ニッポン没落」の現場|ダイヤモンド・オンライン(2013年8月22日 まがぬまみえ [ライター])という記事があってたのです。

 「このまま行くと、あと数年のうちにスーパーの魚売り場はなくなりますよ」と言っていたのは、魚介類を対象にした商品企画開発などのコンサルティングをしている「Marine Present(マリン プレゼント)」の社長、柴田稔さん(59歳)。某高級スーパーの元バイヤーでもあるという経歴の方です。

 柴田稔さんによると、スーパーにとって魚売り場は「お荷物部門」。理由は簡単、魚が売れないからなのです。売上の良くない部門であるがために、その売場をなくしてしまおう…といった判断をするスーパーも出てくるだろうということですね。


●世界一魚を食べる国は嘘で魚が売れない!日本人の魚離れは深刻

 "そんなはずはない、日本人は世界で一番、魚を食べているのでは、と思う方もいるだろう"と記事では書いていました。私は日本が世界一魚を食べる国だとは思っていなかったのですけど、そういうイメージの人は多いのかもしれません。しかし、魚を食べる国1位からはとっくに陥落、食べる量が減っているのです。

 平成24年版水産白書によれば、日本の1人当たり食用魚介類消費量は世界で第3位。もとは1位だったのですが、2007年にポルトガル、2009年には韓国にも抜かれました。さらに気になるとされていたのは、魚介類の消費量が多い10ヵ国のうち、直近20年間でその消費量が減っているのは日本だけ、という事実です。

 実はこの順位には諸説あります。年度の違いも考えられますが、私は対象国の数によって左右されているのでは?と想像しています。理由は今度調べようということで、こちらについては別に。後に魚の消費量世界ランキング、日本はとっくに1位転落 なおも低下で書いています。


●魚売り場はとにかく手間がかかって仕方ない

 で、今日はお魚売り場の話……なのですが、冒頭でズバッと「スーパーの魚売り場はなくなります」と言っているものの、その後は会話をそのまま載せているだけでまとまりなくかなりわかりづらいです。仕方ないので私の方で好き勝手にまとめます。

 とりあえず、スーパーの魚売り場がなくなるのであろうという理由は、単純にスーパーの魚売り場の魚が売れないためです。では、なぜスーパーの魚が売れないのか?と言うと、「売れる魚売り場にするには手間がかかる」ということだと思われます。

 柴田稔さんのバイヤー時代や売れている魚売り場では、以下のようなことをしていたそうです。

(1)午前5時前には市場に行く。
(2)売上見込みをきちんと立てる。
(3)対面してお客と会話して、良い魚の話を聞くと日本中どこでも行く。
(4)時間をかけて売れる商品を作り上げる。

 最後の売れる商品を作るのに時間を要するというのは、短期間で売上を求められるともうダメということになります。これは通常のスーパーでは致命的です。

 実際には売れている魚売り場があるので「スーパーの魚売り場はなくなります」は嘘でしょうが、手間を掛けない短期的視野の普通のスーパーだと鮮魚部門を縮小ってのは本当にあるかもしれません。


●日本人の魚離れ・魚売り場苦戦・漁師の生活危機が起きる理由

 また、柴田稔さんの場合は高級スーパーであり、少量で値段の高い魚でもじっくりと良さを伝えると売れるようになりました。しかし、普通のスーパーではそうは行かないでしょう。画一的に安定して多量に手に入る魚を求めます。これこそが問題だと書いている日経ビジネスオンラインの記事を数年前に読みました。

 シリーズ物の記事ですけど、私が探していたのはうまい魚が、食卓でなく、海に流れる:日経ビジネスオンライン(中西 未紀 2009年11月18日(水)1/5ページ)かな?

 この記事では最初「『築地直送』と書いてあると、新鮮だって思う」けど、そうじゃないという話が出ていました。本当は水揚げ地の方がいいに決まっているんだけど、「だいたい魚なんて毎日何が獲れるか、揚がるまで分からない」のだから築地市場から仕入れるというわけです。

 「大手スーパーマーケットの食品売り場では、今、“同じ大きさを同じ数だけ揃える無理”がまかり通っている」ともあります。そんな“無理”を可能としたのが、量販店のような大口需要者が漁師に強いる、いわゆる「4定」と呼ばれる安定供給条件だとのこと。4定とは「定量」「定質」「定価(低価格)」「定時」の頭文字です。

 この4つの基準を満たす安定供給が約束された魚介類しか流通に乗れない仕組みが、広く常識となりました。しかし、これらが先ほどの手間を掛けない魚売り場の罪に繋がりますし、新鮮な魚や多量に取れないけどおいしい魚が消費者に届かない理由にもなってきます。以下はすべてNGだとされていました。「もったいない」精神なんかありません。
(関連:捨てられるおいしい魚 魚が売れない理由は高い価格だけじゃない)

・漁船の網に数匹だけ引っかかったような魚種は、ある一定量以上が確保できなければNG。
・少し大きかったり、小さかったりすればNG。
・地元では「おいしい」と評判の魚でも、一般に知名度がある定番でなければNG。

 こういったスーパー側の都合は漁師の生活を潰すだけでなく、日本人の魚離れを加速し、「あと数年のうちにスーパーの魚売り場はなくなりますよ」と言われてしまうようなスーパーの魚売り場の苦戦として自分に跳ね返ってきています。結局、誰も得していません。困ったことですね。


●魚売り場全滅は嘘…ただ魚売り場のないお店や小さいお店が増加

2017/11/20:大げさに書いているだけじゃないかと書いたように、実際、スーパーの魚売り場はまだまだたくさんあります。ただ、フードコンサルタントの池田恵里さんという、最初の記事とは別のコンサルタントの方によると、「ここ数年、鮮魚売り場の面積を減らしたり、売り場そのものをなくすスーパーが増えています」とのことでした。

 実はこの話があったのは、スーパーから魚売り場が消える!消費量は減り、価格は上昇(10.20 14:06 日刊SPA!)という、以前のものとそっくりなタイトルの記事。

 記事によれば、特に都心部の小型スーパーではその傾向が強く、取材陣が何店舗か回ってみると、魚は精肉コーナーのなかに交じり、2種類ほどのパックが置いてあるだけという店舗がほとんどだったそう。小型スーパーだとそうでしょうね。コンビニで魚が売っていないようなもので、ちょっと違う意味な気がします。
(関連:コンビニは絶対勝てない スーパーとの大きな違いは生鮮食品の新鮮さ)

「都市型スーパーは600~800坪ほどの広さが標準的ですが、さらに狭い200坪で利益を確保出るように模索している。自ずと人気商品だけに絞られ、結果、鮮魚売り場が淘汰されているんです」(池田恵里さん)


●地位低下の魚売り場…青果、鮮魚、精肉という定番の並びに変化!

 上記以外に、フードコンサルタントの池田恵里さんは、魚売り場の場所の変更による魚売り場の地位低下の現れという、おもしろい指摘もしていました。売り場の順番は考えてみたことなかったので、おもしろいですね。順番が普通同じということも意識したことがありませんでした。

「これまでは店内に入ると青果、鮮魚、精肉という順番で並んでいたのに、鮮魚と精肉の位置が逆転している店が増えている。魚離れが進んだことで、より奥に配置されるようになっているんです」

 私がよく行く5店はすべて青果、鮮魚、精肉の順番! コンサルタントの指摘と違って従来通りなわけですが、順番を考えたことがなかったのでそれ自体がおもしろいと思いました。たまにしか行かないは2店あって、一つはやはり従来通り。もう1つがよく思い出せないものの、そちらだけはひょっとしたら、青果、精肉、鮮魚の順番だったかもしれません。

 その後北海道に引っ越したので、そちらのお店の配置も思い出してみます。北海道で売上の大きいスーパーは、生協、イオン、マックスバリュといったところ。私が行くこれらのお店はすべて従来通りの青果、鮮魚、精肉の順番となっています。都市型店舗ではないため、都会とは状況が異なるんだと思われます。(ここだけ2020/07/12追記)


●若者の魚離れは大嘘!?原因は若者ではなく高齢者の可能性

 水産物の消費量は過去10年間で約25%も低下したそうです。ただ、これは「若者の魚離れ」が原因か?というと、そうではなさそうでした。年齢別に見ると、一日あたりの平均消費量が84.4gの60代、75.1gの50代に比べ、20代は52.1gとかなり少ないのは事実。ただし、30~40代の消費量も20代とそれほどは変わらない上に、これらの世代は横ばい傾向。底を打ったようです。

 では、どの世代が下がっているか?というと、50代、60代やそれ以上の年齢層の人たち。若者らよりは食べているものの、かつての50代、60代と比べると、少なくなっているというのが、近年の魚離れの原因でした。

 ただ、私はそもそも以前が食べすぎだったんじゃないかと思うんですよね。厳密に守る必要はないものの、肉と魚と野菜は、一日何グラム食べればいい?たんぱく質の必要量などで調べたときは、魚は一日60~70gが目安でした。20代、30代はやや少ないものの、50代以上の人はやや多めです。若い人はかなり食べてるじゃん!と、私はむしろ安心しました。

 魚が体に良く食べる量が多ければ多いほど良いというのは誤解で、肉も魚も野菜もバランス良く食べるというのが正解とされています。魚の消費量が減っているから問題…という捉え方ではなく、全体のバランスで考えた方が良いでしょう。


【本文中でリンクした投稿】
  ■魚の消費量世界ランキング、日本はとっくに1位転落 なおも低下
  ■捨てられるおいしい魚 魚が売れない理由は高い価格だけじゃない
  ■コンビニは絶対勝てない スーパーとの大きな違いは生鮮食品の新鮮さ
  ■肉と魚と野菜は、一日何グラム食べればいい?たんぱく質の必要量など

【関連投稿】
  ■日本は過去に捕鯨を自ら捨てていた 日米漁業交渉で遠洋漁業確保のため
  ■漁業衰退は政治の問題 先進国は成長産業なのに日本だけ衰退の謎
  ■うなぎ・マグロ不足は食べ過ぎだから 稚魚まで獲るから当然減る
  ■マグロ消費量の推移 日本のマグロ漁業の発展はアメリカへの輸出のため
  ■主な代用魚の一覧 回転寿司の代用魚詐欺は、違法・偽装表示じゃないの?
  ■食べ物・飲み物・嗜好品についての投稿まとめ

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