魚に関する話をまとめ。<魚の消費量世界ランキング、日本はとっくに1位転落 なおも低下>、<資料によって違い…日本が韓国に負けているデータもある>、<ベスト10で魚介類の消費量が減っているのは日本だけ!>などをまとめています。
2023/07/26:
一部見直し
●魚の消費量世界ランキング、日本はとっくに1位転落 なおも低下
2013/10/18:
日本人の魚離れは深刻 あと数年でスーパーの魚売り場はなくなる?の続き。私は特に考えたことがなかったのですけど、「世界一魚を食べているのは日本人」という意識が日本人にはあるようで、「1位だと思いますよね?でも、実は違うんです」といったことが、前回紹介したもの以外のページでも書かれていました。
ただ、かつて日本は世界一のお魚大国だったというのは事実のようで、「世界一魚を食べているのは日本人」という認識が正しかった時代もある模様。その後1位から転落したわけですが、そのどこまで下がったのか?という順位に関しては、記載場所によって異なります。とりあえず、2009年のランキングは以下の通りです。
<世界主要国の魚介類の1人あたり年間消費量(kg)>
1.モルジブ 139kg
2.アイスランド 88.3
3.キリバス 72.4
4.ポルトガル 61.1
5.セーシェル 57.4
6.日本 56.67.韓国 56.1
8.マレーシア 53.2
9.ミャンマー 50.8
10.ノルウェー 50.6
11.スペイン 42.9
12.フランス 33.7
13.中国 31
14.ニュージーランド 26.1
15.オーストラリア 24.9
16.アメリカ 24.1
17.カナダ 23.3
18.ロシア 22.3
(
農林水産省/我が国における魚介類摂取の特徴 国連食糧・農業機関(FAO)統計(2009年)資料より作成)
●アメリカの2倍以上食べている!農林水産省は誇らしげ
日本の順位は6位。1位からの転落だそうですから、ずいぶん落ちていますね。ただ、この農林水産省のページでは順位低下には触れずに、にむしろ誇らしげな感じで<我が国は、年間1人当たり約57kgを消費しており、世界では6位番目の消費国です。なお、日本は、約24キログラムを消費しているアメリカやカナダなどの2倍以上の量の魚介類を食べています>と書いていました。
6位であっても世界でトップクラスのお魚大国であることは変わりありません。いわゆる欧米の代表格であるアメリカよりはずっと食べているわけです。同じ農林水産省のページの冒頭では、以下のような記載もありました。
<我が国においては、魚介類はお米などとともに、昔から重要な食料です。
日本人は、1人1日あたり約80グラムの魚介類を食べています。
特に、魚介類から摂取するたんぱく質は、食事から摂取する総たんぱく質の2割を占めています。
また、動物性たんぱく質全体の4割を魚介類が占めています。
我が国の魚介類摂取は、食品全体に占める割合が外国に比べて高いという特徴があります>
●資料によって違い…日本が韓国に負けているデータもある
一方、前回引用の記事
スーパーの鮮魚売場は絶滅寸前!? 元バイヤーが語る「お魚大国ニッポン没落」の現場|ダイヤモンド・オンライン(2013年8月22日 まがぬまみえ [ライター])では、上のランキングだと日本の下である韓国にも抜かれたとありました。にも関わらず、順位は6位より大幅に良い3位だということで、たいぶデータが違うみたいですね。
こちらが使っていたのは、平成24年版水産白書。日本の1人当たり食用魚介類消費量は世界で第3位。もとは1位だったのだが、2007年にポルトガル、2009年には韓国にも抜かれたと書かれています。で、元ネタを探してみると、見つかりました。
(PDF)平成24年度 水産白書 概要では、以下のような順位です。
<食用魚介類の1人当たりの年間供給量(人口100万人以上の国)>
1.ポルトガル
2.韓国
3.日本
4.マレーシア
5.ミャンマー
6.ノルウェー
7.スペイン
8.リトアニア
9.フィンランド
10.フィリピン
資料:FAO「Food balance sheets」(日本以外の国)及び農林水産省「食料需給表」(日本)に基づき水産庁で作成
ランキングは、棒グラフですので正確な数字はよくわからず。よく見ると、最初のランキングと元データを取った年がいっしょであり、順位が違うのは「人口100万人以上の国」と少なくしたせいが一番大きいようです。しかし、なぜか韓国との順位も逆転しています。これは不思議。よくわかりませんね。
上だと日本は56.6kgでしたが、こちらの棒グラフを見ると半分より下になっています。日本以外の国で使った資料FAO「Food balance sheets」は変わりませんので、国連食糧・農業機関(FAO)統計(2009年)と農林水産省「食料需給表」の違いでこうなったのでしょう。後者のデータを使って「人口100万人以下の国」を含めた場合は、日本は7位ということになりそうです。
●ベスト10で魚介類の消費量が減っているのは日本だけ!
あと、ダイヤモンド・オンラインで"さらに気になるのは、
魚介類の消費量が多い10ヵ国のうち、直近20年間でその消費量が減っているのは日本だけ、という事実である"と書いていたように日本だけ減っています。(正確にはリトアニアだけは20年前のデータなしなので、8カ国が上昇)
しかも、激減といって良い減り方ですね。日本だけ棒グラフから読み取った大雑把な数字を上げておくと、20年前の1989年が年間72kgくらいで、2009年が54kgくらいです。
実は前回での日経ビジネスオンラインの記事
うまい魚が、食卓でなく、海に流れる(中西 未紀 2009年11月18日)では、日本人の魚離れに関してこんな話もありました。
<気づけば、日本人は魚介類を食べなくなっている。厚生労働省の「国民栄養調査」「国民健康・栄養調査報告」によれば、既に2006年には、日本人の1日当たりの魚介類の摂取量は肉と逆転している。1997年には肉の約1.2倍の魚介類を食べていた日本人だが、その10年後には1~19歳で2割以上、30~49歳では3割以上も摂取量が少なくなり、調理も手軽な肉を食べる機会の方が増えてしまったのだ>
先のダイヤモンド・オンラインでも、前回紹介した他にも、もう少し魚離れの話がありました。日本では魚を食べなくなる一方、海外では人気に。肉食が主だった人々にとって、魚は高級品であり、それを食べるのはステイタスになっているとされていたのです。
●手軽に魚を食べよう…国の施策でますます魚が売れなくなる悪循環に
ダイヤモンド・オンラインでは、魚の消費が多いというが、その中身はほとんどが輸入品だと指摘。さらに煮たり、焼いたりという調理技術も、家庭の台所からは失われつつあるとしています。国は「ファストフィッシュ」を普及させようとしているものの、その結果、ますます魚が売れなくなり、魚売り場が減る悪循環だとしていました。
ここで出てきた「ファストフィッシュ」ってのは「手軽・気軽においしく、水産物を食べること及びそれを可能にする商品や食べ方のこと」だとのこと。「丸魚」の方はきちんと説明されているページがありませんでしたが、おそらく読みは「まるうお」で「丸物」と同じ意味だと思われます。
「丸物」を検索すると舞台用語の説明ばかりですが、「おろす前の魚」のことをそう呼んでいる用例がありましたので、文脈からしてこちらもそういった意味でしょう。なので、おそらく「ファストフィッシュ」の推進によって、加工済みの魚ばかり買われるようになり、そうではない魚売り場が廃れてしまう…といった意味みたいですね。
日経ビジネスオンラインの魚のシリーズ記事をもう一度読み直そうかなと思っていますが、確かその中で魚売り場の人自身が魚(調理法など)を全くわかっていないんだから売れるはずがないという話もあったはず。そんな中でファストフィッシュを普及させれば、魚売り場の人も一般人もますます「手間はかかるけどおいしい魚」から離れていくことになりそうです。
【本文中でリンクした投稿】
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