タイトルの通り、ランニングはむしろやらない方が良いという話と、薬好き日本人というのは不健康ではないかという話。元にした記事は、以下の本の宣伝を兼ねたものっぽいです。
2013/10/18:
●実は薬は一切必要ない…は極端な主張でトンデモ
●薬好き日本人、薬で健康になるどころか実は不健康?
●過度なランニング・ジョギングは逆効果で老化
●馬鹿みたいに走るのは人間だけ…自然界の動物も実は走らない
●わかりやすい極論が好まれる…食事でもバランスに問題
●疲れる運動が寿命を縮めるもとになる理由は活性酸素
2017/04/16:
●ランニングですら危ないのにマラソンなんかもってのほか
2021/04/22:
●毎日運動する人は、逆に心臓病や脳血管疾患のリスクが高い 【NEW】
●突然死する人が多い市民ランナー、過度な運動でホルモンが減少 【NEW】
●実は薬は一切必要ない…は極端な主張でトンデモ
2013/10/18:
40歳過ぎのランニングは「元気の浪費」:日経ビジネスオンライン(秋山 知子 2013年9月13日)というタイトルを見ておもしろそうだなと思った記事。ただ、最初にこんな話があったので警戒しました。
――近著の『医者が教える 本当に病気を治す医者の選び方』(アスコム)では、「ダメな医者」の見極め方をかなり赤裸々に解説しておられます。
特にドキッとしたのが「あなたはダメ医者にとって『おいしい患者』になっていないか?」というくだりでした。私の母は70代ですが、同世代の知人が10人集まるとそのうち8人は高血圧か高脂血症の薬を常に飲んでいて、薬なしで生活している高齢者はかなり少数派のようです。
岡本:高血圧とか高脂血症、糖尿病など、いわゆる生活習慣病は本来は医者がいなくても自分で治せるんです。なのに、ずっと途切れずに通院してくれて、薬だの検査だのをずっと続けてくれるから医者にとっては実においしい患者なんです。
薬というのは一時の症状を抑え込むにはよいけど、それは病気が治ってるわけではないです。根本的な解決ではなく、問題を先延ばししてるだけ。本来、高血圧の薬をずっと飲みなさいと医者から言われた時に、違和感を感じるというのが患者の自立ということだと思います。なんかおかしいなと。
警戒したというのは「薬は一切いらない」みたいな極端な主張かな?と一瞬思ったためです。実はむしろ私は薬嫌いの医者嫌いなのでなるべくそれらを避けるようにしているのですが、一方でそれらがすべていらないという説も絶対に支持しません。
薬好きで何でもかんでも薬で…というのは副作用の可能性を増やすばかりで良いこととは思いませんが、薬が必要なときというのもたくさんあることは否定できません。何の話でも大体私はそう書くのですが、バランスが肝要でしょう。
●薬好き日本人、薬で健康になるどころか実は不健康?
で、岡本裕さんは大丈夫なんだろうか?と思って先を読み進めると、どうも私の考え方と同じような方向性に見えたので安心しました。
このことは、インタビューアーが言った情報収集能力について、語る部分で見えます。「情報収集よりも、大事なのは情報を取捨選択する力」としていました。この例として、ダイエットの話をしています。〇〇ダイエットなんてのも、私が大嫌いなものの一つであり、そこも合いました。
「日本人ってダイエットの情報が好きですよね最近だと糖質制限ダイエットなど、はまっている人は多いですね。でも、それを長く続けたらどうなるのかなと、それで健康になれるのかなと疑問に思うのが、リテラシーであり自立だと思うんですよ」
そして、以下のようなバランスの取れた話をしていました。
「
基本的に、極端なところに真実はないと思います。生物の体というのは曖昧にできているので、糖を全く摂らないとか、不自然な極端なことをして健康になれるはずがない。自然から離れすぎると体に悪いんじゃないかと考えるのがリテラシーでしょう。薬も同じです。
一時しのぎに使うのはよいけど、常用すると寿命を縮めます」
●過度なランニング・ジョギングは逆効果で老化
元記事のタイトルである"40歳過ぎのランニングは「元気の浪費」"もやはりバランス論でした。「ランニングは危険」としているものの、すべてのランニングがダメという意味ではありません。岡本さんは「基本的にそれもリテラシーの問題」という言い方もしています。
「ある程度の負荷をかけるのはいいんです。骨粗しょう症の予防にもなります」といったランニングには、プラスの面もあることを認めています。息が切れない程度のジョギングは良いのです。ところが、「人間ってエスカレートするでしょう」として、以下のような話をしていました。
「タイムトライアルに夢中になって、4時間を切ったとか3時間を切ったとか熱中してやり過ぎますよね。若い人は精神力をつけるために多少はいいかもしれないけど、40歳過ぎてやるものじゃないです。体が下り坂に向かっている時に自ら痛めつけるというのは愚の骨頂です」
●馬鹿みたいに走るのは人間だけ…自然界の動物も実は走らない
例外が見つかりそうな気がするのですけど、実を言うと、すごくよく走っていそうな自然界の動物も実は走らない、馬鹿みたいに走るのは人間だけといった話もされていました。
「自然界で自ら好き好んで走る動物は人間以外いないんです。それは、走るということが有害だからです。もちろん敵から逃げるとか、獲物を追う時は走りますが、あくまで短時間です。2時間も走っている動物はいない」
さらに走る人は寿命が短いというデータも実際あるとのこと。「走ったら元気になるんじゃなくて、元気な人が走ってるだけ。元気を浪費してるだけ」だとしていました。
私も知っている人でこういった極端な人がいます。その人の場合はランニングでなく、ウォーキングですが、パターンはいっしょです。40歳どころかもっと上の年齢でそれまで全く運動していなかったのに、「運動しよう」と思い立っていきなり一日何時間も歩き始めて体を痛め、逆効果…普通は少しずつ増やしていくものでしょうに。
●わかりやすい極論が好まれる…食事でもバランスに問題
日本人は残業が多いほど評価される、マッサージは痛いほど効くと思うなど、辛いことをすれば良いことみたいな精神論も好きですし、こういう極端さは余計好まれるかもしれません。
なお、岡本さんはやはり食事に関してもバランスの問題といった話をしていました。ただ、人間って「良い食べ物と悪い食べ物がある」といった極端でわかりやすい主張を信じたがるんですよね…。
「何でも極端なことはよくないです。例えば、がんの食事療法でも、極端で厳格な菜食主義よりも、もう少し自然な食事にしたほうが治癒率は高いです。要は、運動も食事も生き方も、極端なことをすると短命になります」
●疲れる運動が寿命を縮めるもとになる理由は活性酸素
ランニングの話については、別記事も探して確認してみますね。
スポーツもやりすぎると体をサビさせる要因に! 激しいスポーツで老化する!? [ストレス] All About(執筆者:大美賀 直子)という記事が見つかりました。
運動習慣は生活習慣病などの病気を防ぐためにも、大切なものですが、実はヘトヘトになるまで運動するのは、逆効果。なんと、寿命を縮めるもとになるということをご存知でしょうか?
その理由は、運動中に消費する酸素量にあります。激しいスポーツをすると、呼吸が荒くなり、心臓も早鐘を打ったようにドキドキしますよね。これは、筋肉が急にたくさんの酸素を消費するために起こる現象。呼吸量や血流量を増やして筋肉に酸素を送り込み、エネルギーを作り出しているからです。
酸素は体の各組織を動かすために必要なものですが、実は「活性酸素」という体を酸化(サビ)させる物質にかんたんに変わってしまう性質ももっているのです。長い間鉄くぎを放置していると、空気中の酸素と反応していずれサビてしまいますよね。これと同じような現象は体中のあらゆる組織でも起こっており、老化にもつながると考えられています。
つまり、激しいスポーツをして体内の酸素量が急激に増えることは、それだけ活性酸素の発生率もアップするということ。急に息の切れるような激しい運動をすると、活性酸素が大暴れして体中を痛めつける状況を作りやすくしてしまうのです。
タイトルでは薬好き日本人としましたけど、運動まで含めるなら健康好き日本人でも良かったかもしれません。でも、その健康好きでいろいろやっていた行為が余計寿命を縮めていた…なんてことになると、笑えない話ですね。
(なお、同じ記事から以前、"国民皆保険制度の範囲問題、メタボは自費で?&総合診療医の必要性"という話も書いていて、私も良い内容だと思っていました。ところが、健康な人生を送れるかどうかは、生まれた時点でかなりの差が出ることがわかっていると、後に知りました。要するに、不健康な人は不可抗力の部分も大きいんですね。そのため、医療保険制度を自助努力・自己責任的な方向性に持っていくのは間違いなようです。 ここだけ2017/04/16追記)
●ランニングですら危ないのにマラソンなんかもってのほか
2017/04/16:タイトルだけ見た時点で見切り発車的に書き始めたら、 今回紹介しようとした記事が日刊SPA!のものだということに気づきました。
健康のために始めたら、逆に不健康になった実例集…40代の減量、マラソンは危険!? 日刊SPA! / 2017年4月16日 8時53分という記事です。ここって、真偽不明な感じの個人の体験談が多いんですよね。体験談ですので、信頼性に欠けます。
で、実際に中身を見てみたら、案の定体験談。しかも、ほぼ体験談だけで構成された話でした。全く良くない記事でしたね。とりあえず、タイトルの元になっていたのは、以下のような49歳・講師の話。
「40歳をすぎて、遺伝性の痛風の疑いがあったことで、最初はジョギング程度から始めました。すると気がついたらハマってしまい、フルマラソン大会に出るように。ところが、体重は劇的に落ちたものの、膝を壊してしまいドクターストップ。いい趣味を見つけたのにショックです」
もう一つ、上でもちらっと出ていた糖質制限ダイエットをやった方の話も一応紹介。
「糖質制限を実践しようととりあえず白飯は食べず、間食はナッツのみ。飲み物は炭酸水。たしかに短期間で8kg落とすことに成功しましたが、この極端な生活に嫌気がさし、やめたらあっという間に戻ってしまった」(45歳・広告)
糖質制限ダイエットについては、その後、いくつか書いています。例えば、
糖質制限ダイエットに危険性なしに騙されるな 死亡率上昇の研究ありといったもので、やはり危険という話。
今回の新しい記事は体験談でしたので証拠にはならないものでしたが、 最初の記事で岡本裕さんがおっしゃっていたように、基本的に極端なのはマズイと考えた方が良いです。
●毎日運動する人は、逆に心臓病や脳血管疾患のリスクが高い
2021/04/22:もう少し過剰な運動の話がないかと検索。
やり過ぎ厳禁! 「適度な運動量」ってどれくらい?|NIKKEI STYLEという記事が出てきました。まず、記事でよく知られているとしていたのは、筋力トレーニングのオーバーワークでした。
<筋肉に負荷をかけると、いったん筋肉の細胞が壊れ、回復するときに以前より細胞が増えることで筋肉が太くなっていく。ところが毎日激しい筋トレを続けると、細胞の回復が破壊に追いつかない。その結果、逆に筋肉が細くなってしまうのだ>
また、約110万人の女性を対象にした2015年の大規模な調査(Circulation. 2015 Feb 24;131(8):721-9)で、日々の運動量と健康状況を9年間調べたところ、あるレベルまでは運動量が多くなるほど発症のリスクが低くなっていったものの、ウォーキングやサイクリングなどの運動を「毎日欠かさず行う人」は、逆に心臓病や脳血管疾患のリスクが高くなってしまったといいます。
●突然死する人が多い市民ランナー、過度な運動でホルモンが減少
具体的な適度な運動量としては、市民マラソンの世界では、「1ヵ月に走る距離は200キロメートル以内に」と言われているとのこと。統計上、1ヵ月に200キロ以上走るとケガの発生率がグッと高まるそうです。ただ、普通の人はそこまで運動していませんし、個人差があるので運動不足の人は少し走るだけで体がガタガタになるでしょう。
ということで、普通の人はこの数字はあまりこだわらず、自分の体と相談しながら少しずつ…にした方が良いと思われます。また、同様の理由で、以下も普通の人は心配する必要はないのですが、運動をたくさんするのは全然良いことではないとわかる話が他にもありましたので、引用しておきます。
<「加齢男性性腺機能低下症候群」。主に睾丸で分泌されるテストステロン(主要な男性ホルモン)が低下することで、頭痛や不眠、筋肉の減少、骨がもろくなるなど、様々な不調が表れる病気だ。(中略)脳血管疾患、心筋梗塞、がんなど、命にかかわる病気のリスクも高くなるというから、決してバカにできない(Circulation. 2007 Dec 4;116(23);2694-701)>
<テストステロンは適度な運動をすると分泌量が増えるのだが、フルマラソンのような激しい運動をした直後にはガクンと減ることが確認されている>
「中高年の市民ランナーには大会中に突然死する人が多い。テストステロン値が低いと、循環器系疾患による死亡率が高まることが分かっています。ケガをする人が増えるのも、テストステロン値が低くなることと無関係とは思えません」(ドクターランナー(事故にそなえて選手と一緒に走る医師)として多くの市民マラソン大会やトライアスロン大会に出場している、よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック(神奈川県横須賀市)の奥井識仁院長)
奥井院長は「ジョギングや早歩きをする場合、1ヵ月に120キロ程度の運動量がベスト」とさらに少ない数字をアドバイス。というのも、奥井院長が45~55歳の男性市民ランナー43人について、1ヵ月間の走行距離と血中で遊離しているテストステロンの濃度(遊離テストステロン値)を調べてみたところ、運動によってテストステロンが増えていくのは月120キロ程度までだったためだそうです。
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