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東京オリンピックの建築は、北京の失敗に学べるか 新国立競技場の不安


 私のブックマークの中に五輪建築に関する記事がありました。どちらにせよ長すぎて分割になったと思いますが、建て替えの新国立競技場 大きすぎ・美観壊す・明治天皇への不敬を書いたときには忘れていました。

スター建築家が個性競った北京五輪の教訓:日経ビジネスオンライン
宮沢洋 2013年9月19日(木)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130918/253590/?n_cid=nbpnbo_mlp

 作者の宮沢洋さんというのは、以下のような経歴。
日経アーキテクチュア副編集長 1967年東京生まれ。1990年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、日経BP社入社。日経アーキテクチュア編集部に配属。以来、建築一筋。現在は日経アーキテクチュアにて「建築巡礼/古建築編」を連載中。

 「アーキテクチュア」というのは、「構造」や「建築学」のことですね。

 宮沢洋さんは北京オリンピックの建築物は失敗だったと見ているようですが、建物のデザインが悪かったとか、中国お得意の手抜き工事だとか、そういった話ではありません。

 むしろ建築物に関しては、歴代のオリンピックから見ても素晴らしいものだっと考えているようで、"「建築好き」の人に「これまでで最も印象に残っているオリンピックは?」と尋ねたら、恐らく大半の人が「北京五輪」と答えるのではないか"と書いています。


 この北京オリンピックの建築物で有名なのは、中国の建築家たちが設計したものではなく、海外のものです。(ちなみに日本の建て替えの新国立競技場も外国人の設計です)

 たとえば、北京五輪の象徴として有名な「鳥の巣」は、スイス人コンビのものだそうです。

国家体育場の写真
 通称「鳥の巣」、正式名称は「国家体育場」。9万1000人を収容する北京五輪のメーンスタジアムだ。多方向に交錯する鉄の構造体で覆われたその姿は、まさに巨大な鳥の巣。(中略)設計は国際コンペで選ばれたヘルツォーク&ド・ムーロンが中心となって進めた。(中略)

 彼らは、活動の初期から一貫して建物表面の見え方にこだわってきた。(中略)

 「巨大生物の育成器」を思わせる外観は今見てもとんでもないインパクトだが、完成当時ももちろん大きな話題となり、筆者が所属する建築専門雑誌「日経アーキテクチュア」ではこのとき、「表層の復権」という大特集を組んでいる(2003年8月4日号)。

 宮沢洋さんはこうした海外の建築家の選択というのは、中国の方針だったのでは?といった想像をしているようです。

 実はメーン会場の候補に残った中国の建築家の案が注目を集めていたものの、最終的には落選したのだそうです。
 実は筆者は、メーンスタジアムの設計候補者が3組に絞られた2003年3月末に北京出張があり、その展示発表会を見に行った。最終3組に残っていたのは、HdMと北京市建築設計研究院、日本の佐藤総合計画だ。中でも個人的に強く引かれたのは北京市建築設計研究院の案で、グラウンド上部の屋根が空に浮かぶ、という案だった。

 競技場自体はオーソドックスなリング形だが、UFOのように浮かぶ屋根のインパクトが強烈だ。浮かぶ屋根は、仕組みとしては「大きな気球」なので、建設費はさほどかかりそうにない。ビックリ度が大きい割には現実性のある案だ。

 「さすが中国、これが当選してほしい!」と心の中でつぶやいた。見学に来た市民たちもその模型の周りで人だかりをつくっていた。しかし、勝ったのはHdMだった。わざわざ国際コンペをやっているのになぜ地元の建築家を選ぶのか、という判断があったのかもしれない。

 私は五輪の政治利用を強く批判していますが、東京オリンピックもその点が懸念されているようにオリンピックは政治利用の歴史です。(スポーツとナショナリズム ヒトラーの「ナチ・オリンピック」が最高傑作)

 中国の建築物によるイメージ戦略は成功だったのかもしれません。
 「海外著名建築家起用戦略」は一定の成果を上げた。この五輪ほど、各競技施設の外観がテレビで流されたことはかつてなかっただろう。それによって、筆者も含め、中国の建物といえば「人民大会堂」くらいしか思い浮かばなかった人たちの中国観が変わった。「新しい価値観を取り入れる中国」というイメージが植え付けられた。

 海外建築家の起用はメーン会場に限りません。前述の通り、メーン会場では候補に残ったものの敗れている日本の佐藤総合計画ですが、実は他のところで起用されています。
天津オリンピックセンタースタジアムの写真
 あまり知られていないが、北京五輪では日本の設計事務所が中心になって設計した競技施設もあった。佐藤総合計画が天津市建築設計院と共同で設計した「天津オリンピックセンタースタジアム」だ。サッカーの予選と準決勝が行われた。

 この施設の愛称は「水滴」。天津市は古くから「水の都」として有名で、設計時から水をテーマに据え、水滴をイメージした外観をつくった。先の2つの施設ほど奇をてらったデザインではないが、3次元曲面の精度の高さには日本人らしさが感じられる

 「先の2つの施設」という記述は私が順番を入れ替えているせいで、1つまだ出てきていませんでした。この残りの1つは水泳競技場のことを指しています。
水立方の写真
 北京五輪では鳥の巣以外にもう1つ、大会のアイコンとなった建物があった。北島康介選手が金メダルを取った水泳競技場だ。

 正式名称は「国家遊泳中心」、愛称は「水立方」。水の泡を四角い型に入れて固めたようなデザインだ。水立方は鳥の巣の隣にあり、大会中はテレビ中継の冒頭に鳥の巣とセットで映し出されることが多かった。

 水立方はオーストラリアの大手設計事務所、PTWアーキテクツが設計した。泡のように見える部分は、透明のETFEフィルムを二重に張り、中に空気を入れて膨らませている。

 これだけ印象に残り、政治的には成功だったといえる北京五輪の建築物。では、何が失敗だったのかと言うと、新国立競技場でも言われているその後の利用です。

 多すぎる観客席と屋根のない構造のため目的の限られてしまう"鳥の巣が使われたのは数えるほど"で、水立方は水泳競技に使われずレジャー施設に、"郊外につくられた体育館や野球場に至っては、まるで廃墟のようだ"といった報道がされているようです。

 確認のために記事を検索すると、こういうのが。
NEWSポストセブン|北京五輪の会場 “鳥の巣”含めて大部分が廃墟化していた
2012.08.05 07:00

 2008年開催の北京五輪会場の惨状を白日の下にさらしたのは、ロイター通信社のカメラマン、ディビッド・グレー氏。鉄柵によって取り囲まれて、ほとんど使用されていないまま壁が崩れ落ちているバレーボール会場の体育館や、草ぼうぼうで、いまや野良犬の遊び場になってしまった野球会場、水がまったく乾いたままで放置されているカヤック会場、もはや塀すら取り壊されたままで残骸をさらしているカヌー競技場などの現状が明らかになったのだ。

 とくに、奇抜な設計で話題になったメインスタジアムの「鳥の巣」競技場や競泳会場の「水立方」は五輪後ほとんど使われておらず、全くの廃墟となり、五輪会場周辺はまさにゴーストタウンと化してしまったかと見間違うばかりだ。(中略)

 これらの五輪施設は、建設計画段階でも五輪後の再利用についてはまったく考慮しなかったことから、オリンピックが終わってしまったいま、だれにも見向きもされない遺物となってしまったといえそうだ。
http://www.news-postseven.com/archives/20120805_135528.html

 2ちゃんねらーがこの記事を肴に盛り上がっていたように、到底五輪建築として望ましい姿ではありません。

 中国はこれら以外でも使うあてのない無人ビルを多量に作っていますので、それでもいいのかもしれません(ただし、景気悪化は指摘されています)が、日本が同じことをしてしまっては堪りません。
 日本はそこのところ大丈夫なのかと心配になる。新国立競技場の開閉屋根を、コストダウンのためになくすことにならないのか。五輪後にどう使うつもりなのか……。(日経ビジネスオンライン)

 中国と同じ轍は踏まないでほしいものです。


 追加
  ■国立競技場建て替え、1300億円が3000億円に 縮小しても1800億円

 関連
  ■建て替えの新国立競技場 大きすぎ・美観壊す・明治天皇への不敬
  ■スポーツとナショナリズム ヒトラーの「ナチ・オリンピック」が最高傑作
  ■オリンピックの招致活動は負けるが勝ち?開催国はマイナスが多い
  ■平昌オリンピックが費用問題で中止の噂と日本・韓国全面協力報道
  ■平昌オリンピック代替地問題は嘘記事 ソースにしてはいけません
  ■その他の文化・芸術・宗教・海外との比較などについて書いた記事

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