2013/11/2:
●イスラム圏の人は怠け者?イラン人は「楽しく暮らしたい」
●イランは1年の4割が休み 2つのカレンダーの併用で休日増し増し
●実は日本人の休みも結構多くて、イランは特別すごくない?
●イスラム教とキリスト教とで休日が違っていて困ったことに
●ちょうど良くならない!日本人は働きすぎだが、イラン人は働かなすぎ…
●イスラム圏の人は怠け者?イラン人は「楽しく暮らしたい」
2013/11/2:以前、イスラム圏の人は怠け者だという話に反発を覚えたことがありました。実は昔書いた
アラブ人に関するエスニックジョークは、そういった見方に大して、捉え方や文化の違いであり、必ずしもそうではない可能性があるのでは?と示したものです。
今回読んだ以下の記事
イランでは1年間の半分が休日:日経ビジネスオンライン(エッテハディー・サイードレザ 2013年9月5日)はイランに限定したものですが、サブタイトルに"「怠け者」ではなく「楽しく暮らしたい」国民"とあり、やはり「怠け者」という評が一部にあることを思わせます。"「怠け者」ではなく「楽しく暮らしたい」国民"の説明部分は以下のあたりでした。
イランをはじめとする中東の国々が発展できないのは、「豊富な資源に恵まれているからだ」と単純に信じている評論家が数多くいます。この議論は「資源があるから、国民は怠けて働かない」と解釈できます。この解釈はカタールやクウェートなど、人口が少ないにもかかわらず、多くのガスや原油を輸出している国々に対しては正しいかもしれません。しかし、イランやイラクには当てはまらない議論だと思います。
イラン人は「怠け者」ではなく「楽しく暮らしたい」国民なのです。楽しく暮らしたいので、仕事についてすごく甘い考え方を持っています。イラン人はまず「明日」より「今日」を優先します。「今日」だけを考えているので、一夜のうちに金持ちになりたいと思い、規則を簡単に破る可能性が高まります。
ただ、これ読むと、余計「怠け者と言われてしまうのも無理ないかな」と思いました。少なくとも労働に対して一生懸命ではないようです。
●イランは1年の4割が休み 2つのカレンダーの併用で休日増し増し
さて、記事でおもしろかった話。何と言ってもカレンダーのことが一番おもしろいところでした。イランでは、2つのカレンダーを同時に使います。正式のカレンダーは太陽暦で、イランの独特のカレンダーになっています。このカレンダーを見ると、お正月は常に西暦の3月21日に。伝統的、国家的な休日はすべてこのカレンダーで決まるんだそうです。
うちではブログ初期に
仏暦とは何か? 仏教は釈迦入滅・キリスト教はキリスト誕生が大事というものをやっており、その中ではヒジュラ暦(イスラム暦)というのも出てきました。
ですので、「イランでは、2つのカレンダーを同時に使います」とあったのを見て、もう一つはイスラム暦だとわかりました。そして、イスラム教に関わるイベントもイランでは休日になります。したがって、この併用により、休日が増し増しになるわけです。
イラン式のカレンダーでは9日間、イスラム教のカレンダーでは16日間、合わせて25日の休日が1年間にあるとのこと。これに104日の週末と30日の有給休暇を加えれば1年間に159日は休日に。と言うわけで、イランの会社員は1年間の43%を休んでいることになるそうです。
●実は日本人の休みも結構多くて、イランは特別すごくない?
元記事は「イランでは1年間の半分が休日」とありましたが、上記のように記事内の表記は43%であり、私の方のタイトルは「4割」としました。たぶん本文には「1年間の半分が休日」の記載はないと思いますので、編集部がつけたタイトルだと想像します。ちょっとサバ読みすぎですね。
あと、下書きを終えた後に思ったのですけど、この休日数は特別多いわけではなく、実は日本とそれほど差はない気がします。日本の祝日は15日あり、盆と正月は最低3日くらいは休むことが多いです(そのうち元日はもともと祝日)。これに加えて週末に2日休みという建前はイランといっしょです。
もう少し具体的に言うと、イランの場合は、104日の週末とて25日の休日で129日の休日。日本の場合は、2020年の休日は120日。ですから、9日しか変わりません。違うのは有給休暇の感覚や土日休みが徹底されていない…などでしょうね。表面上の数値としては意外に大したことありませんでした。(この段落だけ2020/12/04変更)
●イスラム教とキリスト教とで休日が違っていて困ったことに
イランの休日の話に戻ります。日本と比較してみたように、休日の数はそこまで変わらないようです。しかし、非イスラム文化圏と欧米圏などが仕事する上で、この休日に大きな問題があります。日数は大して変わらなくても、休みの曜日が違うため。これが大きな問題になってしまうわけです。
<イランの会社員は残りの206日は働いています。とはいえ、海外とやり取りできる日数は週に3日しかありません。なぜなら、イランでは木曜日と金曜日が週末の休みだからです(週は土曜日から始まり、金曜日に終わります)。海外は土日が週末。このため、イランの銀行などが海外とのやり取りができる平日は月火水しかありません>
ここはちょっと補足。休日となる曜日が異なるのは、各宗教の安息日の違いによるためです。宗教によって異なるわけですから、どれが間違っているということはないです。したがって、我々日本人が従っているキリスト教の休日が正しいというわけでもありません。
<ユダヤ教>
厳格なユダヤ教徒は金曜日の日没前までに食事の支度をし、安息日である土曜日は調理を行わない。(中略)ユダヤ教徒は安息日である金曜日の日没から土曜日の日没までは、本来は宗教的な観点から禁煙をしなければならない。しかし、ユダヤ教徒であるユダヤ系イスラエル人が安息日に喫煙を行うことは、宗教的にみればタブー視されるが成人であるならばイスラエルの法律に対する違法行為ではない(ただし、イスラエルにおいては、路上における喫煙行為は、民族や宗教に関わりなく2007年11月からは非合法とされている)。
<キリスト教>
キリスト教会では当初は安息日(土曜日)に集まって礼拝を行っていたが、のちにキリストの復活を記念して、復活の日である日曜日を主日と呼び、礼拝を行うようになった。ローマの神や土地の神との結びつき(印欧化・混交)、ユダヤ教からの乖離政策であるといわれる。
<イスラム教>
イスラム教ではムハンマドがメッカを脱出した金曜日を安息日としている。厳密には安息日とはユダヤ教のものであり、この場合の安息日とは、休日という意味である。イスラム教は、毎日が礼拝であり、特に金曜日には合同礼拝(集団礼拝、金曜礼拝)が行われる。
(
Wikipediaより)
●ちょうど良くならない!日本人は働きすぎだが、イラン人は働かなすぎ…
補足を終えてイランの話に戻るものの、もう終わりですね。作者は、労働の質にも課題があるとしていました。1週間の中で、イラン人が効率的に働いている時間はわずか11時間だと言われるとのこと。一方、先進国は28時間。イランはまだまだ低い値にとどまっているとされていました。
そして、「だからこそ、労働規則を見直さない限り、イランは経済的に発展する見込みがないと思います」というかなり厳しい見方を披露。ひと通り読んでみても、「やっぱり怠け者って言われちゃうよね」という残念な内容でした。
ネットを見ていると日本には未だにサービス残業を自慢する社畜の人たちがいらっしゃるようですが、「ブラック企業」という言葉が流行っているように奴隷的な労働を良いことではないと考える人たちが増えてきています。労働時間が長ければ良いということではないでしょう。
上の記事でも実は日本人の労働時間の話も出ていて、イランなどの海外から勤勉さについて尊敬されていた日本人も「本当はいやいや長時間働いていたのだとわかってきた」といった話がありました。ただ、イラン人くらいまで行くと、やはりあまりにも働かなすぎですよね。日本とイランで足して2で割りたくなります。
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