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社名は日立造船 でも船を作ってないし、日立グループでもない


2013/11/5:
●社名は日立造船 でも船を作ってないし、日立グループでもない
●子会社化で終わらず…船舶・海洋部門の子会社も手放してしまう!
●では、日立グループとの関係は?日立製作所との繋がりはまだあるの?
●日立造船の主力は意外な仕事ばかり…日立製作所もライバル?
●造船以外でも儲からない事業からはスッパリ撤退
2018/11/07:
●日立機材も日立ブランドを捨ててセンクシアに


●社名は日立造船 でも船を作ってないし、日立グループでもない

2013/11/5:もともと「日立造船」は「造船」とつくのに船を作っていない…という記事を読んでおもしろいなと思って書き始めたもの。ところが、Wikipediaを読むと「日立」とつくのに日立グループでもないという話まで出てきて笑いました。

 まず、「造船」分離の話ですが、実を言うと、最近のことではなく、かなり昔のこと。Wikipediaには、以下のように書かれていました。

<商号に「造船」の文字が含まれるが、2002年(平成14年)に日本鋼管(現・JFEエンジニアリング)との合弁で両社の船舶・海洋部門を切り離して統合した持分法適用会社のユニバーサル造船を設立したことで、本社から主要事業だった造船事業を手放した>


●子会社化で終わらず…船舶・海洋部門の子会社も手放してしまう!

 じゃあ、一応子会社としてなら今でも残っているのかな?と思いきや、以下の通り「主要子会社」の中にもユニバーサル造船の名前はありません。

<主要子会社>
アタカ大機(株) 55.6%
(株)ニチゾウテック 61.8%
(株)エイチアンドエフ 53.7%
(株)アイメックス 100.0%
(株)オーナミ 42.0%
(2012年3月31日現在)

 変だなと思って、ユニバーサル造船の方のWikipediaを確認。次のようないきさつでした。

<2002年(平成14年)10月1日に日本鋼管(現・JFEエンジニアリング)と日立造船の船舶・海洋部門が統合し発足した。発足時はJFEエンジニアリングと日立造船が50%ずつ出資する資本構成となっていたが、2008年(平成20年)3月にJFEホールディングスがJFEエンジニアリング保有の全株式と日立造船保有の株式の一部を取得し、親会社になった>

 この取得後はJFEホールディングス(株) 84.9%、日立造船(株) 15.1%であり、日立造船の子会社とは言えませんね。0.1%でも低ければ、他人の会社という感覚です。で、これで終わりだと思ったのですが、また合併しちゃって今は別会社になっていました。

<2013年1月1日、株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッドと合併し、ジャパン マリンユナイテッド株式会社となる。IHIとJFEホールディングスがそれぞれ45.93%、日立造船が残り8.15%の株式を保有している>

 IHIってのは、元の石川島播磨重工業です。このIHIの参加により、出資比率がさらに下がっていて、もう完全に日立造船は蚊帳の外。一応、船舶用のディーゼルエンジンなどの製造は継続しているしているそうですが、後述するようにこれも主力事業ではないんです。全然、船は関係なくなってしまいました。


●では、日立グループとの関係は?日立製作所との繋がりはまだあるの?

 じゃあ、2つ目の日立グループの方の話に行きましょう。最初のWikipediaによると、かつては日立製作所の傘下にあったために「日立」の名を冠した商号となっているものの、戦後の財閥解体によって現在では日立グループからは離脱しています。これは船離れよりもさらに昔の話ですね。

 ただし、こちらの方は「船舶」の話と違って、まだ繋がりを残しています。日立製作所は2009年(平成21年)3月31日時点では日立造船の第9位の大株主でもあり、両社とも旧三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)の融資系列で組織するみどり会(UFJグループ)の会員企業であるとのことでした。

 <こちらの方は「船舶」の話と違って>とは書いてしまったものの、冷静に内容を見てみるとかなり薄い繋がりだと言ったほうが良いかもしれません。「大株主」とはいえ、第9位。みどり会というのも、日立グループという内容ではないため、日立製作所との繋がりという意味ではかなり弱いでしょう。


●日立造船の主力は意外な仕事ばかり…日立製作所もライバル?

 ここから再び船舶部門切り離しと関係した話に戻ります。今の日立造船は造船ではなく何の企業だと言えるのか?という話です。私がもともとこれを書くきっかけとなった以下の記事では、「ごみ焼却炉」が主力事業だとしていました。名前からは全然想像できませんが、他の主力もそういった感じがあります。

<同社は、現在船を作っておらず、ゴミ焼却発電施設や地下掘削機、海水淡水化プラントなど、さまざまな分野の施設や機械が主力となっている。大規模太陽光発電所(メガソーラ)やバイオディーゼル燃料製造装置も手掛け、環境分野のテーマ株としても注目だ>
(船をやめた日立造船など社名に騙されずに狙う新業態で大変身した10万円オールド株とは? ザイ・オンライン  2013年10月29日 ザイ編集部より)

 正確にはごみ焼却炉、その発電施設などの環境装置というのが主体で、2013年3月期の事業構成比率は47%(明記ないが、売上比か?)だそうです。この他に14%(3番目)を占めるプラントでも、代表的なものは海水淡水化で、環境関連が強いと言えそうな感じでした。

 2番目に多いのは18%を占める機械であり、半導体・液晶関連の精密機械を作っています。3番目は前述の通り、14%である海水淡水化などのプラント事業。その次の4番目はインフラの9%で、バイオディーゼル燃料装置、シールド掘進機が主なものだそうです。

 日立製作所は一つの会社の中で非常に幅広くやっているところですから、例えば、精密機械なんかは重なるだろうとちょっと見てみると、やはり半導体・液晶関連製造装置を手がけているといった記述がありました。2社の事業には結構重なっている部分があるかもしれません。


●造船以外でも儲からない事業からはスッパリ撤退

 なお、機械関連では子会社の清算も行っています。

<子会社に東証二部上場の日立造船富岡機械があったが、今後の事業展開が見込めないとして2004年(平成16年)に通常清算(経営破綻していない会社の資産を売却し残余金を株主に分配し解散させること)している。上場会社の通常清算はきわめて珍しいケースである>

 検索して見つけた日立造船富岡機械:来年3月に解散、製紙機械事業の不振で - Bloomberg 記者:桑子かつ代 - December 27, 2004 02:55 ESTを読むと「製紙機械事業」が主体だったようです。

<製紙機械など産業機械・機器の製造を手掛ける日立造船富岡機械は27日、主力事業の製紙機械の長引く不振を理由として、来年3月に会社解散すると発表した。国内外の製紙機械メーカーとの競争激化などで、同社の受注は低迷しており、2005年3月期では3期連続の損失計上と無配が予想されていた>

 また、Wikipediaからは「さすがにそれは全然違うだろう」という多角化の試みも見て取れました。

<造船不況の打開策として手掛けた事業の多角化によって、一時期は造船会社のイメージとはかけ離れた杜仲茶の製造や旅行予約ウェブサイト「旅の窓口」の運営を行っていたこともあったが、杜仲茶は小林製薬へ、「旅の窓口」は楽天へ事業売却した>

 ただ、「造船不況の打開策として」とあったように、私は多角化自体はたいへん重要だと思っていますし、まさに造船を捨てた日立造船の例がそうであるように、会社というのは転業しないと生き残っていけないものだと思っています。そういう意味では、日立造船は多角化、事業転換の素晴らしい成功例でしょうね。


●日立機材も日立ブランドを捨ててセンクシアに

2018/11/07:日立グループの関係ではもう一つ日立ブランドはいらない?日立機材がセンクシアに社名変更した理由というのもやっていました。これもおもしろかったんですよ。

 私は日立ブランドを投げ捨てた理由に興味があったのですけど、本来ならグループ企業の魅力であるグループ内の取引があまりなかったんだそうな。で、グループから離脱したので、社名も使えなくなった…みたいな感じ。ただ、日立造船の場合は前述のように社名に残っているんですけどね。

 また、日立機材=センクシアの場合、今は違うものの、当初国内ビジネスを中心にしていたというのも理由に。一方、所属していた日立金属グループは海外に成長の活路を見いだしていた、といったすれ違いも原因だったと説明されていました。


【本文中でリンクした投稿】
  ■日立ブランドはいらない?日立機材がセンクシアに社名変更した理由

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