「出国税」の話題が出ていたのですが、ややっこしいことに出国税には2種類あります。今回話題になった訪日外国人客・出国日本人用の出国税以外に、富裕層の海外移住者用の出国税というのもあるのです。(2017/7/31)
2018/04/19:出国税法成立 この税金が無駄遣いされやすい理由とは?
●日本が訪日外国人客に出国税をかけるって本当?
2017/7/31:"中国メディア・澎湃新聞によると、日本政府は国内の観光資源保護などの新たな財源として、増加する訪日外国人客を対象に「出国税」を徴収しようとしていると、日本のメディアが報じた"と、レコードチャイナが紹介していました。が、どこの日本メディアか書いておらず、本当かいな?と思った話。
(
17年上半期の訪日外国人客が17%増、日本政府が外国人対象に課税か―中国メディア Record China / 2017年7月30日 17時30分(翻訳・編集/岡田)より)
とりあえず、この記事では、16年に日本を訪れた外国人客は2404万人だった。出国税が1人1000円だとすると、約240億円もの資金が得られると計算。
また、韓国紙・中央日報は、欧州の一部の国々でも同様の税を徴収した前例があることも指摘していたそうです。イギリスでは国際便だけでなく、国内便でも航空旅客税を徴収し、仏国や独国も同様の制度を設けているとしていました。ただ、この説明を見ると飛行機使用全般にかけている税金ですから、日本で今回出た出国税とは概念が異なりますね。
●外国人狙いではなく、日本人からも出国税を徴収か?
上記の記事を読んだ時点では中国メディアの勘違いではないかと思っていたものの、検索するとマジで日本メディアが報じていたことが判明。
田村長官、旅行者の「出国税」導入について言及、現在は「勉強中」 | 旅行業界 最新情報 トラベルビジョン(2017年7月19日)という記事がありました。
どうも元ネタはスクープ(および飛ばし記事)が多い日経新聞っぽいですね。こうした報道に対し、観光庁長官の田村明比古さんは、「制度については勉強しているが、特定の案に絞って(検討を)進めているわけではない」とコメント。具体的に検討しているわけではないものの、可能性を完全には否定しませんでした。
この記事によると、そもそも外国人限定という話ではなく、日本から出国する日本人や外国人を対象とするという説明。なので、海外旅行や出張などをする日本人からも徴収することになります。前述の計算以上の税収入となるでしょう。相当でかいです。
●出国税は2つある 訪日外国人客・日本人旅行客用と富裕層の海外移住者用
上記の記事の最後では、政府は2015年7月に海外移住者を対象とした出国時の課税制度として「国外転出時課税制度」を創設しているが、特定の資産を1億円以上所有している人などが対象で、一般の旅行者は対象としていないと書いていました。ただ、これは補足説明がないと、なぜわざわざこんなことを書いたのか?と、意味がわからないと思います。
実を言うと、今まで「出国税」と言った場合には、この富裕層の海外移住者用の「国外転出時課税制度」を指すことが多かったんですよ。なので、同じ記事の最後に載せていたのだと思われます。
例えば、
「出国税」で富裕層の税逃れを防止 対象者は100人強、効果は限定的との見方も | NewSphereがそういう記事でした。
こちらの出国税を作ったのは、富裕層が節税のために海外移住することが多くなっているため。例えば、
長者番付常連ベネッセ福武總一郎は、本当に良く生きているのか?で書いた福武さんなんかがそういう人です。
シンガポール、香港、ニュージーランド、スイスでは、株式の売却益は非課税。財務省によると、これらの国に居住する日本人の数は、1996年には6722人だったところ、2013年には1万7千人以上に。この中には税金対策目的の移住者が含まれていると考えられています。
ただし、元財務省の森信茂樹中央大学法科大学院教授によると、特例の対象者は100~200人程度しかいません。また、回避する手法もあるため、効果は限定的とみられています。例によってザルなようです。
パナマ文書のときに政府は非常に消極的な反応だったのですけど、富裕層が税金を収める割合が大きいことを考えると、脱税・租税回避問題の絡みであるこっちの出国税を、まず強化する方が大事だと思いますけどね…。
●出国税法成立 この税金が無駄遣いされやすい理由とは?
2018/04/19:出国税、本当にできましたね。あまり話題になっていませんでしたが、2018年4月11日、日本を出国する人から1千円を徴収する国際観光旅客税(出国税)法が、参院本会議で賛成多数で可決、成立。サクッと決まりました。国税としては1992年の地価税以来、27年ぶりの新税だといいます。
(
日本出国時に1千円徴収、出国税法が成立 日本人も対象:朝日新聞デジタル 伊藤舞虹 2018年4月11日19時44分より)
使い道は10日に成立した改正国際観光振興法で①快適な旅行環境の整備②日本の魅力に関する情報発信の強化③観光資源の整備による満足度向上――の3分野とのこと。
当初の報道でなかった「なるほど」と思う指摘としては、野党の反対理由である「使い道を特定の目的に絞った税金は無駄遣いの温床になりやすい」というもの。使い道が決まっている場合、たとえ有効な使い方がなかったとしても使い切ろうとして、税金を突っ込んでしまうと考えられます。単純に選択肢が少ないですからね。無駄な使われ方をするということは、十分に有り得そうです。
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