2013/11/8:
●日本のマンガ業界について話したら、欧米信仰だ!と2ちゃんで炎上
●売れっ子作家が忙しくてヘトヘト…まずこれが不思議がられる
●日本の作家・漫画家のブラックな職業?奴隷的に働かされて大変!
●大衆性を嫌う「純文学」が大衆的な雑誌連載で疲弊する不思議
●海外でも文芸雑誌はある…ただ内容を見ると日本とはやはり違う?
●日本のマンガ業界について話したら、欧米信仰だ!と2ちゃんで炎上
2013/11/8:
「日本では、作家が連載するんですよ」「えええっ!?」:日経ビジネスオンライン(とり・みき 、ヤマザキマリ、清野 由美 2013年9月24日)は、漫画家や作家の話の対談記事でした。対談するのは、94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞をとったマンガ家 とり・みきさんと、『テルマエ・ロマエ』で2010年度漫画大賞をとったヤマザキマリさんです。
実はこの話、「欧米信仰だ!」というお定まりの形の批判で、2ちゃんねるで相当叩かれていました。この批判はある程度予想していたようで、「そういう事を正直に発言すると、ヤマザキマリがいきなりちゃぶ台をひっくり返したというように捉えられてしまう(笑)」(ヤマザキマリ)と言っています。
しかし、「ヤマザキさんはご家族や外国の友人など、そういう日本のマンガ家事情を理解できない人達に説明するときは、むしろ日本の出版慣習の側に立って弁護してるわけだよね」(とり・みき)ということで、日本を擁護する面もあるようです。
また、今回ではなく、次回(
日本の漫画家と漫画編集者・担当者の関係 長時間労働を誇る心理)で引用しますが、一部アメリカのやり方にも批判的な意見が飛び出していました。
これらの部分は2ちゃんねるでは隠されていましたが、日本の現状の問題点をいっぱい指摘していることには変わりないので、どちらにせよ気に食わないのかもしれません。
●売れっ子作家が忙しくてヘトヘト…まずこれが不思議がられる
とりあえず、批判うんぬんは別としても、海外の人に説明するのがたいへんなほど、日本と外国での作家・漫画家の違いは大きいというのは事実みたいですね。
対談は主に、日本のマンガ家と編集者の関係性の特異性について話したもの。ただ、それ以前にマンガ家の働き方というもの自体が常識外だとのこと。例えば、「土日も返上で、とにかく四六時中、マンガを描きまくっている」(ヤマザキマリ)といったものです。
とりさんによると、「売れているマンガを描いている人が、全然、悠々自適でなく、休みもなく、睡眠も取れず、へとへとになっている」と知ると驚くだろうとしていました。ここらへんが欧米信仰といった批判が湧くところなわけですが、欧米だと違うという説明です。本当なんでしょうか。
マリ<もともと欧米というのは、基本的には文芸にしても、絵画にしても、パトロンがいて、上流階級の支えがあって発達してきたものなのです。確かにそうじゃない例もあるけど、通常そういう歴史が当たり前だと思っているから、外国人の友人は、「土日は休んでくつろいで、平日に9時ぐらいから5時まで働けばいいじゃない」と言ってくるんだけど、「だから、日本のマンガ界というのはそういう世界じゃないの!」と私は受け答えしています>
●日本の作家・漫画家のブラックな職業?奴隷的に働かされて大変!
マリ<日本の場合、文芸全般が鶴屋南北、井原西鶴の時代から、商人文化の中で生まれてきたものでしょう。ヨーロッパのようなパトロンが付くのではなく、商売に長けた人たちが「金を払うからどんどん描けや」と言う中で発達した。その延線上に私たちはいるんですよね。それで、マンガ家から小説家に至るまで、新聞や雑誌に連載を持って、毎日書かなきゃいけない。「日本では作家が連載をしています」と言うだけでうちの旦那のような人文系の学者たちが騒ぎ出すのよ>
とり<「あの国では、作家やマンガ家が毎日毎週何枚と決められて、連載をさせられているらしい」、と>
マリ<「信じられません。どういうことなんでしょうか」と、それだけで一つの研究テーマになっちゃうんですよ>
これは漫画家だけでなく作家も似たような違いがあり、ヤマザキマリさんが言うには、欧米では"「文學界」とか「新潮」のような純文学系の月刊文芸誌は見た事がありません"と言っていました。
とはいえ、実際には欧米でも「新聞のコラム連載、日曜版のマンガ連載、SFやミステリなどの娯楽系マガジン、著作権が会社に属するようなタイプのアメコミ」があると、とり・みきさんは指摘しています。一方で、純文やBDタイプのマンガについては、やはりないともしていました。
(BDタイプのマンガとは以下の意味のことか?
"バンド・デシネ(bande dessinée)は、ベルギー・フランスを中心とした地域の漫画のことである。略称はB.D.(ベデ)であり、また、バンデシネとも呼ばれる。
「bande dessinée」の名前は、「描かれた帯」という意味のフランス語に基づく。意訳すれば「続き漫画」であり、英語では「comic strips」に相当する語である"
Wikipediaより)
●大衆性を嫌う「純文学」が大衆的な雑誌連載で疲弊する不思議
ここらへんの理解は正しいんでしょうかね? にわかには信じがたいところです。念のために
小説誌のWikipediaを見てみると、日本の内容にしか触れておらず、海外の話はなしでした。
また、"日本における小説誌の歴史は純文学から始まった"ということで、日本では海外ではないと説明されていた純文学のものが最初だったようです。というか、そもそも「純文学」というのは日本独特の分類じゃありませんでしたっけ? そうだとすれば、海外で言うと「純文学」がどれに当てはまるのかよくわからない気もします。
ただ、さっと検索すると「純文学」は「大衆文学」に対して「自分たちの文学は大衆的ではない高尚な文学なのだ」という誇りがあるようで、大衆性というところがポイントのようです。これだと海外でも分類可能な感じですね。
それにしても、そんな大衆性を嫌う「純文学」が大衆的な雑誌連載という形で発表され、締め切りに追われるというのも皮肉です。
●海外でも文芸雑誌はある…ただ内容を見ると日本とはやはり違う?
ところで、小説誌のWikipediaではなく、文芸雑誌の
Wikipediaを見てみると、ごく僅かながら海外の話も載っていました。
<文芸雑誌(ぶんげいざっし)とは、雑誌の一種で、書評や評論、小節・詩歌・随筆などの短い作品を中心に掲載するもので、同人の間で刊行されてきたものや、個人や出版社などが発行人となり、原稿を文芸家に依頼したり、一般から募集するものなどがある。内容はいわゆる「文学」だけでなく、美術・音楽・漫画・旅行・料理・哲学・思想などにおよぶものもある。また企画を組み、テーマに合わせた文章や関連事項などを扱い、研究などの発表にも多く利用される。
欧米の19世紀初頭の、出版やジャーナリズムの昂揚に伴って文芸雑誌が誕生した。特にイギリス、ロシア、アメリカ合衆国において盛んであった。初期のものは評論雑誌から発達したもので、必ずしも文芸に特化したものではなく、また発行も長く続かなかった。しかし、19世紀末年ごろになると、文芸雑誌は世界的に大変な活況を見せ、作家の拠点とされるようになる>
主な文芸雑誌
アメリカ合衆国
Southern Review
Russell's Magazine
North American Review
これで海外にも文芸雑誌があることはわかりました。このうち最初に出ていた「Southern Review」がどんな内容なのか?と検索かけたのですけど、日本語ではほとんど情報なしで不明でした。もちろん英語版Wikipediaみたいなのはあります。ちょっとそこまで読む気はしませんでした。
ただ、タイトルに「レビュー」とあるように、評論の方が主体なのかな?という感じがしますね。3つ目も「North American Review」とタイトルに「レビュー」が入ります。また、先のWikipediaの説明をよく読むと、「小節・詩歌・随筆などの短い作品を中心に掲載するもの」とあり、前半の話の「連載ものは海外にはほとんどない」という説明とただちに矛盾するようなものではありません。
最初の記事では、この後編集者との関係に話が移っていますが、これはまた別に
日本の漫画家と漫画編集者・担当者の関係 長時間労働を誇る心理で取り上げます。
【本文中でリンクした投稿】
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日本の漫画家と漫画編集者・担当者の関係 長時間労働を誇る心理【関連投稿】
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