スウェーデンでは相続税を廃止したという話を聞いて、「マジかよ、すげぇ」と思ったのですが、実はかなり前の話でした。
で、じゃあ、急がなくていいやと思ってだいぶ時間が経っちゃったのですが、今調べてみると検索の最初に出るページは朝日新聞の記事でした。
朝日新聞なら「金持ちの相続税を廃止。そりゃ、けしからん!」と書きそうなものなのに、朝日新聞で力を入れるというのも不思議だなと思いつつ、読んでみました。
ご覧の通り、内容も肯定的な声を紹介するものであり、相続税廃止の不当さを訴えるものではありません。
では、なぜ相続税と贈与税は廃止されたのでしょう? 相続税などを廃止したからにはメリットがあるはずですし、デメリットも考慮に入れたはずです。
まず、デメリットに関してですが、"相続税と贈与税が国の税収に占める割合も計約0.2%"とのことで、歳入に大きな影響はなかったようです。
また、メリットとしては以下がそれっぽかったです。
・中小企業では負担が重く、事業を引き継げない場合が多かった。
・税金のせいで企業を国外に追いやる可能性を減らす。
2つ目について補足。
知りませんでしたけど、イケアなどのスウェーデン生まれの大企業の中には母国を離れ他の国に本社を移しているところがあり、創業家ともどもスウェーデンを脱出してしまっているようです。
また、「経済のグローバル化で資産を国外に移すのが簡単になり、金持ちから税金を取るのが難しくなっている」ので、それなら"せめて逃げ出されないように"という守りの策です。
この金持ちからの税金の取りづらさは、記事の以下の部分とも重なります。
元国税庁長官の渡辺裕泰・早稲田大教授は「海外では、相続税は不公平な税と考えられている」と断言する。大金持ちは専門家に頼んで、把握が難しい金融資産に変えたり、国外に逃げ出したりする。払うのは大都市に土地を持つような中産階級や小金持ちだけ。
これで私は朝日新聞が相続税廃止だったことに納得しました。
先の「中小企業では負担が重く」と合わせて、相続税廃止は金持ち優遇などではなく、金持ちではなく庶民的な層への支援に繋がるという考え方のようです。
ここらへんは反対意見もあるんじゃないかと思いますが、全くの予想外でおもしろかったです。
また、驚いたことに相続税がない国はスウェーデンだけではなかったようです。
上記朝日新聞と
Wikipediaを足し合わせると、以下のような状態です。
■相続税のない国
●もともと相続税のない国
・中国
・インド
・タイ
●相続税を廃止した国
・スウェーデン
・カナダ(相続があった場合には、資産の「みなし譲渡」があったものとして、みなし譲渡益に対して所得税が課税)
・オーストラリア
・ニュージーランド
・イタリア(ただし4親等を超える第三者への相続・贈与には8%課税)
・スイス(一部の州の州税として存在)
・香港(2006年2月より廃止)
●どちらのパターンか不明の国
・マレーシア
・シンガポール
・モナコ
・リヒテンシュタイン
・ロシア
●実質的に相続税をなくした国
・イギリス(生前贈与を利用すれば実質的に相続税を払わなくて済む制度がある)
思った以上にたくさんの国がありますし、先進国も多いです。
私は相続税廃止など思いもよらず、そんな極端なと思い、現実的な選択じゃないと思っていましたが、これだけ実績があるのならある程度メリット・デメリットの結果も出ていそうです。
相続税の意義についてはまた別にやりたいのですが、Wikipediaでは最後のイギリスについて、1974年まで相続税に関する精度が不十分だったために、"世襲貴族などの資産家の富の承継が可能で、貧富の差の拡大を招いたといわれる"と書いていました。
これは一般的に言われる「金持ち優遇」という方向性であり、よくわからなくなっちゃいますね。
仮に前半の話と両方が合っているとすれば、相続税がないと貧富の差は拡大するけど、相続税があると一番困るのは中流階級ってことでしょうか? 難しいですね。
あと、日本はスウェーデンとはかなり状況が違うかも……という話もありましたので、それも次回紹介します。
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