前々からやっていたものの「今告白するなら許される!」といった感じで、このところ毎日「誤表示」が判明しており、食品偽装ブームのようになっています。
黙ってそのまま偽装を続けるよりはずっと良いですので、私は偽装を認めるお店の方がまだマシなんじゃないかと思いますけど、本当どこでもやっている感じになっていますね。
今回はその食品偽装の手口の一つ「牛脂注入肉」についての記事をいくつか読んでみました。
以下は気になる見分け方について。
日刊ゲンダイ|サシの形に注目 「和牛」と「牛脂注入肉」の見分け方 2013年11月11日
近鉄グループの高級旅館「奈良万葉若草の宿三笠」でも、牛脂注入の“霜降り肉”が使われていたことが発覚した。(中略)
和牛でなくても、せめて国産牛(国内で一定期間飼育)と思いきや、これが格安の豪州産冷凍物。こんな旅館が3年連続でミシュランガイドの優秀旅館に掲載されたのだから、客は詐欺に遭ったも同然だろう。格付けなんてアテにならないのだ。
では、加工牛はどう見分けるのか? 満天の星のごとく、赤身全体に白い脂の粒がちりばめられているのが牛脂注入肉の特徴。本物は、切り口のサシ(脂肪)の入り方がおおむね線状。
【ルポライター 吾妻博勝】
http://gendai.net/articles/view/life/145828 おお、これは意外に簡単に見分けられる?と思いきや、直後にこう続きます。
だが、火を通すと、脂が溶け出して見分けが難しくなるから、「最高の霜降り」とヌカ喜びする客が出てくる。
その後さらに"牛脂注入肉は、脂が舌や喉の奥にまとわりついてしまう"とありますので「食べてみるとわかる」という書き方です。
でも、それじゃ遅いですし、やっぱり難しそうな感じもあります。
とりあえず、焼く前なら見分けられそうですので、肉を買う人は参考にどうぞ。
これは顧客視点の話でしたけど、以下は牛脂注入肉を作る側の話が中心です。
牛脂注入肉って何? 似た技法フランス料理にも :日本経済新聞 2013/11/12 6:30 (電子報道部 河尻定)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0805T_Y3A101C1000000/ "膨大な数の偽装の中で、エビと並んで目立つのが牛肉"だそうですけど、"食肉業界では「インジェクションビーフ」とも呼んでいる"そうです。まあ、呼び方を変えたところで偽装に使っちゃいけないことには変わりないんですけどね。
この"インジェクションとは英語で「注入」「注射」という意味"であり、内容的には日本の呼び方とほぼ同じ。
"牛のかたまり肉に注射針のような針を刺して調味液を注入する"そうですので、この「注入」というのはやはりポイントのようです。
ただし、日本での呼び名「牛脂注入肉」はちょっと注意が必要みたいですね。
というのも、"注射するのは、牛脂そのものでは"なく、ピックル液という液体だからです。
"乳化作用のある添加物を使って水と牛脂を混ぜ合わせ、これに様々な添加物を加える"とのことですから、確かに牛脂も入っているんですけど、他にもいろいろと工夫されているようです。
いろいろと……と書いてしまうと、また怖がる人がいそうですが、内容的にはハムやソーセージ、中濃ソースやステーキソースと似ているとのこと。
インジェクションビーフを手掛けるA社では、ピックル液の材料として水、国産の牛脂、水あめ、食塩、寒天、乳たんぱく加水分解物、複合エキス、発酵調味料、調味料(アミノ酸等)、安定剤(加工デンプン)、増粘多糖類、pH調整剤などを使用している。(中略)
ハムやソーセージなどの添加物として知られるリン酸塩は使っていないという。
他にも似たものが、世界三大料理のフランス料理でもあるそうです。
代表的なのがフランス料理の「ピケ」という技法。子牛肉などの淡泊な牛肉にコクを加えるため、ピケ針で脂肪を差し込む。まさに脂肪の注入肉だ。
日仏料理協会編「フランス 食の事典」(白水社)によると、ピケ針とは「豚の脂肪、トリュフ、にんじんなどを、比較的小さな肉のかたまりや内臓肉、魚に差し込むための器具」とある。
さっき成分が似ていると書いたハムですが、注入が使われるってところまでいっしょみたいです。
針を使って肉に調味液を染み込ませる技法は、ハムの製造でも一般的に使われている。好みはあるだろうが、食品の加工においては決して特異な手法ではない。
なお、成型肉とは違うよという話もありました。
誤解されがちだが、牛脂注入肉と成形肉は厳密には違う。牛脂注入肉は基本的にかたまり肉に牛脂などを注入したもの。成形肉は生肉や脂身、横隔膜(ハラミ)に酵素や植物たんぱくなどを加えて人工的にくっつけたもの。形を整えるために切れ端をくっつけた簡単なものから、複雑怪奇なものまでいろいろある。
この成型肉やインジェクションビーフ(牛脂注入肉)は、今や一般的なようです。
牛脂注入肉が登場したのは30~40年前。記者が食肉業界を担当していたのは15年ほど前だったが、その頃には既に広まっていた。デフレ進行に伴い急速に浸透し、いまや外食業界では「当たり前」となっている。牛脂注入肉や成形肉の登場が、牛肉を身近にした側面もある。
好き嫌いはあれ、インジェクション技術は食肉業界に既に浸透している。
先ほどの"インジェクションビーフを手掛けるA社"が強調していましたが、別に食べられないものを作っているわけではありません。
また、そもそも偽装を前提として売っているわけでもないようです。
しかし、問題なのは表示を誤魔化している料理店やお店屋さんですね。これは明らかに法令違反であり、擁護のしようがありません。
ある成型肉の会社の"社長は「捨てられかねない肉を有効活用している。成型肉と表示し、見合った値段で出せばよかったのに」と憤"っていました。(朝日新聞より)
かたい赤身、「霜降り」に変身 牛脂注入肉、製造の現場:朝日新聞デジタル 2013年11月12日22時58分
http://www.asahi.com/articles/OSK201311120113.html 偽装があったからこそ売上が伸びていたわけですから、牛脂注入肉・成型肉業界も発覚するまで恩恵を受けていたとはいうものの、偽装を指示したわけではありませんので、被害者という立場です。
実は朝日新聞にはこんな話もありました。
注入肉を「霜降サーロインステーキ」と表示していた2年前、景品表示法違反として消費者庁の措置命令を受けた。表記を改訂したが、「売り上げは減らなかった」と運営会社「バークジャパン」(岡山市)の遠藤剛一社長(54)は話す。
正直に言っていたとしても、十分売れたという例があるようです。
たとえ売上が下がっても誤表示はやめなくちゃいけないので、これは「だから誤表示はやめよう」ということではありません。
しかし、きちんと表記しても売れるとわかれば、お店側も正しい表記に変えることに抵抗する必要性はなくなります。
ところが、上記の話は食材偽装が相次ぐ前の話でしたので、今回の件でこのまま牛脂注入肉などに悪いイメージが固まってしまって売れなくなる……ということも十分あり得ます。
食品産業にとっては「下手に偽装してしまったことで将来的な需要を失ってしまった」なんてことになるかもしれませんが、自業自得ですから仕方ありませんね。
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