ホリエモンは「一番安全で確実」、Chikirinさんは「大企業に就職するより起業が圧倒的に得」といった感じで、起業・ベンチャーを推奨していました。一方で、2ちゃんねる創設者のひろゆきさんは「若者に起業を勧めるのは嘘つき」と起業の推奨に批判的でした。
ただ、意見は違うものの、3人ともデータで根拠を示せない困った人たちというのは同じ。こうしたものは、研究やデータ的な根拠が必要です。ちなみに正解はひろゆきさんだったのですが、たとえたまたま正解であったとしても、根拠を示せない人たちのことは信じてはいけません。データや研究、科学的根拠を重視するくせをつけてくださいね。
2021/11/05追記:
●ベンチャー企業が大量の内定取り消し…入社してもブラック? 【NEW】
●起業・ベンチャー推奨 ホリエモン「一番安全で確実」
2010/4/16:起業をおすすめする人というのが、世の中には結構いらっしゃって、賛成派・反対派で大いに議論となることがあります。
「若者に起業勧めるのは嘘つき」 ひろゆきがホリエモンに反論? 2010年3月17日 10時30分 J-CASTニュースでは、そういった話をたくさん取り上げています。うちではまず、起業肯定派の意見から。
起業をおすすめする人の代表格と言えば、ホリエモン。以下のような主張をしていました。
・どこかの会社に就職せねばならないという考え方そのものがナンセンスだし、せいぜい100年も歴史がない考え方。
・この時代自分で事業を興すのが一番安全で確実だ。タイタニック号は今の時代だとかなりの確率で氷山にぶつかって半分が溺死する。でも、数人しかのれない君がこいでいるボートなら、自分で制御でき、常に回りに目を配っていられるので、氷山にはぶつかりにくい。
・起業は簡単。その辺の商店の店主だって社長。普通のオッサンが多いし、平日ゴルフ行ってたって経営はできる。
・ただし、業種は選ばないといけない。コンビニはFCオーナーを搾取するビジネスモデルで、やってはいけない。利益率の高い商売、在庫をできるだけ持たない商売、月極めで定額の収入が入る商売、大資本の要らない商売、の全部を兼ね備えている商売がお勧め。
(
起業するという考え方 六本木で働いていた元社長のアメブロ 堀江貴文(ホリエモン) 2010/2/1より)
●Chikirin氏「大企業に就職するより起業が圧倒的に得」
また、Chikirinさんも
就職氷河期 サイコー!(Chikirinの日記 Chikirin 2010/3/9)において、以下のようにベンチャーをオススメしていました。
・そもそも日本において就職状況が厳しいのは、仕事より人が多いからであり、今後も日本では仕事は増えない。であれば、やれることは次の3つである。
1.「雇ってもらう」ことをあきらめ、起業する。
2.若者にしかできないこと(高齢者にはできないこと)で食っていく。
3.仕事のある中国やインドに行って働く。
・高齢者が苦手で若者が得意なことは、ITとか、創造性の求められることとか、語学とか。
・今20代前半なら、起業するほうが大企業に就職するより圧倒的に得。(これの理由はよくわからず。JALはまたすぐ倒産すると書かれているので、大企業に入ってもどうせ潰れるということでしょうか?)
●ひろゆき氏「若者に起業を勧めるのは、嘘つきか、バカか、無責任な人」
一方、J-CASTの記事の件名にもあったように、ひろゆきさんは安易な起業に対して否定的です。<「不況で就職出来ないなら、起業すればいい」みたいな文章を見かけることがあるが、こういうことを言う人は嘘つきか、バカか、無責任な人>と書いていますので、否定的どころかボロクソに言っています。
・「不況で就職出来ないなら、起業すればいい」みたいな文章を見かけることがあるが、こういうことを言う人は嘘つきか、バカか、無責任な人。例えば、先生とか、ライターとか、現状の社会を良く知らない、社会経験の足りない人が、その業界で働いてるわけではないのに、起業の成功率が高いと思い込んでいる頭の悪い人。また、会社員・公務員など事業家ではない社会人が、自分は会社を選んでいるにも関わらず、他人には起業を勧めるという無責任な人。それから、自分が手がけないのは、それなりの理由があるからだけど、それを伝えない事業家。
・そもそも、社会人経験も資本金も無い人が、商品を作って、広報をして、売り上げをあげて、、、みたいなことをするのは、かなり難しい。10年前のIT業界みたいに、需要はあるけど、業者がそこまで多くないという時代であれば、なんとかなったと思うが、現在は、ITの知識も、商売の知識もあるという会社はごろごろあり、需要も少ない。
・素人の出番があるとすると、マルチ商法みたいなやつとか、会社だったらやろうとしないようなモノぐらい。
(
若者に起業を勧める嘘つきな大人たち ひろゆき@オープンSNS ひろゆき(西村博之) 2010/3/14より)
●「社会経験が足りない人の成功は難しい」という正論すぎる正論
J-CASTの記事は、「ブログのコメント欄には、ホリエモンを意識しているのでは、との声が相次いでいる」とありますが、記事の日付を見てわかる通り、一月半ものずれがあります。私みたいに書くのが遅いのかもしれませんけど、ホリエモンさんを非難したものかどうかはわかりません。
それに堀江さんは、「不況で就職出来ないなら」とは書いておらず、会社を規制しようという世界の流れへの反論として書かれています。ひろゆきさんはどちらかと言うと、Chikirinさんへの反論と見た方が自然なのですが、J-CASTも名前の売れているホリエモンを前面に出したかったのかもしれません。
それは良いとして、社会経験が足りない人の成功が難しいというのは、非常に納得の行くものでした。ただし、起業推奨派の人も業種は選ばないといけないだとか、若者にしかできないことをやるだとか、条件を付けています。ということは、これらは必ずしも相反するものではなく、社会経験があって、有望な事業を見つけられれば良いということか?とも考えました。
ただ、「社会経験があって、有望な事業を見つけられれば良い」がそもそもハードルが高いです。そんなことができるのは、結局よほど優秀な人じゃないとダメでしょう。となると、やはり誰もができるわけではないということになって、起業推奨派の話はおかしくない?という気分になってきてしまいます。
●データで根拠を示せない困った3人…調査でわかった正解は?
2018/03/27:ホリエモンさんもChikirinさんもひろゆきさんもデータ的な根拠を出せない人なので、困ったものです。なので、3人とも信頼できないということで良いでしょう。初期のうちの投稿はそこらへんの言及がないものがあり、よくありませんでした。すみません。
ただ、この件に関してはひろゆきさんが一番良さそうでした。「社会経験が足りない人の成功は難しい」という調査について、後にうちでは紹介しています。
若い方が起業の成功率上がるは嘘だった ワンマン社長タイプもダメでやったものです。
調査や研究によって結論が異なるというのもよくあることであり注意が必要ではあります。ただ、調査結果すらないものは問題外なので、注意してください。別の研究があればまた追記しようと思っていますが、とりあえず、若い人ほど起業に失敗しやすいと理解しておくのが良さそうです。
●アメリカの起業は日本より適当で気楽「会社勤めが嫌い」で起業しちゃう
2010/4/17:前半では、「余程優秀な人じゃないとやっぱり起業するのは難しいんじゃないのか?」といった感想を書きました。しかし、どうやらアメリカではそうでもないらしい…という話もありました。以下は、Lilacさんというアメリカに留学されている方の
どんだけマッチョじゃないと起業できないんだ、日本は。(My Life in MIT Sloan Lilac 2010/3/14)というものから。
・発言小町で就職活動をやめて起業しようと思っている大学3年生になりきった投稿に対し、「たかが企業にも就職できない人が、起業して成功する訳がない」、「本当にそんな覚悟はあるのか?」、「起業するのはいい考えだと思うけど、すごく大変だよ?」、「逃げてる気持ちでは、起業は成功しません」という反応が多いことに驚いた。
・アメリカでは、企業に就職するのは面白くない、上司が嫌だから、というのは起業動機として十分。「会社を辞めてプーになった」、「会社づとめが嫌い」、「大きな組織が嫌い」といった理由での起業が多い。コメントに「起業はいつでも出来ますが、大企業には新卒じゃないとは入れないですよ」というのがあったが、アメリカだったら、起業に失敗しても、就職できる。
●日本の「起業しにくさ」は途上国レベル?
アメリカでそんな適当な起業がなぜ可能なのか?というと、ベンチャーキャピタルや起業家コミュニティなどが、ビジネスプランや資金調達策など、起業を手助けしてくれるため。実際、ビジネスコンテストで選ばれるプランを見てきたが、どれも大したことはないとのこと。では、何が重視されるのかというと、ポテンシャル。「ポテンシャルって何よ?」とも思いますけどね。
また、アメリカの起業家は、人を使った経験がないなら、人を使った経験がある人を雇えばいい、財務が分からないなら、財務が分かる人を雇えばいいとも考えるとのこと。これも日本と全然違う考え方ですね。でも、合理的で良い考え方です。
さらに、日本の「起業しにくさ」は途上国レベルだとしていました。ここで出ていたエピソードを見ると、むしろ途上国以下かもしれません。
バングラデッシュの女性たちは、日本同様「経験がないから」、「資本金がないから」、「十分な技術がないから」で起業できなかったが、グラミン銀行が「マイクロファイナンス」を始めたことで、機織りとか籠あみで起業できるようになり、村の経済が活性してきたといいます。
(2018/03/27追記:ただし、後に
日本のベンチャー・起業環境への海外の評価、実は良いという投稿もしています)
●アメリカの例は日本での起業が難しい理由にもなっている
ということで、主に起業を取り巻く環境の違いが大きいようです。なので、上記の「アメリカでは…」は、全て日本では難しいということの理由にもなっています。その意味では、日本で起業が難しいというのは、ウソではありません。
また、日本では、新卒至上主義ですので、就職しないでした場合の起業での失敗は、その先の就職は難しくなることを示しています。さらに、日本では、ビジネスプランなんぞ後で考えりゃ良いと、手助けしてくれる組織もありません。
ただ、個人的にはささやかな起業がたくさん行われる社会を見てみたい気がします。…と書いていたものの、
若い方が起業の成功率上がるは嘘だったという投稿を後に書いていて、安易にオススメしちゃいけいない感じでした。(最後だけ、2018/03/27に追記)
●ベンチャー企業が大量の内定取り消し…入社してもブラック?
2021/11/05追記:もともと「大量採用」がテーマの投稿で書いていた話なのですが、ベンチャー企業関連の話に失敗例として紹介しておくと親切な気がしたのでこちらにも転載します。まず、2017年にマスコミで大きく報道された旅行会社「てるみくらぶ」のケースを紹介。ここは普通に破綻していますね。
大量採用というテーマ的に言えば、ここは社員が80人程度しかいなかったにも関わらず50人を内定していました。多すぎです。80人の社員の6割以上である50人も採用していたというのは、事業の拡大を狙っているのではなく、離職する人を考えてあらかじめかなり多く内定していたと考えられるため、ブラック企業であった可能性も濃厚です。
実際、「てるみくらぶ」の場合は倒産しているんですし、儲かりすぎて人手不足というパターンではないことは確実でした。たぶんマジで8割、9割辞めることを見越して大量採用していたんじゃないかと。これは採用しても社員がほぼ定着しないという状態になりますので、相当ブラックな企業だったのだと予想されます。
また、破綻していませんし、ブラック企業かどうかもわからないんですが、大量の内々定取り消しの別の例が2021年に報じられました。部屋探しアプリ「CANARY(カナリー)」の運営などを手がけるIT企業「BluAge」が、内々定47人のうち21人の大量取り消しを行って炎上したのです。こちらは破綻していませんが、やはり問題を感じさせます。
まず、内々定大量取り消しの時点で「いい会社」とは言い難いでしょう。内々定はそう簡単に取り消せるものじゃないんですよね。、会社側は「新卒採用2年目の弊社に採用活動・運営における業務経験が浅く、『内々定』という社会通念への認識も不足」とも説明。要するに社会的な常識がなかったということ。ベンチャー企業の悪さが出た形です。
あと、社員数が知りたかったので検索。公式サイトではなかったので古い情報かもしれませんが、
株式会社BluAgeの転職・求人情報|ハイクラス転職・求人情報サイト AMBI(アンビ)によると、従業員数はわずか50人。50人の会社で50人内々定は間違いなく多すぎ。さらに言えば、取り消さなかった20人ですら従業員数に比べて多すぎて、新入社員のケアが行き届かない可能性を感じさせます。
【本文中でリンクした投稿】
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ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ↓10人の方が書かれていますが、上で出てきた堀江貴文さんも西村博之(ひろゆき)さんも両方書かれています。
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