冒頭に追記
2022/03/23追記:
●親子上場だらけの日本の市場は「国際標準からみて、変な市場」 【NEW】
●親子上場だらけの日本の市場は「国際標準からみて、変な市場」
2022/03/23追記:
親子上場、どこが問題なのか: 日本経済新聞(藤田 和明 2020年1月23日 2:00)という記事がありました。タイトルを見て擁護ありきの話かと思ったら、そうではないみたいですね。例えば、三菱ケミカルホールディングス会長 小林喜光さんは、以下のように批判的でした。
「投資家には親子上場はおかしな形にみえる。日本はここまでコーポレート・ガバナンス(企業統治)改革に取り組んできたが、なお残された課題が親子上場だといえる。
上場子会社は、必ず利益相反を内包している。収益の苦しい親会社が、支配株主として子会社に配当をたくさん出すよう要求した場合が典型だ。親会社の都合が優先されると、子会社側の一般の株主は不利益を被ってしまう」
小林喜光会長はソフトバンクではないものの、同じグループであるヤフーとアスクルの問題を例示。大株主である会社が、関連会社の持つ事業を譲り渡すよう求め、関連会社の社外取締役まで解任することが起きたそうです。親会社の利益最優先で、横暴ですね。つくづくソフトバンクグループはひどいと思わせます。
「資本市場が成熟した海外市場では、一時的に親子上場の状態になってもすぐ解消へ動く。ところが日本市場はずっと残したままにする。国際標準からみて、変な市場」とし指摘されていて、当初書いていた「孫正義社長は普段日本おかしいと言ってるのに…」という話そのままになっていました。
なお、日本郵政グループなど、政府系企業の親子上場が多いのも日本の特徴だと指摘。日本は政府もおかしいわけですね。加えて、最近はそうした企業で法令順守の姿勢が疑われる問題が起きているとも指摘。まさに親子上場で懸念されているガバナンス関係で、まずいところが見えており、リスクがありそうでした。
●ソフトバンク上場報道で「まだ上場していなかったの?」は誤解
2018/11/13:東京証券取引所は、ソフトバンクグループの携帯事業子会社であるソフトバンクの上場を承認。ソフトバンクグループが保有株の売り出しで得る金額は約2兆6000億円になる見込み。新規上場に伴う調達額としては、NTT上場(1987年)の約2兆2000億円を超え、過去最大級になるそうです。
(ソフトバンクG携帯子会社、上場へ…過去最大級 2018年 11月12日 19時35分 提供元:読売新聞より)
https://news.so-net.ne.jp/article/detail/1670573/
ツイッターで「ソフトバンクってまだ上場していなかったんだ」といった反応があったものの、これはたぶん誤解があると思われます。ソフトバンクグループであれば、現在すでに東証1部に上場していますし、それどころか東証平均株価の中心的な存在。今回は子会社の上場であり、いわゆる「親子上場」なのです。
子会社のソフトバンクを上場させた理由については、「通信事業を担うソフトバンクは上場により、グループ中核企業として経営の自立性を高めるため」との説明でした。親会社のソフトバンクグループの方は、株の売り出しで調達した資金を成長分野への投資に充てるのだろう、とも解説されています。
●親子上場の問題点 東証も「少数株主との利益相反のおそれ」指摘
私がニュースを見て気になったのは「親子上場」という点。郵政グループがやった「親子同時上場」は極めて問題ある反則的なものと言われていましたが、そもそもそういう特殊ケースに限らじ、「親子上場」自体が問題あるのではないか?と思って気になっていました。
実際、検索してみると、
なぜ投資家に親子上場は嫌われるのか?ソフトバンクの通信子会社のIPOであらためて考えてみる。 | お金に生きるといったページが見つかります。今回東証は上場を認めたのですけど、実を言うと、東証自身問題があると言っていたとのこと。東証はいつも肝心なところで役に立ちませんね…。
東京証券取引所が出した「
2008年度上場制度整備の対応について」では、<親会社を有する会社の上場は、上場制度として禁止するのは適切ではない>としていたとのこと。ここだけ見ると、親子上場OKに見えるのですが、同時に以下のようにも書かれていたそうです。
<しかしながら、(新規上場時から親会社を有する場合であっても、企業再編等を通じて上場後に親会社を有することになる場合であっ ても)少数株主との利益相反のおそれなどの内在する弊害や問題点があること、昨今の経営環境においては上場会社には本格的な連結経営が求められていることを踏まえれば、投資者をはじめ多くの市場関係者にとって必ずしも望ましい資本政策とは言い切れない>
親子上場の禁止まではしないと言うものの、<全国の取引所と協調して、実質的に一体の親会社及び子会社による上場を認めないことを明確にした>とはしています。よほどひどい場合だけ禁止という方針のようで、ソフトバンクはそうじゃないってことなのでしょう。
●子会社が親会社に搾取されて子会社の株主が損することも!
東京証券取引所が郵政の親子上場のときに出した「
東京証券取引所への上場について」の説明を読むと、より問題点がわかります。
・子会社は、支配権を持つ親会社によって不当に利益を搾取されるおそれがある。
・親会社は、日常的な監視が行き届かない子会社の不祥事等により、不利益を被るおそれがある。
・証券市場にとって新しい投資物件といえない場合がある。
・親会社が子会社を上場させて新規公開に伴う利得を二重に得るような結果となるおそれがある。
作者は、「親会社の業績が悪かった時に子会社の利益を親会社に付け替えるなんて可能性もある」とも指摘。私は上場会社ではない子会社に勤めていましたが、親会社への大きすぎる配当は毎年行われていました。親会社に搾取されてしまうことがあるので、子会社の株主は損をしてしまうおそれがあります。
●親子上場は都合の良すぎる金集めの手法、やってはいけない
もう一つ見つけた
ソフトバンクが目指す親子上場についての論点 - 銀行員のための教科書というページは、タイトルの時点では批判的でありません。ただ、上記と同じ部分を引用してデメリットを指摘。やはり子会社の株主が一番損をするおそれがあるということです。
作者は「孫社長を応援したい気持ちもあります」としつつ、孫正義社長のビジョンや説明は理解できるが、効果・事象だけを見れば「親会社による単なる資金調達」でしかないと指摘。原則としては、以下のようなことが言えるようです。
・株式市場の原理原則に従うならば、親子上場は都合の良過ぎるやり方。
・子会社を上場させるならば、経営権は手放すべき。
・株主は平等でならない。
・上場しながら、一般株主からの圧力を感じなくて済むならば、本末転倒。上場してはいけない。
こうした問題手法である親子上場は減ってきているとのこと。そして、作者は今後さらに減るのではないかと見ていました。
●世界で嫌われる親子上場 孫正義社長は日本おかしいと言ってるのに…
親子上場批判は的外れで、世界では親子上場は歓迎されているといった可能性もあります。孫正義社長は普段から「日本はおかしくて、世界と違う」的なことを言っていますしね。ところが、親子上場は海外でも嫌われているといったツイートもありました。
もう少し…と思って検索してみると、海外でも禁止されてはいないものの、"日本では独特に浸透しているが、欧米では親子上場という概念は殆どないとされる"(
親子上場 - Wikipedia)という記述も見つかりました。やはり海外では日本以上にダメそうな感じです。
孫正義社長を好きな人多いですけど、
孫正義社長の凄さ 倫理より金儲けでムハンマド皇太子の会議出席?などで書いているように、私は好きじゃありません。やっぱりいつも通り「かっこいいこと言うけど口だけ」で、実際にやってることは「金儲けのためなら何でもやる」なんじゃないかと思います。
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