2020/06/06:
●アメリカ一般教書演説に招待された初の日本人 QED藤田浩之社長
●外国人を招待するなんて考えられない?アメリカ政府からも招聘
●日本人がすごいのは誰もが片付けできること!だから製造業が強い
●日本国内でも有名!藤田浩之社長が深く尊敬する日本人経営者とは?
●高報酬の会社を辞めてQEDに優秀な人材が集まってくる理由
●アメリカ一般教書演説に招待された初の日本人 QED藤田浩之社長
2020/06/06:なぜか2013年くらいに下書きをほぼ終えていて、使っていなかった話が出てきました。書いていたのはQEDに関する話…なんですが、普通思い浮かべるQEDとは異なります。普通のQEDというのは、以下のような意味。(
Wikipediaより)
<数学、哲学などにおけるQ. E. D. はラテン語の Quod Erat Demonstrandum(かく示された)が略されてできた頭字語。証明や論証の末尾におかれ、議論が終わったことを示す。>
一方、今回はそのQEDではなく、会社名のQEDです。日本人の藤田浩之さんが"オハイオ州クリーブランドで創業した医療機器の開発・製造を手がけるクオリティー・エレクトロダイナミクス(QED)"という会社があるのですが、ここの取り組みがオバマ大統領の昨年1月の一般教書演説で取り上げられたんだそうです。
また、取り上げられただけでなく、日本では、米大統領が毎年、年頭に連邦議会上下両院の議員を前に年間の施政方針を示すと説明される、一般教書演説に日本人として初めて招待されました。この招待される人は20名ほどだと書かれていましたから、かなり少ないですね。その中の一人だと聞くと、その希少性がわかります。
(
オバマ大統領に絶賛された日本人経営者:日経ビジネスオンライン 石黒 千賀子 2013年10月25日(金)より)
●外国人を招待するなんて考えられない?アメリカ政府からも招聘
ただ、その貴重な招待客に海外の人を入れてしまうというのは、かなり思い切っているとも感じますね。人種によると思いますが、日本なら激しい非難を浴びるおそれがあると思います。藤田浩之さんも「外国人でも、いいと認めた人は招待するというあたりに米国の懐の深さを感じます」という感想を言っていました。トランプさんが大統領になっている現在の雰囲気は、この当時と違う感じですけどね。
もともと藤田さんは、地元のオハイオ州へ遊説や会合などで来ていたオバマ大統領と3回会っていたとのこと。オバマ大統領も覚えていて、「ドクター・フジタ、今夜はよくクリーブランドから来てくれました。ミッシェルも大変喜んでいます。これからも、事業をますます伸ばしてください」と声を掛けてくださったといいます。ただ、この他にも藤田浩之さんはアメリカ政府との接点があるようです。
<藤田さんは大統領の諮問機関「ビジネス成長戦略円卓会議」で提言を求められてホワイトハウスに行ったり、今年3月には米商務省の製造業評議会政策顧問が25人いるそうですが、その1人に選ばれたりと、米政府とかなり接点があります>
●日本人がすごいのは誰もが片付けできること!だから製造業が強い
QEDの話なのに会社の中身のところをほとんどすっ飛ばしていたんですが、QEDは、精密医療機器メーカーだとのこと。そして、この精密医療機器というものはアメリカだと作りづらいんじゃないの?という質問が出ています。私はピンと来なかったのですけど、これはどうやら日本は優れているが、アメリカは向かないという前提での質問だったようです。
<日本の製造業は、精度とか不良率の少なさという点ではやはり間違いなく世界一でしょう。細かいことにこだわる点では日本人は世界一です。これに対して、米国は移民が多く、従って人種も多く、何事も多様で幅が広い。だから日本のように画一化された社会では平均値というのが意味をなしますが、米国では平均値を取ること自体にあまり意味がない。収入1つを取っても、あまりに幅があって、平均値を取る意味がない。
ですから創業当初は、確かに苦労しました。どういうことか。例えば会社の食堂で食事をしても、誰も後片付けしない。日本だったら小学生でも後片付けをして、椅子をテーブルの下に入れる。これができない。僕は口を酸っぱくして、「こういう生活の基本が出来なくて医療機器を作ろうと思うな」と言い続けた。黒板を使っても、使った後に消さない。自分さえよければいいという発想です。その意識を変えるのに1年半ほどかかりました>
<ものすごく疲れますよ。幹部を1年半叱って、やっと幹部に伝わって、その幹部が中間的な先生となって、新入社員を教育していく。おかげでこの間、ドイツのシーメンスのお客さんが来られた時、「この会社は床に食べ物を置いても食べられるくらいきれいだ」と感心してくださいました。これでようやく品質という概念を社員も理解できるわけで、ここまで来るのに努力が要りました>
私はここをおもしろかった話としてメモしていたのですけど、今読むと日本すごい系で紹介の仕方に迷う話ですね。
iPhoneは中国製だけど部品は日本製だらけ…という誤解 台湾・アメリカの部品の方が多かった?でやったように、iPhoneなんかも日本製部品だらけ…はデマであるようです。
ネガティブな話で申し訳ないのですが、
失敗の三菱スペースジェットMRJ、開発中止も視野に入れる理由は?なんかはむしろ「日本だから作れなかったので日本にこだわるのをやめてやっと…」みたいな話ですよね。
●日本国内でも有名!藤田浩之社長が深く尊敬する日本人経営者とは?
あと、インタビューでは、京セラ、KDDI、JALの稲盛和夫さんのことが突然出てきました。IPO(株式公開)について聞かれていた部分です。
<株を公開すると、株主が増える。しかもその株主は「儲ける」ために株主になるわけですよね。僕は、お金を儲けるというより理想があったから起業しました。「病気を少しでも早く発見して、長生きできるように頑張りましょう」という大前提がある。
そのために、才能のあるいろんな人材が集まって製品を一生懸命、開発して、その製品に対価を払っていただいて、利益が出て、その利益によって新たなプロジェクトをまた立ち上げていく。この循環でここ8年近く経営してきた。そこに、一定期間の間に目標の利益を出す義務を負うようになるというのは、僕のプライオリティーではありません。ですからIPOは考えていません。
僕は会社設計を10年後、20年後、30年後を睨んでやっている。そこには僕が深く尊敬する経営者である稲盛和夫さんの経営哲学があります。お金を儲けることが第一ではないんです>
日本人との比較の話が先程ありましたが、QEDは非常に多国籍だそうです。ただ、これだけ人種、宗教が異なっても、突き詰めれば人類として共有できる普遍的なことがあり、やっていけるとしていました。QEDでそのつながりとなっているのは、前述したような経営理念のようです。また、すごい人が集まること自体が魅力というのも含めて、グーグルを思い出すような話もしていました。
<やはり人間は、素晴らしい仲間と一緒に仕事をしたいという本能的欲求があると思うんです。何か社会のためになる尊い目的のために尽くすことによって、生きがいというか存在意義を感じる――。こうした普遍的な価値は人種も国をも超えるわけです。
(中略)この間入社したロシア人技術者も、以前はもっと高い給料で働いていた会社を辞めてQEDに来ました。「うちではこれだけしか払えない」と言っても、来たいと言う。みんな「クリーブランドにあるQEDはすごい尊い目的を持ってやっている会社だ」という評判を聞いて来るらしいんです。つまり、「まともなことをしている」ということが大切なんだと思います>
途中引用しなかった部分があり、わからなくなってしまったんですが、最後の「まともなことをしている」というのは、稲盛和夫さんの経営哲学「正しいことをやりましょう」を踏まえたものでした。グーグルの場合は高報酬でも有名ではあるものの、世の中への貢献的な部分も武器に人集めをやっていますので、こういう精神的な部分でも結構人が集まっていくるとわかります。