2010/4/19:
●お酒を飲むと怒りやすくなる怒り上戸や笑い上戸・泣き上戸のしくみ
●わかるようでわからない「古い脳」とは何か?
●古い脳の主な役割は循環、呼吸、消化などだが…
●お酒を飲むとくどくなるのは脳の老化のあらわれ?
2019/04/23:
●「酒乱」を科学的に説明するとどうなる?医師の説明
●酒乱になりやすい人が持っている遺伝子とは?
●日本人は酒乱が少ない民族?それとも多い民族?
●お酒を飲むと怒りやすくなる怒り上戸や笑い上戸・泣き上戸のしくみ
2010/4/19:お酒を飲むと怒りやすくなる怒り上戸や、笑い上戸・泣き上戸など、お酒を飲んで人が変わる人がいます。このしくみについての話が、"怒り上戸、泣き上戸、セクハラ…お酒で「人が変わる」のはなぜ?"(ZAKZAK 2010/04/19)という記事にありました。
医療法人社団榎会・榎本クリニックの深間内(ふかまうち)文彦院長によると、お酒を飲むと「泣き上戸になる」「笑い上戸になる」「怒りっぽくなる」「説教ばかりする」など、「人が変わる」のは、以下のような理由だそうです。
(1)アルコールが胃や小腸から吸収された後、血液の流れに乗って全身を回り、脳に到達。
(2)脳には有害な物質を中に入れないしくみがあるが、アルコールは簡単に突破して脳の中に侵入。
(3)一番外側の「大脳新皮質」の神経細胞を麻痺させ、「古い脳」へのコントロールを解除。抑制系の神経細胞を抑制させることで、興奮しているように見える状態に(脱抑制現象)。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/health/381785/
●わかるようでわからない「古い脳」とは何か?
ただ、説明の中にあった「古い脳」というのがわかりやすく書いてくれているようで、よくわかりませんでした。「つまり、普段抑えられていた『古い脳』の本能や感情(本音?)が解放され、突然顕在化し、怒り上戸、泣き上戸、セクハラなどといった形で表れる」と記事中にはありますが、やっぱり何となくすっきりしません。
それでちょっと検索してみると、「大脳辺縁系」を古い脳、同じ(3)の説明の中で出てきた「大脳新皮質」を新しい脳と呼んでいるようです。これって広く認められた医学的な言葉なのでしょうか。どうも、こういう言葉を聞くと、疑似科学じゃないだろうかと身構えてしまいます。
それは良いとして、古い脳=大脳辺縁系は記憶や自律神経活動に関与しているそうです。一方の新しい脳=大脳新皮質は、この古い脳・新しい脳説によると、情報処理や思考、判断、記憶、古い脳の抑制などを行っているそうです。
(古い脳と新しい脳については、ちょっと胡散臭いので
古い脳と新しい脳でも見ています)
●古い脳の主な役割は循環、呼吸、消化などだが…
この説に基づいて先程の話を考えると、古い脳=大脳辺縁系を制御していた新しい脳=大脳新皮質が、アルコールによって働かなくなり、古い脳が好き勝手に活動するということなんだと思います。
でも、古い脳の主な役割である自律神経の活動自体は、循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能、生殖機能、および代謝など(
自立神経系-Wikipediaより)と説明されていました。これが「人が変わる」こととどう繋がるのかが私にはまだ理解できません。
ただ、
大脳辺縁系-Wikipediaによると、「大脳辺縁系は、側座核といわれる構造と相互に結合しており、これは一般に大脳の快楽中枢として知られている部位である。側座核は性的刺激、そしてある種の違法薬物によって引き起こされる『ハイ』な感覚と関連している」とありますので、こちらの方が関係あるのかもしれません。
●お酒を飲むとくどくなるのは脳の老化のあらわれ?
また、深間内院長はその他、お酒を飲むとくどくなることについて、以下のような説明をしていました。
「くどくなる、他人の言葉尻をつかんで説教するなどの現象は、酒飲みでなくても老化現象として現れやすいものです。前頭葉の障害として現れることが多く、アルコールを常用している人では老化のスピードが速まっていますから、特に前頭葉の萎縮が進んでいる人は、このような症状が早期から出やすいといえます」
実を言うと、この記事で一番気になったのは、この「お酒で老化」だったのですが、記事についても軽く触れておこうかと思ったら、深みにはまりました。
とりあえず、「
古い脳と新しい脳」を調べてから、「
お酒で老化」の話に移ることにして、今日はここで終わりにします。
●「酒乱」を科学的に説明するとどうなる?医師の説明
2019/04/23:読み直していてあまり良くない説明だと感じたので、もっと良いものがないか検索してみました。ただ、信頼性の低そうなサイトばかり上位でヒット。下位の方まで見ると、「酒乱」ということでまたちょっと違う話になってしまうのですが、日経新聞系のニュースが出てきました。医師に話を聞いていますので、普通の人よりは信頼性が高いです。
この記事に出ていた神経内科医であり、帝京科学大学医療科学部医学教育センター教授である眞先敏弘さんは、まず「酒乱」について以下のように説明しています。
「科学的な観点から言うと、酒乱とはアルコールによって脳内の大脳皮質がまひし、社会的な規範を逸脱する言動が出ている状態、またはそうした状態にしばしば陥る人を指します。簡単にいえばアルコールを飲むと性格がガラリと変わって、過激な発言をしたり、問題行動を起こす酒飲みのことです」
「大脳皮質」という言葉が出てきましたが、最初の説明であった「大脳新皮質」とはまた別でややこしいです。大脳皮質は、大脳の表面に広がる、神経細胞の 灰白質の薄い層。「大脳新皮質」はこの「大脳皮質」の一部で、系統発生的に最も新しい部分を言うようです。ただ、最初の説明と似た感じで、大体こうした理解をされているのかもしれません。
「酒乱」という時点ですでにかなり悪いと思うのですが、眞先教授は憎めない程度のいい酒乱と悪い酒乱に分けていました。そして、悪い酒乱については、「おそらく大脳皮質の大部分がまひに陥り、道徳的な規範などが守れなくなっている状態と考えられます」とのことでした。
他に、「いつもは脳の理性を司る部分が、喜怒哀楽などの人間の感情を作る部分を抑制しています。しかし、アルコールにより理性を司る部分が最初にまひするため、感情を制御できなくなる」という説明も。これがイメージ通りでわかりやすくて、心配になるくらいです。
●酒乱になりやすい人が持っている遺伝子とは?
記事はこの酒乱の原因に関してがメイン。これについては、まず、アルコールを分解するしくみを知る必要があります。
(1)カラダの中ではアルコールが入ると、アルコール脱水素酵素(ADH)によって、毒性を持つアセトアルデヒドに分解される。
(2)ここでできたアセトアルデヒドは、次にアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって無害な酢酸に分解され、最終的には水と炭酸ガスなどに分解される。
酒の強さについては、アセトアルデヒド脱水素酵素の活性のほうが大きく関与。しかし、酒乱に関しては、最初の段階で働くアルコール脱水素酵素がポイントだとのこと。アルコールの分解速度が遅い遺伝子を2つ持っているタイプが、いわゆる酒乱に近い飲み方をすることが多いとされていました。
このタイプの人は、アルコールを飲んだときの盛り上がりが激しく、時に泥酔して記憶をなくしてしまう傾向がよく見られるといいます。逆にアルコールの分解速度が速い遺伝子を2つ持っているタイプは、盛り上がりがほとんどないけれど、酒量はかなりいける酒豪タイプだとのこと。酒豪ってお酒で盛り上がらないんですね。
●日本人は酒乱が少ない民族?それとも多い民族?
ただこれ、がっくりしたことに、きちんとした研究ではなく、仲間内の研究者の遺伝子で見た経験論。かなりそれっぽいとは思いますが、今のところ信頼性の高いものではないようでした。
この他にアセトアルデヒド脱水素酵素も多少関係してくるそうですが、うちでは省略。また、“普段から自分を抑制している人”や真面目な人、ストレスが多い人など…酒乱になりやすい環境的な要因もあるとされていました。
それから、ショッキングなことに「日本人は遺伝的に酒乱になりやすい人が多い」という話もありました。前述の環境要因としても日本人は酒乱になりやすい要素がある気がします。「飲み会が必要だ」という声は大きいものの、日本人はあまり飲み会なんかしない方が良いのかもしれません。
【本文中でリンクした投稿】
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