大塚製薬が世界初のIoT医薬品を開発して、アメリカで承認されたというニュース。IoT医薬品というとわかりづらいのですけど、センサーつきの医薬品を飲みこんで、アプリに情報発信するというちょっと怖いシステムです。
このセンサーはなんと3mm以上もあります。結構でかいです。ただ、外見上はわからない程度のもの。元の医薬品ってのが大きいのを丸呑みですからね。で、飲んだ後はどうなるの?と言うと、そのまま消化せずに体外に排出するとのことでした。
2018/01/24:
●大塚製薬が世界初のIoT医薬品 センサーを飲んでアプリに情報発信
●患者が薬を飲まない…懸念されている残薬問題の切り札として期待
●未記載の記事が多い…3ミリ以上あるセンサーは飲み込んだ後どうなる?
●大塚製薬はピンチをチャンスに変えた?エビリファイ特許切れ問題
2020/04/05:
●ゲーム感覚が売り…日本の田辺三菱製薬も「デジタルメディスン」を開発?
●大塚製薬が世界初のIoT医薬品 センサーを飲んでアプリに情報発信
2018/01/24:大塚製薬は2017年11月14日、医薬品と医療機器を一体化して開発された世界初のコンビネーション製品である「エビリファイマイサイト」が、米FDA(米国食品医薬品局)に承認されたと発表しました。この後紹介する別記事では、「飲むセンサー」「IoT医薬品」といった表現、またさらに他の記事では「デジタル薬」とも言われています。
(
大塚製薬 極小センサー組み込んだエビリファイ、米国で承認 世界初のデジタルメディスン | ミクスOnline 2017/11/15 03:50より)
「エビリファイマイサイト」は、抗精神病薬エビリファイの錠剤に、米プロテウス社が開発した摂取可能な極小センサーを組み込んだもの。パッチ型のシグナル検出器と専用アプリを組み合わせることで患者の服薬状況を記録でき、モバイル端末を通じて医療従事者らと情報共有できるといったものです。
この錠剤を服用すると、センサーが胃内でシグナルを発し、患者の身体に貼り付けたシグナル検出器「マイサイトパッチ」が服薬日時などを記録。患者の活動量などのデータも記録し、専用の「マイサイトアプリ」にデータを送信します。
患者は同アプリで服薬状況や活動量を確認でき、気分や睡眠の状況も入力できるとのこと。ただ、これは大したメリットではないでしょう。ポイントとなりそうなのが、患者が同意すれば、家族、医療従事者、介護者との情報共有も可能になるということです。これについては、この後説明します。
●患者が薬を飲まない…懸念されている残薬問題の切り札として期待
上記のミクスOnlineの記事ではそうでもなかったのですが、日経ビジネスDigitalの記事では、飲み忘れなどで生じる「残薬」の問題について強調していました。服薬不良は「医療費の無駄」を生む大きな要因になっています。日本薬剤師会によると、残薬の管理を徹底すれば、国内で年間数百億~数千億円の薬剤費を節約できる可能性があるのです。
また、米国の調査では、エビリファイを処方されるような精神疾患の患者の約6割が、指示された通りに服薬していなかったとのこと。ということで、これはエビリファイマイサイトの大きな売りになるでしょう。
さらに、患者の服薬状況を正確に把握できれば、新薬開発やマーケティングにも生かせるだろうとも書いていました。
(
医療費削減に効く「飲むセンサー」:日経ビジネスDigital(2017年11月22日 内海 真希)より)
●未記載の記事が多い…3ミリ以上あるセンサーは飲み込んだ後どうなる?
日経ビジネスDigitalでは、約3mm大のセンサーを埋め込んだもので、外観は通常の錠剤と同じであるとされていまいた。約3mm大って結構な大きさですよね。
なので、飲み込んだセンサーがどうなるかが気になりました。おそらくそのまま排出するんじゃないかとは予想できます。大きさが全然違うでしょうが、人工甘味料なんかは未消化でそのまま出てくるものです。ただ、記事ではその話が見当たりません。
で、探して見つけたのが冒頭で紹介したミクスOnlineの記事でした。そちらによると、その後、センサーは体内で消化・吸収されることなく体外に排出されるとのこと。やはりそのまま出てくるパターンです。
●大塚製薬はピンチをチャンスに変えた?エビリファイ特許切れ問題
また、日経ビジネスDigitalでは、大塚製薬が世界に先駆けてIoT医薬品を開発できたのは、危機感ゆえとしていました。危機というのは、
大塚製薬の不安 アバニア買収ののれん代とエビリファイ特許切れでやったエビリファイ特許切れ問題です。
当時の記事の説明によれば、大塚製薬はエビリファイに依存しているため、特許切れにより一気に業績が悪化すると見込まれていました。しかし、今回のような特殊な機能をつけることで、他と差別化することが可能となるでしょう。大きな武器になります。
なお、そのときの投稿では、エビリファイ特許切れ問題で焦っていたがゆえに、割に合わない高値の買収をしてしまい、それが後々に響くのではないか?という話がメインでした。
エビリファイマイサイトはピンチをチャンスに、高値の買収はピンチのせいでさらにピンチに、という正反対の話になっています。
●ゲーム感覚が売り…日本の田辺三菱製薬も「デジタルメディスン」を開発?
2020/04/05:エビリファイマイサイトがその後どうなったか?という話を検索したものの、米FDA承認の頃の話ばかり。どれくらい業績に寄与しているのか知りたかったのですけど、ひょっとしたらほとんど普及していないのかもしれません。
また、今検索すると、エビリファイマイサイトは「デジタル薬」だけでなく「世界初のデジタルメディスン」といった紹介のされ方もしていました。そして、この「デジタルメディスン」という言い方では、別の企業の話も検索で出てきます。
田辺三菱 デジタルメディスン第一弾 ゲーム感覚で糖尿病患者アプリの継続促す | ミクスOnline(2019/02/13 03:51)によると、田辺三菱製薬とヘルスケアベンチャーのハビタスケアが、糖尿病患者向けの生活支援アプリ「TOMOCO」を開発したと発表していました。
<人や動物のキャラクターがコンシェルジュとして登場し、ゲーム感覚で取り組める仕様になっているのが特徴。田辺三菱製薬によると、同アプリは同社が取り組む、医薬品とデジタルを融合した「デジタルメディスン」の第一弾として位置付ける>
<アプリでは、食事や運動、服薬状況や、体重、血糖値などを記録する。記録したデータは保健師や管理栄養士に見せることで、行動計画の策定や指導に役立ててもらいたい考え。「のんびりやの三毛猫」や「エンタメ業界を目指している青年タケル」など9種類のキャラクターが患者の行動を褒めたり、注意したりすることで、生活習慣の改善をサポートする>
ただ、内容を見ると、大塚製薬のエビリファイマイサイトとは全然違いますね。「デジタルメディスン」の「メディスン」は「薬」という意味だと思われ、田辺三菱製薬も<医薬品とデジタルを融合した「デジタルメディスン」の第一弾>としているものの、かなりイメージと違うものでした。エビリファイマイサイトの方が特殊なんでしょうか。
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