2013/12/9:
●本屋は潰れて当然…中の人は本当に理解しているのか?
●停滞業界では並みの努力では倒産…普通以上に努力して当然
●立ち読み邪魔と不評、Amazonにないリアル本屋の魅力なのに…
●お店側の都合を客に押し付けておいて「買ってくれ」は無理
2021/03/08:
●立ち読みって悪いことなんでしょうか?の質問への回答がヤバイ… 【NEW】
2013/12/9:
●リアル書店よりアマゾンの方がよっぽど努力している
●「本のエキスパートに直接聞ける」を魅力にすべき
●リアル書店がたくさん潰れるのはむしろこれから?
2019/04/23:
●書店に限らず個人商店が生き残るすべは二つしかない
●本屋は潰れて当然…中の人は本当に理解しているのか?
2013/12/9:
書店の倒産は必然か?店員「この本どこ?と聞くな。Amazonで買え」で以下のようなメールをいただきました。ただ、
書店店長「本を買って。町の本屋がなくなります」→どうぞどうぞとも関連する内容になっています。
<今回の書店の記事「書店の倒産は必然か?」
ですが、私は本屋が大好きです。
書店につぶれてほしくありません。
なので、できれば書店を応援するような記事も載せて欲しいです>
私も別に「本屋など潰れてしまえ」っていうんじゃないんですけど、どうも本屋さんには甘えがあるように感じるんですよね。まずは今「書店は絶対的に厳しい、潰れて当たり前」という危機感を持たないと、始まらないと思います。現実として書店の倒産ラッシュが起こっていますし、「そんなこと書店員は百も承知だ」と言いたい方もいるでしょうが、前述の「本を買って。町の本屋がなくなります」「この本どこ?と聞くな」という書店関係者の言葉からは認識のギャップを感じるのです。
●停滞業界では並みの努力では倒産…普通以上に努力して当然
ダイヤモンド・オンラインには、シュリンクする業界のシリーズ記事があります。シュリンクという言葉は私は包装で馴染みがある(IT用語でも使われるようです)のですが、この連載の場合は「縮小する業界」くらいの理解でいいでしょう。私がこのシリーズで印象に残っていたのはリアカーの話で、そこで出てきた店長さんは高齢なのにネット販売は業界でも早くむしろパイオニアであるなど、様々なチャレンジをして成功していました。
しかも、この人がすごいなと思ったのは、その成功も一時的なものに過ぎず駄目になるときが必ず来ると考えて、常に次を探しているということです。シリーズではダメな例もたくさん出ていたのですが、記事で指摘されているシュリンク業界の特徴として、停滞しているから仕方ないなどと言い訳ばかりで努力しない人が多いということです。
需要拡大中の業界であれば努力なしでも儲かりますが、縮小する業界であればそうはいきません。通常以上に頑張る必要があるのはむしろ当然です。それどころか、全体に業界が下降傾向のため多少工夫したとしても、どんどん潰れていってしまうというのが現実。本屋さんもそういう縮小業界の一つですので、よほどのことをしなくちゃならないはずです。
●立ち読み邪魔と不評、Amazonにないリアル本屋の魅力なのに…
で、そんな難しい復活策を私がパッと思いつくのなら、本屋さんもそんなに苦労しないわけなのですが、メールをくださった方は"書店にはアマゾンには絶対ない魅力"として、「立ち読み」を挙げていました。
私が思うに、書店が生き残っていくには
「立ち読み」を大歓迎にすることが必要だと思います。
椅子や机を用意して座り読みもOKにすべきでしょう。
カフェなどを併設して雰囲気もよくすれば客は必ず増えると思います。
読むだけで帰ってしまう客もいるかもしれませんが、サービスがよければ
「いつもお世話になってるし、アマゾンで買わずにここで買おう」となるはずです。
書店には書店にしかできないことや魅力があります。
それらを活かして今後も生き残って欲しいです。
実際座り読みOKを謳って成功している本屋もあると聞きます。
ただこれ、以前も書いたように、こういった需要がある人がどれだけいるかや、どれくらいの頻度であるかという問題があるんですよね。立ち読みは実際問題そこでまで大きな魅力になっていない可能性があると感じています。
100年前と今とで比べると、無くなってしまったお店や職業はたくさんあります。たぶんそれらのお店の人も何の文句も言わずに粛々と受け入れて潰れたわけではなく、「他にないこういう良いところがあるはずだ」と思っていたはずです。でも、そういう良いところに需要を感じる人が少なければ、やっぱり無くなる他ありません。
あと、立ち読みに関しては、お店側が嫌がっている他、お客さん側も邪魔だと不評になっていることがありますね。メールの方は「座り読み」の例を挙げていて、こちらの方向性の方が良さそうです。よくマスコミで取り上げられるおしゃれ系の本屋さんも、「座り読み」系です。(ここだけ2019/04/23追記)
●お店側の都合を客に押し付けておいて「買ってくれ」は無理
私自身はこの立ち読み大歓迎に魅力がないとは思いません。そういったチャレンジは良いことだと思います。ただ、それが書店復活の起爆剤になるか?と言うと疑問ですし、そもそもむしろ立ち読みを忌み嫌っている書店は多いです。
もし立ち読み歓迎に効果があるのであれば、自分で自分の首を絞めていることになるのですが、古本屋さんでバイトしていた友達も店主に影響されて、猛烈に立ち読み批判をしていました。
さっき出てきた「シュリンク包装」というのは漫画本などについているあれのことですが、「立ち読みが嫌ならカバーを付けないの?」と聞くと「金かかるんだぞ」とのこと。それこそ本屋の都合であり、客に陰口を叩くのは間違っています。
「この本どこ?と聞くな。Amazonで買え」と似たメンタリティですね。
●立ち読みって悪いことなんでしょうか?の質問への回答がヤバイ…
2021/03/08:立ち読みに関する賛否の話をここに追加。検索していると、
コンビニで立ち読みって、悪いことなんでしょうか?賛否両論あると思います - OKWAVEという質問サイトの投稿がありました。質問者は、立ち読みできるコンビニのほうがその店で買い物する学生なども多いと思うのできれいに読むならいいのでは?と思う方だそうです。
最初の数件見ると賛否は半々程度ですが、やや否定が優勢。そして、否定派は攻撃的・感情的、根拠なく断定的なものが多いですね。例えば、<デメリットのほうが大きいのです。貴方、そういうことは店主の立場になってから言いなさい。私は店主ではないけど店の立場に立って考えてみればわかります>や、<普通の常識が有る人が考えれば「否」だけな筈です、「賛」なんてありえません>といったものがありました。
一方、「私はよく立ち読みをしますが、それは買うに値するかどうかを判断するためであって(表紙だけで雑誌の中身ってわかりませんよね。)」という肯定的な人であっても、「3分を超えれば、店員から注意されても仕方ないでしょう。そのときは買ってください」といった感じで、肯定派には弱い肯定も見られます。
なお、質問者が選んだベストアンサーはや質問者に近い肯定的なもので、よく言われる防犯効果ではなく、マーケティング的な意味を強調した説明でした。とはいえ、それでも立ち読みを注意するコンビニの場合はこの効果をあまり考えていない方針ということでしょうから、立ち読みしない方が無難ではあるでしょうね。
<コンビニは、客寄せのために雑誌のコーナーをわざわざ道路側や駐車場側の窓が大きく開いている場所に設置しています。
これは「人はがらがらのお店に入ることを躊躇する」という人間心理を逆手に取ったマーケティングの手法で、コンビニビジネスが盛んな頃はテレビでも解説していたことです。
つまり、コンビニ側は立ち読みしている人を客寄せパンダとして利用してるわけです。本来であれば本や雑誌のようなものは、日の当たる場所には置かないのが原則です。痛みが早くなるわけですから・・>
以上のようにこれは書店じゃなくてコンビニに関するものなのだったのですが、立ち読みされてしまうと本が痛むというのは、書店でもある程度同様でしょう。座り読みでもこの問題点は変わりません。また、ちょっと異常と思えるほど立ち読みが嫌われている様子が見えましたし、立ち読み・座り読みをリアル書店の売りにするのを嫌がる客がいると予想されます。なかなか難しい路線かもしれません。
●リアル書店よりアマゾンの方がよっぽど努力している
2013/12/9:アマゾンはアメリカの企業ですし、できれば褒めたくないのですが、リアル書店と比べるとよっぽど努力しているように見えてしまいます。アマゾンは最初から大企業だったわけではなく、もともと小さいところから始めていて、むしろ「潰れる潰れる」と陰口叩かれていたような企業でした。
以前はアマゾンのおすすめ機能について書きましたけど、まだ適用している本は少ない、内容もほとんど見れずあまり訳に立たないものの「なか見!検索」という機能(この機能については、実はメールをくださった方も触れており、使えないという感想でした)で中身を少し見えるようにして、リアル店舗との差を埋めるように工夫しています。リアル書店の魅力である「立ち読み」をネットでもできるようにするという努力をアマゾンの方がやっているんですよ。本来こういう頑張りは、苦戦しているリアル店舗側が見せるべきなんですよね。
私はアマゾンより日本のお店で買い物してほしいですので、もちろんそれは街の本屋でも良いです。ただ、絶対的に不利な状況で買ってもらうために必死になっているの?と言うと、一部の書店を除いて(大手の本屋ですが、ジュンク堂書店や紀伊國屋書店なんかは話題になることがあります)あまり伝わってきません。
●「本のエキスパートに直接聞ける」を魅力にすべき
そんな中で今回検索していると、「この本どこ?と聞くな」に関して「
寧ろ、聞いてください。本屋のバイトからのお願いです。お願いします。だって、そうじゃなきゃ街の本屋で本買う意味ないもん。」という反応を見つけました。むしろそれがリアル書店の魅力だろうという見方です。(
探している本があったら、遠慮しないで店員に聞いてね - 都会の豚小屋から 2013/11/29より)
「家でゆっくり買える」「ネットで立ち読みも可能」「ネット販売の方が注文が早い」「送料無料」「ポイントもつく」(これは建前上ルール違反でアマゾンへの攻撃材料になっていますが、実在店舗でもやってるところがあるようです)という"今、街の本屋で本を買う意味って、血の通った本のエキスパートがそこにいるということだけでしょ"とのこと。
状況は極めて分が悪いため、これだけで一変できるかと言うと期待しない方がいいと思います。しかし、こうやって「こういうお店なら買いたいな、買ってあげたいな」と思せるお店になるというのも、方向性の一つでしょうね。
●リアル書店がたくさん潰れるのはむしろこれから?
下書きではここまででした。ただ、投稿直前に
ネット販売が店舗を侵食 本・家電で1割超す 2013/12/8 2:01 日本経済新聞 電子版という記事を見つけました。有料記事で私もタイトルだけしか見てませんけどね。
「まだ1割程度か。大したことないじゃん」と感じるかもしれませんが、逆に言うとたった1割でもこれだけの被害で、書店が潰れまくっていると言えるでしょう。家電量販店も含めてですが、本当に苦しいのはこれからだと言えるかもしれません。
前半で書いたように私はそもそも本屋さんは認識が甘いと感じていますので、まず意識改革から始めた方がいいと思います。
●書店に限らず個人商店が生き残るすべは二つしかない
2019/04/23:この投稿をきっかけに書店の復活策に関するものを、その後何度も書いています。書店以外にも個人商店的なところの復活策も書いていて、こうした成功例を読んでいると、共通点が多いように感じました。
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本屋が潰れるなら本屋をやめればいい 総商さとうウィー東城店の答え ■
書店倒産続く中、ベストセラーが売れない恵文社一乗寺店が好調な理由 ポイントとしてはまず、この投稿でも「本のエキスパート」という話があったように、目利きとしての魅力を高めていくというのが一つ。また、本屋にこだわらず、本以外を含めて複合的に客を取り込んでいくというのがもう一つの大きな方向性で、二つをかけ合わせた成功例も見られました。
【本文中でリンクした投稿】
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