知恵蔵2013では、「マネタイズ」について以下のように説明しています。
知恵蔵2013の解説
ネット上の無料サービスから収益をあげる方法のこと。収益事業化。もともとは金属から貨幣を鋳造するという意味で使われていたが、2007年頃からIT用語として使用されるようになった。( 佐橋慶信 ライター )
コトバンク 通常ならここで終わりですが、知恵蔵2013はこの後さらに詳しく続けます。
ネットの無料サービスの収益化手段として常道なのは、広告です。
しかし、これは常道であるがゆえに、古典的すぎてレベルの低いものとみなされています。ここの説明はそれについても触れています。
古典的なマネタイズ手法としては、バナーなどの広告、テナントやアイテム販売などの方法があるが、古典的方法だけで十全な収益の確保が難しいため、工夫が施される。オンラインゲームへのアイテム課金など、ファン層の取り込みや、プレミアムサービスといった差別化サービスなどもその一部だ。また広告によるマネタイズも、より収益性が高いアフィリエイトなどの成果連動型のものと組み合わせることが多い。
この工夫の一例と言えそうなのが、ECサイトです。以下は「しかし、そのECサイトももはやありきたり」といった書き方の記事であり、新たな形のマネタイズの方法を紹介しています。
米エバーノートが9月27日、EC(電子商取引)サイト「Evernote Market(エバーノートマーケット)」を北米、日本で開設した。
インターネット企業がEC事業に進出するのは珍しくない。米グーグルはパートナー会社と組み、アパレルや食品、雑貨、文具などを即日配送するECサイト「Google Shopping Express」を米サンフランシスコで一般公開したばかりだし、逆にECで急成長した米アマゾン・ドット・コムは2002年からクラウドサービス「AWS(アマゾンウェブサービス)」を始めている。“多角化”として見れば、クラウドサービスもECも両者間の垣根は低い。
だが、エバーノートマーケットはこれらのECサイトとは一線を画していることから注目を集めている。
なぜエバーノートが靴下を売り始めたのか:日経ビジネスオンライン
原 隆 2013年10月1日(火)1/3ページ
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20130930/254033/?n_cid=nbpnbo_mlt 注目を集めているのは他社とは違い、「すべてエバーノートがデザインした“アナログ商品”」のためです。"「デザイン」や「コンセプト」をアナログな商品にまで派生させようとするインターネット企業は稀"であると作者は指摘しています。
"従来であればノベルティとして無償配布するグッズを、同社のブランド思想を基に根本から設計し直し、再デザインしてその対価を得るという新たな収益源の道"を新たに開拓したという見方です。
エバーノートはEC事業を始めるにあたる前に、リービンCEOは自社のロゴマークの使用を社員に禁じました。
エバーノートが物販を始めようと思い立ったきっかけは約2年前にさかのぼる。ある日、いつものように出社したリービンCEOは社員の何気ない行為が気に障った。その社員は、何の取り留めもない水筒に、ノベルティとして配布されていたエバーノートのロゴのシールを張りつけて利用していた。リービンCEOはこれを機にノベルティ配布の禁止令を出した。
その社員からすれば、自社のロゴを張った水筒を使う行為を愛社精神の表れと称えられることはあっても怒られるとは思わなかっただろう。だが、リービンCEOにとっては、プライドを持って作り込んだ製品以外に自社のロゴがついているのが納得いかなかったようだ。
そして、これを機にフィル・リービンCEO(最高経営責任者)の納得の行くデザインのアナログ製品を作り出すことになりました。
こんなもの売れるんかいな?と正直思いましたが、「当初2014年に売上全体の1割を予定していたが、このペースのままいけば売上予想を上方修正せざるを得ない」(リービンCEO)とのこと。
これはエバーノートのブランド価値の高さゆえかもしれません。
あと、何度もリンクしている
サービス業と流通業はブラックな業界 給料の安い仕事である理由は?の話をまた思い出しました。
デジタルな商品の場合はむしろ利益率が高く、アナログ製品の方が不利だとは思います。しかし、単なる物品の販売サイトよりは、エバーノート型の方が利益率が良さそうです。
サービス業と流通業はブラックな業界 給料の安い仕事である理由は?でやったように、小売業の給料が製造業より安いのは自ら価値を作り出せないためです。
エバーノート型の場合、自ら製品の価値を作り出すメーカー的な役割を果たしており、賢いやり方だと思います。
タイトルを見てパッとこの記事と絡ませたいなと思ったのが、同日のダイヤモンド・オンラインの以下の記事でした。
【梅田望夫氏×武田隆氏対談】(中編) 瀕死のベンチャーがたどり着いた 広告に頼らずインターネットでマネタイズする方法 ベストセラー『ウェブ進化論』著者が『ソーシャルメディア進化論』著者に訊く!|ソーシャルメディア進化論2013|ダイヤモンド・オンライン
2013年10月1日 武田 隆 [エイベック研究所 代表取締役]
http://diamond.jp/articles/-/42135 こういう記事は往々にして期待外れに終わることもあるのですが、タイトルだけ見ると今回のテーマに合いそうです。
武田 1996年に誰よりも早く起業した弱小の学生ベンチャーは、1998年に一気に押し寄せたインターネットの潮流にあっけなく飲み込まれていきました。(中略)どうせ存在がなくなってしまうなら、「せめてインターネットにインターネットらしい何かを残してから解散しよう」と仲間と話し合い、なかば自暴自棄に開発を始めたのが「Beach(ビーチ)」というコミュニケーションツールでした。
大げさにいえば、自分たちの存在(アイデンティティ)を賭けた戦いでした。
梅田 そのシステムが、今、日本最大の企業コミュニティモール(2011年矢野経済研究所調べ)となったわけですね。最初から、企業向けを想定していたのですか?
武田 いえ、最初は無料のプラットフォームとして、コンシューマ向けを想定していました。儲かるか儲からないかというよりは、ただ「部屋を主役にするコミュニケーションツール」を世界に提案しようと思ったんです。それで、マーク・アンドリーセン(世界初のウェブブラウザ「モザイク」の開発者)のようになれればそれでいいと思ったんですね。部屋を主役にするという考え方は、とても日本的なアプローチで、他との差別化にもなるだろうし、世界に広がるインターネットユーザーにも喜んでもらえるんじゃないかと……。
これを日本オラクルを立ち上げたメンバーが設立した、サンブリッジというベンチャーキャピタルがおもしろいと思ってくれました。
しかし、ベンチャーキャピタルですので、マネタイズしてくれないとさすがに出資できません。
それで広告を勧められたのですが、武田隆さんは"広告モデルというのは、20世紀のマスメディアに最適化されたビジネスモデル"であり、"インターネットにはインターネットらしいビジネスモデルがあるはずだ"と考えました。
武田 どうにか広告を使わずに収益化できないかとサンブリッジと議論を重ねるうちに、糸口が見つかりました。それは、インターネットの本質は「双方向」なのだから、ビジネスモデルも双方向にすればいい、というものでした。
ウェブ制作事業を通して、企業の就職サイトなどをつくっていると、その企業の方にインタビューをするわけです。そうすると、社員の方が会社にすごく誇りを持っていることが伝わってくる。でもその誇りや想いは、就活生に届くころにはだいぶ薄くなってしまいます。広告も販促ツールも、その熱さやリアリティは十分に届けられない。企業と顧客が双方向でコミュニケーションできて、今よりも想いが伝わったら、企業も喜んでくれるのではないかと考えたんです。
梅田 そこで企業向け、という方向に転換したんですね。
武田 具体的な手法までは考えきれていませんでしたが、コンセプトだけはできました。ビジネスモデルは「双方向」で行く。オンラインコミュニティを介して、企業と顧客が双方向に関係を構築する。今の流行の言葉でいえば「エンゲージメント」ですね。このアイデアで、サンブリッジが投資に応じてくれました。
読んでいても正直意味がわからんかったのですけど、その
「Beach(ビーチ)」だと思われるサイトには、
"30社の公式スポンサーによる特別なイベントや3,000個以上のサークルがあなたの参加を待っています。気になるサークルをたくさん集めて、あなただけのBeachを楽しもう!"
と書かれていました。
この公式スポンサーから収益を得ているということですかね? フェイスブックの企業アカウントを有料でやる感じかなぁと思いましたが、ちょっとよくわかりません。
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