2013/12/21
●アフリカの角(ツノ)はなぜそんな名前で呼ばれているのか?
●アフリカの角での日本の存在感「中国人?違うの、じゃあ韓国人?」
●日本はアフリカなんかと仲良くする必要はない?
●中国人と勘違いされるというのは何を意味しているのか?
●中国人大歓迎…と思いきや不満もたくさんある
●中国は自国の国益のために援助していると現地の人は知っている
●日本はアフリカのことを考えてくれている、現地の人が評価
●アフリカの角(ツノ)はなぜそんな名前で呼ばれているのか?
2013/12/21:私は恥ずかしながら知りませんでしたが、アフリカ大陸東端のソマリア全域とエチオピアの一部などを占める半島を「アフリカの角」と呼ぶそうです。
ここは、ソマリ人の居住地域であり、ソマリランド(ソマリランド共和国とは異なる)とも呼ばれた地域。ソマリ半島という言い方もするそうです。ややこしいことに、他にもソマリ地域、ソマリ地方などとも呼ばれますが、この言い方だとはエチオピア東部ソマリ州を指すことがあるそうです。
政情は極めて不安定なことで知られる地域ですが、実は重要な地域。インド洋と紅海を結び、さらにはスエズ運河を通して地中海に繋がる海上交通の要衝です。
(
Wikipediaより)
アフリカの角と呼ばれる理由は、地図を見ると一目瞭然です。私はサイのツノっぽいなと思いました。
大きな地図で見る どこまでがアフリカの角というのは決まっていませんが、Wikipediaでは、「明確な境界はないが、おおよそ次のような範囲」としていました。
・ソマリア
・(ソマリランド)
・(プントランド)
・ジブチ
・エチオピア東部
・エリトリア南部
・ケニア北東部
●アフリカの角での日本の存在感「中国人?違うの、じゃあ韓国人?」
ニーハオ、アンニョン、最後にこんにちは それでも中国が一番人:日経ビジネスオンライン(福島 安紀子 2013年11月28日(木))という記事では、さらに独立まもない南スーダンも「アフリカの角」に含まれるとしていました。
この記事のタイトルは、「ニーハオ、アンニョン、最後にこんにちは」と妙なもの。実はこれ、現地での日本人の存在感のなさを示しています。
作者がアフリカの角地域を旅していると、現地の人々がニコニコしながら「ニーハオ」と声をかけてくるそうです。「いや、中国人ではないの」と言うと、「ああ、そうか。アンニョンハショムニカ」と訂正。「韓国人でもないのよ」と言うと、最後に満面の笑みを浮かべて「じゃあ、こんにちは!」となるそうです。
国内の人になぜ使わないのか?という問題は置いておき、中国は今のように経済的に発展する前からアフリカを支援しているという先見性の高さ・外交のうまさがあり、その存在感が大きいことは予想できます。ただ、韓国より日本の方が馴染みないというのは、予想外でした。
●日本はアフリカなんかと仲良くする必要はない?
一方で、「アフリカなんかと仲良くする必要はない」という日本人は多いでしょう。ただ、日本にとって重要性の低い地域というわけでもないようです。
作者が上席研究員を務めているシンクタンク「東京財団」では、対外援助と安全保障協力の関連性をテーマに取り上げていおり、その事例研究のためにアフリカの角地域を現地調査していました。以下のようなアフリカの角の重要性のため。一つは前述の「海上交通の要衝」だというのがあります。
(1)南スーダンの平和構築のための国連ミッションに日本の自衛隊が参加している。ジブチでは、海上自衛隊を中心に海賊対処に取り組んでいる。しかも、いま、日本の自衛隊が海外に派遣されているのは緊急災害支援以外ではこの2カ所しかない。
(2)この地域が日本へのシーレーンの要衝であり、この地域における今後の安定と経済発展が、日本の安全保障と不可分の関係があるからである。すなわち、アフリカの平和と安定は日本の平和と安定につながっている。
●中国人と勘違いされるというのは何を意味しているのか?
韓国とはともかく、中国のアフリカにおける重要性はすごいです。現地では、東洋人どころか、海外の人を見かけると、反射的に「ニーハオ」とやるという話がありました。
また、中国人の存在感は他の国でも上がっているようです。作者がエリトリアに駐在している友人のイタリア人の外交官に、「ニーハオ」の話をしたら、エリトリアではイタリア人でも「ニーハオ」と挨拶されると言っていたそうです。このイタリア人はどう見てもアジア系には見えないものの、「外国から援助に来ている人は、人種に関係なく全部中国人になっちゃうんだよなあ」とのこと。
おそらく一番身近な外国人が中国人なのでしょう。日本も昔、海外の人はどこの国の人でも「唐人」と呼んでいた時期がありました。
ただ、認めなくてはいけないのは、それだけ中国が世界に貢献しているということでもあるということ。特に中国のアフリカへの進出と援助には目を見張るものがあり、アフリカの角地域内を運行する飛行機の機内映画の音声は、英語、仏語、現地語、そして中国語のみ。機内にも中国人が多かったといいます。
●中国人大歓迎…と思いきや不満もたくさんある
元記事のサブタイトルには、「それでも中国が一番人気」とありました。「それでも」というのは、必ずしも中国が諸手を上げた歓迎を受けているわけでなく、不満も多いからです。以下の最初のは、日本の公共事業みたいな不満点ですけどね。
・箱モノの建設ばかりで、目に見える効果を発揮しない。
・無償援助ではなく、ソフトローンである。
・中国から労働者らを連れてくるので、現地の雇用につながらず、技術移転が進まない。
・中国人労働者目当ての店も、セットで中国から来て地元のお店が圧迫される。
ただ、アフリカの角地域における中国の評判はおしなべて良く、「それでも中国が一番人気」ということになっています。つまり、この負の効果を補って余りあるインパクトが中国の支援にはあると考えられます。
作者の出張では、インタビューする相手はもちろん、ホテルの従業員やタクシーの運転手などにも「あなたが一番好きな国はどこ?」と尋ねることにしていました。すると、回答は例外なく「中国」であったといいます。
●中国は自国の国益のために援助していると現地の人は知っている
理由について平和安全保障訓練センター所長を務めるクワメナ・オノマさんに尋ねてみると、以下のような回答でした。
「中国は援助するにあたって条件をつけない。この点が、旧宗主国の欧州各国と異なる。もちろん中国は、自国の国益のために援助している。そのことは分かっている。だが、その動機は明白で分わかりやすい。そして、約束をすれば、道路や鉄道、そして港湾をさっさと整備してくれる。いま、アフリカはインフラ整備が喫緊の課題になっている。多少工事がずさんでも、アッという間に作ってくれる中国はありがたい存在なのだ」
行動力とスピード感という感じですね。あと、箱モノであることに不満があると言いつつも、この選択がいいのかも。ものが残るのでわかりやすいためです。うちの田舎の人を見ていると、大して役に立たないものであり、その影で行政サービスが悪化していても、箱モノができるだけで大喜びしています。
●日本はアフリカのことを考えてくれている、現地の人が評価
なお、中国だけでなく日本への印象もすこぶる良いようです。日本人相手に話していますので、面と向かって「そうでもない」とは言いづらく、リップ・サービスかもしれませんが、以下のような話をしていました。
「日本もアフリカを搾取しなかったフェアな国だ。援助をしてくれるまでには時間がかかるが、いったん決まれば、実にきちんとやってくれる。そして『アフリカのことを考えている』という気持ちが伝わってくる」
また、"日本に対する好感度は、宗主国ではなかったということに裏付けられている"とも書かれていました。ただし、これには弱点があります。"宗主国のやりように反感を持つ人々がいなくなり世代交代をしたときに、この財産は消滅してしまう"という点です。なるほど、これは気づきませんでした。
しかし、他にも"JICAや青年海外協力隊、そして企業の人々の努力"といった理由もあり、ここらへんは今後も通用するでしょう。前述の通りアフリカの角は日本にとっても重要地域だそうですので、是非とも存在感を上げていきたいところです。
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