幼児教育に関する話をまとめ。<幼児期の子供はIQより自制心の強さが大事 マシュマロ実験の結果>、<マシュマロ実験の優劣が大学テストの差に関係してた!後に判明>などをまとめています。
2023/11/13:
一部見直し
●幼児期の子供はIQより自制心の強さが大事 マシュマロ実験の結果
2013/12/25:
夫婦喧嘩によって子供の脳が縮小、語彙や理解力が低下 教育番組こそがいじめを助長?では、
間違いだらけの子育て―子育ての常識を変える10の最新ルール
のアマゾンレビューから引用を行っています。
その中での書籍の感想として、「子どもの能力の開花には、なによりも自制心を身につけることが大切・・・などなど、驚かされることばかりです」というものがありました。このレビューの中で気になっていたものの一つがこの「自制心」の話。胡散臭い感じもあり、本当にそういう研究結果はあるんだろうか?と気になっていたのです。
ところが、今回別記事を読んでいて、この「自制心」の話の元ネタかも?というものを発見。マシュマロ実験というテストです。
Wikipediaによると、子ども時代の自制心と、将来の社会的成果の関連性を調査した著名な実験。スタンフォード大学の心理学者・ウォルター・ミシェルが1972年に実施したものだそうです。
対象となったのは、4才の子どもたち。職員の子どもたちが通う、スタンフォード大学内の付属幼稚園で186人が実験に参加したといいます。その行動に関する部分を読んでいると、実家の犬の行動を思い出してしまったのですけど、以下のような内容の実験でした。
<被験者である子どもは、気が散るようなものが何もない机と椅子だけの部屋に通され、椅子に坐るよう言われる。机の上には皿があり、マシュマロが一個載っている。実験者は「私はちょっと用がある。それはキミにあげるけど、私が戻ってくるまで15分の間食べるのを我慢してたら、マシュマロをもうひとつあげる。私がいない間にそれを食べたら、ふたつ目はなしだよ」と言って部屋を出ていく。
子どもたちの行動は、隠しカメラで記録された。1人だけ部屋に残された子どもたちは、自分のお下げを引っ張ったり、机を蹴ったりして目の前の誘惑に抵抗した。小さな縫いぐるみのようにマシュマロをなでたり、匂いをかぐ者もいた。目をふさいだり、椅子を後ろ向きにしてマシュマロを見ないようにする者もいた。映像を分析した結果、マシュマロを見つめたり、触ったりする子どもは結局食べてしまう率が高いこと、我慢できた子どもは目をそらしたり、後ろを向いたりして、むしろマシュマロから注意を逸らそうとする傾向があることが観察された。実験に参加した者のうち、我慢してマシュマロを食べずにいられた子どもは1/3ほどであった>
●マシュマロ実験の優劣が大学テストの差に関係してた!後に判明
"この実験の本来の目的は、この能力の幼児期における発達を調査するため"であったそうで、当初は、追跡してデータを調べて優劣をつけようというものではなかったのだと思われます。
しかし、実験者のウォルター・ミシェルさんは、実験に参加した一人である娘の成長につれ、"実験結果と、児童の成長後の社会的な成功度の間に、当初予期していなかった興味深い相関性があること"に気がつきました。この最初の追跡調査は1988年に行われています。16年後ですから、ちょうど20歳くらいです。
<その結果は、就学前における自制心の有無は10数年を経た後も持続していること、またマシュマロを食べなかった子どもと食べた子どもをグループにした場合、マシュマロを食べなかったグループが周囲からより優秀と評価されていること、さらに両グループ間では、大学進学適性試験(SAT)の点数には、トータル・スコアで平均210ポイントの相違が認められるというものであった>
大学進学適性試験(SAT)の満点が記載されていませんでしたが、最高2,400点、最低600点だそうです。0点はありません。数字が大きいので、私は200点と言ってもそう大きな差ではない可能性も感じます。
そこで、600点=0点として、2400点満点ではなく1800点満点としたときの210点差を、さらに100点満点とした場合は12点差程度…と考えてみました。これくらいの差だとどんな印象ですかね。私は誤差範囲ではないはっきりとした差ではあるなという感想です。
●IQは無意味という研究も!つまり、幼児期の子供はIQより自制心
ウォルター・ミシェルさんは、この実験から"幼児期においてはIQより、自制心の強さのほうが将来のSATの点数にはるかに大きく影響する"と結論づけました。
実は最初に出した本の
間違いだらけの子育て―子育ての常識を変える10の最新ルール
のレビューからは、
幼児IQには2年で既に相関性無しという話も書いています。2つの実験結果を合わせて考えると、IQとは比較にならないほど自制心の方が関係が強いという感じです。
さらに、このマシュマロ実験の追跡調査は、2011年にも行われています。43歳くらいですね。結果は"この傾向が生涯のずっと後まで継続している"というものになりました。
また、"被験者の大脳を撮影した結果、両グループには、集中力に関係するとされる腹側線条体と前頭前皮質の活発度において、重要な差異が認められた"とも書かれています。
●「自制心の強さ」も結局遺伝の影響が強いという可能性はないのか?
これで「自制心の強さ」「セルフコントロール」の大切さはわかりました。ただ、最初の実験目的は、この能力の幼児期における発達を調査するためだったというのは気になるところ。自制心について教育したわけではなく、この時期にすでに自制心を持っているかどうかを見たのです。
何が言いたいか?と言うと、こういった「自制心の強さ」は意識して与えられたものではなく、もともと遺伝的に自制心が強かった、あるいは自制心を身につけやすかったという先天的なものである可能性が高いのではないか?ということです。
ですから、そもそも後天的に自制心を強くすることはできるの?とか、自制心を身につけにくい子に苦労して教えた後天的な「自制心の強さ」でも同じように成長後の学力向上や社会的な成功に結びつくの?とかは、いろいろと疑問。結局、遺伝の影響が大きい可能性もありそうです。
とはいえ、明らかに怪しい幼児IQ教育と今回の研究結果には天と地ほどの差がありますし、子供のうちに強い自制心を得ることがその後の人生において常に役立つというのは至極当たり前の話すぎて、疑問を差しはさむ方がおかしいかもしれません。
とりあえず、変な幼児教育にハマるのだけはやめていただければなと思います。
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