2014/1/6:
日本では遮断機も警報機もない踏切がある
遮断機も警報機もない踏切、正式には「第4種」と呼ばれる
遮断機も警報機もない踏切は、田舎に行ったら普通なの?
地元民が勝手に作っちゃうなど、変わり種踏切も
本当に多かった!現在の日本でもおよそ1割
第4種踏切道は意外に危険じゃなくて安全?
2018/10/03:
遮断機も警報機もない踏切でまたまた事故
●日本では遮断機も警報機もない踏切がある
2014/1/6:現在でも日本では遮断機も警報機もない踏切が1割以上あるという話を聞いて、驚愕しました。で、本当にそうなんだろうか?と検索してみることに。
まず、数は載っていませんが、踏切の種類を
Wikipediaで見てみましょう。実は4種類もあるそうです。
"踏切は保安設備により下記に分類される。現在一般的なのは第1種甲である。第3種は第1種甲に転換され数が減ってきている。信号機によって道路交通を規制する踏切は路面電車や比較的運行本数の少ない専用鉄道などで見られる"
1番多いのは「第1種」。"自動踏切警報機と自動遮断機を設置するか、踏切保安係を配置して、列車が通る際に道路の交通を遮断機によって遮断するもの"と難しい説明がありますけど、皆さんが思い浮かべる普通の踏切のことです。これはさらに2種類あり、普通は「第1種甲」の方でしょうね。
<第1種>
・第1種甲:通過する全ての列車または車両に対して、道路を遮断するもの。
・第1種乙:始発列車から終列車までの時間内の列車または車両に対して、道路を遮断するもの。
●遮断機も警報機もない踏切、正式には「第4種」と呼ばれる
次が第2種なわけですが、実は"日本国内では既に現存しない"とのこと。
<第2種>
"一部の時間帯のみ踏切保安係が遮断機を操作する踏切。つまり、踏切保安係のいない時間帯は第3種もしくは第4種と同じになる。遮断機作動の有無を示すため踏切保安係がいる時間が掲示されている"
そして、残りの2つが問題ある踏切。こちらはまとめてWikipediaの説明を見てみましょう。
<第3種>
"遮断機はないが踏切警報機が設置されているもの。後述する第4種とともに、注意を促すため「ふみきりちゅうい」の標識が立てられていることもある"
<第4種>
"第1種 - 第3種に該当しないもの。踏切警報機や遮断機は設置されていない"
●遮断機も警報機もない踏切は、田舎に行ったら普通なの?
「田舎に行ったら普通ですよ」とどっかで書いていましたが、マジで?というもの。私は田舎出身なのに、見たことなかったです。Wikipediaにおいても、"地方ローカル線で多くみられ、特に自動車の通行できない道路に多い"としていました。というか、よく考えると、私の住んでいたところは、田舎すぎて鉄道も遠くまでいかないとないところだったんでした…。
Wikipediaでは、やはり危険性についても指摘がありました。"踏切を模した木型や「とまれみよ」という標識などがたてられているのみで、実際に列車が接近していて危険ではないかの判断は通行者の目視等にゆだねられているため、事故が発生しやすい"とのこと。
こういうのは、動画があるとわかりやすいですよね。さっと探して見つけた以下は信号機があるので、まだそれなりに…という感じでした。
【踏切】遮断機の無い踏切 環七東急世田谷線若林踏切
"環七を渡る東急世田谷線若林踏切。
この踏切、信号に従えば一時停止不要なんですよね。
ちなみに電車のほうは一時停止、運転士が立って左右を確認してから発車します"
●地元民が勝手に作っちゃうなど、変わり種踏切も
4種類と先程書いたのですけど、実はこの他に以下のような踏切があるそうなので、こちらも紹介。これは反則みたいなものです。
<事実上の踏切>
"鉄道事業者によって認められた踏切のほかに、小さな路地やあぜ道、山道などのいわゆる「赤道(あかみち)」・里道と鉄道線路が交差している場所がある。このような場所では、踏み板等はない。このような場所の横断は、歴史的経緯により黙認されてはいても、線路内立ち入りになるので鉄道事業者も注意書きの設置などをしている"
あと、関係無いですが、Wikipedia見ていて過去に書いたものを思い出しました。海外には
飛行機用の踏切もあるそうです。いろいろあるものですね。
●本当に多かった!現在の日本でもおよそ1割
さて、やっと肝心の割合の話。なかなか苦労しましたが、
[PDF]7 輸送の安全にかかわる施設等に関する事項 国土交通省で記載を見つけました。ほぼピタリ1割です。ちなみに本文では、「踏切道」と書かれています。「踏切道」とは聞き慣れないですが、法律上だとこちらで言う場合があるそうです。
<日本における踏切道の数> (割合は当ブログで算出)
平成19年度
第1種 30,027 86.9%
第2種 0 0%
第3種 992 2.9%
第4種 3,528 10.2%
合計 34,547
踏切の種類の割合なのですけど、第4種踏切道が減り続けているというのは想像に難くないでしょう。ただし、すべてが第1種踏切道に切り替わっているわけではありません。というのも、そもそも踏切がなくなってしまうというケースがあるためです。なんと昭和35年には71,070の踏切道がありました。現在の倍以上、逆に言うと、半分が消えてしまったのです。
この当時は6万以上(グラフのため正確な数字は不明)が第4種踏切道でしたので、第1種踏切道に変わったものが多いのは確かなのですが、現在でも年々踏切の数は減っており、すべてが第1種踏切道に置き換えられているわけではありません。
また、近年を見ると第4種踏切道に限らず、第1種踏切道までもが減少傾向です。こういうのは便利にっていくものだとばかりなのに減るとは!…と最初思いましたが、考えてみると踏切道なしで横断できる方が利便性が高いです。そういうケースも増えていると予想されます。
●第4種踏切道は意外に危険じゃなくて安全?
あと、第4種踏切道の説明として「人があまり来ないところなのでいいんですよ」みたいなのを見かけた気がしますが、Wikipediaで"実際に列車が接近していて危険ではないかの判断は通行者の目視等にゆだねられているため、事故が発生しやすい"とあったように事故は起きています。例えば、以下のようなニュースが見つかりました。
遮断機設置を住民ら2回要望 広島のJR踏切事故 2013/12/7 22:25 日経新聞
広島市安佐北区のJR芸備線の踏切で7日午前、列車と軽乗用車が衝突し、車に乗っていた男女3人が死傷した事故で、現場近くの住民らが少なくとも2回、遮断機と警報機の設置を求める要望書を区役所に提出していたことが同日、市議らへの取材で分かった。(中略)
住民によると、現場の踏切では約40年前にもバイクに乗った女性が列車にひかれて死亡した。近くには女性の夫が「二度と事故が起こらないように」と願って建てた地蔵がある。
住民らは昨年11月と今年11月の少なくとも2回、市議を通じて遮断機と警報機の設置を求めて区役所に要望。JR西にも伝わっていたが、実現していない。〔共同〕
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0702Q_X01C13A2CC1000/
やっぱり危ないですよね。最初に驚いたというのはこの危険性によるものですが、これが許されているってのはやはり不思議です。例えば、群馬県だけの例ですが、平成18年~平成22年における踏切事故の発生件数の内訳は以下のようになっていました。
第1種 16件
第4種 8件
上記だけ見ると、第1種踏切の方が多いじゃない?という感じ。しかし、群馬県内での踏切種別の内訳は不明なものの、全国的には8割が第1種踏切でした。おそらく第1種踏切の方が多いから発生件数も多いというだけだと思われます。ですから、割合で行けばやはり第4種踏切の事故発生確率の方が多いと予想されます。
さらに第4種踏切がそもそも人や自動車の通行の少ない場所や電車の運行本数の少ない場所に設置されているのでは?とも想像できます。このことを考慮に入れると、事故の発生確率は相当なものでしょう。
●遮断機も警報機もない踏切でまたまた事故
2018/10/03:またしても、遮断機も警報機もない踏切で事故があったので追記。福山市神辺町にあるJR福塩線の遮断機がない踏切で自転車に乗っていた小学4年生の女の子が列車にはねられ死亡しました。
("遮断機も警報機もない踏切で… 女児はねられ死亡 | 広島ニュースTSS | TSSテレビ新広島" 2018年9/27(木) 19:30 掲載より)
http://www.tss-tv.co.jp/tssnews/000002203.html
このニュースについて、そんな踏切があるなんて信じられない!といった反応があったのですけど、ここまで読んでいただいてわかるように、そういう踏切はかなりあるのです。
また、2016年の長崎県佐世保市瀬戸越の松浦鉄道(MR)泉福寺駅付近の線路で、2歳の女児が列車にはねられ、頭の骨を折って意識不明の重体となったというニュースも検索していて見つけました。遮断機のない「勝手踏切」での事故ですけど、松浦鉄道は、「勝手踏切は昔から生活道路として使われてきたことから、閉鎖は難しい」としています。
ただ、人命に関わることなのですから、本当は国が積極的に支援するなどして、対策を進めていくべきだと思いますけどね。ちょっとこの国の税金の使い方は、優先順位が変な気がします。
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