ノバルティスのディオバン論文の問題はまだ過去形で語れないものの、本当ひどい話でした。
医師の間でも話題になったようで、昨年の「今年の漢字」は「偽」だったそうです。
医師が選ぶ「今年の漢字」は「偽」、論文データ改ざんで 2位はあの事件から「徳」 | 社会 - エコノミックニュース 2013年12月30日 17:21 北条かや
現場の医師らが選ぶ「今年の漢字」は「偽」だったことが、医師専用サイトを運営するメドピア株式会社の調査で分かった。
メドピア株式会社では、自社サイトの会員医師6万人を対象に「2013年 医師が選ぶ漢字」を募集。2657人の医師が回答し、論文データの改ざんに注目が集まったことから「偽」が最多となった。得票数は227票(8.5%)。
今夏にはスイス製薬大手の日本法人ノバルティスファーマの高血圧症治療薬「ディオバン」の臨床研究データに不正な操作があったことが判明。「相次ぐ食品偽装問題と同じように、データのねつ造など医学系論文にも不正・偽装が話題となった(50代、消化器科)」「論文データのねつ造で医学論文の意義が根底から覆されたような気がする(40代、集中治療科)」などのコメントが相次いだ。
http://www.zaikei.co.jp/article/20131230/170749.html ディオバンの問題を書いていると定期的に医療関係者の方から批判メールが届いて嫌だったのですが、そういう人は少数派みたいですね。良かったです。
しかし、ひどい医療関係者は少なくない…という話は、2位につけた漢字からもわかります。
2位は、年末に話題となった医療法人徳洲会グループの選挙違反事件から「徳」。112票(4.2%)が集まった。「年末になり徳洲会病院のスキャンダルが話題に。医師にとっての徳をつみたいと思います(50代、脳神経外科)」などのコメントが寄せられた。
「年末になり」と書いていますけど、その前から問題になっていたんですよ。このコメントも意識の低さが見えて嫌ですね。(年末に報道が多くなったのは猪瀬知事のせい。徳洲会問題はそれ以前からです)
ちなみに一昨年は"iPS細胞研究に注目が集まり“再生医療元年”ともいわれたことから「再」"だったので、毎年悪いテーマということはありません。昨年一気に問題が噴出したようです。昨年は、お医者さんってのは本当倫理観がないんだなぁと思い知らされた1年でした。
ディオバンの話に戻って、昨年末こういう提言があったというニュースについて。
研究不正:抑止へ「組織新設が必要」 学術会議会長
毎日新聞 2013年12月26日 21時39分(最終更新 12月26日 21時40分)
降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験疑惑など研究不正が相次いでいることを受け、日本学術会議の大西隆会長は26日記者会見し、大学などの不正調査支援や、研修プログラムを開発する組織の新設が必要との考えを示した。不正抑止のための常設機関を巡る議論が加速しそうだ。
学術会議は同日、研究不正対策を正式に公表した。研究機関の調査委員会の半数以上を外部任用することや、公的な研究資金を受ける研究者への倫理教育義務化などが柱で、政府や国内の学会に提言する。【八田浩輔】
http://mainichi.jp/select/news/20131227k0000m040084000c.html ところが、この大西隆会長がやらかしました。
学術会議会長:論文数、水増しか HP「1000件以上」
毎日新聞 2014年01月05日 07時15分
日本の科学者の代表機関で「学者の国会」とも呼ばれる日本学術会議の大西隆会長(65)=都市計画専攻=が、同会議のホームページ(HP)に載せた自身の英文のプロフィルに「学術論文と本を1000件以上発表した」と記したものの、「1000件も確認できない」と匿名での指摘を受け、修正していたことがわかった。
問題のプロフィルには大西会長の経歴などが英語で記され、国際的な学会にも使用されていた。同HPでも、日本語版に論文数の記述はなかった。修正後は「約100件の査読付き論文、540件の他の論文、35冊の本と330件の講演資料を含む、1000件以上の学術的な出版物を発行している」となっている。大西会長は学術会議の会員らに対し「不十分な記述があった」とメールで謝罪した。
大西会長は取材に対し、「雑誌に寄稿したものも専門的に書いているので、私の概念では、(修正前の表記は)おかしくないと思う。1000件の内訳を書かずに誤解を招いたが、うそを書いたつもりはない」と釈明した。
「水増し」ともとられかねない表現について、関係者からは「業績を誇張しすぎだ。日本の科学者の代表だけに、国内外でどう受け止められているのか心配」という声もある。【斎藤有香】
http://mainichi.jp/select/news/20140105k0000m040067000c.html 不正の度合いとしては論文のデータ不正と数の水増しではだいぶ異なります。もちろんデータ不正の方が悪いのですが、論文数というのも学者の評価に関わるため非常に大切です。そして、こういった水増しはたいへん多いと言われているようです。
また、論文数が評価に関わるということは、地位の高い方が結構危ないということでもあります。
以前
怪しい井上明久東北大前学長論文不正問題 損害賠償裁判では勝利で書いた井上明久東北大前学長はこのときに書いた二重投稿問題の他に、「論文数が多すぎて信じられない…」という批判もありました。
井上明久東北大前学長の場合は1000編なんてものじゃないですよ。何と発表論文数は2800編以上!
こっちの件は嘘と決まったわけじゃないので早とちりしないでもらいたいのですが、大西隆会長の1000件がかわいく見えるくらいの数字です。
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