●英語をうまく話せることよりも実は「聞く力」の方が大切だった
2014/1/7:今回やるのは、<「自慢話をしない」がコミュニケーションの切り札:日経ビジネスオンライン 英語力よりも大切な聞く力>(林 則行 2013年11月22日)という記事の話です。ただ、過去にも似たようなものを何度か書いています。例えば、会話に関する部分としては、
一方的に話をする人は会話がうまい?聞き上手はやっぱり効果的だったが共通点を感じさせる話でした。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20131120/256088
また、英語に絡む話ですと、
短所を長所に変える ハードルの為末大と村上憲郎グーグル元副社長の場合がそういうものです。英語の方はあと2つくらい類似の話を書いた気がするのですが、ブログ内検索したものの出てきませんでした。
似たようなのを何度もやるというのもあれですが、例が多い方が説得力がありますし、それだけ大事ってことです。単純に意外性があるので、このテーマがおもしろいなってのもありますね。
●なぜ?英語がわかる人より英語がわからない人と話す方が楽しい
記事では、作者の林則行さんが初めて留学でアメリカに行ったときの機内での話がありました。「隣の人と話をしてみよう。ここで通じなかったら、大学で通じるわけがない」という悲壮な覚悟を持って声をかけたものの、相手の話はよく分からず、一方的に話を聞く展開です。
そのうちに疲れて途中で寝てしまいましたが、目が覚めるとどこか別のところに行っていた隣の彼が戻ってきました。「退屈だから後ろにいる別の乗客と話していたが、面白くなかったので戻って来た。君が目覚めたようだから、また話そうよ」ということのようだったそうです。
つまり、英語がわかる後ろのアメリカ人より、英語がさっぱりわからない林則行さんとの会話の方が楽しい、と言っていたわけですね。"概して人は、他の人に「話を聞かせたい割に、話の中身はたいしたことない」もの"だといいます。
●自慢したがる傾向が強いのは欧米人だけ…というのは本当か?
実際、この隣の席の人も"「自分は100回以上飛行機に乗っている」とか「六本木なら、日本人の君より詳しい」といったとりとめのない話でした"。逆に言えば、そんなくだらない話、しかも自慢話みたいな聞いていて不愉快になる話を聞いてくれる人だからこそ良いのです。
特に英米人では自慢したがる傾向が強いようで、"有名人のことをあたかも自分の知人のように話す人"を差す"name-dropper(直訳:名前を落とす人)"なんて専用の単語まであるそうです。ただ、これは日本人でもそうなのでしょう。作者は自分自身にもそういった自慢癖を見つけ出しました。
<「マイルが貯まっている」「部下がいる」「仕事で忙しい」「寝不足だ」「最先端のメカに詳しい」「面白い本を読んだ」といったことは、言わなくたって支障のない話です。ぼくがマイルをどれだけ貯めているか知りたい人がいるでしょうか。それでも、日本ではそうした話をよくしていました。その際に、「俺ってすごいんだ」と言いたい気持ちが潜んでいたことに留学して気づきました>
●聞き手にばかりなっていては損…どころではなくて利益がある!
そうは言っても「自分から話されず聞いてばかりだと損することも多いのではないか?」と思うかもしれません。ただ、実際はそうでもないようです。
<聞き手にばかりなっていては損じゃないか。取り柄がないように見られてしまうのではないか」と思ったこともありましたが、杞憂にすぎませんでした。ネイティブのほうからいつも誘ってくるのです。ぼくが大事な友だちになっているのが分かりました>
それほどに聞く力は重要なようです。聞き上手になることで、勝手に相手は勘違いしてくれます。
<相手は「自分の話を聞いてくれる人は自分を理解してくれる人。また、自分と同じ趣味、価値観の人」と感じるのでしょう。猫を飼っている友人は、ぼくのことを猫好きだと思い、愛犬家の友人はぼくを犬派だと思っています>
●話すことに飢えたアラビアの王族とお近づきに…これぞ聞き上手の威力!
そして、以下に出てくるアシュラムというアラビア王族の人の中で作者は、"いつの間にかスピード狂の仲間に変身していた"そうです。本当はペーパードライバーなのにも関わらず、勝手に勘違いされたんですね。これは、たまたま大の車好きだった彼が言った「今日はポルシェでやって来たんだ」に「それってどういうクルマ?」と食いついたのがきっかけでした。
<アシュラムはパーティで他の誰と話すこともなく、ぼくに解説を続けました。1時間かけて世界の各種スポーツカーと比較し、「あれだけのスピードが出るクルマとしては一番安価だ」と言いました。1000万円もする高級車なのに、タクシーより座り心地が悪いとも。スピードだけを追求しているところがたまらなく好きだというのです>
そして、"「帰りは送るよ。乗ってみなよ」と誘われ、時速250キロのスピードを生まれて初めて体験"したそうです。アラビアの王族なら放っておいても勝手に人が寄ってきそうなものですが、やっぱり話を聞いてくれる相手に飢えているんですね。
●英語でも聞き上手は有効、自慢話は厳禁 謙虚だからこそ出世する?
また、聞き上手こそ重要だと気づけたことは、他にも良い効果をもたらしました。アメリカでは皆があまりに積極的すぎて"授業でほとんど発言できない"といったことになると、"自分を不甲斐なく感じてしまい、どうしても自分の殻に閉じこもりがちに"なるそうです。"日本では外向的だった人"ですら、"日本語の本を読み始め、自分と向き合う機会が増え"、口数が少なくなるといった具合です。
しかし、アメリカ人の積極性で負けたとしても、本当に価値があるのは「話すことより聞くことだ」と知っていれば、精神衛生上で楽です。卑屈になる必要がありません。
聞き上手の優位性を示す逸話はまだあります。投資会社に勤めている作者には、資家として彼の展望をまず聞きたいと思うすごい才能の友人がいます。しかし、"金融業界では的確な見方は値千金"であるにも関わらず、彼は"組織内では同僚に好かれず、出世からも遠ざかってい"るそうです。
なぜかと言うと、"話全体のトーンが「俺は凄い」となって"しまうからです。作者に言わせれば、「あれだけ国際的に業績を上げているのに、あの方は謙虚に人の話に耳を傾ける」という話は全く逆で、「人の話に耳を傾けるから業績を伸ばすことができた」となります。
これについては結構自信満々タイプが出世するような気がしてあまり実感がないのですが、嫌われるより好かれる方がいいって方は参考にしてみてください。
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